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アニメ版 ONE PIECE
第844話
巨人エルバフの槍 強襲!空翔るビッグ・マム」 




【原作の対応話数】
87巻 第873話~874話冒頭



もくじ
あらすじ
原作からの変更点
感想
登場した技
声の出演



【あらすじ】
 ウェディングケーキを食べ損なった事で、食いわずらいの癇癪を起こし始めたビッグ・マム。一件の責任を感じ、マムの前に立ちはだかった実子・オペラの寿命をも、ビッグ・マムは奪い取ってしまった。

 長男ペロスペローは、機転によりマムの意識を麦わらの一味に向ける事に成功する。しかし時間は稼げたものの、ケーキを作る事ができる総料理長・シュトロイゼンは、城の崩壊から皆を救った際に大ケガを負ってしまっていた。
 このまま癇癪が止められなければ、間違いなくホールケーキアイランドは崩壊へと向かう事になってしまう。
 そんな絶望的な状況に頭を悩ませるビッグ・マム海賊団のもとに、ひとつの助け舟が差し出される。彼らの前に現れたプリンは、自分とシフォンならば、シュトロイゼンのケーキを再現し、マムの癇癪を止める事ができると言うのだった。

 一方、ビッグ・マム海賊団のナワバリからの脱出を図るルフィ達は、クラッカーとの戦いにて協力させたキングバームと再会。ナミは半分に裂いて隠し持っていたビッグ・マムのビブルカードの効力により再びキングバームを脅し、逃走のための足代わりとして利用。襲い来るビッグ・マム海賊団から距離を離そうとする。
 しかしその時、ペロスペローの嘘によってルフィ達がケーキを持ち逃げしたと思い込んだビッグ・マムが、ゼウスに乗って迫って来る。
 ビッグ・マムが放った“エルバフの槍”威国は、その威力によりルフィ達を乗せたキングバームの半身を抉り取ってしまうのだった。
 


【原作からの追加点・変更点】
※セリフの変更点は細かい差異が多いため、気になった箇所のみ紹介


・寿命を抜かれたオペラを見たカタクリが、見聞色の覇気により既に手遅れである事を察知するシーンが追加。

・ビッグ・マムが、寿命を抜き取ったオペラの身体を離す際、モンドールがいる方向へと投げ飛ばす様に変更。

・オペラに関するスムージーのセリフが「無謀にも立ちはだかったのだ!!」から「ママを止めようと立ちはだかったのだ!」に変更。
 オペラがマムに立ちはだかる経緯に、スムージーが関わる様に変更された為だと思われる。

・ナワバリから脱出しようとするルフィ達が誘惑の森を目指すシーンが、原作ではプリンの登場シーンの後だったが、アニメではオペラが寿命を抜かれた事が分かるシーンの後に変更。
 キングバームと再会するシーンのタイミングは原作通り。

・シュトロイゼンが着地に失敗し落下する映像が、回想シーンとして挿入。

・ぺコムズの「このままじゃスイートシティが崩壊しちまう」というセリフが追加。

・ペロスペローが時間稼ぎの策に出ようとした際、コンポートとぺコムズが「良い手を思いついたのか」とペロスペローを持ち上げるセリフ追加。
 しかし予備のケーキがあると嘘をついた際には、コンポートに「駄目だよ!何言ってんだい!」と言われている。

・プリンの「(シフォンに)言う事聞かすわよ・・・」と銃を見せつけるシーンにて、一発銃を発砲する描写が追加。

・プリンが「サンジに侮辱されたの」と言うシーンの後、サンジの「胸がズキュンと」「どこかでまた かわいこちゃんがおれの噂を・・・」というセリフが追加。

・キングバームを足として使う際、ナミがビッグ・マムのビブルカードを突きつけ命令する描写が加筆。

・ジェルマ王国に対し、ヌストルテ、バスカルテ、ドスマルシェ率いる部隊が襲撃をしかけるシーンが追加。
 またバスカルテはクローン製造室へ、ドスマルシェはジェルマの玉座にまで攻め入っている。

・イチジがドスマルシェ、ニジがヌストルテ、ヨンジとレイジュがバスカルテと戦闘し、ジェルマ王国に攻め込んだ部隊を圧倒するシーンが追加。

・追走してくるビッグ・マムに対しルフィが戦意を剥き出しにし、ジンベエに抑えられるシーンが追加。





【感想】
>スムージー姐さん「オペラ兄さんは・・・ママを止めようと立ちはだかったのだ!」

 いや立ちはだからせたんアンタやけど。

 すげえ・・・兄1人を無駄死にさせて、こんな涼しい顔してられる姐さんすげえよ・・・感情どこ置いて来たのよ・・・。

 「無謀にも」って言葉が原作から削除されたとはいえ、自分で挑ませてこの言い様はヒドい。あの世でオペラも涙目だろう。寿命抜かれたヤツ、あの世行くのか知らんけど。

 まあ以前も書いた様に、どの道オペラは「ビッグ・マム海賊団」という組織に在籍する上で、殺されても文句は言えない事をしてしまったのも事実。
 ゆえに「栄誉ある死」かつ「運が良ければ蘇生できるかもしれない」形での死を与えたのは、考えようによっては有情な部類なのかもしれない・・・が、それにしたって、ねぇ。

 「もう誰もママに近づくな」とも言ってるから、死んでも困らないヤツを向かわせて、止められるかどうか試してみたという可能性も考えられる。
 それだとスムージー姐さんのサイコっぷりが余計に強まる上、今まで築き上げて来た知能に難を抱えたキャラにブレが生じもするが・・・まあこんなトコ真面目に考えてる時点で私の負けだな。


>ペロスペローのウソ

 一時しのぎにしかならないとは言え、スイートシティの危機を先延ばしにし、ついでに麦わらの一味を始末する手段として転換したペロスペローの機転は見事。

 ・・・だと思うのだけど、アニメではペロス兄が動いた段階でコンポートやペコムズが「流石ペロスペロー」なノリで持ち上げ始め、いざペロスが嘘を述べ始めたら「何言ってんだい!?」とか全否定するせいでペロスペローが妙にアホの人みたいな印象がつく演出になってしまった。

 ひどいやコンポート姉さん。ちょっと自分に出番がないからって、ペロスの株を下げにかかったか。
 長女だってのに、ホント影薄かったからなぁコンポート。


>プリン「サンジに侮辱されたの私・・・・・・!!」

 今まで、
 どこまでも良い子→演技派の性悪女→自分を偽るマムの操り人形・・・といった風に、その印象を二転三転させてきたプリン嬢。

 そして自身の忌むべき目を「美しい」と評したサンジへのこの言葉。
 いったい彼女の本心はどこに・・・?

 と、この辺りからプリンというキャラクターの本当の顔が見え始めるエピソードなのですが、なんとこの度、プリン役の声優を務める沢城みゆきさんが今夏より出産のため休業に入るとの事。

 いやおめでたい。
 おめでたい話・・・なのだが、プリンが徐々におもしろキャラと化していくこのタイミングでの休業は、本音を言えば少し残念かも。

 まあこういうのは時期をコントロールできる様なモノじゃないし、仕方ないものは仕方ない。
 ので、休業が決まった以上は、役柄に合う代役の演者さんが上手く見つかる事に期待しておこう。
 プリンというキャラクターの性質上、演技力のハードルも高いとは思うが・・・まあ、温かい目で見ていきましょ。


>キングバームとレディツリー

 ナミに散々利用され、アマンドの“スローバラード”に切り裂かれ、ようやく安息が訪れた・・・と思いきや再びナミに利用されるという、災難なキングバームさん。ホント、彼にとって麦わらの一味は疫病神だと言わざるを得ない。

 しかしキングバームとレディツリーは婚約関係にあるとの事だが、これは魂の元々の持ち主同士がそういった関係にあったという事なんだろうか。
 いくら人間の魂が入ったとはいえ、所詮はただの樹木。ホーミーズとして生まれた後に、独自に恋愛感情を持つのは難しそうな気もする。

 似たような能力を持つモリアが生み出したゾンビ達は、基本的には没人形に入れた影の人格が表に出ていた。
 ホーミーズに関しては、「どのホーミーズに誰の魂が入った」というのが不明瞭なため、どういう基準で意思や人格が根付くのかはよく分からない。が、魂の奥深くには、元の持ち主の記憶が眠っている事は分かっている。

 リスキー兄弟の影がゾンビとなっても行動を共にしていた辺り、キングバームとレディツリーも元となった魂同士が惹かれ合った結果、ただのホーミーズにすぎない彼らが恋仲にまで発展したのかもしれん。

 ・・・そう考えると、それを強引に引き剥がしたナミさんは中々に酷な・・・まあただの木なんだけどさ・・・。

 あとどうでも良いけど、レディツリーって木の癖にちゃんと服着てるんですね・・・木の癖に服という概念があるという事は、これはもうアレだね、木の価値観ではキングバームは常に全裸という事だね。
 変態だね。もはやフランキーを超えたね。


>ジェルマ66 VS ヌストルテ三兄弟

 原作では少し後になってから結果のみが判明した対戦カードだが、アニメでは早めの段階でその過程が描かれた。
 戦闘と言っても、ヌストルテ達が一方的にボコボコにされただけだが・・・。

 兵力こそ割いたものの、部将クラスがこの程度の力量では、流石にイチジ達には通用しない。これはヌストルテ達の失態というよりは、ジェルマの力を甘く見て編隊を組んだダイフク達のミスと言えるだろう。
 
 しかしイチジさん、登場の仕方が悪党!
 ドスマルシェの「王のいない玉座」という言葉に対し、どこからともなく現れ颯爽と玉座に座り「王ならいる」とか言っちゃってます。瞬間移動並や。

 でもこの流れ・・・イチジの言う「王」って完全に自分の事指してますよね。玉座、座っちゃってるし。
 ヴィンスモーク家全員を指して「王族」という意味で言ったのか、はたまたハンニャバルのごとく野心が漏れてしまったのか・・・。

 まあ順当に行けば、次代のジェルマは長兄であるイチジが担う事になるんで、王と言うのも間違っちゃあいないかな。ちょっと気が早いだけで。

 ・・・しかしヌストルテさん、「してからに~!?」とかいう驚き方、面白すぎるんでヤメて貰っていいですか。
 声がゾロなのも余計に笑える。


>エルバフの槍

 ナポレオンの剣より放たれるエルバフの槍“威国”だが、ビッグ・マムがどのタイミングでこの技を学ぶことが出来たのかはよく分かっていない。

 マムは5歳の時にエルバフに住んでいたが、この時は巨人族から戦闘の訓練を受けていた様には見えない。
 ヨルル様の一件以来、巨人族との仲は最悪なので、仮に直接学ぶ機会があるとすればローラとロキの縁談が持ち上がってから、破談に終わるまでの期間くらいしか可能性がない。

 ・・・が、齢50~60にもなる年齢にある四皇が、今更剣術を学ぶ・・・というのも微妙に考えづらい。まだ正式に婚姻を結んでいない段階で、巨人族に伝わる技を外に漏らしてしまうのも変だし。
 よって彼女の威国は直接伝授されたモノではなく、エルバフの在住時、あるいは海賊として旗揚げして以降に、巨人族の誰かが使用するのを見ただけで盗んでしまったという可能性が高いと思われる。

 幼くしてサイファーポールからの危険人物指定を受けた彼女の事、かつて見た事がある技を見様見真似で扱えてしまっても不思議はない。
 ライディーンがハイルディンに技を教えていた所をたまたま目撃して、そのまま会得してしまったんじゃないだろうか。

 かつてドリーとブロギーが放ち、島食いの身体に風穴を空けた“覇国”に比べると、“威国”がキングバームに空けた穴の規模はやや劣っている様に見える。
 さしもの巨兵海賊団の二大巨頭といえど、流石にビッグ・マムを超える程の戦闘能力を持っているとは思いにくい。となれば、2つの攻撃の威力に生じた違いは、シンプルに「技の性能差」だろう。

 「巨人族最強の槍」と称される覇国に比べると、威国は会得自体が容易であり、力の消耗も激しくない代わりに破壊力では劣るという、小回りの利く性能を持った技なんだと思う。



【登場した技】 
ステルス
使用者:ニジ
※アニメオリジナルシーン
 ニジの急襲により部下達を倒され、慌てふためくヌストルテに対し使用。
 視認不能な高速移動により、ヌストルテを圧倒した。

威国
使用者:ビッグ・マム
 逃走するルフィ達に対し繰り出した“エルバフの槍”。
 その破壊力により、ルフィ達が足代わりとしていたキングバームの左半身を抉り取ってしまった。



【声の出演】
ルフィ・・・・・・田中真弓
ナミ・・・・・・・岡村明美
サンジ・・・・・・平田広明

ビッグ・マム・・・小山茉美
ゼウス・・・・・・水島裕
ジンベエ・・・・・宝亀克寿
プリン・・・・・・沢城みゆき
ペドロ・・・・・・三木眞一郎
キャロット・・・・伊藤かな恵
イチジ・・・・・・杉山紀彰
ニジ・・・・・・・宮内敦士
ヨンジ・・・・・・津田健次郎
キングバーム・・・藤原貴弘
モンドール・・・・伊丸岡篤
ペロスペロー・・・内田夕夜
カタクリ・・・・・杉田智和
スムージー・・・・勝生真沙子
ぺコムズ・・・・・飛田展男
ダイフク・・・・・咲野俊介
オーブン・・・・・木村雅史
カトウ・・・・・・平井啓二
コンポート・・・・金月真美
レディツリー・・・鹿野優似
モービル・・・・・川原慶久
ヌストルテ・・・・粗忽屋西神戸店(中井和哉)
ドスマルシェ・・・粗忽屋東品川店(山口勝平)

住人・・・・・・・石橋桃
マム兵士・・・・・新井良平 千葉俊哉
         戸松拳也 坂井易直
ナレーション・・・大場真人