週刊少年ジャンプ2018年42号分の感想です。
 ネタバレを含むので、自分で買ってから読んでください。 


★もくじ
扉絵連載
おこぼれ町と桃源農園
頭山盗賊団と菊の正体・続
鎖国国家の情報事情 
博羅町戦線  



扉絵連載

 染物職人を志したベラミーが、海賊旗の下描き?を描いている回。

 そして彼の描く旗、どことなく麦わらの一味のマークっぽい
 確定的ではないけれど、図に引かれた直線の取り方や、頭部に地味に描きこまれたシワの様な部分はどう見ても…!
 彼が製作する染物の第1号は、麦わらの一味の旗印となるんだろうか。たまたまサニー号は旗が1枚欠けた状態だし、ベストタイミングである。

 また、染物の町には「破れない布」なるものがあるらしい。その特殊な布を用いているからこそ、染物の商売が盛んなんだろう。
 何かと過酷な航海を続ける事になる海賊船にとって、強度に優れた海賊旗というのは確かにありがたい話。
 ……もっとも、WCIにてサニー号の旗が落ちた時は、旗を結びつける木の部分からポッキリ逝っちゃってるんだけど。


 しかしこの「破れない布」、今後また思わぬところで登場しそうな予感もする。
 「クウイゴスの木片」みたいに。「イナレブヤの布」的なノリで。うん、適当言いすぎた。



おこぼれ町と桃源農園

 見開きで描かれた二つのエリア。もう見るからに貧富の差が凄い

 方やその日の食事も満足に取れず、方や豪勢な食材が大量に収穫されている見事な格差社会っぷり。厳格な階級制度の敷かれたワノ国らしい、何とも世知辛い光景であった。

 おこぼれ町ではそんな空腹に耐えきれず、汚染された川の水に手を出してしまう子供も出てきている様で。そりゃまあ、頭で分かっていても本能的に水や食べ物を求めてしまうだろうなぁ。
 
 子供を助けるためにわざわざ町の人が鶴のところを訪れるあたり、特効薬である邪含草は、少なくともおこぼれ町では鶴しか入手できない代物みたいだ。
 それはそれで入手経路が気になる。ルフィ達が玉を救おうとしていた時には「では医者ではなくウチの茶屋へ」と言っていた辺り、正式な医療品として使用されている薬草ではないみたいだし。

 名前からしてヤバイ臭いしかしない薬草だし、何か裏がありそうな気もする。そんな有用な特効薬なら、将軍の一派が栽培経路を独占したりとかしそうだものなぁ。
 「完全に毒が消えるわけではない」と鶴は言うが、他に何かよろしくない効能を持った薬草だったり、しないんだろうか。

 侍である菊が茶屋で働いているのは「自分の素性を隠すため」だと思っていたけれど、もしかしたら鶴に何かしらの企みを感じ取り、彼女を監視するためだったりとか。
 ……と思ったけど、それならわざわざ、鶴に「剣術ができる」事を教えたりはしないよな。見せた事はないとはいえ。



 また桃源農園においても、やはり支配する者とされる者の図式は存在していた。
 園内には川や牧場も存在しており、野菜だけでなく肉や魚、卵なんかもふんだんに収穫する事ができる。しかしその作業を行うのは、安い賃金でこき使われるおこぼれ町の住人達

 華やかに見える舞台の裏で、虐げられ利用される者がいる、って構造は、マリージョアの地下で働かされる奴隷達と大して変わりゃしませんね。
 外の世界から断絶された国家とはいえ、こういう社会的な仕組みに関して、行き着くところは結局同じというのも皮肉な話。
 
 しかも賃金に不満を述べようにも、そもそもおこぼれ町の人々はこの農園から産出された「おこぼれ」の食糧で何とか生きている状況なので、強く文句を言える様な状況にない。
 役人の機嫌を損ねて、供給を止められたら終わりですからね。他に行く当てもないだろうし、完全なる袋小路。世知辛い話だ。

 あと、浦島の興行にて登場した「金」に次いで、「銀」という通貨単位も登場。
 相変わらず「何ベリー相当なのか」までは分かりませんが、5銀で「家族が一週間暮らすには厳しい額」らしいんで……1銀につき300~500ベリーくらい?
 金、銀の下にあたる3番目の通貨も、いずれ出て来そうですね。



 そして桃源農園から食糧を運搬する作業の総括者として、博羅町の3人目の“真打ち”であるスピードも登場。
 馬のSMILEを食べた女性でした。白ひげのとこのスピード・ジル、なんも関係なかった

 しかしある意味ONE PIECEらしいというか、相変わらず痴女っ痴女な格好だ。下半身が馬、上半身が人間というケンタウロス的な出で立ちをしている事もあって、足が非常に長い。
 その上でスリット入りの超ミニなんか履いてるもんで、「コレ正面に立ってる人から常に見えてんじゃないの」という懸念も浮かぶが、ONE PIECEの世界に羞恥と言う概念を持ち込むのは最早ヤボってもんですね、きっと。
 っていうか馬の股座なんぞ見えたところで、だからなんだって気もするしね。


 馬の能力を持つ真打ちという事で、さっそくスピードがウリの平ギフターズ・ガゼルマン君の存在意義が危ぶまれる様な気もするが、彼女はそれに加え、草食動物特有の広い視野も併せ持つらしい。

 ……でも確か、ウマの視野が広いのって「両目が顔の側面に付いてるから」だったと思うけど、普通に正面に目が付いてる彼女が350度の視界を見渡せるのはどういう理屈なんだろう。
 どんだけ眼球ぎょろんぎょろん動かしても無理がある気がする。マンガじゃ分かりにくいだけで、実は眼球が外に飛び出してるのか?

 背には弓を構えているので、戦闘ではこれを用いた遠距離攻撃をメインとするっぽい。この辺はやっぱ、ケンタウロスの……というか、神話に登場するケイローンのイメージなのかな。 

 ただ宝船を狙い部下達を斬るゾロの動きに全くついていけてなかったので、実力としては大したモノではなさそう。やっぱ、最悪の世代を除く“真打ち”は大した戦力ではないのかなぁ。ルフィ達が強くなりすぎた今、四皇の一味といえども最高幹部より下の面々では相手にならないか。

 というかぶっちゃけると、ケンタウロスの見た目をした人間なんてパンクハザードで腐る程見たんで、能力的にはあまりインパクトもないんですよね。
 そりゃオペオペの改造でくっつけただけの足とじゃ、性能の面では違うんだろうけど、ぱっと見のキャラとしての個性は薄く感じちゃうかなぁ。
 ……あ、だからこんな服装してんのか?

 何にせよ、戦闘においてそこまで活躍するキャラにはならなそう。良くて、ナミやロビンとやり合うくらいか?
 特にロビンは、新世界に入って以降戦闘での見せ場がからっきしだからなぁ。



頭山盗賊団と菊の正体・続

 酒天丸を頭とする盗賊団ですが、頭山盗賊団というらしい。
 ググってみると、「頭山」ってのは落語の演目のひとつだとか。百獣海賊団内の序列である「大看板」「真打ち」も落語家の身分を示す言葉らしく、落語を元にした命名である点で共通している。しかし、頭山盗賊団は百獣海賊団とは敵対する立場。

 これは「両者に実は裏で繋がりがある」とかそういう事ではなく、ドンキホーテ海賊団に対するハートの海賊団みたいな、皮肉を込めたネーミングなのかな。

 頭山盗賊団という名前が、酒天丸によって確たる意図を持って名づけられたものならば、これは百獣海賊団を標的に見据えて結成されたチームである事が予想できる。
 単純に考えるなら、「ワノ国を牛耳る将軍やカイドウに一泡吹かせてやろう」という反体制的な勢力というのが分かりやすいか。細部は違うが、シャンディアやトンタッタ族など、こういう立ち位置の第3勢力は今までも数多く登場しているし。
 勿論、単純に命名する際の元ネタとして、作者がたまたま同じ落語用語から引っ張って来ただけ、という可能性もあるが。


 しかしレオ達とは違い、頭山盗賊団を単純に善玉と考えて良いのかは微妙なところ。権力者にケンカを売る賊徒と言えば、どうしても鼠小僧の様な義賊を連想してしまうが、が今回見せた「酒天丸」という名への反応はどうも好意的なものを感じない

 神妙な面持ちで(酒天丸……!!)と心の中で呟く姿からは、むしろ恨みすらある仇敵の様な印象を受ける。
 酒天丸が囚われの身にでもなっているなら、「救うべき対象」としてシリアスな表情を浮かべるのも分かるが、現状の酒天丸はそういった状況にあるワケではなさそうだし。
 
 菊の立ち位置や本性は未だに謎なところが多く、別に彼女がルフィ達の味方側の存在である確証はない。が、ホールデムの反応を見るに、少なくとも菊は百獣一派とは無関係っぽく、酒天丸を含めた三者はそれぞれがそれぞれを敵視する三つ巴の勢力となっている様な印象だ。
 空島で言うと、ワイパーがエネルの首を狙いつつ、同じくエネルを標的とするガン・フォールにもしっかり敵意を向けていたのと似た様なものだ。

 とは言っても、菊の酒天丸に対する感情がどれくらい強いものなのか、と言えば微妙なところ。正味、カイドウと将軍という2人の巨悪が存在するワノ国編において、更に「倒すべき悪党」を登場させても、話がややこしくなるだけっぽいんだよなぁ。
 結局のところ、菊と酒天丸の関係性は「個人的なしがらみを抱えつつ、最終的に和解できる範囲」に収めるのが無難と言う気もする。


 
 また、未だに本来の力量を見せようとしない菊だが、やはりゾロはその正体について何か勘づいている様子。

「菊! 悪ィが“奪って逃げる”事になった」
「あいつは怒るだろうが ブッ飛ばさねェだけマシだと思え」

 上記は、ルフィとの相談(その間コンマ数秒)により「玉と食糧宝船を奪い、博羅町から脱走する」事を決めた直後の、ゾロから菊への言葉。
 この会話を見るに、ゾロは菊と繋がりを持つ誰かの存在に気付いているっぽい。

 これに関しては、十中八九錦えもんかな?
 「騒ぎを起こさない」という約束を破る事になるが、百獣海賊団の幹部を一人ブッ飛ばし、直接的な宣戦布告を行う様な事態になるよりはマシだろう、という。

 錦えもんと同行したゾロ達ワノ国先行組は、国内に潜伏している「同志」の特徴を錦えもんから聞いていてもおかしくない。
 3メートル級の巨躯を持った女侍、という分かりやすすぎる特徴の菊なら、いくらニブいゾロでもピンと来やすいはず。

 それなら、ルフィがその正体に気づかず、ゾロだけが気づいたのも納得がいく。そして「女を弱者と思い込む」癖があるゾロが、菊に関しては助太刀すら拒み実力を買っている様子なのも、もしかしたら錦えもんから「あいつ、実は男だよ」と伝えられているせいだったりもするのかもしれない。
 どうもパンクハザードでの錦えもんを見ると、「武芸に秀でた女性」と出会った事が無さそうなんだよなぁ。

 ただ若干気になる点といえば、菊がルフィの発した「イヌ」「ネコ」「ゾウ」というフレーズに全く心当たりを感じていないところ。
 いや、こんな断片的なワードで何を察しろって話ではあるのだけれども、錦えもん達は元々「ゾウ」を目指して航海していたし、イヌアラシやネコマムシは古くからの光月家の家臣。ゾロが発した「ゾウを滅ぼした奴」という言葉にすら反応しない辺り、菊はゾウやミンク族達の事を深くは知らなそうな感じがする。
 菊が錦えもん達の同志であっても、光月家の直属の家臣であるというワケではなさそうね。

 少なくとも、ジャックの船が沈んだ原因を「海難事故」だと認識している辺り、直近で錦えもん達と連絡を取り合ったという事はなさそうだ。



鎖国国家の情報事情

「せっかく情報のねェ“鎖国国家”のワノ国で… おれ達の顔を知るコイツは消しておくべきだ!!」

 虚無僧の様な面を装着し、ホーキンスと相対したローの独白。
 このセリフを見るに、どうやらワノ国においては、カイドウの一味ですら外部からの情報を取り入れる事は出来ない様だ。

 カイドウや将軍本人となれば話は別かもしれないが、少なくとも多少身分の高い幹部格程度では、外海とのコンタクトは許されないのね。ホールデムも、ルフィ達の正体にまったく気づいていないし。多分、ルフィ達が名を上げた2年前以前からワノ国に入っているせいで、存在自体を知らないんだろう。

 そんな中で、ジャックは海外へ出たのちに九里へと帰還しているので、大看板クラスとなれば出国の権利を持てる、もしくはカイドウの許可があれば出国可能なシステムになってるっぽい。

 ……どうせなら、帰って来た時に真打ちクラスぐらいには情報の共有をしてあげれば良いのに。出入国は許されても、情報を持ち帰る事はダメなのかな。何か意図があって、あえて周知を避けている可能性もあるか。 


 しかし百獣海賊団であっても国内への情報の持ち込みが出来ないという事は、793話においてドレーク達がカイドウを探していた雪の降る島は、ワノ国ではなかったという事になる。
 ドレークが新聞を持って、ドフラミンゴ陥落の情報を得ているからね。

 この時のカイドウは、わざわざ空にまで登ってダイナミックな自害を図っていたワケだが、部下達は「この土地にカイドウがいる」と踏んで彼を探してたんだろう。
 島には居城と思われるでっかい建物があったりもするし、普段カイドウはワノ国ではなくこの雪の島に滞在しているっぽい。
 824話によればこの島にも「国」が存在するみたいだけれど、こっちもワノ国同様、カイドウの支配下にあるのかな。

 またこの島がワノ国でないなら、キッドが幽閉されているのもワノ国ではないという事になる。
 と言っても、このままキッドがワノ国にまったく絡まないという事は考えにくいので、カイドウが連れて来る事になるのかな。戦闘の舞台がこちらの国に移る、というのは少し考えにくいし。
 もしくは、行方の分からないキラーやヒート達が奮戦してキッドを救い出し、リベンジのためワノ国を訪れるのも良いかもしれない。



 海外からの情報流入に規制のかかっているワノ国だが、菊はなぜかジャックの海難事故の報を知っていた。
 これはジャックが藤虎達の軍艦に挑んだ際の「死亡記事」の続報として出されたものだろう。時系列的には、ルフィ達がWCIへと向かっているくらいのタイミングで出た記事かな?

 しかし菊はジャックの記事を知っていても、ルフィの正体にはまったく気づいていなかった。もし彼女が世に出回っている新聞を手に入れられる立場にあるなら、直近の記事で最も世界を騒がせたルフィの顔を知らないというのは考えづらい。
 新聞を得られるとしても、世間に公表されるタイミングとは数日の誤差が生まれている感じかな。現時点で彼女が得ている情報は、まだWCIでの出来事が報道される前のものである、と。
 
 そしておそらく、その情報の出どころは錦えもん達ではない。彼らが流している情報なら、ジャックが「海難事故に遭った」などという間違った情報をもたらすとは思えないし、ルフィ達の事もある程度は伝えているハズ。
 よってこの情報は、ジャックが海へ沈む経緯を直接知る人間から伝わったものではなく、新聞などで得た情報がそのまま菊に伝わったものだと思う。

 つまり菊が得られる情報は、「錦えもん、カン十郎、雷ぞう以外の誰かの手によって、数日遅れでもたらされる新聞の情報」という事になる。

 気になるのは、それが錦えもんの同志の1人なのか、まったく違う勢力の者なのか、というところだが……ゾロが菊に対し危険視するそぶりがないので、今のところは「錦えもん達と敵対する側の人間」である心配はしなくても良いのかな。


 しかしジャック、もう戦線復帰できる状態にあるんだな……。
 ゾウでの五日五晩に及ぶ大激闘を経て、藤虎、センゴク、つるを乗せた軍艦に挑み、最後はズニーシャに船を沈められ……。
 イマイチ結果が伴わない戦果とはなってしまっているが、そのタフさはまさに怪物

 やっぱ、「覚醒した動物系」なのかなぁ、あのマンモスの能力は。クロコダイル曰く「異常なタフさと回復力」がウリらしいし。
 知性まで獣と化していたイメージのある獄卒獣達に比べ、まだ理性を保っている方な気はするが……この辺は、能力者としての練度によって変わって来たりするのかな。

 藤虎達の軍艦に突っ込んでいくイカレ具合に、その片鱗は出ている気もする。これは生来の性格に加え、動物系の闘争本能が色濃く出た結果なんだろうか。チョッパー曰く、「肉食系の能力者は凶暴性も増す」らしい(第349話)し……って、マンモスは草食動物か。

 一度は海に沈んだジャックだが、あの後はアプーらしき人物に引き上げられたのかな。
 能力者ゆえに海中で身体は動かずとも、空気を失い死ぬ事はなかったジャック。キバの様に鋭利な歯を見るに、サメの魚人の血を引いてるんだろうか。
 闘魚の半魚人であるデリンジャーも、肌の色なんかに魚人族の特徴は出てなかったし。

 しかし一緒に海に沈んだシープスヘッドやジンラミーは……死んだかな、アレ。ヘッドなんか、そもそもジャックに半殺しにされた状態だったものな。南無。
  


博羅町戦線

 初登場時から、どうもギャグに走った雰囲気が全開だったホールデムさんだが、案の定大した見せ場もないままルフィにブッ飛ばされてしまった

 いや、まだやられたと決まったワケではない……が、そもそもサンジとブルックに瞬殺されたシープスヘッドと同格の男に、敵としての実力を期待する方が間違っていた感はある。何とかノックアウトを逃れても、博羅町へやって来たジャックに粛清されるのがオチな気がする。


 ホールデムが今後本編でピックアップされる可能性はかなり低そうなので、彼の戦闘面のお話も済ませてしまおう。

 彼が用いるのは、SMILEによって腹部に生まれたライオンの頭部と、絡繰刀カラクリとうなる刀剣。
 わざわざ「“絡繰刀”の威力っ!!!」などとドヤ顔で叫んでいるあたり、それなりには名のある名刀なのかもしれない。が、どんな得物も当たらなければ意味はなく、その威力を我々が目の当たりにする事は出来なかったのであった。無念。

 単なる刀にしては珍妙な名称で、内部に何かの変形ギミックでも存在する事を期待してしまう。どうせならスパンダムの像剣ファンクフリードみたいに、動物系能力の変形機能でもついてたら面白いのに。

 ベガパンクの故郷である“からくり島”や、エネルの扉絵連載で登場した“カラクリ島”にも似た名前だが、まあ関連性はなさそう。せめて島の読み方が“からくりとう”だったらこじつけ様もあるかもだけど、“からくりじま”だしなぁ。


 また登場当初から「腹に獅子を飼ってたところで何の役に……?」と思われたホールデムの能力だが、「噛みつく」「切り裂く」なんてライオンの戦闘方法から連想されるものとは別次元の、意表を突きまくる攻撃方法を繰り出して来た。


 火炎放射ってお前。

 “獅子の火”と呼ばれる攻撃は、その名の通り腹部のライオンの口から火球を吐き出して攻撃する技。
 高速の拳による空気との摩擦熱で着火する“ゴムゴムの火拳銃”とは違い、こっちはもはや理屈が説明不可能
 いくらSMILEとはいえ、「火を吐く獅子」なんて面妖な動物を生み出す能力ってワケじゃないだろうし。

 この炎が能力によるものでないならば、ライオンの口内には何か兵器の様なモノが仕込まれている可能性が高い。
 よく見ると、炎を吐く寸前のライオンの顔は二日酔いで迎えた嘔吐寸前の朝みたいなヤベェ表情になっている。ライオンが元々持っていた能力ではなく、道具によって無理やり持たされた攻撃方法だからこんなにツラそうなコトになってるんだと思う。

 火を吐く動物と言えば、空島には三丈鳥フザという動物がいた。神官シュラが騎乗するあの巨鳥は、口内に仕込んだ“炎貝フレイムダイアル”を操り、自在に炎を吐き出す力を得ていた。
 光月おでんはロジャーと共に空島を訪れているハズなので、ワノ国にダイアル文化が持ち込まれている可能性は少なからず存在する。もっとも、オロチ一派に独占された状態にはなっていそうだが。

 また、兵器の製造に関しては世界屈指の技術を持つシーザー・クラウンも、百獣海賊団とは縁が深い。彼が作り、ジャックの手へと渡った毒ガス兵器“KORO”はゾウにおける戦闘に一瞬でケリをつける程の破壊力を持っていた。
 彼が毒ガス以外にも、戦闘用の兵器を生み出しジョーカーを通じてカイドウに流している事は十分にあり得る。

 ……しかし口の中にそんなもんブチ込まれてるライオンを想像すると、ちょっと可哀想だ。ちょっと「オエッ」ってなってるし。動物虐待、ダメゼッタイ。

 もしくは、単純にフランキーの様に、獅子の口内を炎の吐ける状態に改造してあるという事も考えられるか。
 絡繰刀なんて剣を使う辺り、メカっぽいもの、好きそうだし。
 しかしその場合、能力を解除して獅子の部分を引っ込めた際、改造された機械の部分は一体どうなってしまうんだろう……あ。だからケンカする癖にライオンの頭、出しっぱなしなのか?



 動物に加え幼児虐待にまで手を出したホールデムは、哀れルフィの怒りを買いブッ飛ばされてしまった。
 その裏で、町の入り口では2人の“最悪の世代”が対峙していた。

 既に好き勝手暴れているルフィの陰で、何とか正体を隠そうとしているローさん可哀想に
 ワノ国に入って日が浅いために、情報統制の影響が浅くルフィやローの正体を知るホーキンスを、何とか消しておこうと頑張ってます。虚無僧のコスプレまでして

 顔を隠したローの正体までは察していないホーキンスだが、彼が強者である事は瞬時に察知した模様。ベッジは結局覇気を使う様子が描かれなかったが、こちらは少なくとも見聞色の覇気は扱えるっぽいですね。
 
 ホールデムと同じ真打ちとはいえ、ホーキンスを打破するのはそう簡単ではないハズ。
 オペオペとワラワラ、どちらも少々トリッキーな能力なので、ここで激突する事になれば面白い。
 
 ……けれど、このまま戦闘が行われる気はあまりしないかな。
 「ホールデムに手を出すとジャックが現れる」なんて前振りもされてるし、ジャックが襲来してそれどころじゃねェのターンになりそう。

 元々ホーキンス自身、おそらく心からカイドウに従っているという事はなさそうだから、どこかのタイミングでルフィ達と共闘する運びとなりそうだけれども。
 もしかしたらこのローとの戦闘の流れで、同盟の打診に出る可能性もあるのかな。



(追記)
 ホールデムのライオンに名前が存在する事が判明してたんですが、スッカリ忘れたままライオン呼ばわりしてました。
 ごめんよ噛二郎。でもめんどいし、直さなくていいか。