週刊少年ジャンプ2018年45号分の感想です。
 ネタバレを含むので、自分で買ってから読んでください。 



(2018/10/09 加筆・修正)

★もくじ
扉絵
光月おでん
光月トキと時渡り
時を渡った侍達
イヌアラシとネコマムシ  



扉絵

 前回で麦わら大船団の扉絵連載が完結したため、久々の扉絵リクエストシリーズ。

 ゾロとサンジが本気のケンカをするシーンは、近年では中々見られなくなっているので扉絵で久々に見れたのは嬉しいですね。

 「夢の中で」というリクエストなんですが、実際には現実でも大ゲンカしとったらしく、お互いボコボコになっている。
 2人とも頭にタンコブが出来てるんで、最後はナミのゲンコツにノックアウトされたっぽいなコレ。

 サンジがナミに抱き着かれる夢を見るのはまあ普段通り。
 しかしゾロの夢がチョッパーに尊敬の眼差しを向けられるモノだったのはちょっと面白いというか、珍しい描写かも。

 でも考えてみりゃ、ヨサクとジョニーという舎弟に対し憎からず思っていたり、ゾウでは「ワノ国の侍達をまとめ上げといてやる」なんて言ってたりで、ゾロって割と兄貴気質なとこもあるんですよね。
 何かとゾロを慕ってそうなチョッパーに対しては、弟みたいな感覚も持ってるのかもしれん。

 
 ……しかしコレ、2人して凄い寝方してるな。
 パッと見カベに寄っかかって眠ってるのかと思ったんですけど、よう見ると何もないところで上体だけを起こして眠ってるのね。
 えらく腹筋が鍛えられそうな寝相だ。体力バカにかかれば寝相すらもトレーニングと化すのか。(違う)




光月おでん

 勝手に思い込んでたんですけど、どうやらおでん公ワノ国の元将軍というワケではなかったらしい。
 オロチの前の将軍は、おでんの父である光月スキヤキ。うん、凄い名前だ。
 統治者の跡取りとして相応しくない行動を繰り返した結果都を追放され、のちにそのスキヤキより九里の大名として任命された、と。
 第817話にて、錦えもんがおでんの事を「九里が大大名」と説明していたのはそういう事だったのね。
 オロチが将軍の座を乗っ取った後、おでんが数年間は生きていられたっぽいのも、オロチに取って代わられた元統治者はあくまでもスキヤキさんだったからっぽい。



 将軍にこそなれなかったおでんだが、その人柄は民衆には大層愛されていた模様。
 その奔放な人柄は、若干ルフィやロジャーに近いのかな。ローの例があるし、おでんも「D」の隠し名を持ってたりするんだろうか。
 つっても、光月家は「歴史の本文を後世に残した一族」だからその可能性は低いか。

 錦えもんにも「勇ましき武士」と称されている通り中々の豪傑の様で、無法地帯と化していた九里を20歳にして纏め上げた立役者でもあるらしい。
 自由人とは言え統治者としての素質は持っていたのか、ならず者達を更生させて町を作るという偉業も成している。

 アシュラ童子というならず者を討ち、悪党達を統一したというおでん。
 「童子」と聞くと、盗賊の頭目としても伝えられているらしい「酒呑童子」を連想してしまう。おそらくここから名前を取っている「酒天丸」と、何か関係があるのかな。

 アシュラ童子本人は「討ち取られた」らしいので、彼が酒天丸と名を変えている可能性は低そうだけど。酒天丸が関係者だとしたら、アシュラを討ったおでんに恨みを持つ人物だったりするのかもしれない。
 酒天丸の名を聞いた菊の反応を見るに、あまり光月と良好な関係を築いている人物とは言い難そうだし。


 それにしても、無法者の統一に町の創立か。
 こういうのは、ルフィにはちょっと出来そうにないな。「働く事を覚えさせる」っていうのは、自分がキッチリと常識や知識を持っていないと出来ない事だと思うし。ただ奔放なだけの自由人だったワケではない事が見て取れる。
 暴力事件を繰り返したというのも、腕の立つ悪党をシバキまくってたのを誤解されただけなんだろう。

 「おでん城」に関しても、光月家が代々棲んでいた城とかではなく、町を興した際に一緒に作られた居城だったと。
 おでんの名を冠しているのも、あくまで人々が勝手に呼んだ愛称だったみたいですね。



 しかし今まで、ワノ国の開国を叫んだのは「ロジャーとの旅の果てに、ワノ国を開国する事が国や民の利に繋がると考えた」からだと思っていたが、今回明らかになったおでんの人物像を見るにちょっと怪しい気もしてきた。

 「窮屈でござる」を口癖とするおでんには、鎖国国家というワノ国の体制は息苦しいモノだろうし。自由を謳歌するおでんにとって、海外出国すらも許されず自由を阻害されるのはたまったもんじゃなさそうだ。
 とは言え最期の言葉として家臣達に遺したくらいの理念だし、強い想いは感じる。別に思い付きで窮屈さを取っ払おうとしただけと言うワケではないんだろうと思いたい。
 この辺の「開国」の意義に関しては、いずれ本編で明かされる日も来るかな。


 おでんの死に際の物語に関しては、錦えもんからルフィ達に伝えられたが、我々読者には未だ明かされず。
 これはオロチによって「罪人」に仕立て上げた経緯や、その死に様が後で大きな意味を持ってくるからこそ、あえて隠しているんだろう。

 モモや菊のみならず、話を聞いたナミやキャロット達まで涙を流しているので、その最期はかなり無残なものだったっぽい。
 くそ、どんな悲劇が起きたのか、気になるじゃないか。この辺はいずれ過去編でじっくりと語られるんだろうけど、焦らしてくるなぁ。




光月トキと時渡り

 様々な謎が明かされる解答編。
 錦えもんやモモの助達は、おでんの妻である光月トキの能力によって、20年の時を飛び現代へとやって来たのだった。

 トキトキの実とは、また強烈な能力が登場したなぁ。
 この名称の悪魔の実の存在は、皆一度は妄想したものだと思うけれど、個人的にはてっきりジョジョの如き「時を止める能力」としてラスボス級の存在が使ってくるものだと思っていた。
 しかしなんというか、この能力を得るべくして生まれたみたいな名前だな、トキ様。スモーカーさんみたいだ。



 安心したのが、いわゆるタイムマシンなんかとは違い「過去に戻る事はできない」という点。
 以前ロビンが「歴史は常に繰り返すけど 人は過去には戻れない」と語っていたが、この原則は悪魔の実の能力をもってしても崩す事はできない様だ。

 過去に戻る事が出来ちゃったら、いろんな物語の要素がはちゃめちゃになって来ちゃうからね。それこそ、カイドウやオロチが赤子の頃にでも遡ってコロコロしちゃえば良いって話にもなっちゃうし。
 あまりにも予定調和がすぎる展開にもなっちゃうんで、それを封じられたのは良かったかな。




 そしてトキ自身も、どうやら現代に生まれた人間ではなかったらしい。
 「未来へ未来へと旅をして、遂に辿り着いた終着点」が、20年前のワノ国だったと。
 
 この言い方だと、能力の使用は1度や2度ではなさそう。遥か遠い過去に生まれた人物であるという噂は過剰なものではなく、本当に大昔の人間なんだろう。
 もしかしたら、トキは空白の100年を生きた人物であった可能性すらもあるのかも。

 今回は顔がシルエット状になって隠されているけれど、過去編か何かで本格的に登場するかな。
 狂死郎曰く、トキは「おでん城の前で息絶えた」らしいが、モモの助の妹である光月日和に関してはその死亡が明言されていなかった。

 
 トキ本人はおでんに殉じ、このおでん城で最期を迎える覚悟を持っていたのは分かるが、それに赤子である日和を巻き込む必要もないだろうし。

 何よりモモの助は、父母の死について言及するも妹については今まで一度も触れて来なかった。
 あのまま日和が城で死んだのであれば、これは少し不自然。トキには日和を生かすための策があり、それはモモの助達にも伝えられていると考えた方が自然だと思う。
 日和は今も、何らかの手段で生き永らえているんだろう。
 ……その場合、モモの助には約12歳も年上の妹がいるという逆転現象が発生する事になるんだな……。


 トキが既に死んだ人物だと考えれば、現代では別の人物がトキトキの能力を持っていたりするかもしれない。それはそれで面白そう。
 年単位で時を飛ばずとも、数時間~数日後にジャンプしたりする事が出来れば、物語としても色々と出来る事がありそうだ。

 戦闘においても、たとえばギア4の様な制限時間付きの技に対し、時間切れを起こすタイミングまで飛べば相手の強化や技を無にする事も出来る。
 相手の攻撃を受ける瞬間、数秒後の未来へ飛ぶ事によって攻撃を疑似的に回避する……なんて使い方も行けそうだ。人知を超えた能力だけあって、なんやかんやで色々と応用が効く気がする。


 しかし錦えもん達をあえて「20年後」という遠い未来へ送ったのは、何か理由があるのかな。単にカイドウ達が、その死を信じ込むのに十分な期間を空けただけ?
 時間を飛ぶ能力がトキ本人のものであった以上、狂死郎が前回語っていた予言も、別に古くから伝わる言い伝えの様なものではなさそう。トキが言い伝えに従い、錦えもん達が現れるのに20年後と言うタイミングを設定したワケではないだろう。

 20年後という「反撃の時」をあえて敵に伝えた辺りも含め、トキの策の様なものでもあるのかな。まあこの予言は、結果的に地武えもんらに伝わり反乱の時を待つきっかけになってるし、民や家臣達に希望を持たせる目的もあったのかもしれないけど。




時を渡った侍達

 モモの助に加え、錦えもん、カン十郎、雷ぞう、菊の5名は、トキの能力によって20年後の未来へと渡った。
 希美という地の旗本である地武えもん曰く、彼らはやはり赤ざや九人男に数えられる侍達だったらしい。

 ……菊も?
 地武えもんはあくまでも錦えもん、カン十郎、雷ぞうの3名だけを指して言った可能性もなくはないが、菊もこの九人男に含まれるんだろうか。

 もし含まれるのであれば、再三頭を悩ませていた「菊の男性説」に答えが出たとも言える。
 ……が、これに関しては、黒ひげ海賊団のカタリーナ・デボンが「十人の巨漢船長」に数えられていそうな辺り、微妙なラインか……?

 現在の着物姿では確認できないが、回想において武士の服装をしている菊には若干ながら胸の膨らみがある様にも見えるんだよな……。
 いや、ONE PIECE世界の女性陣を基準に考えると誤差の範囲というか、それだけで女性と断定できるほど分かりやすいものではないんだけど。



 錦えもん達の時渡りは他の誰にも伝えられていなかった様で、地武えもんらもその生存を「万に一つ」の可能性としてだけ考えていたらしい。
 眉唾モノの希望的な推測であっても、打倒オロチを成すための可能性が彼らの生存にしかないのだとしたら、信じるよりなかったんだろう。

 実際、モモの助が生きて姿を現したのは大きい。「光月家の生き残りがいる」という事実はおでんを慕っていた面々にとっては活力となるだろうし、反旗を翻すための同志を集める為の説得材料にもなってくれそうだ。

 錦えもんらの生存は、オロチ達も確証を持った段階ではないと言う。
 彼らが追われていたのも、元はと言えばワノ国の掟に背く「海外出国」という行為が露見したせいだった様だ。 

 ……が、錦えもんや雷ぞうは名指しで追いかけられていたし、カン十郎に至っては人質として捕まっていたワケで。確信はなくとも、既にかなり怪しまれているのも事実だろう。
 ルフィが既に暴れてしまったせいで極秘もクソもないという事態は置いておいても、2週間もの間気づかれずに行動するというのは少し難しい気もする。
 ホールデムを倒した事で、このままだとジャックが九里へと向かって来てしまうというのも含め、スムーズに計画が進む事はなかなか期待しづらい……かな。


 2週間後の決戦の舞台は、ワノ国ではなくカイドウの住む鬼ヶ島
 やはり、カイドウはワノ国にはいなかったのね。ドレーク達がカイドウを探していた、雪の降る島が鬼ヶ島なんだろう。
 
 という事は、花の都にいるオロチとは直接決着をつける気は無いんだろうか。
 大将であるカイドウさえ討ってしまえば、オロチからワノ国を奪還するのは容易いという目論みなのかな。
 正味オロチがそこまで強者であるという印象は持ってないんだが、まったく戦う事無くワノ国編が終わるとも思いづらいな……。鬼ヶ島への討ち入り前に計画が露見し、なし崩し的にオロチと事を構える流れになるのかな。



 錦えもん曰く、時を越えたのはモモの助を含む5人のみ。
 しかし今回の回想では、トキによって未来へと送られる直前まで、もう1人笠を被った人物が描かれている。

 他の侍達同様、トキに跪く姿を見るに彼も光月由来の家臣なんだろう。
 おそらくは彼も赤ざや九人男の1人……だと思うんだが、その直後、20年後のおでん城跡に錦えもん達が飛ばされたシーンでは、すでに彼の姿はない。
 つまり彼は、あの炎上するおでん城にそのまま残ったという事になる。

 これはトキトキの能力で未来へ送れる人物の限界が5人だったからなんだろうか。
 それならば、日和をあえて未来へ飛ばさなかったのにも説明がつく。九人男の遺体は1つも発見されていなかった様なので、その場合彼は日和を連れて何とかおでん城を脱し、身を隠しているんだろう。
 城内にいたハズのトキが、狂死郎の話では「おでん城の前で息絶えた」のも、20年後の予言をあえて遺したのも、彼らを無事に逃がすために敵の注目を集める事が目的だったのかもしれない。

 だが彼が生きて20年を過ごしているのだとしたら、現在は50~60歳くらいのおっちゃんになっている事になる。
 おそらくどこかで生き残っているであろう残る4人(菊を含めなければ5人)もそのぐらいの年代だろうし、仮に合流出来ても大戦力として数えて良いのかは微妙な気がしないでもない。
 皆が皆、ニューゲートやレイリーの様な規格外ジジイになれるワケじゃないだろうし。


 60歳くらいの年齢……と考えると、編笠村に滞在していた飛徹は年齢的に当てはまるかもしれない。心なしか、体形も少し似ている。
 彼の正体が実は赤ざや九人男の一人であり、亡霊として身を隠しておかなければならない立場だったからこそ、村を出る事ができなかったという可能性があるかも。
 刀鍛冶の一族でありながら、自分でもしっかりと名刀を携帯していたし。

 そうなると、彼を師匠と仰ぐの正体も気になって来る。
 印象的には、玉=日和……と単純に考えたいところでもあるけれど、それでは今度は玉の年齢が合わない。
 時を越えずに20年を過ごしたのなら、玉は少なくとも20歳を越えていなくてはおかしい。ようやく8歳の誕生日を迎えたという年齢では、辻褄が合わない。

 玉や飛徹のみを12年ほど先の未来へ転送したというなら計算が合うが、「じゃあ何でモモの助達と同じ20年後に送らなかったの?」という新たな疑問が湧いてしまう。
 そうしなければならない理由があったのかもしれないが、現時点ではこれと言って思い当たらない。上に書いた様な「能力の限界」という都合があったなら、話は単純ではあるんだけども。


 しかしそういえば、玉といえばそもそも年齢に若干のズレが生じている人物でもある。
 912話の感想でも少しだけ触れたが、エースがワノ国を訪れた「4年近く前」に5歳であったなら、現在でようやく8歳の誕生日を迎えたというのはおかしな話なのだ。

 これに関しては微妙なズレだったので、作者の言葉のアヤ、もしくはコミックスで修正される様な表記ミスかと思っていたが、時を越える能力なんていうモノが現れた今となっては話が違ってくる。
 ……が、仮にエースと出会って以降の玉に能力が使用されたなら、それはここ4年くらいのお話という事になる。トキが20年前にすでに死亡している(とされている)以上、これはかなり無理がある。
 あるとすれば、トキの次代の能力者が玉や飛徹の近縁の者だった場合くらいか……?

 まあ正直よく分からないんだが、玉は単に「光月家の帰りを待つ一般庶民」などではない気はする。今ではウマ美と化したスピードさんによって編笠村まで送られているが、無事に到着するんだろうか。
 というかそもそも、仮にも敵の幹部であるスピードに玉や飛徹の所在地がバレるのはちょっとマズい気もするんだけど。能力が解けちゃったら、一気にピンチになるし。

 

 しかしそういえば錦えもん、ワノ国を出る前の時点で、水が汚染された事は知っていたんですね。
 にもかかわらず、前回は腹を下していたけれど……アレ、川の水に手をつけたせいじゃなかったんかな。知っていた上で飲んでしまったのだとしたら、若干アホやけど。なんか理由でもあったんだろうか。




イヌアラシとネコマムシ

 イヌアラシはすでにワノ国へ到着し、九里の海岸に滞在していた。まあ、モモの助と一緒にゾウにいたんだからそりゃ着いてるか。

 彼やネコマムシはおでんの家臣であったが、その出会いは偶然のものだったらしい。幼少期、ワノ国に漂流してきた身だったのね。
 イヌアラシ曰く、光月家とゾウのミンク達には古くからの契りがあるという話だったので、これはちょっと意外な事実だった。
 
 おでんや民衆の反応を見る限り、そもそもミンク族がワノ国を訪れた前例は近年では存在せず、おでんもその存在を知らなかったっぽく見える。

 イヌアラシの言う「古くから」ってのがどの程度の時期なのかは知らないが、これはあくまでもイヌアラシやおでんの代に生まれた誓いだったのかな……?
 いや、でもズニーシャがモモの助の命令に従って動いた以上、大昔からの主従関係を持っていた事は事実なのか……。

 あくまでも有事の際に光月家のために動くと言う話であって、普段から接触を持っていたワケではないというだけなのかな。十代の頃には父スキヤキから勘当されていたおでんには、一族とミンクの繋がりが伝わっていなかっただけなのかもしれない。


 その後おでんの家臣となったイヌアラシ達は、おでんが処刑された時も錦えもん達と一緒にいたと。その時点ですでに互いにイガミあう大ゲンカを始めている。これはお互いに、「おでんが死ぬ事になったのはコイツのせいだ」と考えていたって事なのかな。

 で、逃亡中の2人はオロチの部下に捕まった。817話にて、錦えもんが2人の生存に驚いていたのはこの為だったのか。状況的に、既に殺されてしまったものだと思っていたのね。
 死に損なったと語っていたが、一体どんな手を使ってワノ国を脱したんだろう。
 「あの日の言葉を頼りにここで待てば」と言っている辺り、彼らもトキの遺言を聞き届けたんだろうし。
 
 

 そういえば、ジャックがゾウに辿り着けた理由も、まだハッキリとは分かっていなかった。
 イヌアラシ・ネコマムシが捕まった際、誰かのビブルカードを奪われたんだろうか。しかしそれなら、ジャックがゾウに現れた理由に、イヌアラシが合点が行っていないのはおかしい。とすると、ビブルカードの入手経路も、この時とは別口である可能性が高いか。


 これに関しては、今まではイヌアラシかネコマムシ、もしくはズニーシャの爪を使用して作られたビブルカードを、ジャックが持っていたのだと思っていた。
 雷ぞうのビブルカードを辿って来たのなら、ジンラミーが「雷ぞうはゾウにいない」などと言う結論を出したのは少し違和感があったからだ。
(一応、ビブルカードは本人ではなく大元のカードと引かれ合うので、カードを辿った場所に本人がいるとは限らないんだが。)

 しかしジャック達が「侍の誰か」ではなく雷ぞう個人を名指ししてゾウに現れた以上、雷ぞうのカードを辿って来たと見るのが自然ではある。
 そして今回、そもそも雷ぞうを含む侍達の生存自体が疑問視されていたのが分かった事で、ビブルカード自体の信憑性が薄かったという可能性も出て来たか。
 実際にはジャックは雷ぞうのカードを辿ってゾウに行き着いたが、そもそもそのカードが「本当に雷ぞうのものなのか」にイマイチ確証がなかったと。

 カードの持ち主が死んでいた場合、ビブルカードは消失してしまう。もしカイドウ達が所持していたのが雷ぞうのカードであった場合、まずは雷ぞうの生存を疑うハズ。しかし、どこを探しても侍達はおらず、また20年もの間姿を見せる事はなかった。
 その結果、カイドウ達も侍の死亡を信じ始め、同時にビブルカードが雷ぞうのものではないのでは、という考えを持つに至ったのかな。

 だが20年の時が経ち、突然カードに反応が生まれた。
 大元のカードを持つ雷ぞうがワノ国を出た事で、カイドウ達が持つカードの切れ端が動いたのだ。
 その結果、「まさか奴らが生きているのでは」と疑念を抱いたカイドウは、念のためジャック達を派遣し、雷ぞうの確保を命じたと。




 しかし今回の話は、今まで積まれて来た謎の真相が判明するお話という事もあって、かなり密度の濃いエピソードだったなぁ。
 次号の休載は残念ではあるが、そもONE PIECEは1話ごとの情報量がめちゃくちゃに多く、摂取カロリーが半端じゃなく高いので、4~5週にいっぺんの休載はある意味でちょうど良い塩梅なのかもしれない。
 というか、そうでもないとこっちの脳みそがもたない気もする。