ホントはジャンプ本誌に載った第1話だけで終わるつもりだったけど、せっかくなんで今回も簡単に感想を。
3話目以降も書くかは未定です。
・【wj29】読切版「恋するワンピース」「コビー似の小日山」感想
★もくじ
・恋するワンピース
・コビー似の小日山
恋するワンピース |
前回時点の感想では、主人公達に絡むモブキャラの嫌味な面が強調されていたり、イマイチ個性を感じにくかったりで、正直マイナス寄りな評価をしていた本作。
・・・なんですが、今回正直に言って中々に面白かったです。
学校外の動物園が舞台という事で、上に挙げた「ワンピース風の名前をからかってくる同級生」が登場せず。
そのため第1話にあった気分の良くない描写がなくなり、結果として余計なノイズが生じる事なくギャグ要素を楽しめた感じ。
その上で、本作のメインとなる「ワンピースのパロディ要素」を主柱に置きつつ、菜美のツッコミなど独自のワードセンスでもクスリとなる部分が増してきている気がしました。
笑いのツボとかは各々に異なると思うけど、少なくとも自分の好みには割と合致。
相変わらず空気読めないわ無茶苦茶するわで邪魔っけな嘘風君ですが、この無茶苦茶さはギャグ漫画特有のデフォルメ表現の範疇として、そこまで気になるモノではなかったかな。
ただ前回のバスターコールといい、今回の火薬星といい、一歩間違えば大惨事になりかねない性質の持ち主でもあるので・・・この辺を笑えない域に出してしまわない様にする必要がある、という意味で、作者さんのバランス感覚が試されるキャラクター性ではあるのかな。
で、今回はやっぱり菜美の「恋する乙女感」の良さが、本作の持ち味を引き出してくれてる感じがします。
ワンピースという恋愛要素のほとんどない漫画のファンブログなんぞやっといて何なんですが、基本的にドラマでも漫画でも恋愛モノが好みな身ですんで、この辺は個人的にかなりの見どころ。
ジャンプのラブコメにありがちな、色気に走ったタイプの見せ方を使わないのも好み。
前回も言うてましたけど、「ワンピパロディギャグ漫画」が何本も同時に展開している今、単にパロディ要素を突き詰めて行っても個性を見出すのは難しい。
なら、タイトルから連想させるラブコメ要素を押していった方が、他の作品との被り具合も抑えられるんじゃないかと。
とはいえ、ワンピースのパロディ漫画として世に送り出されている以上、その要素をほっぽり出して恋愛にばかりかまけた展開をさせるのも何かが違う気がする。
そういう意味で、今回の第2話はパロディギャグとラブコメの比率が丁度いいバランスで構成されてると感じました。
まあその菜美ちゃんが思いを寄せる海賊王君も、第1話の段階からすでにまんざらじゃない様子なんで、ラブコメとしての発展性はハッキリ言って少ないんですけど。
この辺は、あくまでもギャグをメインにしつつ、スパイスとして恋愛要素を取り込んでいく塩梅が、作風ともマッチするかな。
ただ1つ気になったところと言えば、やっぱり主人公である海賊王君のキャラの弱さ。
嘘風がボケ、菜美がツッコミという明確な役割があるだけに、余計にその立ち位置が宙ぶらりんに感じてしまいました。
漫画の中のルフィとは正反対な気弱な性格、というキャラ付けは別に良いと思うんですが、嘘風のワンピ漫談にも終始流されっぱなしなので、余計に印象が弱い。というか、セリフ自体がまず少ないし。
ダメな主人公の成長物語を描くならともかく、ギャグ漫画でこうも物静かな主人公だと、どうもインパクトに欠けるなぁ。あくまで主人公としては、ってだけで、別にキャラとして魅力に欠けるとは思わんのですが。
・・・とか書いててうん? って思ったんですが、そもそも彼って主人公なのか?
よくよく考えると、第1話冒頭のナレーションでは、「彼はいわゆる~」と、三人称視点の文章が使われていました。
しかし今回冒頭のナレーションでは「私の名前は小山菜美」と、菜美の視点を用いて描かれている。
確かに海賊王君は人間関係の中心人物ではあるけれど、語り部でもなければギャグの中心でもない。
「恋するワンピース」はあくまで彼ら3人の物語であって、別に海賊王君が単独で主人公を張る漫画ではなかったのかもしれない。
ゆえに、彼が主人公適性の薄いキャラクター造形をしていても、別段問題はないのだ。いや知らんけど。
まあぶっちゃけ、「海賊王君の苦手を嘘風君が克服させる」みたいな一連の流れが、ギャグ漫画としての舞台設定に便利なんだろう。
以下、適当に気になった個所をピックアップ。
>菜美(今日の目標は「かわいいね」って言ってもらう事です!)
健気か。
今の段階では、なんでそんなに海賊王君の事が好きなのかよく分からないけど、何となく応援したくなる。その辺は、のちのち回想とかで語られたりするんだろうか。
まあ、ラブコメ要素自体がオマケみたいなモンなので、細かい理由とかに尺割かないかもしれないけど。
この手のラブコメだと、こういうヒロインのアピールは鈍感をこじらせた主人公によって完膚なきまでにスルーされていくのが鉄則ですが、海賊王君の場合はどうなんでしょうね。
でも「ナミちゃんの誘いだから嬉しくて」とか言葉に出せるくらいだし、そこまで恋愛面に関してヘタレた感じでもないのかな、海賊王君は。
前回も、帰路を共にするお誘いとか、自分からしてたし。
そういう素直さが、彼の魅力なのかもしれない。
・・・ていうか、嬉しかったんなら嘘風に喋るなよ。
絶対着いてくるでしょ、あの空気読み人知らずは。
たぶん、嘘風のあのノリに気圧されてポロッと喋っちゃったんだろうな。ウソとか、つけなさそうだし。
>嘘風「『ウソップア~~アア~』を試すだけですので!!」
いやどこで試そうとしとんねん。
一応解説しとくと、「ウソップア~~アア~」は、空島編で使用した「遠くの木にロープを引っかけて、ターザンのごとく移動する」アレ。
ゆえに使用にはそれなりの高さを持つ足場と樹木が必要なものですが、このサル山じゃ流石に無理だろう。すごくミニチュアな世界でターザンごっこを楽しもうとしていらっしゃる。
ちなみに、本家の「ア~~アア~」は先端が木に引っかけるための二股のフック状になってますが、嘘風君の場合は首輪みたいな輪っかになってるっぽい?ですね。
第591話のボーイン列島からの脱出を図ったシーンでは、肥えた体重を支えるためかロープを木に巻き付けるバージョンも披露しているので、何が正解ってワケではなさそうですが。
まさかこのアイテムを捕獲用に使い始めるとは。最初見た時、ロープ部分でトナカイの首を縛り上げてるのかと思って焦ったわ。動物虐待ダメゼッタイ。
>嘘風「ログポースを辿ってここまで参りました!」
そこはビブルカードじゃね?と思ったけどまあ(どうでも)いいや。
>菜美「別行動するってのはどうかね?」
何の脈絡もなく切り離しにかかってて笑ったシーン。
普通こういう場合、それっぽい理由をでっち上げにかかるモンだけれど、流石ナミを元にしてるだけあってド直球な言い草だぜ。
でもそのストレートさ、嫌いじゃないぜ。
その後も海賊王君と嘘風君に対し、
「なんだおまえめちゃくちゃかわいいな」
「なんだおまえどっか行ってろ」
と天丼的なフレーズで扱いに180度の差がある言葉選びが面白い。
この辺のセリフ回し、かなり自分のツボを突いて来るんだよな・・・。
その他、「ほんとだ まあいいんじゃない」「おまえ神経ないの?」とかお気に入りのフレーズが何個か出てますが、列挙してくのも興が冷めるトコなんで割愛。
>嘘風「これは重度ですな シュシュもだめとは」
嘘風の放り込むマイナーなネタに付いていけない菜美ちゃん。
だよねぇ。普通、シュシュとか覚えてないんだよねぇ。
何分、自分がどっぷりとワンピースに浸かり切ってる人間なので、一般的な読者がどの程度までキャラとか設定を覚えてるモンなのか、分からなくなる時がある。
90巻近い長寿漫画だからね。一通り読んでても忘れてるキャラとか多いよね。
初心者向けを意識しようとして、気づいたらワケの分からん妄想ネタをぶっこんでる傾向にあるウチとしても、ちょっと認識を変えていかねばなるまい。うん、感想の方向性が明らかに間違ってる。
>脱走したリッチー(もといライオン)
こっちこそ忘れ去られてそうな名前ですが、リッチーはバギー一味の副船長・モージが従えているライオンの名ですね。
一時は寝ぼけたまま、バギーが敗れた後の一味の船長になりかけたりもしてました。今もチラチラと出番がありますが、当時の獰猛な印象はどこへやらのコミカルキャラと化してしまった。
上で出てきたシュシュとはちょっと因縁のある間柄。(第2巻参照)
ゆえに、その流れでリッチーの名が出てきた時は笑っちまいました。
その他いろいろ小ネタも効いてるんですが、とりあえずこんなもんで。
ギャグ漫画の感想って、塩梅がムズいっすね。全部解説しちゃっても、変な感じになるし。
コビー似の小日山 |
こっちはジャンプ本誌に掲載された時点で、第2話まで更新されてたみたいですね。その後更新された第3話と、纏めて感想。
相変わらず、ディープなワンピースファンばかりの世界に唯一ついて行けてない小日山君の構図が面白い。
「恋するワンピース」では、ワンピースネタを縦横無尽に放り込みまくる嘘風君が異端児扱いなのに対し、こっちは真逆なんですよね。
学校中の生徒が全員嘘風みたいなモンですからね。うん、正直ちょっとヤだなそれ。
「この海で一番美しいものはなんだい?」という定番の質問に「ハンコック」と答えられていた辺り、小日山君も多少はワンピース知ってるのかな? と思いましたが、単に3択の中から勘で選んだだけっぽいですかね。
しかし「ネタとはいえ、あんな金棒持ってるヤツいたらおっかないよな」とか思いながら見てたら、「金棒の側がゴム製」という方向に持って行ったのに笑いました。
このクラスのヤツら、ネタのためにいろいろ準備しすぎや。
ただまあ正直、出落ちみたいなネタの漫画なんで流石に初回ほどのインパクトはないですね。
恋するワンピースに比べ、独自色を出しにくい題材でもありますし。これから連載を続けていくにあたって、失速していかない事を祈ります。
>赤石まどか
第2話より登場の新キャラ。
名前は・・・別に元ネタとかは無いかな?
漫画の中に登場するコビーの、激烈な成長具合に胸を打たれてしまったらしい、恋する(?)少女。現実にも、何人かいそうだ。
まさに(成長前の)コビーに瓜二つの小日山君との出会いに、雷が落ちた様な衝撃を受ける赤石さん。
髪の毛の爆発具合が、サンダーボルト=テンポを受けたミス・ダブルフィンガーみたいになってます。意識してるのかは知らない。
ハタから見てると、1人で突っ走って1人で「様子見」を宣言したただの不審者。
しかしこの世界の住民特有の、「ただの気のせいを見聞色と誤解する」発想の飛躍は健在。うーん・・・正味この辺は、第1話の内容と被るからなぁ・・・若干ネタの使いまわし感も否めない。
第3話じゃ出てきませんでしたが、この子も一応はレギュラーキャラになるのかな。
>コビハドール
続く第3話では、全体的にコビーとは関係のないネタが多め。
流石に、アレだけじゃネタがもたないものね。
体育の50m走にて、「特訓を積んできた」という小日山君は、キャプテン・クロの“杓死”風の構えを披露。
これはたまたま構えがワンピネタになってしまったのか、小日山君が意識してワンピネタを出し始めたのかどっちなんだろう・・・?
第2話までは「周りが発するワンピースのネタを理解できていない」キャラだったので、急に自らワンピネタを放り込んで来たのは少し違和感。コビーネタじゃないから、無意識に発してしまったものとするのも少し不自然だし。
それとも彼の言う「特訓」というのは、体育の特訓じゃなくてワンピースを読み始めるという特訓だった・・・?
そんな小日山君・・・もといコビハドール、眼鏡の上げ方を間違えるという痛恨のミスを犯してしまいます。
またマイナーなネタを。
キャプテン・クロ(またの名をクラハドール)は、手のひらの部分でメガネを持ち上げるのが正確ですからね。
指で触ろうとすると、猫の手で顔に傷つけちゃうからね。
>深栖太一
3話目にして放たれた、小日山に次ぐワンピキャラそっくりさん第2号。
「みす たいち」と読む彼は、Mr.1ことダズ・ボーネスのそっくりさん。
あー、確かにいるわ、こんな中学生。坊主頭でタラコ唇で、妙に目つきの悪い子。こう見るとダズって、意外と童顔なんだな。
今回は顔見せ&人物像の紹介くらいで、踏み入ったネタは特になし。
しかしダズ似の人物を出して初っ端に使うネタがウソップ海賊団て。あまりにダズと無関係すぎて、ちょっと突拍子もない印象を受けました。
どうせなら、ボンカレーとか絡めるぐらいのくだらないノリでも良いのよ。SBSの投稿者でいらっしゃったし、ある意味公式ネタだって(暴論)。