週刊少年ジャンプ2019年01号分の感想です。
 ネタバレを含むので、自分で買ってから読んでください。 


★もくじ
オバケ騒動と逆三日月
潜伏・麦わらの一味
兎丼の労働現場
海楼石の効力


オバケ騒動と逆三日月

 “北の墓場のオバケ騒動”なる名目で、花の都では2人の人物が話題に上がっている様子。
 
 “人斬り鎌ぞう”はその異名通り鎌を武器とした人物の様で、人相書きも出回っているお尋ね者。
 鎌ぞうというのは、鎌を武器にしているが為のあだ名の様なものなのかもしれないけれど、顔立ちまでハッキリと手配されていてなお「オバケ」扱いなのは何でなんだろう。最初に姿を確認されたのが「北の墓場」だったせいとか、既に死亡が確認されている人物にそっくりの容姿だったからとかですかね。

 どうも錦えもんの挙げた「河松」「傳ジロー」のシルエットにそっくりなので、「既に死んだと思われた赤鞘九人男の一人が姿を現した」という意味でオバケ扱いを受けていたのかな。亡霊一族、なんて言われ方もしている一派だし。
 「鎌ぞう」という偽名っぽい名前で手配されてるのも、あえてなのかな。オロチやカイドウとしても、下手に都内の反乱の意志を活性化させない為、光月一派の存命を仄めかすような名前を報道したくないんですかね。


 もう1人の“丑三つ小僧”は、金持ちから盗んだ金を貧乏人に分け与える義賊肌。モロに鼠小僧ですね。賊へと落ちたアシュラ童子率いる頭山盗賊団は純粋な暴徒集団でしたけれど、こっちはどうなんでしょ。
 少なくとも都の民からの人気は高いみたいだけれど、これは花の都の中でも、貧富の差は存在してるって事なんですかね。金持ちからすれば、義賊の存在をプラスに感じる事はないでしょうし。

 「花の都内の貧民」と「おこぼれ町の様な都外の住民達」では流石に都の貧民の方が良い暮らしをしていそうな印象なんですが、丑三つ小僧は盗んだ金品を都外の人々に分けたりはしないんですかね。
 と言っても、おこぼれ町の住民なんかは金を使った取引の先が主に役人達なんで、急に住人達の羽振りがよくなったりしたら怪しまれて厄介なことにもなりそうですけど。最悪、民間人に妙な言い掛かりをつけて処罰を下したりしそうだし、この国の役人。
 こういう義賊って、なんとなく金以外の物資には直接手をつけなさそうなイメージが勝手にあるんで、食べ物を直接盗み配るとかはしなさそう。


 丑三つ小僧自身の姿はシルエットでしか描かれていないけれど、錦えもんや菊達に比べると小柄な体格かな? 
 屋根上を飛び回る盗っ人のイメージ的に身のこなしに長けた印象がありますが、彼も雷ぞうの様な忍者タイプの侍なんですかね。

 「河松」「傳ジロー」のうち、長髪を一つ結びにしたシルエットの人物が鎌ぞうであるとして、もう1人は比較的ずんぐりとした体形に見えるんですよね。今回登場した丑三つ小僧のシルエットとは、ちょっとイメージが違うかも。
 まあこっちは鎌ぞうと違い、民衆に姿が割れているワケではなさそうなんで、今回描かれたシルエットはあくまでイメージ映像なのかもしれないけれど。
 



潜伏・麦わらの一味

 編笠村へ向かったチョッパー、イヌアラシと合流したキャロットに加え、ナミやサンジもそれぞれの役割を果たしている様子。
 ブルックの姿が見当たらないけれど……落ち武者の亡霊の様な姿で、食料調達の任についていたハズですね。北の墓場のオバケ騒動、彼が出くわすと大層ややこしい話になりそうだ。っていうか、アンタが発端じゃないでしょうね、オバケ騒動。

 前回のチョッパーも言ってましたけど、ルフィの事は完全に雷ぞうに一任する形なのかな。ルフィの底力を信頼している、というのも分かりますが、ちょっと危うさを感じるところでもあるかも。現時点では変わらず元気なルフィだけれど、クイーンやキングが直接出張って来ての拷問という事になれば、折れずにいれるとも限らないし。


 ナミの役割は、しのぶと共にくノ一として潜伏し、役人達による武器の取引現場を事前に確認しておくこと。ワノ国では侍以外は武器を持つことができず、逆三日月の札を受け取った同志たちの間でも武器の不足が懸念されているんで、これを解決するための作戦なんでしょうね。

 忍術以外に関しては想像より遥かにポンコツだったしのぶの補佐としては重要な役割ですけれど、これだったら正直ロビンの方が適役な任務だったかな。ハナハナの能力を上手く使えば、屋敷に直接潜入するというリスクを伴わずに情報を奪う事も可能だろうし。

 芸者としてオロチに近づくっていう計画は悪くないけれど、「限られた期間内に将軍に近づけるほどの芸者に出世しなくてはならない」という性質上、確実性には欠ける策でもある。能力的にも人物的にも、諜報能力にあれほど長けたロビンという駒を割くには、少々勿体ないやり方だった様な気もする。
 まあ、ワノ国に先に入っちゃったのがロビンなんで、今更交代するってワケにもいかないんですけどね。


 サンジに関しては……何やってんですかねコレ。
 本来の役割は「料理で人を集め、逆三日月の侍達を探すこと」なんですが、まったく役に立ってなさそう。
 なんか元々この辺を仕切ってたっぽい輩に目をつけられたりもしてるけど、実はこの人も光月派の侍で、なんやかんやあって協力し合うことになる流れかな? その割には、なんか悪党感が溢れてますけど。

 劇中じゃ大してイケメン扱いを受ける事もないサンジのもとに、これだけ女ばかりが集まって来るのは……そばの味が女子受けするものなのか、女性限定でサービス過多にでもしてるんですかね。
 後者の場合、男尊女卑の傾向にあるっぽいワノ国の中じゃ、女性人気が出るのも当然かもしれないですね。
 正味、本編中のワノ国であまり極端な男女差別の雰囲気を感じる事がないんで、20年前の文化基準で生きている錦えもん限定の価値観なのかもしれないけど。浦島と菊の絡みで「下人の女」「身分の卑しい女」なんて言葉が登場したりもしていたけれど、ここで見下されてるのは性別よりも身分や階級の方だろうしなぁ。


 ナミやしのぶ、サンジがドタバタと任務についている一方で、ウソップは与えられた役割を器用にこなしています。直接的な戦闘ではともかく、こういう後方での作戦遂行においてはやっぱり頼りになりますね。
 地味にシャチやペンギンも頑張ってる。けど、彼らの間のコマにいる笠男は一体……と思ったら、首元から見える毛深さや、左胸辺りの魚のマーク的にベポかコレ。
 無事だったんですか、あなた。邪含草を煎じて貰ったのか、ローに毒を取り除いてもらったのか。
 っていうか、何気にローの消息も分かりませんね。海楼石の釘さえ引っこ抜いてもらえば何ともないだろうし、普通に無事だとは思いますけど。




兎丼の労働現場

 本来なら結構悲惨な現場なんでしょうけど、ルフィとキッドがぶっ飛びすぎててそれどころじゃないですね。
 仕事の効率が規格外すぎて、看守達もどうしたら良いか分からなくなってるじゃない。謎の気迫が溢れ出すぎて、船の管理してる看守さん謝っちゃってるじゃない。力仕事だけを任された時の脳筋達こわい。

 「大岩運び5回できびだんご1つ」という配給制度、本来ならどう頑張っても満足に食えない配給量で囚人達の心を折ってるんでしょうけど、この人たち腹いっぱい食えちゃってるもの。こんな例、今までになかったんですかね、看守達も律義に対価を支払っちゃってるのがなんか面白い。

 ていうかルフィはともかく、キッドは敗戦からだいぶ時間が経っていただろうに、ルフィが入って来るまで全然キズ癒えてませんでしたよね? 鬼ヶ島から兎丼へ輸送されたのが、ルフィの投獄と近いタイミングだったのかな。
 今回では彼もすっかり健康体になってる辺り、ルフィと競い合う事で士気が大きく上昇した結果なんですかね。アドレナリン万能説。

 キッドもルフィと同じく、食いすぎで人体とは思えない身体の膨らみ方してるし。そういやWCI編なんかでは、第827話のチョッパーとかも似た様な膨らみ方してたか。もう彼らにゴム人間だから身体が膨張するとか、そういう理屈は通用しないのだなぁ。
 そしてカタクリ戦の時は「ひとっ走りしてカロリーを消化する」形で元の体型に戻っていたルフィ、今度は数秒のうちに勝手に身体がしぼんでいる。キッドも同様。人体ってそうでしたっけ!?


 ツッコミが追いつかない内に、カバのSMILE能力を持つドボンなる人物も登場。真打ちであり副看守長らしいけれど、看守長がクイーンなのかな?
 こっちもまたツッコミどころ満載の風貌を……というかこんな哀れな能力の生まれ方ある?
 もう文字通り能力に呑まれてるじゃないですか。どう足掻いたら有効活用できるんですか、コレ。

 第916話とかには、髪やヒゲがウサギの顔になるという、これまたどうしようもなさそうな能力者がモブとして登場してますけど、ドボンのこれに関しては完全なマイナス能力では……。
 歩くのすら一苦労しそうだし、上半身なんか生きてるだけで唾液べちゃべちゃになりそうだし。間違いなく、個人的「絶対食べたくない悪魔の実ランキング不動の第1位」として更新されてしまいましたよ。

 “惨殺部屋”と呼ばれる基本戦法として、カバの口の中に敵を誘い込み、内部でドボンの上半身が敵を痛めつける……という拷問技を持つんですけど、外部から状況が見えないのを良い事に、囚人であるルフィ達にボコボコにされてしまいました。
 残念、カバの口内はドボン自身の惨殺部屋だった。怒られる理由と証拠がねェ。

 ……まあ、「海楼石で弱体化したルフィやキッドに瞬殺される」というざんない結末や能力を見るまでもなく、ドボンさんの百獣海賊団内での地位、あんまり高くなさそうなんですよね……。仮にも真打ちの座を貰っているのに、食い扶持が囚人達に渡す食料と同じキビダンゴって。
 得た能力のヘッポコっぷりのせいでこの様な待遇になってしまったのだとしたら、少し可哀想かもしれません。……いや、やっぱ面白の方が勝るか。


 そしてドボンさんのヘッポコ劇場の裏で、地味に超新星・カリブーが再登場。ドレークに連行された彼ですけど、普通に囚人になっていたんですね。
 登場当初のイメージに比べコメディ路線の性格付けが強くなったカリブーですが、しらほしの“古代兵器”としての正体を知る数少ない人物でもあるので、何気に重要人物。彼が情報や財宝を渡そうとしていた大物が誰なのかも、ルフィ達との接触があれば明かされるかな。




海楼石の効力

 ついこの間、実はこのワノ国こそが発祥の地である事が明かされた“海楼石”。
 触れれば悪魔の実の能力者は力が抜け、能力も扱えなくなってしまうとされる石ですが、海楼石の錠をつけられたルフィとキッドは今も元気に暴れまわっておりました。
 これは海楼石の効果が適用されなかったのではなく、力が抜けた上でアレだったという事っぽい。バケモノですね。どっちかと言うと、片腕の義手をもぎ取られたまま爆走してるキッドの方がすごいかも。

 流石に力が抜けた状態であそこまで暴れ回れるのはビックリだったけれど、考えてみれば2年前時点でのロビンも、エニエスロビーで海楼石の錠をつけられたまま石橋に噛みついてスパンダムの連行から逃れようとするくらいの力は出せていたり。(第418話)

 ルフィ達と似た様な労働環境にあったインペルダウン時代のダズも、海楼石(と思われる)の錠をつけたままデッカイ物資を運んでいたし、頭突き一つで囚人を叩き落したりもしてました。(第533話)
 2年前の彼らよりも遥かに強い今のルフィやキッドなら、あれぐらいの労働は力が抜けたままでも充分こなせるのかな。海楼石は触れた能力者の力を「一定値以下に引き下げる」ものではなく、純粋な減算処理によって脱力させているみたいですね。能力者が本来持つ力の上限が上がれば、脱力時に出せる力もそれだけ強いものになるという。


 けど正直、海楼石が能力者に及ぼす影響って、いまいちハッキリとしていない感じもする。
 パンクハザードにおいて、海楼石の鎖を巻きつけられたルフィは、大声を出そうとしただけで苦しそうになっている有様でした。(第676話)

 大岩を持って駆けまわるより、大声を出すくらいの方が力もいらず、簡単な気がするけれど……。これはルフィ自身の体力的な強化によるものなのか、あるいは海楼石が身体に接する面積などによって、封じられる力の量に違いが出てくるんですかね。
 手首を覆う程度の手錠ならそれなりに動けても、身体にグルグルと巻き付けられた鎖ではそうもいかないとか。

 ルフィやキッドがあれだけ動けるなら、ローも自分に刺さった海楼石の釘くらい、自力で引き抜けちゃうのでは? とかも思うんですが、身体の表面に触れるだけの場合と、釘の様に突き刺さった場合でも影響は違ってくるのかな。
 元々ローが、彼ら2人に比べるとパワー面では劣っていそうなのもありますけど。


 ひとえに海楼石と言っても、その個体によって能力者に及ぼす影響の程度に違いが生じる可能性もありますかね。
 採掘された天然の海楼石の時点で、すでに能力者封じの力が備わっているのか、特定の鉱物に加工を施す事で初めてその特徴が生まれるのか分かりませんが、生成の過程によって成分の密度等に個体差が生じ、能力者に与える影響にも差が出ていると。
 海楼石による脱力の仕方はシーンによって割とマチマチだったりもするので、この考え方をしておくのが一番矛盾が生まれにくいかも。個体差って言っとけば、それ以上の追求もしようがないですし。身も蓋もないけど。