週刊少年ジャンプ2018年38号分の感想です。今週はちょっと立て込んでるので、簡潔気味に。
 ネタバレを含むので、自分で買ってから読んでください。 


★もくじ
扉絵連載
おこぼれ町と侍・お菊 
光月家とワノ国
ギフターズと真打ち
VIVRE CARD 続報



扉絵連載

 今回の扉絵連載は、「押し掛け麦わら大船団物語」番外編という事で。どうやら、オオロンブス編は前回で完結だったらしい。
 結局、海賊としての狼煙は上げられないままだったオオロンブス。若干の消化不良感は残るけど、まあ今後の活躍に期待するとしよう。

 番外編の方は「染物の町」を舞台としたお話だそうで。次回以降も続いていくのか、1話だけ描かれて展開を仄めかす形になるのかは分からないけども。
 
 名の通り大量にはためいている染物や、風車の取り付けられた建物が印象的な町。そしてその町を訪れた、一人の男。

 小さな後ろ姿のみしか描かれていないけれど、麦わら大船団にまつわる人物、かつ髪色から察するにこれはハイエナのベラミー
 傘下には加わらなかったけども、彼もルフィのビブルカードは貰ったものね。大船団の面々と同じ様に、今後活躍の機会が訪れる事は間違いなさそう。

 同じ様な条件だと、サボもこれに当てはまるのだけれど、彼は今マリージョアの地で作戦の真っ最中だからなぁ。時系列を少し遡ったお話である可能性も高いけど、にしたってドレスローザ~世界会議の間に、別の町を訪れている余裕もないだろう。黒ひげの襲来もあったんだし。

 この2年の間に仲間を失ったベラミーだが、彼は今後も海賊を続けるんだろうか。
 憧れたドフラミンゴの裏切りを受け、もはや行く当てもないからな……。ドフラミンゴのマークを捨て去り、自分の海賊旗を作るために、この町を訪れたんだろうか。
 だとすれば、ルフィ達のピンチの際には、新たな仲間と共に窮地に駆けつけてくれるのかもしれない。

 また、大量の旗の中には気になる模様のものも存在する。
 どこかの国の国旗に見える様なものや、「染」の文字のみが書かれたシンプルなもの。元ドラム王国こと、サクラ王国を思い起こさせる桜をあしらった模様など、今後の物語に関係してきそうなものもチラホラ。

 ド真ん中にゃ、鯉のぼりまであるしな……これ、ワノ国の文化って印象が強いんだよなぁ。入国の際にゃ、言葉通り「鯉の滝登り」まで見せられたしな。
 おそらくは誰かからの依頼によって仕立てた染物……だと思うのだけれど、海外でも用いられてる文化なのかな。まあ、ルフィ達の「忍者」への憧れを見るに、ワノ国の文化ってかなり間違った形で海外に流出してそうなイメージもあるけど。

 そして、扉絵右端の風車に隠れる様な配置で、見覚えのあるジョリーロジャーが。
 全体が見える構図では描かれていないけれど、しゃれこうべの背面に描かれたサーベルに、左目部分に描かれた傷跡。
 どう見ても赤髪海賊団の海賊旗だ


 町や島に海賊旗が立てられている、というと、この町が赤髪海賊団のナワバリである……という風にも考えられるが、それにしてはこのマークの配置は主張が弱すぎる。
 他の染物達の中に埋没する形ではためいているだけ。これでは、威嚇としては機能せず、意味がない。

 たぶん、これは赤髪海賊団のナワバリである事を示す旗なのではなく、この染物の町に依頼されて仕立てている最中の旗なんじゃないかな。
 海賊が染物屋に旗の製造なんか依頼するのか?とも思うが、直近でまさにこの旗をダメにしやがったニワトリ野郎がいた。

 押し掛け麦わら大船団物語のvol.10にて、シャンクスの旗を焼き払ってしまったバルトロメオ。彼が無事に済んだのかは現状不明……だが、少なくとも失われた旗は新たに掲げ直す必要がある。
 この旗は、バルトロメオに焼かれた旗を再度掲げるため、赤髪海賊団もしくはナワバリの住民達の依頼によって作られてるものなんじゃないかな、と思う。



おこぼれ町と侍・お菊

 お鶴の茶屋がある町の名前はおこぼれ町。将軍オロチによって国内の食が牛耳られる中、役人の不要物や悪くなった食べ物を買い取って暮らしている事から、この名がつけられたらしい。
 前回登場した都のすもう取り・浦島は、おこぼれの食料で作ったものなど食いたくないと言っていたが、なるほど腐りかけの食料なのね。

 そこに茶屋を開くお鶴もまた、苛烈ながらも情に厚いお人の様で。お玉を邪含草の薬によって救ってやっただけでなく、高級品らしきおしるこをご馳走してやってました。
 主人の回復に涙を流す狛ちよがちょっと可愛い。能力で手なずけただけの関係性だろうに、あのきびだんご、従えるだけじゃなく感情まで動かせるのか? 恐ろしい能力だ。そらギフターズも欲しがるわ。

 しかし邪含草、恐ろしいまでの即効性だ。副作用とか、ないのかな。
 お菊曰く「驚くべき特効薬」らしいけれど、たまたまこの草が川の汚染毒に有用な効能を持っていたのかな。それとも、即効性のある対策を作らないといけない程、毒の被害が甚大だったんだろうか。

 お鶴さんはその言葉遣いから、ゾロ達が異国人である事を見破っていた。
 時代がかった口調は、ワノ国じゃ基本なのね。何気にワンピースで、国や島による言葉の違いって珍しい気がする。空島くらい? 流石は鎖国国家だ。
 しかし言葉で見破られてしまうとなると、都に潜入しているウソップ達の身も心配だなぁ。お鶴さんが、特別察しの良い人物なのかもしれないけど。


 そしてお菊さん。
 前回の初登場時は、更なる巨体を誇る浦島と横並びのコマしかなかった為に目立たなかったが、ゾロ達と並ぶと物凄い高身長女子。目算3メートルくらいはありそう。

 ……っつー事は、あの浦島という力士、6メートルくらいはあるな……座った状態であの体格差だったものな……体格だけなら、ジンベエの301㎝を遥かに超えるのか……。


 加えて彼女、自身を「拙者」と呼び、剣術を扱う侍らしい。
 セルフオマージュと思しき元ネタの菊姫とは、ずいぶんと設定を変えてきたなぁ。
 
 男尊女卑の文化が根強そうなワノ国において、女が刀を持ち侍を名乗る事って、許されるんだろうか。
 しかもあの体格……。この子、美女と見せかけて実は男だったり?
 というかオカマ? ニューカマー?

 しかしまあ、身長だけで性別を決めつけるのも早計というもの。実際、ビッグ・マムやスムージー姐さんなんかは、女の身でありながらそれぞれ8メートルと4メートル超えという驚異のサイズ感を叩き出しているワケだから。まあ、彼女らはちょっと特殊事例すぎるけど。

 そして彼女、どうもお鶴の茶屋に訪れてまだ一か月しか経っていない様で、その経歴は微妙に謎。カイドウ一派の戦力を把握している辺り、錦えもんらがかき集めた「同士」の一人って感じがするのだけれど。

 ……ただ、ワノ国における男尊女卑の文化は別にオロチが敷いたものではなく、他ならぬ錦えもん自身も女性差別派なのよね。今は非常時ゆえ、戦力となれば女だろうが関係ないとは思うが、ワノ国において女が剣術を学び、侍となる事が許されるのか……というのが微妙に分からない。
 おでんの処刑から数か月。たったそれだけの期間で会得した急ごしらえの剣術じゃ、戦力になるとは思えないし。
 いや、「実は男」説を採用すれば、一気に解決はするんだけれども。

 「SMILE」に対する呼び方からして外国人って事はなさそうだけど、もしかしたらひと月前までは海外に亡命していたという事はあり得るかも。それなら、女でありながら刀を所持できているのも頷けるし。

 光月家に恩義のあった彼女は、海へ出て剣術を学び、ワノ国をカイドウとオロチの支配から解き放つため戦う事を決意した。しかし修練は間に合わず、彼女が満足に戦う力を得る前に、おでんはカイドウによって処刑されてしまう。
 で、今は錦えもんらの作戦始動に先駆けて、ワノ国へと帰還・潜伏。おでんの意思を引き継ぎ、戦おうとしている、とか。

 まあ実の性別がどっちなのかは知りませんが、この外見にそぐわない女傑の雰囲気は中々に良いキャラクターをしてるので、活躍して欲しいですね。
 最近、女性キャラクターのガッツリした戦闘は描かれにくい傾向にあるからなぁ。



光月家とワノ国

 今までは“九里”というワノ国のいち地方の大名という紹介が成されていた光月家だが、どうやら20数年前まではワノ国を治める氏族だったらしい。

 これはまた驚き。てっきり鎖国国家にありながら、開国を主張し続ける異端児だったのかと……。
 ここ52年の情報に明るくないブルックが知っていた事から、ワノ国は光月家が統治する時代から、外国の者を寄せ付けない国家だったはず。つまり当主である光月おでんが開国をすべきと考え始めたのは、オロチに国を乗っ取られて以降のお話である可能性が高いのね。

 また20数年前と言えば、病を得たロジャーが最期の航海に乗り出した時期とも被る。
 おでんがロジャー海賊団と航海を共にした事と、オロチにワノ国の実権を奪われた事。両者には、何か関係性があるんだろうか。


 順序としては、「ロジャーと共に海へ出たからオロチに乗っ取られた」ものと、「オロチに乗っ取られたからロジャーと海へ出た」というパターンが考えられる。

 前者ならば、鎖国体制の敷かれたワノ国において、その統治者でありながら禁を破った事を糾弾された、もしくは当主を欠いたうちに、オロチの侵略を受け乗っ取られてしまった、という流れが想像しやすい。

 一見あまりにも愚か……というか、当主としてどうなんだ、と思わなくもないが、未だ詳しく分かっていないおでんの人物像によっては、この行動にも(物語上の)正当性が生まれる。
 光月おでんが夢を追う人物であった場合だ。


 おでんと共に航海をしたロジャーは、かつて「止める事のできないもの」として、「人の夢」という言葉を挙げている。「受け継がれる意志」「時代のうねり」と並ぶ、作品テーマのひとつだ。第225話ではティーチの口からも発され、サブタイトルにもなった。

 おでんのものと思われる数少ないセリフが、第819話におけるモモの助の心中で回想されている。

 「見渡せやせぬ……!! それが“世界”だ!! モモの助!!」
 かつてモモの助に語ったと思われる、この言葉。これを見るに、おでんという人物は元々ワノ国の外の世界に、強い興味を抱いた人物だったんじゃないか。

 彼は家臣からの信頼の厚い当主であり、かつ民の事を想う統治者だった。少なくとも九里の大名に落とされてからは、九里の民のために“桃源農園”なる農園を作ったりもしている。

 しかし同時に、彼は自身の夢を捨てきれなかった。
 そんな時に、何らかの事情で発生したロジャーとの出会いが、彼の燻っていた魂に火をつけてしまったんじゃないだろうか。


 元々、光月家といえばあの「歴史の本文」を彫る技術を持った一族。その技術はおでんにも継承されており、彼は古代文字を読み解く事が可能だった。
 しかし錦えもんら家臣によれば、後世に伝えられたのは文字の読み書きのみで、その内容までは伝えられていなかったという。

 つまりおでんはロビン同様、歴史の本文の「石」さえ見る事ができれば、空白の100年の間に起きた全てを知る事ができる立場にあった。ひいては800年前、光月家の祖先が何を思って、語られぬ歴史を石に刻んだのかも。

 その様な状況にあった彼が、世界の全てを知りたがる心を持ったとしても、不思議はないと思う。第818話のネコマムシによれば、おでんは歴史の本文に興味を持っていたらしい。世界中に散らばる石に刻まれた歴史を解き明かすのは、おでんにとっての“夢”だったのかもしれない。

 本来ならば民にとって良くない事だと分かりながらも、彼は夢に抗う事は出来なかった。おでんは国を一旦家臣達に預け、ロジャーと共に世界を見渡す旅に出た。しかしその数年の間に、ワノ国は黒炭オロチの手に落ちてしまった。
 あるいは国への期間後に、鎖国の掟を破った事を咎められ、その地位を追われた。
 ワノ国の統治者の移り変わりには、そんな背景があったんじゃないかと推察する。

 傍目には夢のため、国を捨てたとも取れる愚かな行い。そんなおでんを、カイドウは「バカ殿」と称した。
 しかしそんな人物だからこそ、彼が処刑された今もなお、彼の無念を晴らそうとする家臣達が集まった。そうも思えるのだ。


 また後者、「オロチに国を乗っ取られた事を機に、海へ出た」ものである場合、それは危機に陥った身を隠すため、もしくはオロチを退ける手段を外海に求めての行動という事になる。
 しかし現実に、それから20年以上が経ってなお、ワノ国はオロチの手に落ちたまま。という事は、おでんの航海はオロチを退ける事に関しては、これと言ってプラスをもたらしていない様に思える。

 また、仮にオロチに命を狙われていたのであれば、光月家は九里大名への「格下げ」では済まない様な気もする。まあ、おそらく民から大きな支持を得ていたであろう先代統治者を、慈悲もなく国から追い出す事による反発を恐れたのかもしれないが。

 掟を破った事に対する「降格処分」は、ルールに則った正当なもの。それによって光月家の力を削いでいき、最後には秘密裏に暗殺を行い、光月家を完全に亡き者とする。
 そんなオロチの企みを悟ったからこそ、おでんは海へ出る事で、一時的にその身を隠す事を選んだ……。

 うーん、しかし身を隠したからって、その後どうすんだって話ではあるな……家臣達も危険に晒されるだろうし。
 正直こちらのパターンに関しては、あまり良いシナリオが浮かばないな……。



 しかし光月家が、ワノ国の元統治者か……。
 「歴史の本文を刻んだ一族」が、外国人を寄せ付けない「鎖国国家の長」……。これは偶然とは思えないなぁ。
 ワノ国が鎖国の体勢を敷いたのも、元は古代文字を扱う技術や知識、更には光月家が文字を刻んだ張本人である事を、外国に流出させない事が目的だったんじゃないか。

 何にせよ、彼らが国の頂点に立っていたという事は、ワノ国には「ある巨大な王国」「Dの一族」の様な世界観の根幹に関する重要な情報が眠っていそうな雰囲気がある。
 ONE PIECEの物語が、およそ80%にまで進捗しているというのも、あながち間違いではないのかもしれない。



ギフターズと真打ち

 お菊の情報によれば、“博羅町”なる役人街には3人の“真打ち”と30人の“SMILE”能力者がいるらしい。
 真打ち、結構たくさんいるのな。ドレークとシープスヘッドを加えて、現時点で5人か。


 今回登場した“ギフターズ”は2名。コウモリの能力を持つバットマンと、ガゼルの能力を持つガゼルマン。うん、そのまんまだ。決して、ゴッサム・シティのダークヒーローではない。

 農園で盗みを働く“盗っ人”を探しているという彼らだが、お玉の能力を欲した様で、彼女を連れさってしまった。
 ゾロには「計画的な誘拐」と評されているが……盗っ人の件はフェイクか? それとも、本来の任務である盗っ人探しに加え、「お玉を見つけ次第連れ去る事」も指令に入ってたんだろうか。


 っつーかガゼルマンさんよ、その恰好はなんやねん
 なぜに網タイツ。変態かニューカマーにしか見えんぞ。そして胸に描かれた「GZ」を合体させた文字。たぶん「ガゼル」から来てるんだろう。すげえファッションセンスだ

 ……と、見た目にはネタ色のハンパない2人だが、実際のところ能力に関しては結構厄介なんじゃないかと思う。
 バットマンの持つ人間の6倍の聴力と、多量の弓を同時に放てる連射技術は暗殺・奇襲にうってつけだし、ガゼルマンの時速200㎞の速力も、事実ならば相当なものだ。

 100メートルを4秒台で走るというキャプテン・クロでさえ、時速換算すればせいぜい70~80km。彼の“杓死”はCP9の“剃”と同等の速度を誇るそうなので、ガゼルマンは単純計算で2年前のルッチ達の倍以上の速力を持つという事になる。
 純粋な戦闘力ならともかく、この様な特化型の性能を持つSMILE能力者は、組織の一員としてかなり優秀な様に思える。


 また博羅町には、ホーキンスの他に2人の“真打ち”がいるらしい。
 一人はホールデムなる人物で、ガゼルマン達に命じてお玉を攫わせた人物っぽい。

 シルエットでは獅子の顔が映っているが、SMILE能力者は「自身の腕を動物の頭部に変形させる」様な能力を使えたりもするので、ホールデム本来の顔は分からず。
 元から能力者だったホーキンスやドレークはともかく、シープスヘッドはSMILE能力者だったっぽいからなぁ。ホールデムも、多分ライオンのSMILE能力者なんだろう。 

 もう一人はスピードという人物。
 こちらに関しては全くもって詳細不明だが、ひとつ言う事があるならば白ひげ海賊団14番隊隊長と名前が被っている。

 まあスピード・ジル隊長とは無関係だと思うが……万が一、ジルがカイドウの部下に鞍替えしてたら、軽くヘコむな……白ひげ海賊団は、海賊達の中でもトップクラスに「絆」みたいなものを感じる一団だからなぁ。

 マルコやエースの事を考えると十中八九ワノ国に絡んできそうな白ひげ海賊団だが、まあスピードさんとやらとは関係ないだろう。たぶん。



VIVRE CARD続報

 新型ファンブック「VIVRE CARD」続報。
 前回ラインナップから名前が欠けていた2年後ゾロだけれど、今回はきちんと載ってました。誤植だったのかな。

 また今回は、カードのラインナップにはキャラクターだけでなく、必殺技を紹介するスキルカード」なるものも封入される事が発覚。正直、キャラ紹介カード以上にうれしいかもしれない。

 まあ能力や流派などによって、複数の技を1枚に纏めたものゆえ、そこまで情報量に期待できる代物ではない。とはいえ、技の効果や仕組みが文章で説明されるのは、やっぱりうれしいもの。ワンピースの技って、結構雰囲気で使われる事が多いからね。

 一例として挙げられているのは、「ゴムゴムの実 vol.1」。技の数が多いルフィの技は、複数のカードに分かれて紹介されるみたいね。
 
 これによって、少なくともこの「VIVRE CARD」が「キャラクター紹介のみで完結するグッズにはならない」事は確定した。
 これは船や土地、武器や道具など、あらゆる方面への発展が可能となったという事でもある。後は、新弾がコンスタントに続いてくれる様、期待するのみだ。