週刊少年ジャンプ2018年34号分の感想です。
 ネタバレを含むので、自分で買ってから読んでください。 


★もくじ
天狗山飛徹と“鬼徹一派”
編笠村とワノ国の実態
エースの死と約束
ゾロとの再会  



天狗山飛徹と“鬼徹一派”

 前回登場した謎の妖怪天狗仮面ですが、名前を刀鍛冶の天狗山飛徹というらしい。
 「(美少女こけしコレクター)」というドルトンさんばりに不要すぎる付け足し紹介がされてますが、一体何の意味が・・・。
 現代で言うところの所謂フィギュアオタクというやつなんでしょうが、その設定が今後活きる道がまるで見えない。気にしたら負けなんだろうか。


 「ワケあって町へは行けぬ」という飛徹は、倒れてしまったお玉をルフィに預け町に送り出しますが、その際に「侍っぽさ」を重視したルフィに、所持していた名刀を一本持って行かれてしまいます。

 その刀とはなんと“二代鬼徹”。
 ゾロが所持している業物・“三代鬼徹”と同じく鬼徹一派が作り上げた刀であり、“大業物21工”に位列する“妖刀”でありました。

 ・・・ワノ国に伝わる名刀と言えば、これまたゾロが所持する大業物“秋水”があったけれど、やっぱり鬼徹一派の刀もワノ国発祥のものだったのね。

 しかも二代鬼徹を打った刀鍛冶は、飛徹の先祖である古徹
 この感じだと、初代鬼徹を打った人物が鬼徹で、虎徹はその子供か何かなのかな。で、子孫の飛徹にまで、刀鍛冶の血と職は受け継がれてると。

 どうせなら他でもない飛徹さんが、ゾロが持つ三代鬼徹を打った張本人だったりすれば面白いんですが、飛徹は妖刀を怖がってるみたいなんでその線は薄いか?

 しかしこの飛徹さん、鍛冶屋としての腕前の方はどうなんだろう。
 飛徹本人の腕を勝手に決めつけるのもアレですけど、こと鬼徹一派の剣に関しては、“初代”が最上大業物、“二代”が大業物、“三代”が業物と、その位列自体は時代と共に下り坂になってるんですよね。 
 いやまあ、三代連続で名刀を世に残してるのは凄いっちゃ凄いんだけど。

 と言っても、分からんでもないけどね。
 鬼徹一派が生み出した刀は、そのことごとくが妖刀。
 名だたる使い手達を悲運の死に導き、今や鬼徹を使う者は一人もいないとまで言われるほど。そんなん使い手だけでなく、鬼徹一派の方だって並の精神力じゃ、刀を打てなくなって当たり前。時代と共にその技術が先細りしていったとしても、おかしな話じゃないだろう。

 まあ「鬼徹の使い手は1人もいない」ってのは、あくまで東の海のしがない武器屋の言なんで、別に信用できるもんでもないけど。
 五老星の和服ハゲが、初代鬼徹の使い手なんじゃ?って説もあるしね。


 んで、お玉がこの編笠村でエースを待っていた様に、飛徹もまた「長く人を待っている」らしい。

 「鬼徹一派の人物」が、「長く人を待っている」。

 ・・・と来れば、その待ち人が誰なのかと言えばやっぱりゾロなんじゃないかなぁ。

 正確には、ゾロ個人を待っているワケではなく鬼徹一派の妖刀の呪いを解いてくれる人物
 もっと言うなら、妖刀の呪いに打ち勝てる剣豪ですね。

 鬼徹一派の生み出す刀は優れてはいたが、そのことごとくが“妖刀”だった。
 打ち方によるものなのか、その血筋に降りかかった呪いなのかは分からんが、もしその呪いが現代に至る飛徹の代にまで受け継がれていたなら、そんな迷惑な話はない。

 飛徹はこの妖刀・二代鬼徹を「持ちたくはない」「呪われてしまうぞ!!」とかなり恐れている様子だったが、同時に「軽々しく触るも非礼」と先祖“古徹”への敬意も強く持っている様だった。
 そんな飛徹は、先祖より受け継がれた妖刀の呪いに関し、自分の代にてケリをつけたいと思っているんじゃないか。

 また飛徹は「ワケあって町へは行けぬ」らしい。
 これは最初、この天狗の様な風貌のせいなのかと思ったが、実際にはこの「鬼徹一派の末裔である」という事実のせいなんじゃないか。

 呪われた一族の血を引く飛徹は、ワノ国においても忌避される存在となった。あるいは、鬼徹一派の刀が何らかの事件を引き起こし、それが一族の責任とされた。
 そんな過去があって、飛徹は人目のつく町へと降りる事ができなくなった。そんな彼が唯一隠れ住む事ができた村こそが、この編笠村だったんじゃないか。

 
 ともかく飛徹は、この編笠村の跡地にて、この二代鬼徹を扱える剣豪を待っている。その人物が現れた時にこそ、一族に付きまとう妖刀の呪いが祓われる事を信じて。

 そして二代鬼徹の存在は、鬼徹の使い手であるゾロにとっても願ったり叶ったり。
 意外とアッサリと逝ってしまった雪走とは異なり、ワノ国での激戦にて、三代鬼徹は大往生を遂げる。
 そして飛徹から借り受けた“二代鬼徹”を、ゾロは使いこなす。三代よりも上級の刀ゆえ、その妖気に苦戦するかもしれないが、とにかくこの刀によって強敵を討つ。

 その事が、鬼徹一派の妖刀の呪いを打ち破る事に繋がる。飛徹はゾロに感謝し、正式に二代鬼徹をゾロへと受け渡す。
 鬼徹一派はハッピー。強力な刀を手に入れたゾロもハッピー。
 これが個人的、ワノ国編におけるゾロと鬼徹一派の展望でございます。 
 

 ・・・と、妄想を書いた上でアレだが、飛徹の持つもう一本の名刀の方は何物なんでしょうね。
 妖刀の所持を拒む飛徹が持つ以上、これは妖刀ではないハズ。
 一応は乱刃という共通点もあるが、柄や鍔の部分の装飾に関しては、鬼徹一派の刀とは似ても似つかない見た目をしている。

 というかこの鍔の部分、見た感じ羽団扇っぽいですよね。
 天狗の持ち物としてはよく描かれる羽団扇なんで、飛徹さんとの関係もそれなりに深そう?
 これや秋水がワノ国で打たれたものという前提だけど、もしかしたらワノ国編では鬼徹一派以外の刀鍛冶が登場する事もあるのかもしれないですね。


 それともう1つ、今回久々に“業物”という用語が登場したため、その解説文が書かれたのですが、それによればワンピース世界における「刀」には剣や槍等も含まれるらしい。

 へー、これは何気に新事実。
 これは要するに、刃を取り付けた武器全般において、「業物」としての可能性が存在すると見て良いのかな。

 これにより、キャベンディッシュの「デュランダル」の様な西洋剣は勿論、白ひげの薙刀やハンニャバルの「血吸」等に関しても、業物としての位列が存在する可能性が生まれたワケですね。夢が広がる。


 ・・・しかしそんな中にあって、あえて「位列なし」という設定を受け、名言もされているローの「鬼哭」の存在は中々に異質だな。
 まあ能力の仕様上、刀剣自体の切れ味はそこまで重要じゃないんだろうが。アレだけ長い刀身を持った特殊な刀が、何の事もない無名の剣って事もあるまいに。

 そういえば、鬼哭もまた“妖刀”だった。鬼徹と同じ「鬼」の字を名に持つ妖刀。何か関係性があるんだろうか。



編笠村とワノ国の実態

 九里の地の惨状を見た時は、将軍にとって大名おでんが「ワノ国の開国」を掲げた反逆者であったため、見せしめとして滅ぼされたものだと思っていた。

 ・・・のだが、どうやらそんな事はなく、もはや将軍オロチの住まう「花の都」を除くワノ国全域が、カイドウの手によって九里と変わらぬ無法の荒野と化してしまったらしい。

 ええー・・・。
 将軍って、そんなガチで国を滅ぼそうとする様なヤツを手を組んでるの?

 どうも将軍オロチ、私腹のために国を危機に陥れる、純度100%の悪党キャラっぽいですね。
 ここまでヒドい印象を植え付けて、実はある程度の正義を持つキャラだったら逆に凄い。

 しかもワノ国の生活が貧窮していたのはここ最近の事でもなく、編笠村では約4年前の時点で、既に餓死者が多発する事態となっていたらしい。
 百獣海賊団の攻撃は、あくまで物理的な破壊を用いたトドメに過ぎなかったのね。

 村のトドメとなったのは1年以上前のX・ドレークの襲来で、新たに“真打ち”として加入したドレークが、村の用心棒である侍5人を破った事であるらしい。

 シープスヘッド、ホーキンスに続き、ドレークも真打ちの座についていたのか。いよいよシープスヘッドの場違い感がすごいな。もしかしたら、ドレークはもう出世してるかもしれないけど。

 ていうかドレークさん、元海軍というのもあって、何か明確な意思を持って政府から離反した様な印象があったのだが、ここまで徹底的な破壊に関与しているとは。もう言い逃れの聞かない悪党じゃないか・・・。

 しかし1年以上前と言えば、ドレークもまだまだルーキーの類。
 古代種の力を持つ猛者とはいえ、5人もの人数が纏めて敗れてしまう辺り、ワノ国の侍の実力は実際にはそこまで秀でたものでもない様な気がする。

 いや、錦えもんの実力を見るに強い事は強いんだろうけれど、噂として流れていた「侍が強すぎて世界政府も手出しが出来ない」というのは流石に誇張された表現である様に思う。強力な侍は、花の都に集められてしまっているのかもしれないけど。

 少なくとも、世界政府がやる気になれば、大将や中将数名を向かわせ、ある程度の侵攻は可能なハズ。それをやらないのはリスクに対してメリットが少ないだけであって、手出し不能というのはあくまでも噂に過ぎないという事なんだろう。
 にしても、調査ぐらいには向かわせても良いような気もするが。
 

 しかしワノ国、狛犬や狒々の様な幻獣に加えて、ワニザメとかいうガイモンさんの島にいそうな珍獣まで現れおった。
 こりゃ、ワノ国への参戦が濃厚となっているビッグ・マムが訪れた際には狂喜乱舞ですな。珍獣コレクターの血が騒いで、根こそぎ連れ帰ってしまうかもしれん。


 荒野の向こうで煙を噴出させる「工場」のある地帯には、「採掘場」と「武器工場」が存在するんだとか。
 採掘場と武器工場・・・と言われれば、やっぱり浮かぶのはドレスローザ編にて登場した「酒鉄鉱」
 ドフラミンゴが密輸していた武器に含まれていた、産出国の限定される鉱物ですね。ドフラミンゴが“ジョーカー”として各地へ流していた武器達は、このワノ国にて作られていた可能性が高い
 カイドウは産出した武器をドレスローザに流し、ドフラミンゴは“SMILE”を百獣海賊団に流す。そこに金の動きも加わるんだろうが、概ねこんな取引だったのかな。



エースの死と約束

 冒頭1ページ目にして、お玉に「エースは死んだ」と直球ストレートな伝え方をするルフィ。

 まあお玉の気持ちを考えると「もうちょいオブラートに包んでやれよ」とも思うんですけど、これはルフィも通り、乗り越えて来た道だからこそなのかな、と。

 頂上戦争の舞台において、目の前でエースを失ったルフィは、本来ならば立ち直れない程の“傷”を負っていたからね。ジンベエの言葉と、仲間の存在がなければ、今頃ルフィは再起不能となっていてもおかしくないワケで。

 ルフィは2年の時を経て、エースの死を受け入れ、その意思を受け継いだ。
 だからこそ、ある種非情とも言えるほどの直球で、事実を事実として伝える事ができるんだろう。


 今回のエピソードでは、約4年前、エースがワノ国を訪れた際のエピソードが描かれた。てっきり、光月家とも縁深い白ひげの計らいで上陸したものだと思っていたが、「もっとでかい海賊団になってまた来る」との言葉を見るに、どうもこの時の彼らはまだスペード海賊団だったみたい。
 リトルオーズに笠を編んでやっていたエースだけれど、別にそのためにワノ国を訪れたワケではなかったのね。

 エースの周囲を見ると、ミハールさんやダッキー・ブリー、アギー68と見られる面々が。この辺のスペード海賊団の仲間達は、小説版「novel A」にて登場したキャラですね。



 ルフィはメシの恩を返すためにも、毒水に倒れたお玉を医者に連れて行こうとするのだが、なんとその時自分の麦わら帽子をお玉に被せている

 ルフィが宝物である麦わら帽子を他人に預ける事は相当に珍しい。
 勝手に被った人物としては、女ヶ島のスイトピーやオールサンデー時代のロビン等もいるが、仲間以外の人物に自ら被せたのは初めてじゃないか。

 これは別に「メシを奢ってくれたお玉を、仲間同然に信頼した」とかそういう事ではなく、おそらくエースの死を受け入れられないお玉を、当時の自分と重ね合わせたんじゃないかな。
 
 さらにお玉は4年前、エースに懐き船に乗せてくれる様に頼むが、「海賊は強くなきゃムリ」として、その時の乗船を断られている。

 この2人の関係性はまさに12年前のシャンクスとルフィそのもの
 2つのエースに纏わるエピソードを見ると、お玉の存在はまだ弱かった2年前以前のルフィの姿の生き写しの様に思えてならない。

 そういうところを汲み取ったからこそ、ルフィも本能的に「こいつなら大丈夫」と感じ、帽子を預ける事に抵抗を示さなかったんじゃないかと思う。

 逆に言えば、このワノ国編における彼女のエピソードは、当時のルフィの様に「エースの死を乗り越える」ためのものになるんじゃないだろうか。


 また、微妙に引っかかるのがお玉の年齢
 ルフィがワノ国を訪れた日、飛徹はお玉に「8つの祝いの米」を買いに行かせていたので、この日は普通に考えると、お玉にとって「8歳になった誕生日」もしくは「あと数日で8歳になる日」だと思う。
 エースがワノ国を訪れたのは「もうすぐ4年前」らしいので、3年半~4年前程度だと思う。

 「8歳ちょうどの日」の「4年近く前」。その計算だとどう足掻いても、エースが訪れた際にお玉が「5歳」である事はない
 せいぜい4歳~4歳半くらいでないと、計算が合わなくなってしまう。

 ・・・のだけれど、正味これは別にそこまで重要じゃないかなー。生まれた年を「0歳」とするか「1歳」とするかで数え方は変わってくるし、エースの「まだ5歳だろ」という言葉も、別に4歳半くらいの子に対してそう言ってても不自然ではないし。
 違和感はあるが、まあ誤差の範囲で収まる部分だろう。

 モモの助の年齢詐称疑惑があるので、どうも年齢に関わる部分は気になってしまうのよね。



ゾロとの再会

 めちゃめちゃ久しぶりの再会となりました麦わら一味の黄金コンビ。
 まさかゾロとの再会が一番乗りになるとは。なんとなく、ゾロは最後な気がしていた。

 しかしなんか、再会した瞬間の反応が、ゾロにしてはめちゃめちゃテンションの高い感じになっててちょっと面白い。
 船長不在で寂しかったのか? 単独での逃亡生活、意外と心細かったのか?

 ゾウ~トットランドの期間が大体1週間弱(積み込んだ食料が1週間分であった事からの推測)であった事を考えると、大体2週間ぶりくらいの再会になるのかな?
 トットランド~ワノ国の距離が分からんのですが、少なくともルフィ達のワノ国入りは世界会議の2日目と同日だと思われる。案外、トットランド脱出から世界会議まで、時間が経ってるのかな。


 第909話にて奉行を斬った事で、全国指名手配の身となったゾロ。
 どうも野生の動物達を狩って生活をしていたらしいが、その動物達は汚染された川の水を飲んでおり、人間の身体には毒。

 ・・・にも関わらず、「腹が痛ェ」程度で済んでるゾロは流石としか言い様がない。
 流石、毒でもカミソリでも消化する男。カミソリに次いで、今度は毒も食らってやったぜ。

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(ONE PIECE66巻 第653話より引用)

 そしてルフィを追ってきたホーキンス達と対峙するルフィとゾロ。
 やっぱ、この2人の共闘シーンはアガる。
 「騒ぎは起こすな」→「わかった」→「騒ぎを起こして謝ろう」という発想の無茶苦茶さがたまらん。残念だったな錦えもん、彼らに大人しくしてろと無茶を言ったキミが悪いで。

 ホーキンスと対峙し並び立つ構図に加え、普段ならあり得ないルフィが刀を持っている状況がまた良い。しかも、2人が腰に差す刀は両方とも鬼徹。なんというドキドキ感。これだけで飯が3杯は食えるわ。

 しかし妖刀を従えたゾロはともかく、ルフィはこの二代鬼徹を扱えるのか。ていうかキミ、妖刀以前に普通の刀も使えないでしょ。アーロン戦の如く逆ギレを始めるんだろうか。それとも、早い内にゾロが刀の正体に気づく?


 またホーキンスの側ですが、よく分からんツノ付きの動物に乗ってます。
 たぶん、幻獣の一種である麒麟かな? あんまコレ系詳しくないんで、明言出来ないんですけど。

 ホーキンスの左隣には、シャボンディの時にもいた弁髪パスタ男がいらっしゃいます。一味のメンバーは、そのまま百獣海賊団に編成されたみたいね。

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(ONE PIECE51巻 第498話より引用)

 このタイミングで決着がつくまでやり合うとは思えないけれど、望んでいた「最悪の世代同士の戦い」が見れそうでワクワクが止まんないぜ。
 しかしホーキンスさん、「お前達がやった確率」て。いよいよもって占いというよりデータマンみたいになってきたな。

 未だ謎だらけなホーキンスの能力も、次回には概要が明かされるのかな・・・というところで、次号は休載。焦らすねぇ。
 まあ良いです。こちとらホーキンスの初登場から、約10年間待ってますから。
 今更2週間がなんだってんですか。誤差ですよ誤差。