週刊少年ジャンプ2019年02号分の感想です。
 ネタバレを含むので、自分で買ってから読んでください。 


★もくじ
サン五郎の「十八番そば」
禿のおトコ
“花魁”小紫
将軍オロチの能力  




サン五郎の「十八番そば」

■十八番そば屋と一味再会

 光月派の侍を探すミッションのために開かれたにも関わらず、見事に女性客まみれの店と化してしまったサンジ……もといサン五郎の「十八番そば」屋さん。

 各々の仕事の合間を縫ってか、ウソップ、フランキー、ロビンの先行潜入組が遊びに来てますね。こちらもルフィの投獄を知りながら、さほど深刻には捉えていない様子。いや君ら、ちょっと前までとんでもない顔して驚いてたのに……。

 ルフィへの信頼の度合いが伺えますが、ここまで過剰な信頼を寄せていると、大丈夫じゃない事態に陥るフラグにしか見えなくて困る。
 WCI編でも、ケーキを作りに行くサンジが「あいつらの心配はいらねェ」と判断したチョッパーとブルック、結局のとこ全然大丈夫じゃなかったですからね。


 そういえばこの3人とサンジは、ドレスローザで別れて以来の再会になるか。なんだかんだで相当久しぶりの再会になりますが、ロビンだけ優しく男性陣に手厳しいサンジの対応も相変わらずの様で。変わりなくて良かった。

 彼らはジェルマ云々の詳しい話を知らないままに終わりそうだけれど、それはそれで良いんじゃないですかね、多分。麦わらの一味って結構、お互いの過去をわざわざ知ろうとしない事も多いし。

 自身が加入する前の一味の航海の軌跡ですら、ほとんど知らなかったり。ブルックの登場まで、チョッパー以降のメンバーがラブーンの事を知らなかったり、ナミの過去と密接に関わって来るアーロン一味との事に関しても、偶然ハチと再会した事で初めて聞かされていたり。
 すでに決着のついた互いの過去に対して、良い意味で関心がないというか。しがらみも過去も捨てて、僕らならそれでも笑えてるはず……なんて歌詞もある事だしな。


 ウソップ、ロビン、フランキーとの再会を果たし、ゾウでの一件以降サンジと再会していないのはゾロだけという事に。
 現在絶賛迷子中のマリモヘッドさんですが、サンジとの再会を先延ばしにされているのは何か理由があるのかな?
 いつものケンカ仲間に戻るまでの焦らし期間なのか、何か大きな再開イベントが発生するフラグなのか、はたまた腐女子達をふるいにかけているのか。

 ゾウではあえてサンジを迎えに行く事に反対の立場を取っていた(内心では少なからず心配していた様だけど)ゾロだけに、どういう態度で再会を迎えるのかは愉しみですね。まあ、多分いつも通りの憎まれ口に戻るかな。


 しかし男性客を集める料理の提供に不満げなサンジ君ですけど、なんか大量の女性客の中、明らかに女装したオッサンみたいなのも混じってますね……。(3P目最後のコマ)
 VIVRE CARDじゃ、白ひげ海賊団16番隊隊長のイゾウさんがワノ国の出身者だと確定してましたが、いわゆる女形の様な文化がワノ国にも存在するのかな?

 ……いや、イゾウさんとは何かジャンルが違うな、このオッサン。たぶん、純粋なオカマだな。サンジに降りかかったカマバッカの呪い、ワノ国に来てまで発揮されてしまうのか。



■狂死郎一家

 サンジが店を出した場所は、以前ロビンが芸者として潜り込んだ両替屋、居眠り狂死郎の一派が牛耳るシマだったらしい。
 あの人、おヤクザさんでもあったのね……。両替屋としての彼は黒炭家(将軍家)の御用達らしいので、このヤクザ稼業も将軍公認のものなんだろう。

 サンジに因縁をつけてきた狂死郎の部下はカクさん、クニさん、スケさんと……。どう見ても水戸黄門ですね。
 カクさん、スケさんは分かりやすいとして、クニさんは水戸黄門の本名、徳川光圀から取られたものかな。

 しかしカクさんて。名前、思いっきりCP-0の長っ鼻と被ってますけど、良いんですかね。お鶴も既存キャラと被ってるけど、こっちは文字表記まで丸被りだからな。
 ワノ国編は割と元ネタありきのネーミングが登場する弊害か、ちょくちょく有名キャラとの被りが発生してますね。まあこっちのカクさんはモブに毛が生えた程度の人物っぽいんでそこまで問題もないんですが、今後出番の多いキャラクターでこういう事が発生すると少しややこしくなるなぁ。


■狂死郎一家との小競り合い

 いざこざの発生に関しては、正味町のルールを無視して勝手に店を構えてたサンジが10割悪い気がしないでもないですが、店の食材を蹴倒し、既に金を払って客の手に渡ったそばにまで手をあげるのは明らかにやりすぎ。
 ただでさえ、都の外じゃ食糧難に苦しめられてるというのに。

 当然の如くサンジの怒りを買い、秒殺の憂き目にあうクニさんとスケさんなのでした。哀れ。そしてそばのお代もちゃっかり巻き上げられている。
 どうでも良いけど、「いらねェよ おれァ強ェから」の言葉回しとか表情、どことなくルフィっぽさを感じる。


 狂死郎一家に歯向かった途端の客達の反応からして、彼らがオロチ、カイドウと密接なつながりにある事は周知の事実らしい。
 逃げ足が速いのか、はたまた同名の人気キャラの加護でもついていたのか、1人生き残ったカクさんは狂死郎への報告に。

 百獣海賊団トップクラスのポジションに立つクイーンを呼び捨てにしてみたり「奴」呼ばわりしてみたり、狂死郎の立ち位置がイマイチ分からない。まあオロチに対しても陰でボロクソに言ってた様な男だし、単に当人のいない場所じゃ気が大きいだけかな。
 オロチご執心の花魁を加えた様な宴にわざわざ呼ばれているぐらいだし、以外と将軍からの信頼は厚いのかも?




禿のおトコ

 「禿」と書いて「かむろ」と読むそうです。思いっきり「ハゲのオトコ」と読んじゃってごめんね、トコ。
 要は将来的に遊女として働くため、上級の遊女に仕えて下積みをしている少女の事を指すらしいです。付き人みたいなもんかな。


■元奴隷?

 いつ何時でも笑いを絶やさないおトコの姿は、「明るい」とか「健気」とか「面白い」とか以上に、「不気味」と映ってしまったのは私の心のケガれゆえなんでしょうか。
 端的に言って、こわい。

 というか彼女のこの性質、なんか理由がありそうですよね。無理に作り笑いを浮かべているのか、単純に感情の制御がばかになってるのかは微妙なとこ。

 状況にそぐわない笑顔を常に浮かべている辺りは、タイヨウの海賊団の船に乗っていた時期のコアラを思い出すところはありますね。コアラの場合は天竜人の奴隷となっていた時代のトラウマから来るものだったけれど、トコの場合はどうなんだろう。世界政府非加盟国という条件を満たしているとはいえ、鎖国国家のワノ国に元奴隷が紛れ込んでいるとは、ちょっと考えにくい。

 ワノ国には囚人採掘場の様な奴隷制度に近しいものが存在するけれど、アレは完全な労働力としての奴隷なんで、見世物としての側面も強い天竜人の場合とは少し違ってくるしなぁ。流石にトコみたいな子供を奴隷にしたって、力作業にはほとんど役に立たないだろうし。

 奴隷経験者などでなければ、自身が仕える花魁やその周囲から、奴隷の様に手酷い仕打ちを受けている可能性も? と言っても、当の花魁との会話シーン(一言だけだけれど)を見る限りそういう雰囲気はあまり感じられないので、言い掛かりレベルですけど。


■能力者?

 個人的な印象だと、「何かを恐れて無理に笑っている」というコアラパターンよりは、「どんな時でも純粋に『笑い』の感情が浮かんでいる子」という感じの方が強かった。
 というか、トコ自身の表情はともかく、正直周りのウソップ達のリアクションの方も大概異様な気も……。
 「男じゃないよ!!?」のギャグ、そんなに笑うところですか!?っていうね。

 ウソップやフランキーに関しては「ノリ」の一言で済むかもしれないけれど、にしても過剰にウケすぎでは。
 実は彼女は人間の感情を操るタイプの悪魔の実の能力者なんじゃないかな、とか、そういう方向性の印象を感じましたかね、私の場合。
 能力の制御が上手い事出来ていないせいで無意識に能力を発動してしまっていたり、自分の感情にまで影響を与えてしまっている感じで。
 他人を好き放題に楽しませられる能力なんて、芸者向きの能力だよなというメタ的な視点も含めて。


■SMILE能力者?

 常に笑いまくっている能力者……と聞くと、ギフターズ達の様なSMILE能力者も思い浮かぶ。
 もしかしたら、彼らのあの感情がばかになった様な大笑いっぷりも、SMILEの副作用なのかな?
 しかし例えばホールデムなんかは「笑い」よりも「怒り」の男って印象だったから、どうなんだろう。

 SMILE能力者のほとんどは、どうも動物となった部位を元に戻す事が出来ないっぽいですし。シープスヘッドとかウルフグリップの人とか、上手いこと制御できてる人もいるけれど、仮にトコがSMILE能力者だとしてもそこまでの練度に達しているとも思えないからなぁ。

 あと本音のところを言うと、SMILE能力って今のところ別に全然強くないですし、ただでさえ「能力の発現箇所によっては全く役に立たない」という悲しみを背負っているのに、更に副作用という業を追加するのは……流石にかわいそうというか……。
 



“花魁”小紫

■傾国の美女

 現実世界ではともかく、ONE PIECE世界のワノ国における“花魁”というのはトップアイドルの様な存在らしい。
 しかも国に1人しかいないのね。芸者達の頂点に立つ存在の通称が“花魁”なのか、たまたま当代では小紫の存在が強すぎて、他に比肩できる芸者がいないだけなのか。

 パンクハザード等で、錦えもんがロビンの事を「花魁」と比較的気軽に呼んでいた辺り、彼の価値観……つまり20年前基準の考えでは、花魁というのはそう貴重な存在では無かったんじゃないかな、って気もする。
 国内に常に1人しかいない様な称号なら、仇名としてポンポンつける様なものじゃないですしね。今では小紫の存在が偉大すぎて、簡単に名乗れる様なものではなくなってしまったんだろう。

 
 提灯ババーさんの言うには、小紫は「女の完全体」ともされる美女である、と。言い方からして、ハンコックやしらほしに並ぶ感じなのかな。世界三大美女的な。

 今週号では口元がちょっと映っただけだけれど、観衆の中で歩を進める姿を見る限り、かなり体格は大きめっぽい? そこらの民間人の1.5倍くらいの身長はありそうに見える。遠近法かな。蛇姫といい人魚姫といい、この世界の美女はでっかい人が多いですね。

 シルエットで描かれた姿の髪型部分は、ワノ国編において度々登場しているキツネの面を被った三味線引きに似た感じ? 第925話で描かれたものと比べると、かなり似てる。
 けど、こっちは遊女や舞子の髪型なんてそこまで個性があるものじゃないよなー、という感じもするんで、何とも言えないですね。というかあのキツネ仮面、生きた人間なんですかね。単なる演出上の存在な気もしますけど。


■小紫とは何物?

 将軍・オロチの好意を受ける小紫は、味方につける事ができれば討入り作戦の成功率を大きく上げてくれそうな感じがする。
 そんな小紫という人物、一体何者なんだろう。わざわざシルエットや口元だけの描写で焦らしのターンに入った辺り、重要人物っぽい感じはしますけど。

 彼女が既存の人物との関係性があるのであれば、やっぱりそれっぽいのはモモの助の妹・光月日和かなぁ。
 焼け落ちるおでん城のシーンでわざわざ登場させたのだから、何の役割もなく即退場…とは考えにくいですもんね。

 編笠村に1人生き残っている事や、飛徹との関係性などからお玉も光月家と関係していそうな感じがするんですが、玉=日和だとすると、トキは日和だけをモモの助達とは違う時代へと飛ばしたという事になるんで、若干の不自然さはありました。
 仮に日和が時を渡らず、何らかのルートからおでん城を脱し生存していたのだとすれば、現在の年齢はおよそ20歳~23歳くらい。ワノ国いちの美女と呼ばれるには丁度いい年齢かな。

 そういや、91巻の表紙ではお玉の髪色が紫色である事も判明してましたね。小紫という名前が本名ではなく芸名の様なものだとして、玉との関係性とかもあるんですかね。けどモモの助と日和を除き、光月の血筋は全滅したっぽい感じだからなぁ。


 
■ワノ国内の通信設備

 小紫の通過によってぶっ倒れた人達の救助用に、普通に電伝虫っぽい通信が行われてますね。百獣海賊団の関係者以外にも、電伝虫は使われているのね。

 そういや大相撲の実況をしていた人も、電伝虫を応用したっぽいマイクを使ってたか。
IMG_1501
(ONE PIECE91巻 第915話より)


 第822話で、錦えもんは電伝虫の事を「海外の文化」と認識していたっぽいけれど、カイドウによって国内に持ち込まれた事から、20年の内にワノ国内でも普及した感じかな。




将軍オロチの能力

■竜の能力者

 小紫を招いての宴会を開き、彼女を落として見せると意気込むオロチ将軍
 未だに姿は見せませんが、シルエットはどう見ても八岐大蛇ですね。名前のまんまですけど、カイドウだけじゃなくオロチも能力者だったのね。
 頭部を複数持っているという事は、SMILE能力でもなさそうね。

 パンクハザードにて、「竜」に対して並々ならぬ敵意を見せていた錦えもん。「親の仇も同然」とまで言い放っていましたが、いざ登場したカイドウの能力は「龍」への変身能力で、似て非なる存在でした。
 たぶん、オロチの能力こそが「竜」への変身能力なんでしょうね。錦えもんは竜と龍を混同していたワケではなく、双方ともがおでんの仇であったと。

 竜というのは、珍獣まみれのONE PIECE世界においても非実在の動物とされている様で、当然動物系の種別としては「幻獣種」に当たるんでしょう。しかも八岐大蛇ともなれば、幻獣達の中でも更に幻獣っぽさがある。

 実の名前、何になるんだろう。ただの竜なら“ヘビヘビ”“サラサラ”辺りっぽいけど、シンプルに「ヘビヘビの実 幻獣種 モデル“八岐大蛇”」で良いのかな。“ドラドラの実 モデル八岐大蛇”とかでも良い気はしないでもないけど。
 

■オロチの強さ

 狂死郎には「小心者」とバカにされていたオロチだけれど、彼が竜の能力者であるなら、その戦闘能力にも期待は持てそう。
 正直大看板の3人を除き、強敵らしい強敵が見えなかったワノ国だけに、彼が戦闘能力においても秀でたものを持っているなら嬉しい限り。将軍という事で、やっぱりゾロとのタイマン勝負なんかに期待したいですね。

 
 そういえば、ルフィはカイドウとの対戦時まで、飛徹から借りた二代鬼徹を腰に差していた。
 カイドウにこてんぱんにやられたタイミングまではその存在が確認できるのですが、流石に囚人採掘場においては見当たらず。普通に考えると、百獣海賊団に没収されたんでしょうね。

 この二代鬼徹、オロチの手に渡らないかなぁ。
 竜の能力者であるオロチを打ち倒す事で、ゾロはかつてその遺体と剣を交えたリューマ竜斬り伝説を引き継ぐ形となり、更に二代鬼徹の真の所有者として選ばれる。シンプルながら絶対に盛り上がりそうな流れが予想できるので、中々に愉しみ。

 ……オロチ、能力にだけかまけた臆病者キャラにならないと良いなぁ。新世界入ってから、ゾロはあんまり本気の勝負をさせて貰えてないんで、今の彼と渡り合えるほどの強者であれば良いんですが。