クラッカーとウルージのイルカレースを描いた扉絵から始まる最新話。
 ウルージからすれば、クラッカーは本編じゃスナック撃破後に戦ってボコボコにされた因縁の相手。そういう相手と仲良く(?)やってるのは、パラレル世界の扉絵ネタらしくて良いですね。

 というわけで、週刊少年ジャンプ2019年8号分の感想です。
 ネタバレを含むので、自分で買ってから読んでください。 


★もくじ
えびす町と禿のおトコ
ビッグ・マム海賊団襲来
サンジVSページワン  



えびす町と禿のおトコ

■“えびす町”の由来

 トの康に連れられたゾロが行き着いたのは、えびす町と呼ばれる九里とはまた別のおこぼれ町。
 前回のお話では「行けば分かる」と言われていた町名の由来は、町人みんなが「えびす顔」で笑っている事から来ていたのね。

 飢えや貧困からくる苦しさをハネのけ、福を呼び寄せるために笑って生きる……と言うのはまあ分かるのだけれど、それにしても怖い
 楽しいとか幸せとか、そういうのを一段階越えて気が狂っとる様に見えて仕方がない。これはこういうモンなのか。

 ジャックが連れていたギフターズ、フランペファンクラブの皆さん……と、近年のONE PIECEには時折トチ狂った様に笑い続ける妙な連中が登場しているけれど、流石に共通点とかは……特になさそうかな。
 まさか町の人みんながSMILE能力者ってわけはないだろうし。


 えびす町の彼らに関しては、ドレスローザに登場した玩具達が実は悲劇的な経緯で生まれたもの達だった様に、なんらかの外的な要因でこうなってしまった、という可能性もありそう。

 しかし玩具化とは違い、「あえて町民達を笑顔にさせる」事に何の得があるのか……って気もするから、これは笑わせるのが目的なのではなく、あくまで「他の何らかの目的の副作用として、笑顔が張り付いた様な町民達が生まれてしまったという感じかな。

 えびす町の最後のコマじゃ、最初は面食らってたゾロが口元ちょっと緩んでる様に見える辺り、陰謀なんぞではなく本当に幸福のために笑ってるだけなのかもしれないけど……まあゾロは変なところでニブいんで、単にあまり深く考えてないだけかもしれない。


■うしみつ小僧

 “人斬り鎌ぞう”と共に名前だけ登場していた義賊風の盗人が、再び名前だけ登場。以前は“丑三つ小僧”と漢字で書かれていたけれど、今回は平仮名表記。まあ大した違いもないだろう。

 彼(男性か知らんが)のおかげでえびす町には時々金品が舞い込み、多少は生活が保たれているっぽい。トの康がゾロの食った寿司の代金を立て替えられたのも、こういう形で収入を得ていたからなのかな。

 逆に言えばそれ以外の生活は悲惨で、井戸も枯れ果て普段は水も飲めない状態みたい。
 ……この人たち、どうやって生きてんだ? 食べ物は役人からのおこぼれがあるとしても、ただの水さえも「ごちそう」扱いって事は普段マトモに水分補給すらできていないのでは……。

 時々訪れる臨時収入で飲み繋ぎ、限界が来たら腹痛覚悟で汚染された川の水を飲んでいる感じなんだろうか。
 邪含草さえあれば解毒は可能だけれど、鶴さん曰く「毒が完全に消えるわけじゃない」らしいしなぁ。背に腹は代えられないとはいえ、中々過酷な選択肢だ。邪含草自体、そう簡単に手に入れられるもんでもないだろうし。

 しかしまあ、ここまで貧窮した状態だと言うのに、義賊の恵みによって得た貴重な飲み水を、何の所縁もない浪人に進んで分けてあげられちゃうのは凄い。九里のおこぼれ町の人達もそうだったけど、飢えてなお心が荒んでいないというのは本当に尊敬に値する。
 彼らの場合、これも「笑い」の力なのかな。呪いにしか見えない異様な光景にも、プラスに働く要素はきちんと存在してるのかもしれない。


■禿のおトコ

 えびす町の人々の「何があっても笑い続ける」という性質を持った人物は、ワノ国編において以前から登場していた。
 禿のおトコ。花魁・小紫に付き従う少女も、そばを叩き落とされた時に泣きながら笑うという、竹中直人の亜種の様な中々に吹っ飛んだリアクションを見せていた。

 おトコはえびす町の出身者である。
 これ自体は、ほとんど確定的なのかな。あの子の場合一応は涙を見せてるって事で、病状(?)はここまで深刻じゃないのかもしれないけど。

 そうなると気になってくるのは、「おこぼれ町出身のおトコが、なぜ都に入れたのか」って所かな。ハッキリした階級制度のあるワノ国において、おこぼれ町から都の住人に成り上がる手段なんて「国への大きな功を立てて金を生み出せる様になる」「有力者に見初められて招き入れられる」とかしかなさそうなものだけれど。

 単なる子供にすぎないトコが、自力で都へと成り上がったとは思いにくい。
 ならやっぱりアレかな。小紫の手によって、都の外の住人でありながら禿に抜擢された事で都に住むのを許可されたのかな。

 現状では中々の性悪街道を突っ走っている小紫さんだが、このまま悪党キャラとして出番を終えるとは思えない。金に執着する理由や、何らかの好感度回復エピソードが用意されている筈。その一環として、トコとの出会いのシーンなんかが描かれる事になるんじゃないかな。まあ、トコ自身がそこまで重要キャラであるわけではなさそうなんで、サラッと触れられる程度かもしれないけど。


ビッグ・マム海賊団襲来

 電伝虫の通信により、麦わらのルフィを追ってワノ国へ行く事をカイドウに伝えていたビッグ・マムですが、もう来ちゃいました。
 
 はえぇよ!! どうやって来たんだよ!!
 ワノ国のエターナルポースって、そう簡単に手に入るものなのか……? でも情報力随一のビッグ・マム海賊団だしな……ラフテル以外のほとんどの島の指針を持ってても、不思議はないかもしれん。
 もしくは、カイドウのビブルカードを持っているって可能性もあるか。今は敵対する身とはいえ、40年前は仲間だったっぽいしな。

 子供達も早々たる顔ぶれを引き連れてきた様で、主要なメンツで言えばペロスペロー、ダイフク、フランペ、モンドール、ガレット……そして我らが将星スムージー姐さん。
 他の将星達の姿はナシ。上位の実力者で言えばオーブンもいないんで、WCIでの戦闘で負傷した面々は取り合えず置いて来た感じなんだろう。片腕吹っ飛んでるのに平然と出陣してるペロスペローのタフネスっぷりはやっぱりバケモノだ。

 そしてアニメではつい先日出番の訪れたフランペも、堂々参戦。
 WCI編では中々のヘイト稼ぎマシーンっぷりを見せつけた彼女だが、あの一件を経て何か変わったところはあるのだろうか。
 変わってないからこそルフィへの恨みを晴らすために同行したって気もするけれど、まあ後で分かるだろう。
 個人的には、アニメで少しだけ言及された「猛毒の矢」というのを披露して欲しいところ。


 他に姿の確認できるメンツを一応挙げておくと、
・バスカルテ(炎出すやつ)
・エフィレ(帽子被って前はだけたガンマンの女)
・レザン(カカオ島でサンジに蹴っ飛ばされた剣士)
・モービル(ワイングラス持ってる手長族)
・タブレット(金髪のチビ)
・ポワール(パンダの被り物した口裂け娘)
・コンポート(頭にパフェみたいなの乗っけた中年女性。長女)

 ……辺り。バスカルテもジェルマ66に叩きのめされてたけど、きちんと復活してますね。
 あとバスカルテとエフィレの間にいる男は……ハイファットかな?
 兜の感じがそれっぽいのだけれど、ボヤけててイマイチ視認できず。


 というワケで、恐ろしい速度でワノ国へとやって来たビッグ・マム海賊団。だがそれを迎撃する為、百獣海賊団の“大看板”であるキングが現れ、ビッグ・マム海賊団の船を……

 蹴った!

 落ちた!!

 沈んだ!!!

 
 何という出オチ。何しに来たんやビッグ・マム。 

 ……とはいえ、当然このままビッグ・マム海賊団壊滅~しゅうりょ~とはならないだろうから、何らかの手段で助かるんだろう。
 主要メンバーは能力者だらけなので水没してしまえばどうにもならないが、今回登場していないカタクリなどの待機メンバーが後詰めとして向かって来ていて、ビッグ・マム達を救助する役回りになるのかな。
 せっかくの人気キャラであるカタクリが、ワノ国編での戦線にまったく関与しないとは思いにくいしね。

 ビッグ・マム海賊団の中で期待したいのはやはり仮にも将星であるスムージー姐さん……も勿論だが、個人的にはコンポートの活躍にも期待したい。
 長男であるペロスペローがアレだけ目立った活躍をしていたにも関わらず、長女であるコンポートはほとんど出番すらなかったからなぁ……。

 「出番はあるのに活躍しない」スムージー姐さんもアレだが、そもそも「出番すら与えられない」状態だったコンポートは、本当に人物像が分からないからねぇ。ベッジ達曰く、彼女もまた「バケモノ」らしいし、強い事は強いんだろうが。



■“大看板”キング
 
 ビッグ・マムを乗せたクイーン・ママ・シャンテ号を蹴落としたのは、大看板の一人であるキングさん。
 まさかクイーンより先に出番が来るとは。大看板筆頭格だろうから、最後まで取っとかれるかと思ってた。

 その能力はリュウリュウの実古代種、プテラノドンの能力という事で、ドレークやページワンと同じ恐竜系の実ですね。翼竜は恐竜じゃない? 知らん。
 てっきり飛び六胞の6人が恐竜揃え、大看板の3人はその他古代生物の能力を持つのかと思ったけど、キングもリュウリュウの実なのね。カイドウさん、人材マニアな上に恐竜マニアなのか?

 しかし正直プテラノドンって、あんまり「カッコイイ」とはなりにくいチョイスですね。いや好きな人は好きなのかもだけど、主役級の恐竜じゃないと言うか。
 ドレークがアロサウルスだから、ティラノサウルスの能力者は絶対出て来そうだと思ったけれど、見た目がほとんど被っちゃうから避けたのかな。

 翼竜状態じゃ満足に剣も握れないだろうし、戦闘時は基本的に人獣形態で戦う事になりそうかな。オロチが腕っぷしの強いタイプには見えない以上、ゾロと戦う幹部はコイツになりそうなんだよな。飛行能力を持つ敵が相手だと、必然的に空中戦や飛ぶ斬撃の応酬が多くなりそう。
 なんか身体に炎纏ったりしてるけど……これは……能力とは関係ないよな。あまりに速すぎて、空中で発火してんのか?


サンジVSページワン

 狂死郎一家のクニさん達を倒してしまった事で、ドレークやページワンから追われる身となってしまったサンジ、ウソップ、フランキー、ローの4人。
 幸いにもまだ正体はバレていないため、麦わらの一味全員の上陸が明らかになる前に、なんとか逃げ延びなきゃならない、と。

 「うちはドライなんだ」とか言ってるけどローさん、もう君にそういうキャラ付けは無理あるって。苦労人の役割が板につきすぎてるもの。諦めてくれ。

 まあ麦わらの一味が関わって「大人しく引き下がる」選択肢が簡単に取れるわけもなく、サンジは飛び六胞の一人、ページワンに挑む事に。
 ページワン、改めて見ると何気に凄い髪型してるな。サンジは余裕で勝てる言っているけれど、どうなんですかね。流石にひとつ格上の幹部となれば、シープスヘッドの時の様に簡単にはいかないだろうからなぁ。

 正直なところ最近いまひとつ信用度の低いサンジの実力だけれど、正体を悟られないために彼が手にしたのは何とレイドスーツ!!
 WCI出航時にニジから押し付けられた、ジェルマ66の化学の結晶じゃねーか!

 しかし思ってたより葛藤もなく出番が来たな!! いやまだ本当に使うのか分からないけども。
 もっとこう、追い詰められて自力ではどうにもならなくなったタイミングで使われるのかと思ってた。まさかただの変装道具として扱われるとは、ジャッジも草葉の陰で泣いている事だろう。生きてるだろうけど。

 レイドスーツの存在に気付いた段階ではかなり使うのを嫌がって海に捨てようとしていたサンジだけれど、今回それを利用しようと考えたのはどういう心境の変化なのか。
 サンジがあの時に否定していたのは「科学の力を借りて強くなる事」だから、単なる変装のために使用する分には問題ないのかな。あの時点から、そこまでコダワリを吹っ切る様なイベントや時間経過もなかったしな。

 ……ってかよく考えたら、レイドスーツって服装が変わるだけで顔は隠せないじゃん。
 ドレーク達が着たら速攻でバレないか? 別の手段で顔隠すなら、レイドスーツ要らんくないか?

 そして何となくの想像だけど、ページワン、最終的にはホーキンスに始末される気がする。
 サンジがページワンに勝った後、駆けつけたホーキンスがページワンにトドメ指す感じ。で、ホーキンスからローに、カイドウ打倒の共闘を打診して来る流れで。
 何度も言ってるけど、ホーキンスが本気でカイドウに忠誠してるとは思えないんだよなぁ。ドレークはちょっと、海軍時代の事もあるから事情が違いそうではあるんだけど。