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アニメ版 ONE PIECE
第850話
「必ず戻る ルフィ命がけの出航!」 




【原作の対応話数】
87巻 第878話



もくじ
あらすじ
原作からの変更点
感想
登場した技
声の出演


【あらすじ】
 
ペドロの命を賭した自爆はペロスペローを道連れとし、彼の能力の全てを解除させた。その覚悟に報いるため、この一瞬の隙を活かし船を出そうとするルフィ。だがカタクリは、それを許そうとはしなかった。
 ペドロを失った怒りから、無謀にもカタクリに挑むキャロット。その拳から放つ“エレクトロ”の攻撃は、かつてペドロに鍛え上げられた、彼女に見合った戦い方だった。しかし彼女の拳はカタクリには届かず、容易くあしらわれてしまう。悔しさに涙を流すキャロットだが、そんな彼女をルフィの連撃が救う。ルフィは膨らませた自らの手でカタクリを抑え込み、仲間への手出しを封じるのだった。

 前方から襲い来る、アマンド率いるビッグ・マム海賊団の艦隊。この包囲網から逃れるには、クー・ド・バーストによる緊急脱出を成功させる他にない。しかし脱出の寸前、後方から襲い来るビッグ・マムの衝撃により、必要なコーラ樽が倒れ、エネルギーが不足してしまう。ジンベエに操舵を委ね、再度脱出の準備に取り掛かるナミ。キャンディから解放されたチョッパーとブルックもまた、必死でアマンドの砲撃を払いのける。そんな時、爆炎の中から立ち上がる一つの影があった。ペドロの生還を信じ、喜ぶナミとキャロット。しかし姿を現したのは、道連れとなった筈のペロスペローであった。彼は爆発の瞬間、キャンディで自らの身体を包む事で、片腕を失う重傷を負いながらも生き延びていたのだった。

 コーラの装填は完了。船を発進させる準備は、全て整った。
 一方、カタクリを必死で抑え込むルフィの背後、鏡の中から、兄を助けに来たブリュレが現れる。それに気づいたルフィは、仲間達にこの場を任せ、「必ず戻る」との言葉を残す。クー・ド・バーストによって上空へと脱出を果たすサニー号だが、そこにルフィの姿はなかった。ブリュレの能力を利用し、カタクリを鏡世界の中へと引きずり込んだのだ。
 出口となる鏡を割り、サニー号への退路を断ったルフィは、“10億の男”を倒すべく、カタクリと対峙するのだった。



【原作からの追加点・変更点】
※セリフの変更点は細かい差異が多いため、気になった箇所のみ紹介


・キャンディマンから解放されたチョッパーの変身形態が、原作では柔力強化状態のままだったが、アニメではすぐに普段の頭脳強化状態(獣人型)へと戻る様に変更。

・キャロットの回想シーンにて、彼女がシシリアンの全力の指導を受ける様子が加筆。

・上記シーンにて、ペドロのキャロットへの呼称が「そいつ」から「そガラ」へと変更。

・ペドロがキャロットを預かり、自身が特訓相手となり修練を積ませる描写が加筆。
 鉤爪の仕込まれたグローブを渡し、彼女の空中での滞空時間の長さとエレクトロを活かした、独自の戦法を学ぶ様アドバイスを送っている。

・キャロットが自分を「強くなれない」と思っていた事、および自分に見合った道を教えてくれたペドロに感謝を述べるセリフが追加。

・ペドロがキャロットに「人には必ず「出番」がある」と伝える際、「ゆガラならやれる」と励ますセリフが追加。

・カタクリに敗北したキャロットが、過去にペドロが自分に送った上記のセリフや彼の自爆の瞬間を回想し、自身の無力さに涙を零すシーンが追加。

・ルフィに掴まれた際の、カタクリの「そうすれば他に手出しできねェ」というセリフが「こうすれば」に変更。
 その後のルフィの、鏡世界へと飛び込む作戦をふまえた発言であるか否かの違いだと思われる。(アニメでは、この時点ではブリュレの存在に気づいていなかった)

・ナミがサニー号のクー・ド・バーストを使用する際の描写が加筆。ナミが装置の作動手順を言葉にしたり、仕組みを知らないジンベエに対しチョッパーが解説を入れるセリフなどが追加。

・サニー号への砲撃指示を出す際、アマンドの「ペロス兄の仇」と発いうセリフが追加。
 また実際の砲撃時には、「ママと兄さん(カタクリ)には注意しろ」という指示を出している。

・クー・ド・バーストの使用のため、ブルックとチョッパー、ジンベエがシャークサブマージ号をサニーに引き寄せるシーンが追加。

・ビッグ・マムにサニー号を抑えられた際の衝撃で、装填したコーラ樽1本分の中身が溢れてしまうシーンが追加。
 それに伴い、コーラを装填し直すまでの時間、チョッパーとブルックが砲撃を食い止めるシーンが追加。

・原作ではジンベエが自ら舵を取ったが、アニメではナミがコーラの装填に向かうため、ジンベエにクー・ド・バーストの作動を交代する様に変更。
 その際、フランキーの声を録音した音貝トーンダイアルにより、クー・ド・バーストの使用方法を伝えている。

・原作では鏡の外からルフィに捕まる形で現れたブリュレだが、アニメではカタクリの助太刀として自ら現れる様に変更。
 またその際、ブリュレが現れる未来を読み、カタクリが「来るな」と言うセリフが追加。

・クー・ド・バーストを使用する際の掛け声が、アニメでは録音されたフランキーからの指示となっている。

・アマンドがサニー号の飛翔を報告する際、原作では「アマンダ」となっていた表記が修正。

・鏡世界にて対峙したルフィとカタクリの会話が追加。



【感想】
>キャロットの修行。

 原作でも数コマだけ描かれた修業時代のキャロットですが、アニメではそれなりに加筆が。
 久々登場のシシリアンさんが、今日も全力で暑苦しい。剣を使った戦い方を仕込む事にこだわってたみたいだけど、なんか理由でもあるんだろうか。まあ三銃士は元より、銃士隊は剣使いの戦士が多いっぽいし、部隊としての方針なのかな。

 残念ながら、剣士としての才能には恵まれなかったキャロット。しかしペドロのもとで修業を積むようになり、自分に合った戦い方を学ぶようになったと。
 何気に、戦闘時に嵌めているグローブが明確に「武器」として描かれるのは珍しいかも。原作でも普段は素手で描かれてるんだけど、戦闘時になると突然現れていつの間にか装着してる事が多いからね、このグローブ。刀剣類との鍔迫り合いを起こしても斬れたりしないのも、拳自体を武器で覆っているおかげなんだろう。

 イマイチ構造のよく分からない武器なのだけれど、あの爪を利用した攻撃を中心とした武器なのかな。自前じゃないよね?あの長い爪は。某本気モードの時は、素手のまま爪が現れたりもしてるけど。
 エレクトロを活かした戦闘方法という事で、電撃を流れやすくする伝導装置としての働きもするんだろう。たぶん。

 またペドロ曰く、キャロットは「空中での滞空時間が長い」との事。その能力とエレクトロを組み合わせた戦闘方法こそが、キャロット独自の戦法を生み出す事になったらしい。
 キャロットが身のこなしに長けているのは分かりやすいが、それ以上に彼女は謎の空中制動を得意としている印象がある。
 ルフィ達がゾウへと到着した際には、空中で更に一度、宙へと舞い上がる事で、ゾロの斬撃を回避したりもしていた。あれはミンク族特有の動きなのかとも思っていたが、ペドロの言を聞く分にはキャロットのみが得意とする動きだったんだろう。

 正確には、「ほかのミンクにも不可能ではないが、特にキャロットはそれに長けている」という感じかな。原作850話におけるペドロとタマゴ男爵の戦闘では、ペドロが自分の尻尾をプロペラの様に回す事で、微弱ながら似た様な動きをとっている。種族特有の敏捷性の高さに外的な要因をプラスする事で、この様な空中制動を再現する事は不可能ではないんだろう。
 ウサギのミンク特有の能力なのか、彼女当人の才能なのか、キャロットならば独自の力のみで、それをフルに使えるというお話で。

 ペドロの教えと訓練を経て、戦士として大きく力を増したキャロット。しかし流石に相手が悪く、カタクリ相手には一撃を加える事すら叶いはしなかった。要所要所で麦わらの一味を助けてくれた彼女だが、彼女に待つ「出番」が訪れるのは、もう少し先のお話になるのかな?
 


>ルフィ「わかってても止められねェだろ!」

 “象銃”の攻撃から、カタクリを拳で掴み取り動きを封じたルフィ。原作において、おそらくこの時点でルフィはブリュレの存在に気づいており、彼女を利用する事も算段にあったんじゃないかと思う。
 そして同時に、カタクリもまたルフィのその未来を、覇気によって読み取っていたハズだ。

 しかし原作ではいつの間にか鏡の傍にいたブリュレだが、アニメでは明確に、ルフィに存在を気づかれる瞬間が描かれている。「助けに来た」と言ってそのまま利用されるぽんこつ具合だったが……。
 またカタクリも、ブリュレが現れる未来を「こうすれば他に手出しできねェ」と発した後に読み取っており、掴まれた瞬間には、ブリュレが鏡から現れる事を察知していなかったのが分かる。

 とにかく、こういう描かれ方がされた以上、ルフィは「カタクリを捕らえた時点では、その後どうするかまでは考えていなかった」という事になる。あくまでサニー号を脱出させるまでの一時しのぎであり、鏡世界へと引き込んだのは偶々ブリュレを発見したからに他ならない。

 つまりブリュレが現れなかった場合、ルフィはカタクリをサニーに乗せたまま、1km先の海まで飛ぶ予定だったという事だ。
 無鉄砲と言えば無鉄砲だが、まあアマンド率いる艦隊や、最も手に負えない存在であるビッグ・マムを巻く事は出来るのだし、次善の策ではあるか……? 

 サニー号の上でマトモに戦えば被害は甚大、仲間達も無事では済まなそうだが、最悪カタクリを道連れに自分が海へ飛び込むぐらいの事も考えていたのかもしれん。こっちには引き上げてくれる仲間がいる以上、成功すれば勝ち確定だしな。まあ、簡単に成功するとも思えないけど。
 
 

>怒りのアマンド

 クールというか、無感情というか。キングバームへの処遇などから、人間味の薄い印象が強かったアマンドだが、ペロスペローを巻き添えとしたペドロの自爆には大層ご立腹の様子だった。

 咥え煙草を強く噛みしめ、砲撃の際には「ペロス兄の仇」と口にする辺り、何だかんだで兄弟への情愛は強く持っているみたいね。シャーロット家、仲良しの様で何よりです。
 ただ、彼女、原作第885話では「ペロス兄」じゃなく「ペロス兄さん」って呼んでるんだけどね。

 あと、砲撃時の「撃てェ!」という掛け声が素晴らしく格好いい。未来の猫型ロボット的なイメージが拭えなかったアマンドさんの声だけど、こういう力の籠った芝居になると光るなぁ。流石でございました。

 ちなみに、原作ではサニー号脱出時に自分で自分の名前を間違えるという天然っぷりを発揮したシーンも、無事に修正されてました。むしろ何でコミックス化にあたって直されなかったんだとか、言ってはいけない。



>コーラ樽、落下

 前回の時点で設置が完了していたコーラ樽だが、ビッグ・マムが船にしがみついた際の衝撃で、その内1本が倒れてしまった。
 ビッグ・マム、相変わらず怪物やなぁ……。というか、アダム製のサニー号をカジって破壊するって。どんな歯ァしてんのよ。サメの魚人かあんたは。

 元々余りの樽は2本あったので、これで予備のコーラはおそらく1本。海底にて披露した“ちょっとクー・ド・バースト”くらいなら放てるかな……? という微妙なラインの残数になりました。
 どうせなら、アニメオリジナルのシーンで使い切らせてしまっても面白いかもしれない。 



>砲弾への迎撃

 全っ然どうでも良い事なんだけど、ブルック、チョッパーと同時に跳躍したのに特に砲弾を落とす事無く普通に直立してたジンベエさんに笑ってしまった。

 あとチョッパー、飛んできた砲弾を掴んで投げ返すっていう何気に凄い事をしている。けどチョッパー、その跳躍の軌道、そのまま海に落ちるコースやでキミ。



>ペロスペローの生存

 ペドロ、一世一代の大自爆……の空気を読まずに生き残っちゃったペロスペローの兄貴。キャロットもブチギレです。
 
 彼が生き残っていたにも関わらずアメの呪縛が解けたという事は、一瞬とはいえ彼が気を失った、もしくは全ての能力を解いて防御に集中した、というところだろうか。
 しかし不意を突いたとはいえ、7億の男の神経を集中したアーマーさえも全壊させるとは……凄まじい爆発だ。ジャック相手にも、遠くからコレばら撒いとけば勝機はあったんじゃないだろうか。ズニーシャや都市への負担を考えたのかもしれないけど。

 以降もしばらくは前線での出番が続くペロスペローだが、基本的にはサポート役が主で、積極的に戦闘に参加する事は多くなかった。
 チョッパーとブルックを一蹴した彼が本領を発揮すれば更なるピンチになっていた事は明白であり、この強敵に重傷を負わせたペドロの活躍は、やはり価値あるものであったと思う。



>フランキーのナビゲーション

 クー・ド・バーストのやり方を、音貝にこめられたフランキーの音声がナビゲーションしてくれる……という、露骨なエピソードオブ空島の宣伝
 でもコレ、結構グッズ化とか、しやすそうだな。

 冷静に考えると、船の仕組みをほとんど知らないであろうジンベエに、懇切丁寧に操作方法を説明しているヒマがある状況とは思えない。彼が単独でサニー号を操舵できる為の説明役として、良いアイテムだったんじゃないかと。

 気に入ってるのか、例の“ロボっぽい”喋り方で案内をしてくれるんですが、「掛け声忘れんな!」の声だけは急に普段の調子に戻ると言うキャラの定まってない感じが、フランキーらしい。



>ルフィの覚悟

 ブリュレを発見したルフィが取った決断は、鏡世界へとカタクリを引き込み、自分ひとりで決着をつける事だった。

 それに対するカタクリの言葉は、「これが船長の覚悟ってやつか」というもの。
 この時、カタクリは何を思ったんだろうなぁ。同じ船長でも、ビッグ・マムは絶対こんな行動取らんだろうし。

 次回からは遂に、ルフィとカタクリの激戦がスタートする流れかな。
 このバトルは本当に熱い戦いなので、アニメでも気合の入った内容になってくれる事を期待。



【登場した技】 
エレクトリカル
使用者:キャロット
 カタクリに対して使用。
 サニー号を出航させるため、カタクリに対して攻撃を仕掛けるが、反撃に遭い技を出し切ることなく倒されてしまった。
 技自体が不発に終わったため、これが正式名称かどうかは不明。“エレクトリカル・ルナ”という技が存在している事もあり、後に言葉が続く可能性もある。

ゴムゴムの象銃エレファントガン
使用者:ルフィ
 カタクリに対して使用。
 カタクリの餅の能力によって拳を包み込まれ、ダメージこそ与えられなかったが、そのまま彼の身体を掴む事でその動きを制限。そのまま鏡世界ミロワールドへと道連れにし、サニー号の出航を成し遂げさせた。

キャンディアーマー
使用者:ペロスペロー
 ペドロの自爆から身を守る為に使用。
 これによってペロスペローは命こそ取り留めたものの、アーマーは全壊し自身も右腕を失う大ダメージを負っている。

風来クー・ド・バースト
使用者:サニー号
 ビッグ・マムやアマンドの艦隊から逃れるため、ジンベエとナミの協力のもと使用。
 アニメでは船に与えられた衝撃でコーラ樽が倒れるというハプニングに見舞われた他、音貝に録音されたフランキーの声が使用方法をナビゲートするというシーンも追加された。



【声の出演】
ルフィ・・・・・・田中真弓
ナミ・・・・・・・岡村明美
チョッパー・・・・大谷育江
フランキー・・・・矢尾一樹
ブルック・・・・・チョー

ビッグ・マム・・・小山茉美
ジンベエ・・・・・宝亀克寿
ペドロ・・・・・・三木眞一郎
キャロット・・・・伊藤かな恵
カタクリ・・・・・杉田智和
アマンド・・・・・水田わさび
ペロスペロー・・・内田夕夜
ブリュレ・・・・・三田ゆう子
モンドール・・・・伊丸岡篤
シシリアン・・・・花輪英司

クルー・・・・・・荒井聡太 新井良平
兵士・・・・・・・坂井易直 戸松拳也
         竹田海渡 宮園拓夢
ナレーション・・・大場真人