週刊少年ジャンプ2018年31号分の感想です。
 ネタバレを含むので、自分で買ってから読んでください。 


★もくじ
扉絵連載
不死鳥マルコ
白ひげとバッキン
“ワノ国”突入!  



扉絵連載

 前回の扉絵(15時時点)では海賊行為の「計画表」を立てていたオオロンブスさんですが、今回は16:00にしてどこかの島に砲撃を行い、海賊としての初陣を切る事になりました。

 たったの1時間で立てられる海賊計画に何の価値があるのかは甚だ疑問ですが、彼の海賊行為は麦わら大船団の中でも最も海賊的であると言っても良さそう。


 一応は「悪党を倒す」「ルフィセンパイの素晴らしさを布教する」という思惑で動いていた(と思われる)バルトロメオや、抗争中の手長族・足長族の間に割って入ってたイデオ達もハタ迷惑な人達ではありますが、まあおそらくは彼ら自身の信念に従っての行動。

 対して今回のオオロンブスは、純度百パーセントの略奪行為ですからね。
 義賊的な側面も強い麦わらの一味とは正反対の、とても海賊らしい海賊であると言える。


 うーむ、麦わら大船団の構成員の内8割以上の人数を占めるオオロンブスの船団がこういう行為をやらかすのは、ちょっとヒヤヒヤするところはあるかも。

 島に対して砲撃仕掛けるのは、普通に民間人の身が危険に晒されるしなぁ。まあ、ルフィ達は世間じゃ完全な無法者なので、今更評判なんぞ気にするとも思えませんが。


 しかしこの襲撃を受けている島、元々の見た目がかなりボロボロというか・・・。
 遠目にしか描かれてないので見にくいですが、建物がツギハギだらけでいかにも貧しそうな感じ。

 これ、やっぱり本編の内容と少しリンクさせているんだろうか。

 今回マルコが語った、貧しさ故に天上金を支払えず、世界政府に加盟できなかったために、略奪の対象とされやすくなった“無法の島”。

 この島は、まさにそんな島のひとつなんじゃないだろうか。

 だとすれば、わざわざ計画的に略奪行為を行ったオオロンブスの事。この島がそんな無法の島である事を、把握したうえでの犯行である可能性が高い。
 
 予想の域を出ないお話だけれど、恩義もあろう所属国家の船団を奪って逃走したオオロンブスさんはそもそもが悪党気質な人物ではあると思うので、今後も順調に麦わら大船団の悪名を世界に広げていくヒール役的な人物になっていきそうな予感はするなぁ。



不死鳥マルコ

 1年前、黒ひげ海賊団との“落とし前戦争”に敗北した、マルコ率いる白ひげ海賊団の残党達。
 その後パッタリと消息を絶ってしまった彼らですが、ネコマムシが思う「心当たり」はどうやら正しかった様で、無事にマルコとの合流を果たしていました。


 そこはなんと、他でもない“白ひげ”自身が作った村だという。

 実は船医者であったらしいマルコは、不死鳥の能力を借りながらこの村で人や動物の治療を行っているみたいでした。

 “再生の炎”って、自分だけじゃなく周りにも効果を及ぼすモノなのか・・・まあ本人が用いる時の様に瞬時に再生してしまう程ではなく、あくまで自然治癒能力を促進させているくらいのモノみたいですが。
 それでもキチンと治療を行えているのは、彼自身の医術の賜物なのかな。

 ・・・というか、マルコが治してやってる「タマ」なる動物、どう見てもインペルダウンの人面羽毛ライオンスフィンクスですね・・・。
 「ヴォルル」って鳴き声まで一緒。

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(ONE PIECE54巻 第529話より引用)

 モンドールの本の世界に囚われていたマンティコラの様に、黒ひげ襲撃時に脱走したのか?

 しかしよく見ると、インペルダウンの個体には存在した右目の上のキズが存在しない
 マルコの再生の炎によって治癒された可能性もなくはないが、他人への影響力が低い再生の炎で、この古傷の様な痕を消してしまったとは考えにくい。

 よってこの村に住む「タマ」は、インペルダウンにいたものとは別の個体みたいですね。残念ながら、麺類中心に喋りだす事もないだろう。

 見た感じインペルダウンのものに比べ、ひとまわり小さい気もする。まだ子供なのかな?
 
 こんな珍妙な動物があちこちに生息してるのもスゴい話ですが、もしかしたらスフィンクスもマンティコラ同様に脱走していて、これはその子供だったりとか、するのかな。


 そしてマルコの方は、見たところさしたる重傷を負った様な雰囲気はなく、2年前とあまり違いは見えない。

 強いて言うなら、メガネをかける事でちょっとインテリ感を醸し出してはいますね。
 パイナップル風の髪型もあって、外見に関してはネタっぽくも見える人物だったけど、ワンアイテム加えるだけでも結構印象は違ってきますね。

 
 今はどうも、白ひげが作ったという「形見」でもある村に住み、医者として人々の為に働いてるみたい。

 しかしウィーブルミス・バッキンが白ひげの遺産を狙う今、この村もいつ狙われるか分からない。
 白ひげの形見を守り抜きたい彼は、残念ながらワノ国への同行はできず。

 ひとまずは、ワノ国でのマルコ参戦は叶わなかったか。
 戦力的にも申し分ない援軍だし、下手をすれば2人の四皇を同時に相手どらなければならなくなるワノ国編においては貴重な戦力だったんだが。

 けれど、わざわざこのタイミングでマルコを再登場させたのだから、ワノ国編にまったく絡まないというのも考えづらい。
 何らかの理由で、ウィーブルがワノ国編に参加する事となれば、自ずとマルコ達が現れる流れにもなる様な気がする。


 また今回は未登場ですが、マルコの他の仲間達もこの村にいるのかな?

 特にジョズなんかは、クザンとの戦闘で片腕を失った(と思われる)程の重傷を負ってますから、現在の安否が心配だ。
 再生の能力を持つマルコに比べ、他のメンバーは落とし前戦争でそれなりの痛手を受けていてもおかしくないし。


 あと、マルコはネコマムシに、ルフィへの伝言を頼んでいます。
 ルフィの側も、彼には伝えなきゃいけない事が残ってますが・・・あれは、多分もう伝える必要のない言葉でしょうね。 
 SBSでも言われてましたが、彼の想いは言葉にせずとも、仲間達みんなに伝わった事でしょうから。




白ひげとバッキン

 「オヤジの作った」というからには、マルコが滞在するあの村は、名を貸し与える事で悪党から守っていたナワバリの島々とは違い、本当にイチから彼が作り上げた村なんでしょう。
 身寄りのない不幸な人々を纏め上げ、海賊として得た金や物資を注ぎ込む事で彼らに安息の地を与えていた、と。


 そして、あの豪快な白ひげという男が、実はケチだったというエピソードにはグッと来るものがある。
 世界一の大海賊と言われながらも、得た金品を村のために使っていたから、自由に使える金などほとんど持っていなかったと。

 そういえば、以前シャンクスが白ひげのもとを訪れた際、手土産として持参した酒が「あまり上等じゃない」事に少し不服そうだった。

 アレも、実は自分で高い酒を買うような金を持っていなかったため、安酒を持って来られたのが普通に残念だったのかもしれんね。

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(ONE PIECE45巻 第434話より引用)
 
 上等な酒ではないにしろ、結果としてシャンクスの故郷の酒は、白ひげのお眼鏡にも適う味だった様で。良かったね、白ひげ。

 まあもしかしたら、単に良い酒を呑み慣れてなくて、酒の味とかよく分からんかっただけという説も浮上するけど、ヤボな事は言いっ子なしやで。


 そしてそんな白ひげの“愛人”を自称するミス・バッキンと、その子であり七武海の一角であるドワード・ウィーブル

 関係性の真偽はマルコにも分かりかねる事らしいが、どうもバッキンに関しては約40年ほど前まで、白ひげと同じ海賊船に乗っていたハズであるという。

 
 このタイミングで「40年前」というワードを放り込まれれば、それはもう第907話にて明かされた「ロックス」なる存在と絡める他にないでしょう。

 今は船長を欠いているらしいが、ロックスというのが海賊団または船長の名であるならば、リンリンやカイドウ、そして白ひげ(ニューゲート)やバッキンは、元は1つの海賊団に所属する仲間であった可能性が高い。
 
 そして40年前(正確には30数年前)、ガープの活躍によって船長が討たれ、海賊団は自動的に解体される事になった、と。


 白ひげには死の間際、どこかの海賊団に所属していた時代の姿が僅かながらに描かれましたが、これはロックスの一味にいた頃だったのかな。

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(ONE PIECE59巻 第576話より引用)

 
 のちの「四皇」クラスの海賊を3人も抱えていたと考えると物凄い話ですが、仮にこれが本当だとしたら、ロックスという海賊団のその後に何があったのかが気になる。

 カイドウとビッグ・マムは、平然と「来るなら殺す」などと言う物騒な言葉が出る様な関係。
 さらに頂上戦争前にカイドウが動きを見せた時は、海軍本部には「戦争の期に乗じて白ひげを討とうとしている」と判断されていた。

 実際にこの時のカイドウにどういう意図があったのかは不明だが、元は仲間であったというのなら「白ひげの味方として戦争に参加しようとしている」と見るのが普通なハズ。

 あえて敵対するものと判断されたという事は、ロックス解体後の彼らは、世間に知られる様なかなりハッキリとした形で敵対する様になったという可能性が高いでしょう。
 一体何があったのか・・・。


 今までのバッキンはその素性が知れず、白ひげの“遺産”とやらの存在も怪しいものだった。
 しかしバッキンが40年も前からの白ひげの関係者であることが分かった以上、マルコの知らない“遺産”が存在していたとしても不思議はない。

 ただまあ、バッキンが望む金銀財宝がその正体であるなら、現存している可能性は低いでしょうね。村のために使ってしまっているだろうし。

 よって遺産の正体とは金品の類ではなく、ロックスの船長にまつわる何かであり、バッキンはそれを財宝の類だと勘違いしている・・・と予想しておこう。



“ワノ国”突入!

 さてさてパンクハザード編から、もっと言えば存在が示唆されたスリラーバーク編からながーーくお待ちかねのワノ国編が、今回をもってようやくスタート致しました。
 本当はもう少しレヴェリーを見ていたかったのは秘密だ。


 その導入となる今回、すでに国のおおまかな外観が明かされています。
 木の上に城が建ってる・・・すげぇ構造だ。


 錦えもん、カン十郎、雷ぞうと共に一足早くワノ国へ到着したゾロ、ウソップ、ロビン、フランキーの4人は、将軍である“黒炭オロチ”に存在を気取られぬ様、正体を隠してワノ国内に潜伏することに。

 ・・・ローは?


 念のために改めて纏めておくと、ゾウ編において、ルフィ達“忍者海賊ミンク侍同盟”は、4つの組に分かれて行動を開始する事となった。

 1つはルフィ達、サンジ奪還組。
 これはホールケーキアイランド編においてその顛末が描かれ、現在はワノ国へ参じるための航海中。

 2つ目はネコマムシら“マルコ探索チーム”。
 こちらに関しては、今回の前半で描かれた通り。ネコマムシの部下にあたる 侠客団ガーディアンズ も同行している模様です。
 ちなみに侠客団の団長であるペドロに関しては、ルフィ達と共にホールケーキアイランドへと向かいましたね。

 3つ目がイヌアラシら“ゾウチーム”。
 カイドウの脅威からズニーシャを守るためのチームで、ズニーシャとの対話を試みるモモの助も、侍達と別れこちらのチームに加わっている。
 のちにワノ国で合流する予定。

 そして最後が、一足早くワノ国へと向かったチーム。
 3人の侍に加え、ゾロ、ウソップ、ロビン、フランキーに加え、トラファルガー・ロー達ハートの海賊団が、ワノ国へと向かっていたハズでした。


 しかし今回、ローの姿が見えない。
 暮らしの様子が描かれていないだけでなく、錦えもんがゾロ達に注意を促している回想シーンにも見当たらないので、ワノ国へ到着してすぐに別行動を取っているみたい。

 まあローの目的は最初からカイドウの撃破であるため、無理に錦えもん達と一緒に行動する必要もないと言えばないか。
 ドフラミンゴを討った今、どの程度本気でカイドウを打倒するつもりがあるのかは微妙なところかもだけど。


 今回はゾロ達がそれぞれどの様な人物として、ワノ国での仮初の姿を演じているか・・・というのが描かれています。
 各々なかなかに似合ってらっしゃる。

 その中でも、大工として親方に弟子入りを果たしたらしいフランキー・・・ですが、その「親方」という人物が気になる雰囲気。というか、どこかで見た事がある。

 坊主頭にねじれハチマキ、鼻に突っ込んだ釘に左頬のキズ、そして服の左肩部分に書かれた「大」の字・・・・・・。

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(ONE PIECE7巻 SBSより引用)

 
 み、みなともさーーん!!


 あなた何してんすか!!??
 12年前はフーシャ村にいたハズのあなたが、なぜワノ国に・・・鎖国は? どうやって入国したん? 親方ってくらいだから、ワノ国に住み込んで仕事してるんだよね?

 まさかのキャラクターの再登場にびっくりだ・・・こないだのモーダといい、マイナーキャラを不意に放り込んで来ますなぁ。ファン心をくすぐって来やがるぜ。


(補足:みなともさんとは、ONE PIECE第1話にて山賊ヒグマが、マキノさんの酒場のドアを蹴り壊した際、コマとコマの間で瞬時にドアを修理してしまった大工さんである。
 第7巻のSBSにて、その存在が明かされた。決して、作者の苦しい言い訳から生まれたキャラクターではない。)

 
 錦えもんの言う通り、各々にワノ国の住民として溶け込んでいた一味だが、トラブルを引き起こすのはやっぱりゾロでした。

 ワノ国から消えた名刀・秋水を持っていた事から、墓荒らしの疑いまでかけられるゾロだが、秋水と剣豪リューマの遺体が消えたのは今から23年前だと言う。


 この墓荒らし事件の真犯人は勿論ゲッコー・モリアさんなワケですが、23年前と言えば大海賊時代が幕を開けたわずか1年後。
 そんな昔から、ゾンビ戦法は使われていたのか・・・。

 しかしカゲカゲの実の能力によって抜き出した“影”を入れるための没人形を作り上げられるドクトル・ホグバックがモリアの仲間となったのは、シンドリーの死亡事故が起きた12年前

 つまりモリアは、遺体を屈強な肉体に仕立てる術を持たない段階であるにも関わらず、すでにリューマの遺体を盗み出していた事になります。

 確かにホグバックの手が入っていない普通の遺体でも、ゾンビとして蘇らせる事は可能。
 しかしホグバックの強化手術抜きにして、あえてリューマの屈強な肉体を用いる必要性はあったのかな・・・? 
 大昔から遺っている死体をそのまま動かしたところで、肉体の強さが与える影響にも限界がありそうなモノだけれど。


 どうもこの奉行さんが言うには、墓荒らしの事件は海賊騒ぎのドサクサに紛れて発生したという。

 かつてモリアが戦い敗れたというカイドウと、深い関係にあるワノ国。
 23年前の当時にも、カイドウとワノ国には繋がりがあったのかな?
 あったとすれば、モリアの本来の目的はこの「海賊騒ぎ」の方で、リューマの肉体を手に入れたのは副次的な戦利品だったのかも・・・?


 そして切腹を命じられたゾロは、切腹用の小刀にて、辻斬りの真犯人と見られる奉行を斬ってしまう。
 初っ端から波乱の幕開け。

 まあゾロ相手に静かにとか無理だから。そんな無茶をお願いした錦えもんが悪いよ、うん。

 果たしてゾロはどうなってしまうのか。そしてルフィの到着はいつになるのか。
 下手すると半年くらいに渡って主人公不在の状況になりかねんぞ!