2週間ぶりのONE PIECE!
 そして同時にVIVRE CARD最新弾も発売!!
 ONE PIECEの過剰摂取!カロリー過多!死人が出る!
 ついでに俺が個人的に好きだった「アリスと太陽」2,3巻も発売!読もうね。


 前置きは置いといて、ここからは週刊少年ジャンプ2019年10号分のONE PIECE感想です。
 ネタバレを含むので、自分で買ってから読んでください。 



★もくじ
“ステルス・ブラック”
レイドスーツの効力
オロチお庭番衆
打ち上げられたビッグ・マム  



“ステルス・ブラック”

■サンジとレイドスーツ


 自分の正体を敵に知られないため、レイドスーツという憎きジェルマの科学力を借りる選択をしたサンジ。

 前回の時点では、「思ったより葛藤もなく取り出したな」という印象だったのだけれど、今回のセリフを見るとその辺りは納得。
 サンジは自分のプライドと、「他者を救える」という利点を天秤にかけたのね。で、ジェルマに対する憎しみを無視し、レイドスーツの力を利用する道を選んだと。
 サンジにとっては、お茶会でのジャッジとの「決別」を最後に、因縁も断ち切ったという感覚なのかもしれない。まあ、100%無関係と言い切れるほど、割り切れてもいないんだろうけど。

「こんなものを身につけたくらいで
 おれは「ジェルマ」には成り下がらねェ!!!」
ONE PIECE第931話より
 ついでに言うと、サンジの口からコレが明言されたのも嬉しかったかな。
 いかにレイドスーツの力を使おうが、手配書がヴィンスモーク姓のものに書き換えられ様が、サンジはサンジ。ジェルマ66のサンジではなく、麦わらの一味のサンジである事に代わりはない。戦力アップという実益のみに注目し、心までをジェルマに許すつもりはないという思いが明確になった感じ、とても好きです。


■変身後の姿

 ただ、「正体を隠す」とは言っても、お茶会で見せたイチジ達の変身においては、これといって顔が隠れたりする様な事はなかった。
 グラサンもレイドスーツ無関係の自前のモノだろうし、これでどうやって顔を隠すんだろう……?

 と思っていたのだけれど、どうやらサンジの発動したレイドスーツの変身は、イチジ達の時とはかなり仕様が違っていた。

 口元を覆うマスク!
 目を隠すグラサン!
 髪を逆立てるスーパージェル!!


 変身自体に様々なバリエーションが存在するのか、はたまたサンジのスーツだけの特別仕様なのかは分からないが、とにかくコレなら、手配書を知る人間が見てもすぐには分からなそう。いや、特徴的な眉毛が剥き出しなのが不安事項だけれども、この世界の人間は他人の容姿への洞察力が極端にニブい印象なので、何とかなるだろう。

 しかし名前、ブラックなんだね。イエローじゃないんだね。まあサンジの金髪は血統因子の操作が影響しなかった結果(ジャッジの遺伝子がそのまま髪色に出たパターン)なので、操作が上手く行っていれば黒髪で生まれていたって事なんだろう。
 「ブラック」って言うと、お茶会でイチジ、ニジ、ヨンジの3人が連携して放った“混色バグ”の読みが“ブラックバグ”だったが……。アレは、「出来損ない」だったために空いてしまったブラックの穴を埋めるためのネーミングだったりするのかなぁ。

 ……っていうかアレね、この髪型、イチジそっくりね。
 イチジの髪型、ヨンジのヘッドホン、ニジの能力って感じか。もはやジェルマの特徴ハイブリット戦士だな、サンジ。


 まあカッコいいっちゃカッコいいんだけど、本音のところを言うと、私ヒーローとかロボットとかの類にまったく興味を示さないで生きてきた人なもんで、目を輝かせてるウソップ達には悪いけど、割と「しーん」ってなる側の人間なんですよね。

 だからこれ以降、本気で戦うたびにこの格好になるのか、と思うと微妙な感じもしたんだけれど、そこは「ウソップとフランキーにデザイン変更を頼む」という言葉が出たんで、以降はサンジ本来の姿からかけ離れない変身になるのかな。
 一回こっきりの変身形態と考えれば、これはこれで悪くないかな。
 まあ技術班2人のデザインセンス、割とジェルマ寄りになる気がしないでもないけど。


■おそばマスク

 ページワンに名を問われ、とっさに名乗った名前が「おそばマスク」
 うーん、ダサい!! ヒーローにあるまじきネーミング!!

 これはジェルマの戦士であるステルスブラックを「格好いい戦士」にしたくなかったがための、あえてのクソダサネームなのかな?
 ……と思ったのだけれど、サンジにはサニー号を「ムッシュひまわり」と名付けようとした前科があるんだった。混じりっけナシのセンス壊滅タイプだった。
 麦わらの一味、基本的にネーミングセンスが死んでいる。そしてそれはジンベエが加わっても改善されない。人間好き好き大作戦。


■“北の海”での知名度

 戦隊ヒーローの登場に目を輝かせるウソップやフランキーはいつもの事として、今回は地味にローハイテンションでジェルマの解説をぶっこみまくるセリフをかましていた。お前は映画館で解説しまくるオタクか。

 サンジがレイドスーツを持っている事に驚くロー。そういえばそうか。ルフィ達がゾウでの一件の詳細を聞いてた時、ローはハートの海賊団との合流のために席を外してたものな。
 「ビッグ・マム海賊団に連れ去られたサンジを救出しにいく」という状況は理解していても、ジェルマとの関係までは聞かされていなかったのか。この分だと、ヴィンスモーク姓に更新された手配書の方も、まだ目にしていない感じなのかな。


■「海の戦士ソラ」

 世界経済新聞に連載された絵物語について、ローは「ジェルマが嫌いな正当な読者」だそうで。
 やっぱ、普通はソラに肩入れして、ジェルマを嫌うものなのね。海軍を持ち上げるための洗脳教材なんだから、そりゃあそうか。ジェルマのファンになるヴィトみたいなのがおかしかったんだな。

 主人公の名には、亡きジャッジの妻と同じ名前が使用されてるけれど、彼女の死と絵物語の連載開始、どっちが先なんだろうね……?
 ロー(26歳)やヴィトが子供の頃に読んでた事を考えると、ソラの生前……というか、下手すればサンジ達が生まれる前から連載は始まってた様な気もするけれど、どうなんだろ。

 特にローなんか、フレバンスを発ってからはのんびり絵物語にハマれる様な状況じゃなかったろうしなぁ。
 案外、父や母に読み聞かせて貰った、思い出の物語だったりするのかもしれない。オタク呼ばわりしたの、悪かったかな。

 
 ちなみに、今週のジャンプと同日に発売されたVIVRE CARD内では、現在ワノ国で奴隷として働かされているカリブーも北の海の出身である事が分かった。
 これでホーキンスやドレークに続き、ノース出身の駒がまた増えたわけだ。この辺、物語にも絡んで来たりするのかな。
 しかしカリブーは……たぶん、「正当な読者」じゃなさそうだな。ジェルマに肩入れしてそう。



レイドスーツの効力

 とりあえず、本来の目的であった「変装」という役割はある程度こなしてくれたレイドスーツだが、その性能の方も中々に強力だった。

■加速・浮遊装置

 まずイチジ達が使ったものと共通の仕掛けとして、「ブラスター」と呼ばれる足に取り付けられた射出装置。踵や足裏からのジェット噴射により、スピードの向上や身体の浮遊が可能となったと。
 “空中歩行”を持つサンジにとって浮遊能力はそこまでのアドバンテージではないかもしれないけど、スピードの向上は凄まじい結果を残している。

 元々、サンジのスピードはあのオーブン相手に一切気づかれる事なく接近し、蹴りを叩き込めるという常人離れしたレベルに達していた。この装置があれば、その元々ハイレベルにある速度を、純粋に強化する事が可能になる。

 どこかのお猿さんが言っていた。「速度は重さ」。
 その原則から言えば、この強化された超速度から放たれる蹴りの破壊力は、きっととんでもないレベルにまで達しているに違いない。
 …ページワンの掌に押し負けてる? あれは耐久力を試したかっただけだから……きっと……。

■防御能力

 レイドスーツによって身につけたマントには、炎や爆発をも物ともしない強靭な盾としての性能が備わっていた。この辺りも、レイドスーツの共通性能として備わっているっぽい。
 更に防火性能だけではなく、何軒もの家を貫くほどに吹き飛ばされても、多少の痛みを感じる程度にダメージを抑える事ができると。
 サンジは元々、ヴェルゴと蹴り合っただけで足の骨にヒビが入ってしまうなど、新世界レベルでは少々耐久面に不安が残っていた。それを考えると、元々の脆さをきちんと補える強化が入ったのは良かったかな。

■ステルス能力

 これらレイドスーツ共通の効能とは違い、おそらく“ステルス・ブラック”が使う3番目のレイドスーツ固有の能力が、このステルス能力。
 背景に姿を溶け込ませる事で、視認不能の擬態を実現させる事ができると。

 これにより、サンジの念願でもあった「スケスケの実」と同等の能力を得てしまったワケだ。
 カタクリやエネル達の様な達人の域にでも達していない限り、同格の相手との戦闘中に見聞色を研ぎ澄ましているのは中々に難しそうな印象もあるし、強いと言えば強いかもしれない。

 ただこの「ステルス」能力、絵物語の中ではステルス・ブラックの固有能力だったみたいだけれど、実際にはニジがすでに披露している技でもあるんだよなぁ。
 しかもあっちは、レイドスーツ無しで透明化して見せてるし。
 ステルスの能力を持たせるハズだったサンジが期待外れだったので、その能力を後付けでニジの肉体そのものに振り分けた……なんて背景があったりするのかもしれないけど、そんなこと出来るのかな。

 
 ……そしてサンジがこの能力を得た頃、因縁(という名の言い掛かり)の相手であったアブサロムはすでに……。
 スケスケの実を食べたという因縁からシリュウと対戦する事になったりするのかも、と思っていたけれど、こうなるとステルス対決に持ち込むのも面白いかもしれない。見てる側、何が起きてるかサッパリ分かんなくなるけど。


 そして2年間の禁欲生活……もとい対オカマ生活を経てなお、サンジの欲望はなーんにも変わっちゃいなかった。
 これはマズイぞ。強化というメリット以上に、女性陣の今後の生活が脅かされるというデメリットが目立ってしまう。
 今後ナミやロビンの入浴時には、まずサンジを縄で縛り付けてから入らなくてはならない。なんてこった。

IMG_1939
(ONE PIECE第66巻 第654話より引用)

 まあサンジ、元々ステルス能力なんざなくとも、「覗く時は自力で覗く」という有言実行タイプの変態でもあるので、今更かもしれないけど。
 サンジを「紳士的」だと思ってる人、ちょっと夢の世界から帰って来てほしい。


■ページワン

 サンジの変身形態お披露目回だけにあまり目立たないけれど、ページワンの戦闘能力も何気に凄い。
 ステルス能力による奇襲をモロに受けるも、大して堪えた様子もなく立ち上がり、左腕の薙ぎ払いがサンジの蹴りとかち合った際には家々を消し飛ばす程の勢いでサンジを殴り飛ばして見せた。

 対決の行方はまだ分からないし、おそらくはサンジの勝利、もしくはサンジ優勢のまま中断に終わるんじゃないかな、と思うけど、飛び六胞としての力はある程度見せられてるんじゃないかな?
 今までに出てきた真打ち達だったら、あの胴体への一撃でノックアウトされてるでしょ。ホールデムやドボン、シープスヘッドと、戦力としての脅威を全然感じないメンツばかりだった事を考えると、ページワンには中々期待が持てるかもしれない。

 ……まあ、都に入った真打ち達がドレークにホーキンスという豪華メンバーである事を考えると、彼の当て馬化は決定事項に近い気もしますけどね。カマセはカマセなりに、頑張って欲しい。獣人形態、カッコイイし。



オロチお庭番衆

 宴会の隙をついてオロチ城内を探索するロビンだが、オロチお庭番衆なる色物集団に見つかってしまった。

 第921話では、ロビンがオロチに接近するのは「オロチ軍の動向を正確に把握するため」だと語られていたが、今回彼女が探していたのは“歴史の本文”の方らしい。
 口ぶりからして、カイドウの持つ“ロード歴史の本文”ではなく、ワノ国に元々ある普通の石の方を探してるっぽい。発祥の地だけあって、重要な情報が書き込まれてそうね。「古代兵器ウラヌス」のありかや「ジョイボーイ」に関する情報なんかも、ワノ国編の終了時辺りで語られる事になるのかな。

 ……まあ、見つかっちゃったワケだけど。
 最近のロビン、あまり諜報要因としては活躍できない事が多いね。まあ今回に関しては、相手の忍たちが上手だったのかもだけど。
 他者を信用しない生き方をしていた時期に比べて、損得を度外視して助けてくれる仲間を得た事で、本来の警戒心や注意力みたいなものが薄れてしまったのかもしれない。皮肉な話。

 そんでこのお庭番衆なる連中もまぁ濃ゆい濃ゆい。
 雷ぞうやしのぶもだけど、「決してカッコよくはない」見た目というのも徹底されている。作品を通して色物的な外見の少ない女性陣にしても、お庭番に関してはちょっと変な口だったり眉毛だったりで、正統派からは外れたデザインにされてるし。

 そんな中で、お庭番衆の隊長である福ロクジュに関しては割とカッコいいかも。
 いやあのストロベリー中将の親戚ですかってぐらい縦に伸びた頭やら、エネルの親戚ですかってぐらい長く肥大化した耳たぶやら、色々と凄いデザインではあるんですけど。風格はあるよね。

 1回の言い訳を許してくれるという福ロクジュですけど、口八丁で切り抜けられるのかどうか。ロビンって打算的な言い回しは上手いんですけど、クロコダイルの時といいエネルの時といい、地味にロクな結果に繋がらないんですよね。
 今回は吉とでるか凶と出るか。ロビンがこのまま捕まりでもしたら、カイドウ・オロチ軍の警戒態勢はグッと強まっちゃうだろうからね。何らかの手段で切り抜けるんだろうけど……お庭番衆がギャグキャラみたいにテキトーな言い訳をマジで信じ込んじゃう連中だったら、ちょっと拍子抜けかもしれない。

 とにかく、彼らの登場によりようやくオロチ側が持っている戦力がマトモに登場したワケですね。
 今まで出てきた名前付きの敵達、ほとんどが百獣海賊団の部下だったからね。狂死郎はなんだかんだで強いかもしれないけれど、本心ではオロチのこと小馬鹿にしてるっぽいしなぁ。
 どうせならオロチ直属の部下から強い侍なんかが出て来て、錦えもん辺りとタイマン張って欲しいという願望があります。



打ち上げられたビッグ・マム

 前回キングさんによって海に蹴落とされたビッグ・マム、まさかの九里ヶ浜に漂着。
 ルフィやサニー号といい、色んなものが流れ着きますね、ここ。エース達もここに流れ着いたみたいだし。もうそういう曰くつきの観光名所にでも出来るんじゃないか。

 というか、他の子供達はどこへいってしまったんだろう。シャンテ号は漂着していないみたいだし、前回水中に落ちた様子が描かれたのはビッグ・マム本人だけだったから、彼らはなんとか船にしがみつけたのかな。
 ……まさか、アレで全滅って事はないだろうし。ないよね?

 しかしそのビッグ・マムの様子が大変な事に。
 ビッグ・マム、まさかの記憶喪失。自分の事も分からない重傷状態。サボかお前は。
 食いわずらい起こしたり、記憶失ってみたり、正常な状態で出てる事の方が少ないまである。

 大変な事になった反面、ルフィ達にとっては好都合……となるのかなぁ。子供達がかけつけたら面倒な事にもなりそうだけど、記憶を失ったビッグ・マムが子供達の言う事を信じるかも分からないですしね。ナポレオンが正気を保ってたらどうなるか分からないけど、記憶喪失状態で制御できるのかな……?
 状況次第では、ビッグ・マムがルフィ達の側につく事も十分ありえる様になったのか……それはそれで面白いな。


 しかしこの「記憶喪失」という現場に居合わせた一味がチョッパーというのも、意味があるんでしょうね。
 医者として、海賊として、記憶喪失という「患者」を前にしたチョッパーがどういう行動を起こすのか。いや記憶喪失、外科や内科の医者がどうにか出来る範囲なのか知らんけど。万能薬を目指すぐらいなら、そのぐらい何とかして貰わないと困るか。
 プリンがいれば「メモメモの実」の能力で記憶を呼び覚ます事もできるかもしれないけど、現状シャンテ号のメンツには入ってなかったからなぁ。元々戦闘員でもないし。

 ビッグ・マムが記憶を失う、というのは、ワノ国編での物語への関わり以上の意味があって、おそらく本人の記憶にさえ残っていなかったマザー・カルメルの疾走事件の真相とも関わって来るんじゃないかな、と思う。
 チョッパーの施術等によって記憶を取り戻したビッグ・マムが、同時にこの忌まわしき記憶の真実に辿り着いてしまう。その事が、ビッグ・マムの歪んだ人格に大きな影響を与えてくると。

 まあ正直なトコ、個人的な思いとしてはビッグ・マムにはフォロー不可能な狂人系悪党のままの人格で、ルフィに倒されて欲しい感もあるんだけど。
 カタクリに語った「ビッグ・マムを倒しにくる」宣言を嘘にしないためにもね。