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アニメ版 ONE PIECE
第868話
「男の覚悟 カタクリ命がけ大勝負」 


【原作の対応話数】
89巻 第893話 8P~17P、
89巻 第894話 9P~12P

もくじ
あらすじ
原作からの変更点
感想
登場した技
声の出演


【あらすじ】
 ルフィに致命傷を負わせた一撃に、フランペの介入があった事に気付いたカタクリ。男の勝負を汚した妹の行いに怒りを燃やしたカタクリは、手にした槍によって己の脇腹を貫き、ルフィに与えてしまったものと同じだけの傷を自ら負うのだった。そしてあえてマフラーを脱ぎ捨て素顔を晒すと、勝負に横槍を入れたフランペを一喝する。
 カタクリの素顔を見た瞬間、態度を一変させたフランペやその部下達は、カタクリを罵倒し写真を国中にばら撒こうとする。そんな中、深手を負いながらなんとか立ち上がったルフィと、カタクリは再度対峙。互いの覇王色の覇気を発動し、周囲から騒ぎ立てるフランペ達を一掃するのだった。

 ケーキと共にビッグ・マムを引き受けたベッジは、シフォンの覚悟を聞き入れると麦わらの一味を安全に逃がすためにビッグ・マムの誘導を続ける。一方カカオ島へと先行したサンジとプリンを送り出したサニー号には、将星スムージーの率いる艦隊が迫っていた。その能力により、囚人や部下を犠牲にする事で巨大化したスムージーは、幾度もの斬撃を放ちサニー号を狙い撃つ。だがこれらは、皆からの指示を元にしたジンベエの操舵により辛くも回避。危機的な状況を乗り越えながら、サニー号はルフィとの落ち合い場所であるカカオ島を目指すのだった。

 鏡世界における死闘は、最終局面へと突入していた。目の前の強敵の実力を認めたカタクリは、ルフィを格下とは思わない事を宣言する。自分との戦いに全力で臨むカタクリに感謝を述べつつ、最後には自分が勝つ事を叫ぶルフィ。もはや、2人の戦いを邪魔する者は存在していなかった。互いの渾身の拳が交差し、互いの顔面へと叩き込まれる。認め合った強者達の、最後の戦いが始まった。


【原作からの追加点・変更点】
※セリフの変更点は細かい差異が多いため、気になった箇所のみ紹介


・原作第893話8P、カタクリが自身の方を向いた際に、フランペが「やっぱり完璧でカッコイイ!」と悲鳴を上げて喜ぶセリフ追加。

・カタクリがフランペの方へと向かう際、地面に突き刺した土竜を引き抜く描写追加。

・カタクリが近づいて来た際、フランペが「本当にお利口さんだな」とカタクリに褒められる妄想をするシーン追加。

「これでカタクリ様の勝利、確定ですね」と言う部下に対し、フランペが「完璧なおにー様の完璧な勝利よ」というセリフ追加。

・原作第893話 10P 5コマ目、フランペがカタクリの方へと飛んでいこうとするシーンの前に、カタクリの「フランペ、お前のしわざだな」というセリフ追加。

・上記シーンにて、原作ではフランペがガムを噛んでいる擬音が書かれていたが、アニメでは省略。ガムを含んでいる事による口の膨らみ自体は原作通り。

・カタクリが自らの腹を刺した際、フランペの「ど…どうして?」というセリフ追加。

・カタクリがマフラーを取り口元を露わにした瞬間、原作ではフランペだけだったがアニメでは部下達が驚く様子も追加。

・カタクリの素顔を見た際の、フランペの「来ないで!! 触るな!! バケモノ」というセリフのうち「バケモノ」の部分が削除。

・フランペの部下達の「カ…カタクリ様!? その顔…呪い!?」というセリフ削除。

・原作第893話 13P 5コマ目、フランペの「何のマネ?」と「自分のお腹刺して…!」というセリフの間に、「いつも気高く冷静で強く、全てが完璧! それが私達の憧れるおにー様だったのに!」というセリフ追加。

・フランペがカタクリを「フクロウナギ」と罵るセリフにて、「耳まで口が裂けて」の部分が「みっともない」に変更。

・カタクリが幼少時代に「フクロウナギ」と馬鹿にされていたシーンにて、原作ではカタクリの顔や表情が見えない構図で描かれていたが、アニメでは見える様に。

・上記シーンにて、原作では少年達がカタクリの素顔や強さを恐れて逃げていく描かれ方をしていたが、アニメでは嘲笑いながら逃げ去っていく描写に。
 また「あいつ強さもバケモノなんだ!!」というセリフが「こいつバケモノみたいな強さなんだ!」に変更。

・カタクリが顔に吐きつけられたガムを拭き取る描写追加。

・フランペを一喝したカタクリがルフィのもとへと戻る際、脱ぎ捨てたマフラーを踏みつけていく演出が追加。

・フランペが部下にカタクリの写真を撮らせる際の「みんなにバラすのよ あの顔っ!!」というセリフが、「みんなにバラすのよ この負け犬の姿を!」に変更。
 また「何してるの!? バケモノが逃げるわよ」というセリフが削除。

・カタクリの写真を撮るフランペの部下達が、「カタクリ様、こっち向いてくださ~い」「フクロウナギにほんとそっくりだ」と笑いながら言うセリフ追加。

・フランペの「みんなの憧れた完璧なおにー様、シャーロット・カタクリはもう死んだのよ!」というセリフ追加。

・フランペの「お茶会を台無しにしたアンタも許さないわよ麦わら!」というセリフ追加。

・フランペの「今度は猛毒の吹き矢で心臓を貫いてあげる!」というセリフ追加。

・原作第893話 15P、ルフィとカタクリの、「悪かった~~」「海賊の勝負に~~」という会話が、覇王色の覇気によりフランペ達が倒れた後に変更。
 「外野が~~」のタイミングに関しては原作通り。

・ルフィとカタクリが同時に発動した覇王色の覇気が、カタクリは青く、ルフィは赤く描かれている。
 また発動時、互いの目が覇気の色とは逆にカタクリは赤く、ルフィは青く光る演出がされている。

・覇王色の余波により、周囲の鏡や壁が破壊される描写追加。またフランペの部下達が写真を撮る為に使っていた電伝虫達も、覇王色の覇気によって倒れている描写追加。

・原作第894話 9P、ビッグ・マム海賊団に追われるベッジ達のシーンが、原作第893話 16Pのフランペ達が倒れた直後のシーンに移動。

・上記のベッジ達のシーンにて、原作では22時10分を示す時計が描かれたがアニメでは削除。 

・シフォンとベッジが見ているトットランド内の地図の内容が、原作と一部変更。

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(左:アニメONE PIECE第868話より、右:ONE PIECE89巻 第894話より引用)


 ホールケーキアイランドの位置が描き込まれていない他、名前や位置が確認できる島が多くなっている代わりに、地図上部の島々が隠れて見えなくなっている。
 またリキュール島とナッツ島の間付近に、ジャム島が追加。これは原作第828話にてプリンが描いた地図にも描き込まれているが、この時とは位置関係が多少異なっている。

・食いわずらいのビッグ・マムが、腹を減らし目の前のウェディングケーキを欲するセリフ追加。

・ビッグ・マムをふんわり島にまで引きつけるというシフォンに反論するベッジに対し、ルフィ達への恩返しのために「一人でも私は行くわ!」と決心を固めるセリフ追加。
 それに対し、ベッジはふんわり島へと進路を移す事を決め、「ますます惚れたぜ」と返している。(なお部下達はビッグ・マムへの怯えから涙目になりながら従っている。)

・サンジとプリンがラビヤンに乗り、サニー号から一時的に離れる際のシーン追加。
 「プリンちゃん、カカオ島へ頼む」というサンジに対し、プリンが「亭主関白気取りは許さねェぞ!」と照れながら怒っている。

・サンジ、プリンが出発した後、目を覚ましたキャロットが甲板に上がって来るシーンが追加。
 またイヌアラシ、ネコマムシのスーロン化に関して、「私とは段違いに強くなる」と発言。

・原作では省略されていた、スムージーからの攻撃が始まった瞬間の描写が追加。後方から放たれた斬撃を、ジンベエが咄嗟の操舵で回避している。

・スムージーが剣を突き刺す事で囚人を干からびさせ、抜き取った水分で巨大化するシーン追加。なおこの時の囚人の服には、声優を務めるV6の三宅健氏を意識した「V6KM」の文字が書かれている。

・能力によって巨大化したスムージーが、ピンク色のオーラを纏った様な演出が追加。なお彼女が放つ斬撃も、基本的にピンク色で描かれている。

・囚人から水分を抜き取ったスムージーが、「まだまだ水分が足りない」と部下からも水分を奪うシーン追加。
 これに対し、シナモンは「部下にまで手を出すなんて、やり過ぎだ」と諫めている。

・ブルックがスムージーにパンツを見せて貰おうとし、ナミにビンタされるシーン追加。

・ジンベエの操舵によって回避したスムージーの斬撃が、原作では1発しか描かれなかったがアニメでは合計4発描かれている。

・攻撃を回避する際の度重なる船の揺れにより、チョッパーとキャロットがダウンしている描写追加。

・覇王色の覇気によってフランペ達を蹴散らした後、ルフィとカタクリが互いの渾身の拳で激突するシーン追加。
 カタクリの拳が先に炸裂しルフィは倒れかけるが、そこで踏みとどまり伸ばした腕によるパンチを叩き込んだ。
 またこの際、互いの拳に覇王色の色と同様のエフェクトを纏っており、更に互いのパンチを炸裂させた後には覇王色の衝突の様な演出もされている。


【感想】
■カタクリの覚悟

 本格的な登場からそれほど年月が経っていないにも関わらず大人気のカタクリさんだが、今回描かれたエピソードはその中でも象徴的なものだと思う。

 正直カタクリに関しては色んなところで語りすぎて、今更書くような感想も特にないというところもあるんですが、やはりアレだけ隠そうとしていた自分の弱みを自ら曝け出すのが良い。ルフィと同じ傷を負い、ルフィと同じ嘲笑を受け、対等の場に立ってから始まる最終決戦。単なる悪役として登場するキャラクターが見せる動きでは到底なく、ONE PIECEという作品内に登場する敵キャラクターとしてはかなり異質な存在であると言える。

 アニメ版だけの描写に注目すると、フランペを一喝した後にルフィの方へと帰っていくシーン。
 罵倒を続けるフランペや嘲笑しながら写真を撮る部下達を無視しながらルフィと向き合うのは同じなのだが、アニメではその道中、自らが脱ぎ捨てたマフラーを踏みつけて歩いて行く描写が挿入されている。

 このマフラーは今まで、耳まで裂けた口や牙という自身の素顔を隠すために巻いていたモノ。フランペが彼の素顔を見た瞬間、「完璧」な兄の理想像が破壊され幻滅してしまった事からも、この素顔を隠すためのマフラーはカタクリが家族の前でも被り続けた、「完璧」という仮面そのものであると言える。

 そしてカタクリは、脱ぎ捨てたこの仮面を踏み越え、ルフィと対峙する。自身が認めた対等の強敵に対して敬意を表し、あるがままの本当の自分を露わとして戦う。
 「ママを脅かす存在になる前に」と、当初はビッグ・マム海賊団ためにルフィを倒そうとしていたカタクリ。だがここに来て、完璧な兄というある種の呪縛から解き放たれた彼は、初めて自分自身のためだけにルフィという同格の敵に挑むのだ。

 また声優の芝居にも注目すると、フランペへの怒声を上げるシーンやラスト付近の雄叫びなど、従来の演技に比べ少し高めの声色が使われているのが目立つ。こっちの声の方が、「素のカタクリ」としての声なんでしょうね。

 この辺はどうなんだろう。たぶん個々人の好みによって、どっちの声が良いかは分かれるところなのかな。
 個人的には「どっちもアリ」派なんですが、これの放送よりも少し前に、アプリゲーム「トレジャークルーズ」内で実装されたカタクリのボイスでは、普段と同じ低めの声色で同シーンを元にしたセリフを喋るものが収録されてました。
 たぶん、演技指導の人によって解釈が分かれるところなのかな。ある意味では、一粒で二度美味しい。



■フランペ&部下

 きみ達ほんと気が狂った様に笑ってんな。
 ジャックが率いていたギフターズの集団も似た様なモンだったけど、狂気具合ではフランペ達の方が上回っているかもしれん。っていうか、完全に調子に乗ってるフランペはともかく、周りの連中は怖くないんかな。数時間前のカタクリだったら、きみ達全員コロコロされちゃってた気がするけど。

 フランペに関しては、かなり分かりやすい形での「ヘイトを稼ぐためのキャラ」という位置づけになっている。見様によっちゃ、読者や視聴者から買った嫌われ度合いは天竜人にも近いんじゃないか? まあ、彼女の場合その分「好き」という声も聞くので、中和されてはいるけど。

 ただフランペの名誉のためにフォローしておくと、この状況におけるルフィという人物は、「女王暗殺を企てた首謀者の1人」。ビッグ・マム海賊団からしたら絶対に生かしておいてはいけない存在なワケで、そんな人物を相手に味方が戦っている状態で「加勢に入る」というのは、本来なら決して責められる行為ではなかったハズなのだ。

 というか、カタクリがルフィに対して「倒せさえすればそれで良い」という程度に思っている段階で横槍を入れておけば、下手すりゃ彼女の望んだ通り、褒めてすら貰えたかもしれない。フランペの不運は「横槍を入れた時、すでにカタクリがルフィを認め始めていた事」であり、地味に物凄く間の悪い娘であったと言えるかもしれない。ある種の不幸属性っすね。


 ……まあ、その後のカタクリへの罵倒や手のひら返しっぷりは、中々フォローできるモンでもないんだけれど。
 ただ正直、ねぇ。あんまり責められないのよね、彼女。何でって、他でもない自分自身が、大口開いてドーナツ食ってるカタクリを見た時、初見ではかなりガッカリしたから。

 組織のナンバー2でありながら、ルフィをまったく寄せ付けない程の強さ、ルフィの上位互換と呼べる能力、そして奇をてらい過ぎていない正統派のビジュアル……と、「カッコいい強敵」の要素を前面に出していた彼が、いきなり見せた素の姿に、少なからず「上げて落とす」みたいな印象を持ったのが事実だ。
 というかSNSなどを眺めていた感じ、自分を含め当時彼の本性に対しマイナスな感想を持っていた人は、決して少なくなかったと記憶している。

 確かに裂けた口に対してめちゃくちゃ嫌悪感を抱いているのは、「いや君ら、こんな異種族まみれの国に住んでて、今更そんな事で……?」と思うところもあるが、彼の素の姿に「幻滅」してしまったのは、何も彼女らだけではないのだ。
 と言っても、流石にあの手酷い罵倒が許されるワケじゃないんだけど。


 まあ、言うても彼女、まだ15歳のお子さんですからね。しかもあの感じを見るに、周囲に自分を持ち上げてくれるイエスマンばかりしか置いていなかったんだろうなぁ、というのも想像に難くない。

 というか冷静に考えると、彼女が時折口にする「キングオブ妹になる女」という言葉、裏を返せば自分はまだキングオブ妹ではない、つまり真に一番愛されている妹などではないというのを自覚しているという事でもある。自分が集計しているアンケートだから、兄姉達が仕方なく自分に入れてくれている……というのも、実はなんとなく悟っていたんじゃないかな。

 しかし他に自己表現の仕方も知らず、自分が他者に愛されていると言い聞かせるように、フランペは振る舞っていた。そう考えて見ると、ぐにゃんぐにゃんに歪んでしまってはいるとはいえ、これからの環境次第ではまだ改心の余地はいくらでもあるんじゃないか、という気がしてくる。

 正直、目を覚ましたフランペがカタクリの素顔をバラ撒いたとして、一定以上年上の兄姉達ならそんなモノは暗黙の了解でしかなかったハズ。間違いなく、しこたま怒られるのはフランペの方だろう。そうなった時に、初めて彼女は自分の価値観の中に存在する粗に気が付けるんじゃないかな。フランペに改心の機会があるとすれば、タイミングとしてはそれが一番シンプルだと思う。



■カタクリへの罵倒の言葉

 上の方にもまとめた原作とアニメの差異に関してだが、何気にフランペ達のカタクリに対する罵倒の言葉が大きく変更されている。

 具体的に言うと、「バケモノ」という言葉の削除、「その顔、呪い!?」の様に「顔の事を悪く言っている」事が明確すぎるセリフの変更、「耳まで裂けて」などの「口裂けについて言葉で言及する」事の回避など。
 カタクリの容姿を罵倒していると分かるセリフに、全体的な修正が入っている感じだ。「強さもバケモノ」というセリフが「バケモノみたいに強い」に変更されていた所なんかが、「容姿を指してバケモノと呼ぶ事の回避」が行われたシーンとしては分かりやすいかな。
 まあ、フクロウナギというフランペの謎すぎる語彙の例え話はそのままだったけど。

 この辺りは、確かプリンの三つ目に関するところでも多少修正が入っていたと記憶しているけれど、やはり放送上の問題なんだろう。
 特に口裂けに関しては、似た症状が実在の人間にも存在するデリケートなものだとも聞くので、取り扱いには色々と注意が必要だったんでしょうね。

 とはいえ、修正が入ったとして内容に変化があるわけでもなく、カタクリ本人やエピソードの魅力を損なう様な無茶な変更の仕方はされていないので、特に問題はない。
 20年近く前の某アニメでは、都市伝説の口裂け女が登場する回が放送見送りになったなんて事もあったので、こちらもどうなる事かと思っていたんですけど、特に問題もなく放送されてくれて良かった。



■「みんなにバラすのよ、この負け犬の姿を」

 上では違和感なく修正されていたと言ったんだが、このセリフだけは少々違和感。
 「あの顔」の部分が「負け犬の姿」に修正されたセリフなんですが、「負け犬」って言葉はあまり適していなくないか……?
 「完璧だったハズの兄が、ルフィに押されている」という状況ならともかく、戦況は圧倒的にカタクリ有利だしなぁ。

 ……と思ったが、そうだ、アニメではフランペ、ルフィに素顔を見られたカタクリが激昂していたタイミングで、すでに鏡世界へ入っていたんだった。
 という事は、冷静さを欠いたカタクリが、ギア4のルフィにボコられてる所も見ていたハズ。その後の反撃で再度優位に立ったから「様子がおかしかった」程度に考えていただけで、カタクリに幻滅した今のフランペとしては、攻撃を数回モロに喰らっただけでも、完璧には程遠い負け犬という評価に行き着いてしまった……ってところだろうか。



■猛毒の吹き矢

 前回の感想で、「無音のまま毒の矢でも放てたら強そう」なんて漠然と言っていたが、どうも本当に猛毒の吹き矢を放つ事は可能らしい。覇王色によって倒れたため、実際に使われる事はなかったけれど。

 音も気配もなく、毒の種類や威力も調整できる暗殺者……。無茶苦茶強くないですか。
 マゼラン戦を経た今のルフィにちょっとやそっとの毒は通用しないが、フランペのシビレ針はそんなルフィにも通用する、普通の麻痺毒とはちょっと毛色の違うものだし。基本的にはサポータータイプだが、そこそこの敵なら単独で倒せちゃうんじゃないか。

 なんやこの子。有能か。
 難点があるとすれば、本人がゲラすぎて隠密にあんまり向いていないというところか。地味に致命的だな。



■覇王色の覇気

 2人の覇王色が同時に発動する瞬間を、ONE PIECEではよく「覇王色の衝突」と表現されたりもするが、今回のコレは互いの覇王色をぶつけ合うというよりは、外に向かって相乗効果の覇王色を放出するイメージかな。
 2人とも、完全に外野を黙らせるために発動した感じだし。

 「どうせ立ってられねェよ」からの覇王色は文句ナシに格好いいんだが、不満があるとすればその直前にあった「針一本に気付けなかったおれも間抜け」「海賊の世界に卑怯なんて言葉はねェ」というやり取りが、覇王色発動の後に回されてしまった事。

 騒ぎ立てるフランペを意に介さず、互いが互いの非を全く責めようとしない「認め合った強者同士ゆえの会話」で一拍置いてからの覇王色、という間の取り方が好みだったのだが、アニメではその会話が後に回されたために「対峙してからすぐ覇王色」という唐突感が否めない流れになってしまった様な気がする。
 シーンが削られたわけでもないので好みの問題かもしれないけれど、個人的には少し残念だった点かな。



■プリン「亭主関白気取りは許さねェぞ!」

 関白じゃなけりゃ亭主気取り自体は良いんかい。


■スムージー姐さんの斬撃

 全く当たらない事に定評のあるスムージー姐さんの剣技だが、アニメではこれを繰り出すための巨大化に、囚人や部下の水分を抽出している事が判明。

 囚人はともかく、部下にまで手出してるんかい! しかもその上で一撃も当たってないんかい!

 てっきり海の水でも吸い上げて巨大化してるのかと……。こんなにも無駄な形でミイラみたいにされて、部下達も死んでも死にきれまい。
 
 なんかアニメのスムージー姐さん、オペラを脅迫してマムに立ち向かわせるわ、部下の命はめちゃくちゃ軽く見てるわで、極悪非道キャラみたいになってません……?
 非情でかつ強力だったり優秀だったりすれば、キャプテン・クロやクロコダイルみたいなキャラ付けにもなるが……ぽんこつが非道ぶってもそれは単なるヤベェ奴なんだよなぁ。

 っていうか、そんなコストがかかる能力使うんだったら、船に貯水タンクでも積んどいて下さいよ姐さん。自分の能力の難点ぐらい、流石に分かってるでしょうよ。

 部下を犠牲にするわ船の限界超えるまで巨大化するわで、妹達さえ若干引き気味ではあったが……まあ、巨大な斬撃を飛ばすシーンは妙に気合入って描かれていたんで、見せ場としては良かったかな。
 施行回数が増えた分、攻撃のくそ外し率は更に上がったんだけどね。



■副音声

 今回、そして次回のTV放送版では、副音声としてルフィ役の田中真弓さん、ウソップ役の山口勝平さん、そして主題歌を歌うV6の三宅健さんの座談会的なものが聞ける。
 ちなみに三宅さん、脇役の声優としても参加してました。スムージー姐さんに絞られた囚人の人ね。

 ただこれ正直……副音声が優先されて本編の音が小っちゃくなっちゃうから、初見で聞くには向いてないね。録画して2周目の視聴時に副音声に切り替える事をオススメします。デッキにもよるかもしれないけど、ウチの場合は最高画質で録画すれば副音声もきちんと残ってました。

 副音声の内容に関しては、後で別の記事にまとめようかと思ってます。本編の内容とは少し話がズレちゃうしね。

(追記)
 ちょこちょこと感想を交えつつ、副音声の内容まとめました。
 興味のある方はご覧あれ。

 【ONE PIECE】アニメ第868話 副音声トークまとめ・感想



【登場した技】 
モチ突き
使用者:カタクリ

 回想シーン内でのみの登場。第867話にてルフィの脇腹を抉った際のもの。


覇王色の覇気
使用者:ルフィ、カタクリ

 ルフィとカタクリが同時に使用。
 周囲で騒ぎ立てるフランペやその部下、及び彼らが使う電伝虫達を一斉に気絶させた。
 なおこの際、アニメではそれぞれの覇王色がカタクリは青、ルフィは赤で描かれている。


【声の出演】
ルフィ・・・・・・田中真弓
ナミ・・・・・・・岡村明美
サンジ・・・・・・平田広明
チョッパー・・・・大谷育江
ブルック・・・・・チョー

ビッグ・マム・・・小山茉美
ジンベエ・・・・・宝亀克寿
キャロット・・・・伊藤かな恵
ベッジ・・・・・・龍田直樹
プリン・・・・・・沢城みゆき
カタクリ・・・・・杉田智和
スムージー・・・・勝生真沙子
シフォン・・・・・久川綾
フランペ・・・・・斎藤千和
ヴィト・・・・・・岸尾だいすけ
シナモン・・・・・鈴木真仁
シトロン・・・・・今野宏美

フランペ部下・・・藤原貴弘 川原慶久 
         荒井聡太 新井良平
         千葉俊哉 五味洸一
         城岡祐介 戸松拳也
少年・・・・・・・香里有佐 祖山桃子
         石橋桃

特別出演・・・・・三宅健(V6)
(アニメのクレジットでは「特別出演」とのみ書かれているが、「ONE PIECE.com」の記事によれば囚人の役で登場しているとの事。)

ナレーション・・・大場真人