シーザー、今頃どこで何してるんだろうねぇ。
あの科学力を欲しがる連中は裏社会に数多くいるだろうけど、今や政府からもビッグ・マムからも追われる身となった彼を匿ってくれる所はあるのか。
週刊少年ジャンプ2019年11号分の感想です。
ネタバレを含むので、自分で買ってから読んでください。
★もくじ
・おロビ VS オロチお庭番衆
・狂死郎の実力
・将軍オロチの推察
・小紫の素顔
将軍オロチの屋敷にて“オロチお庭番衆”なる忍集団に見つかってしまったロビンだが、この時に見つかったのは“ハナハナの実”の能力によって作り出した分身だったらしい。
とりあえず、むざむざと捕まってしまう様な事にならなくて良かった。それでこそロビンだ。どうせ能力を使える圏内にいるなら、腕や目だけを咲かせて調べ物をした方が顔が割れずに良かったんじゃないか、って気もするけど、まあ何かと動きづらいんだろう。
城内にはすでにナミ、しのぶ、ブルックも潜入しており、ロビンとは協力して任務にあたっていると。護衛役という事なので、ラストで再度見つかってしまったロビンやおトコを救い出す役割となるのかな?
状況や敵の人数を考えると、メンバー的には若干力不足な気もするが……錦えもん達としても現段階で正面から戦う事は避けたいハズなので、ナミの霧や蜃気楼でうまく撹乱して脱出する計算なのかな。ブルックに関しては、下手に敵前に出ていくだけでも「光月家の亡霊」やら「墓場のオバケ騒動」やらと関連付けられかねない気がするけど、どう転ぶんでしょう。
酒席でのロビンはオロチからも中々に気に入られていた様であり、鬼ヶ島の情報を聞き出そうとしていた。そも、ロビンがオロチに接近したのは「オロチ軍の動向の把握」が目的だけれど、まあ家臣のオッサン達は結構好き勝手に喋ってくれてるので、重要な情報をポロッと溢していても不思議はないかもしれない。聞き耳を立てる癖を持つロビンなら、ある程度はキャッチ済みかな。という訳で、フランキーが失敗した「設計図入手」の穴埋めも兼ねて、ついでに鬼ヶ島の情報も聞き出しとけ、ってなもんですかね。
鬼ヶ島に興味を持つ遊女なんてモンは当然の如く珍しく、オロチも不思議そうなリアクションを見せているが、別段怪しまれてはいない……のかな。以降オロチ様は花魁ばかりにご執心な上、ラストではロビンがトコを助けに入ったためこれ以上の情報を引き出すには難しい状況になってしまったけれど、何か聞き出せたんだろうか。細かい構造までは無理でも、島の大まかな特徴ぐらいは知った上で決戦に臨みたいところではあるけれども。
ちなみに、福ロクジュが提示した「1つだけの言い訳」だが、別に何を言おうがおロビの命を助けるつもりはなかった。許す気ないんかい。
その言い訳として、ロビンは都に度々現れる義賊“丑三つ小僧”の名を出すが、その丑三つ小僧はちょうど都に現れたばかりだと。
それがホントなら、丑三つ小僧の正体候補として、この場にいるオロチ、狂死郎、小紫、おトコは無くなったわけですね。いや、元々オロチはないだろうけど。なんかが間違って「ゲラ笑いのおトコの正体があの義賊でしたー」、とか言われたらそれはそれで面白かった気もするけど、そういうワケでもなかったらしい。
しかしトコちゃん、家臣たちが皆必死で笑いを堪えている中で、「殿様がバカにされている」事を見抜いていたんで、ゲラ笑いなだけあって他人の「笑い」にも敏感な子なんだろうか。えびす町とは何らかの関係性はあるんだろうけれど、オロチに斬りかかられた後も笑い続けているのは流石に異常すぎる。えびす町の人達が言っていた様な「気の持ちよう」の問題だけではなく、なんらかの能力や薬物なんかが作用している臭いしかしない。
初登場時は酔っぱらって将軍の陰口を叩く両替屋という微妙なポジションだった居眠り狂死郎さんだが、最近はなんだか妙な風格を感じる。
赤鞘が現れたら「一太刀に斬ってご覧にいれましょう」なんて言ってるけど、実力の方はどうなんだろう。まあ狂死郎は錦えもんらの生存を一切信じていないので、本当に斬れると思って言ったのかは知らんけど。単なる自信過剰かもしれないし。
ラストでは騒然とする城内にて冷静に剣を抜こうとしているけれど、誰を斬るつもりなんだろう。状況的に、ロビンの方ではなくオロチと小紫の間で起きた問題の対処に入るのだとは思うけれど。928話で一緒にいた小紫は彼の所有する遊郭で見出された遊女だった様だが、その小紫が今回起こした不始末。どう行動するんだろう。
オロチ御用達のヤクザ稼業としては、「将軍の手を汚すまでもありません」とか言って小紫に剣を向けるのが王道の流れっぽいけど、小紫ほどの人材をこんなトラブルで失いたくはないだろうし、どうするのか。あえてオロチに剣を向け、後は口車でうまくその場を収める……などと器用な事ができるタイプなのかな、狂死郎は。
しかし狂死郎さん、919話で一度会っている筈のロビンの事は覚えてないんですかね。招いた遊女の顔なんて、いちいち覚えちゃいないか。
あのハラハラ男と喋ってた内容、オロチにバラされたらえらい騒ぎだと思うけれど。というか狂死郎さん、自分のホームにいる時と今回じゃ別人みたいな酔い方ですね。前はあんなに笑い転げながら酔っぱらってたのに。オロチやその臣下に対し、あまり信用を置いてないんだろか。トキの予言や赤鞘の事を嘲笑っていたんで、味方寄りの存在ではないとは思うのだけれど。地味に立ち位置が分からぬ。
CP-0を相手に強気の交渉姿勢を見せていた辺りからも「あれ?意外と大物なのでは?」なんて思っていたオロチ様だが、ほとんどの家臣が光月家や赤鞘を「過去の存在」と切り捨てていたのに対し、予言を元にしたオロチの推察は大部分が的を射ていた。「錦えもんは切れ者」とかいう妄言を見た気もするけど、果てしなく気のせいだ。
いや、まあ子供に笑われたぐらいでブチギレて斬りかかる男が「大物」かと言われれば違うんですけど、人格面よりも能力面というかね。大将の器ではない気がするけど、参謀役の様な立場についていればかなり優秀だったんじゃないかな、この人。
狂死郎は以前、「オロチ様は亡霊を恐れている」といった言い回しをしていたが、オロチの言う「亡霊」とはあくまでも物の例え。自分の目の前で死を確認した光月おでんに関しては何の心配もしていない事からも、オロチが死人に怯える様な臆病者ではない事が分かる。「小心者」といえば悪く聞こえるが、よく言えば警戒心が強く、常に「最悪」のケースを頭に入れておく性格っぽい。
ただ、どちらかと言えばオロチの場合、思考力というよりは直観力に優れたタイプっぽく見えるかな。オロチはゾロやサンジが狂死郎一家に手を出した事を「錦えもんの指示かもしれない」と考えているが、これに関しては間違い。
アレらの行動が現場の独断である事なんて予想がつくハズがないので一見仕方なくも見えるのだけれど、冷静に考えれば水面下での準備段階にある錦えもん達が、大物ヤクザに対してケンカを売る理由などないと分かりそうなもの。にも関わらず、その理由も分からないまま「錦えもんの指示かも」と考えるのは、彼が理論よりも直観を優先するタイプだからじゃないかな、と感じた。
そしてその直観がほとんど合っているのだから凄い。実際に錦えもんの指示があったワケではないにせよ、「赤鞘とそば屋、浪人に繋がりがある」という事実までは言い当ててしまっているのだ。普通に考えたら「どこの命知らずな侠客が暴れているのか」としか思わない様な小競り合いを、誤った道筋から正解に導いてしまうという勘の良さ。末恐ろしい。
惜しむらくは、絶望的なまでの臣下からの信頼度の低さ。かなり的確な事を言ってるのに、とにかく誰1人信用しちゃくれない。哀しいオオカミ少年の様な扱いとなった将軍様だが、これは単に部下達の赤鞘・光月に対する関心が低すぎるせいなのか、オロチがあまり尊敬されていないのか……。洗脳教育により、都の子供達には「悪い侍を倒したヒーロー」として憧れられているみたいだけれど、実際には変身能力を除き、あまり腕の立つタイプではないのかな……? オロチ二辺流……改めオロチ二刀流、ちょっと興味あるんだが。
初登場時は悪女街道一直線だった小紫が、このタイミングで芯の強さを発揮。ついでに「武士の娘」を自ら名乗った事で、もう「小紫=光月日和」の図式はほとんど確定的かな? モモの助やおでんの名が挙がった時の意味深な反応から見ても、間違いないと言って良さそう。これでミスリードだったら凄いが。
ついでにワノ国編に入ってから定期的に登場していた狐の面の三味線弾きも、小紫だったと。とある曲を弾く時に限ってあの面をつけるらしいが、音を奏でる時全般ではなく、この曲を弾く時のみ、というのがポイントかな。やはり、表情を隠しているんだろうか。
光月の名前を出すだけでも危険な現ワノ国において、光月家ゆかりの曲を奏でる事が許されるとは思えない。この曲に何か「思い出」以上の意味があるとすれば、もしかしたら母トキから教えてもらった、トキが元々生まれた、遥か昔の時代の曲だったりするんだろうか。今の世では他に知る者のいない、母だけの楽曲。それを奏でる事で、亡き母の意志をこの世に残すと共に母の記憶を夢想し、仮面の裏で涙を流すのかもしれない。いや妄想ですよ。
国の頂点に立つ将軍を相手に平手打ちをかます肝っ玉は凄いし、もしかしたら彼女を逃げ延びさせたと思われる笠の侍から護身術の類でも仕込まれているかもしれないが、流石に丸腰のままオロチに挑み、どうにかなるとは思えない。狂死郎の動き次第で展開は変わりそうだけれど、現時点では、彼女は命を捨てる覚悟で自分の生き様を貫いたという事になる。
絶世の美女として生み出されたキャラクターをただの「守られる女」の立場ではなく、行動を伴った明確かつ強い意志を持たせた造形は非常にONE PIECEらしいし、ワンシーンの見せ場でその魅力を伝える描き方は流石のもの。ワノ国に生きる女達の持つ強さが窺える。最近ではあまり武士らしい姿を見せてくれなくなったが、菊なんかもそうだった。
ただ、彼女の正体が光月日和である、という過程の元で考えると、この行動は少し向こう見ずでもあるかもしれない。兄や家臣たちと20年越しに再会し、ワノ国を奪還できるかもしれな予言の時期。そんな大切な時であるにもかかわらず、命を投げ捨てる様な行為を……。まあ、どんな状況であっても己の生き方に背く行いはしない、というド直球っぷりは好感持てるかな。
トキがあえて彼女を未来に送らず、地続きの世界で20年間を過ごさせたのは来たる決戦の時、日和に何らかの役割が存在すると直感しての事だったんじゃないかと思ってるんだけど、小紫自身にあまりそういう使命感の様なものはなさそうな印象。武士の娘としての誇りは持っている様だが、家族に対して、そして仇敵オロチに対しては、どんな感情を持ってるんだろう。我ながら、もう完全に彼女を日和であると決めてかかってしまっている。これで違ったら、中々に笑えるな。
小紫が常に己にとって正しき道を行くというのであれば、びん豪さん等から金をむしり取った行為も、彼女にとって何ら恥じる事のない行いだったという事になる。
確かにあの人ら、女のために家族を売り飛ばす鬼畜生だったので、善人とは言い難いところがあるのも事実だけれど、それにしても小紫に出会う当初のびん豪さんは、そこまでの悪党にも見えない。小紫も何らかの目的を持って金を集めているんだろうが、それにしてもコレらの所業をも「正しき」と言い切れるのだとしたら、中々に凄い。ハンコックほどではないにせよ、吹っ飛んだ倫理観をお持ちの方ではあるのかもしれない。
何にせよ、彼女の平手打ちに腹を立てたオロチ様は、八岐大蛇の様な姿へと変化。よわそう。
よく見ると中央の首にのみ、元々あったヒゲや王冠がついているので、これが本体……というべきなのか知らんけど、まあそんな感じなんだろう。
最近では「リュウリュウの実」なんて能力も登場してるが、コレは何にあたるんだろう。どちらかと言うと、「竜」よりは「蛇」に近い見た目なんだよな。リュウリュウは恐竜化の能力であり、龍や竜、八岐大蛇なんかは、ヘビヘビの実の幻獣種にでも相当するのかな、って印象がある。
変身形態を見せたタイミングが丸腰の女相手、しかも後ろでは狂死郎も刀を抜きかけている…と、もうかませ犬ルート一直線みたいな披露の仕方をしてくれたオロチ様の変身だが、どうなるか。どうせなら、それなり以上には強くあって欲しい。
・おロビ VS オロチお庭番衆
・狂死郎の実力
・将軍オロチの推察
・小紫の素顔
おロビ VS オロチお庭番衆 |
将軍オロチの屋敷にて“オロチお庭番衆”なる忍集団に見つかってしまったロビンだが、この時に見つかったのは“ハナハナの実”の能力によって作り出した分身だったらしい。
とりあえず、むざむざと捕まってしまう様な事にならなくて良かった。それでこそロビンだ。どうせ能力を使える圏内にいるなら、腕や目だけを咲かせて調べ物をした方が顔が割れずに良かったんじゃないか、って気もするけど、まあ何かと動きづらいんだろう。
城内にはすでにナミ、しのぶ、ブルックも潜入しており、ロビンとは協力して任務にあたっていると。護衛役という事なので、ラストで再度見つかってしまったロビンやおトコを救い出す役割となるのかな?
状況や敵の人数を考えると、メンバー的には若干力不足な気もするが……錦えもん達としても現段階で正面から戦う事は避けたいハズなので、ナミの霧や蜃気楼でうまく撹乱して脱出する計算なのかな。ブルックに関しては、下手に敵前に出ていくだけでも「光月家の亡霊」やら「墓場のオバケ騒動」やらと関連付けられかねない気がするけど、どう転ぶんでしょう。
酒席でのロビンはオロチからも中々に気に入られていた様であり、鬼ヶ島の情報を聞き出そうとしていた。そも、ロビンがオロチに接近したのは「オロチ軍の動向の把握」が目的だけれど、まあ家臣のオッサン達は結構好き勝手に喋ってくれてるので、重要な情報をポロッと溢していても不思議はないかもしれない。聞き耳を立てる癖を持つロビンなら、ある程度はキャッチ済みかな。という訳で、フランキーが失敗した「設計図入手」の穴埋めも兼ねて、ついでに鬼ヶ島の情報も聞き出しとけ、ってなもんですかね。
鬼ヶ島に興味を持つ遊女なんてモンは当然の如く珍しく、オロチも不思議そうなリアクションを見せているが、別段怪しまれてはいない……のかな。以降オロチ様は花魁ばかりにご執心な上、ラストではロビンがトコを助けに入ったためこれ以上の情報を引き出すには難しい状況になってしまったけれど、何か聞き出せたんだろうか。細かい構造までは無理でも、島の大まかな特徴ぐらいは知った上で決戦に臨みたいところではあるけれども。
ちなみに、福ロクジュが提示した「1つだけの言い訳」だが、別に何を言おうがおロビの命を助けるつもりはなかった。許す気ないんかい。
その言い訳として、ロビンは都に度々現れる義賊“丑三つ小僧”の名を出すが、その丑三つ小僧はちょうど都に現れたばかりだと。
それがホントなら、丑三つ小僧の正体候補として、この場にいるオロチ、狂死郎、小紫、おトコは無くなったわけですね。いや、元々オロチはないだろうけど。なんかが間違って「ゲラ笑いのおトコの正体があの義賊でしたー」、とか言われたらそれはそれで面白かった気もするけど、そういうワケでもなかったらしい。
しかしトコちゃん、家臣たちが皆必死で笑いを堪えている中で、「殿様がバカにされている」事を見抜いていたんで、ゲラ笑いなだけあって他人の「笑い」にも敏感な子なんだろうか。えびす町とは何らかの関係性はあるんだろうけれど、オロチに斬りかかられた後も笑い続けているのは流石に異常すぎる。えびす町の人達が言っていた様な「気の持ちよう」の問題だけではなく、なんらかの能力や薬物なんかが作用している臭いしかしない。
狂死郎の実力 |
初登場時は酔っぱらって将軍の陰口を叩く両替屋という微妙なポジションだった居眠り狂死郎さんだが、最近はなんだか妙な風格を感じる。
赤鞘が現れたら「一太刀に斬ってご覧にいれましょう」なんて言ってるけど、実力の方はどうなんだろう。まあ狂死郎は錦えもんらの生存を一切信じていないので、本当に斬れると思って言ったのかは知らんけど。単なる自信過剰かもしれないし。
ラストでは騒然とする城内にて冷静に剣を抜こうとしているけれど、誰を斬るつもりなんだろう。状況的に、ロビンの方ではなくオロチと小紫の間で起きた問題の対処に入るのだとは思うけれど。928話で一緒にいた小紫は彼の所有する遊郭で見出された遊女だった様だが、その小紫が今回起こした不始末。どう行動するんだろう。
オロチ御用達のヤクザ稼業としては、「将軍の手を汚すまでもありません」とか言って小紫に剣を向けるのが王道の流れっぽいけど、小紫ほどの人材をこんなトラブルで失いたくはないだろうし、どうするのか。あえてオロチに剣を向け、後は口車でうまくその場を収める……などと器用な事ができるタイプなのかな、狂死郎は。
しかし狂死郎さん、919話で一度会っている筈のロビンの事は覚えてないんですかね。招いた遊女の顔なんて、いちいち覚えちゃいないか。
あのハラハラ男と喋ってた内容、オロチにバラされたらえらい騒ぎだと思うけれど。というか狂死郎さん、自分のホームにいる時と今回じゃ別人みたいな酔い方ですね。前はあんなに笑い転げながら酔っぱらってたのに。オロチやその臣下に対し、あまり信用を置いてないんだろか。トキの予言や赤鞘の事を嘲笑っていたんで、味方寄りの存在ではないとは思うのだけれど。地味に立ち位置が分からぬ。
将軍オロチの推察 |
CP-0を相手に強気の交渉姿勢を見せていた辺りからも「あれ?意外と大物なのでは?」なんて思っていたオロチ様だが、ほとんどの家臣が光月家や赤鞘を「過去の存在」と切り捨てていたのに対し、予言を元にしたオロチの推察は大部分が的を射ていた。「錦えもんは切れ者」とかいう妄言を見た気もするけど、果てしなく気のせいだ。
いや、まあ子供に笑われたぐらいでブチギレて斬りかかる男が「大物」かと言われれば違うんですけど、人格面よりも能力面というかね。大将の器ではない気がするけど、参謀役の様な立場についていればかなり優秀だったんじゃないかな、この人。
狂死郎は以前、「オロチ様は亡霊を恐れている」といった言い回しをしていたが、オロチの言う「亡霊」とはあくまでも物の例え。自分の目の前で死を確認した光月おでんに関しては何の心配もしていない事からも、オロチが死人に怯える様な臆病者ではない事が分かる。「小心者」といえば悪く聞こえるが、よく言えば警戒心が強く、常に「最悪」のケースを頭に入れておく性格っぽい。
ただ、どちらかと言えばオロチの場合、思考力というよりは直観力に優れたタイプっぽく見えるかな。オロチはゾロやサンジが狂死郎一家に手を出した事を「錦えもんの指示かもしれない」と考えているが、これに関しては間違い。
アレらの行動が現場の独断である事なんて予想がつくハズがないので一見仕方なくも見えるのだけれど、冷静に考えれば水面下での準備段階にある錦えもん達が、大物ヤクザに対してケンカを売る理由などないと分かりそうなもの。にも関わらず、その理由も分からないまま「錦えもんの指示かも」と考えるのは、彼が理論よりも直観を優先するタイプだからじゃないかな、と感じた。
そしてその直観がほとんど合っているのだから凄い。実際に錦えもんの指示があったワケではないにせよ、「赤鞘とそば屋、浪人に繋がりがある」という事実までは言い当ててしまっているのだ。普通に考えたら「どこの命知らずな侠客が暴れているのか」としか思わない様な小競り合いを、誤った道筋から正解に導いてしまうという勘の良さ。末恐ろしい。
惜しむらくは、絶望的なまでの臣下からの信頼度の低さ。かなり的確な事を言ってるのに、とにかく誰1人信用しちゃくれない。哀しいオオカミ少年の様な扱いとなった将軍様だが、これは単に部下達の赤鞘・光月に対する関心が低すぎるせいなのか、オロチがあまり尊敬されていないのか……。洗脳教育により、都の子供達には「悪い侍を倒したヒーロー」として憧れられているみたいだけれど、実際には変身能力を除き、あまり腕の立つタイプではないのかな……? オロチ二辺流……改めオロチ二刀流、ちょっと興味あるんだが。
小紫の素顔 |
初登場時は悪女街道一直線だった小紫が、このタイミングで芯の強さを発揮。ついでに「武士の娘」を自ら名乗った事で、もう「小紫=光月日和」の図式はほとんど確定的かな? モモの助やおでんの名が挙がった時の意味深な反応から見ても、間違いないと言って良さそう。これでミスリードだったら凄いが。
ついでにワノ国編に入ってから定期的に登場していた狐の面の三味線弾きも、小紫だったと。とある曲を弾く時に限ってあの面をつけるらしいが、音を奏でる時全般ではなく、この曲を弾く時のみ、というのがポイントかな。やはり、表情を隠しているんだろうか。
光月の名前を出すだけでも危険な現ワノ国において、光月家ゆかりの曲を奏でる事が許されるとは思えない。この曲に何か「思い出」以上の意味があるとすれば、もしかしたら母トキから教えてもらった、トキが元々生まれた、遥か昔の時代の曲だったりするんだろうか。今の世では他に知る者のいない、母だけの楽曲。それを奏でる事で、亡き母の意志をこの世に残すと共に母の記憶を夢想し、仮面の裏で涙を流すのかもしれない。いや妄想ですよ。
国の頂点に立つ将軍を相手に平手打ちをかます肝っ玉は凄いし、もしかしたら彼女を逃げ延びさせたと思われる笠の侍から護身術の類でも仕込まれているかもしれないが、流石に丸腰のままオロチに挑み、どうにかなるとは思えない。狂死郎の動き次第で展開は変わりそうだけれど、現時点では、彼女は命を捨てる覚悟で自分の生き様を貫いたという事になる。
絶世の美女として生み出されたキャラクターをただの「守られる女」の立場ではなく、行動を伴った明確かつ強い意志を持たせた造形は非常にONE PIECEらしいし、ワンシーンの見せ場でその魅力を伝える描き方は流石のもの。ワノ国に生きる女達の持つ強さが窺える。最近ではあまり武士らしい姿を見せてくれなくなったが、菊なんかもそうだった。
ただ、彼女の正体が光月日和である、という過程の元で考えると、この行動は少し向こう見ずでもあるかもしれない。兄や家臣たちと20年越しに再会し、ワノ国を奪還できるかもしれな予言の時期。そんな大切な時であるにもかかわらず、命を投げ捨てる様な行為を……。まあ、どんな状況であっても己の生き方に背く行いはしない、というド直球っぷりは好感持てるかな。
トキがあえて彼女を未来に送らず、地続きの世界で20年間を過ごさせたのは来たる決戦の時、日和に何らかの役割が存在すると直感しての事だったんじゃないかと思ってるんだけど、小紫自身にあまりそういう使命感の様なものはなさそうな印象。武士の娘としての誇りは持っている様だが、家族に対して、そして仇敵オロチに対しては、どんな感情を持ってるんだろう。我ながら、もう完全に彼女を日和であると決めてかかってしまっている。これで違ったら、中々に笑えるな。
小紫が常に己にとって正しき道を行くというのであれば、びん豪さん等から金をむしり取った行為も、彼女にとって何ら恥じる事のない行いだったという事になる。
確かにあの人ら、女のために家族を売り飛ばす鬼畜生だったので、善人とは言い難いところがあるのも事実だけれど、それにしても小紫に出会う当初のびん豪さんは、そこまでの悪党にも見えない。小紫も何らかの目的を持って金を集めているんだろうが、それにしてもコレらの所業をも「正しき」と言い切れるのだとしたら、中々に凄い。ハンコックほどではないにせよ、吹っ飛んだ倫理観をお持ちの方ではあるのかもしれない。
何にせよ、彼女の平手打ちに腹を立てたオロチ様は、八岐大蛇の様な姿へと変化。
よく見ると中央の首にのみ、元々あったヒゲや王冠がついているので、これが本体……というべきなのか知らんけど、まあそんな感じなんだろう。
最近では「リュウリュウの実」なんて能力も登場してるが、コレは何にあたるんだろう。どちらかと言うと、「竜」よりは「蛇」に近い見た目なんだよな。リュウリュウは恐竜化の能力であり、龍や竜、八岐大蛇なんかは、ヘビヘビの実の幻獣種にでも相当するのかな、って印象がある。
変身形態を見せたタイミングが丸腰の女相手、しかも後ろでは狂死郎も刀を抜きかけている…と、もうかませ犬ルート一直線みたいな披露の仕方をしてくれたオロチ様の変身だが、どうなるか。どうせなら、それなり以上には強くあって欲しい。