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アニメ版 ONE PIECE
第871話
「遂に終結 壮絶カタクリ戦の行方」 


【原作の対応話数】
89巻 第896話

もくじ
あらすじ
原作からの変更点
感想・妄想
登場した技
声の出演


【あらすじ】
 カタクリとの死闘にも、遂に決着の時が訪れた。カタクリの技を受けたルフィは、地面の崩壊と共に気を失い、大穴の底へと落ちてしまう。一方のカタクリも、ルフィの全力を尽くした拳を受け、意識の限界に。しかし倒れる寸前になっても彼の意地は揺らがず、地に背をつける事無く前のめりに倒れ込むのだった。

 一方、厳戒な包囲体制が敷かれたカカオ島へと潜入したサンジは、その戦闘員の数に舌を巻いていた。鏡から脱したルフィと合流すれば、その場でプリンとは別れる事となる。彼女との不思議な出会いを回想し、礼を述べるサンジ。しかし当初は彼を騙し、殺そうとしていたプリンは、その礼を素直に受け取る事ができずにいた。自らの犯した事を謝罪したと思いながら、上手く言葉を紡ぐ事ができないプリン。そんな彼女の思いも知らぬまま、サンジは「おれのフィアンセ役はプリンちゃんでよかった」と笑いかける。彼の言葉に涙を流しながら、プリンはある1つの「最後のお願い」を彼に望む。

 戦いの終結から10分。先に意識を取り戻したのはルフィの方だった。ルフィは大穴から抜け出すと、自分を待つ仲間達の元へと急ごうとする。だがそんな彼の前に、再び起き上がったカタクリが立ちはだかった。臨戦態勢を取るルフィ。しかしカタクリは、虚ろな意識を振り絞りながら、1つの問いを投げかける。お前はいつか、ビッグ・マムを倒しに来るのか。ルフィの答えに、迷いはなかった。おれは海賊王になる男だ。そんなルフィの言葉に満足したかの様に、意識を失ったカタクリは地に背をついて倒れる。完璧と称された男の、人生初の敗北。その姿を見届けたルフィは、自らの麦わらの上に被せていた帽子を取ると、彼の裂けた口元を隠す様に、その帽子を置いて行くのだった。

 激闘を制し、仲間達との落ち合い場所へと急ごうとするルフィの前に、ある男が現れる。逃げ出したブリュレを捕らえたその人物は、謎の救世主ナゾムズ……。自らが兄と慕うペドロが命を賭して守ったルフィ達を無事に生き延びさせるため、ビッグ・マム海賊団を裏切る覚悟を決めたペコムズの姿だった。


【原作からの追加点・変更点】
※セリフの変更点は細かい差異が多いため、気になった箇所のみ紹介


・縛り付けられていたブリュレが自力で縄を解き、自由の身となるシーンが追加。麦わらの一味を始末するため、オーブン達と合流しようとしている。(その後、経緯は描かれなかったが原作通りナゾムズに再び捕らえられている。)

・原作では省略されていた、ニュージの「カタクリ兄ちゃんが負ける可能性もあるのかな?」というセリフ追加。またその言葉に怒ったオーブンが、間違えてニューサンを殴りつけてしまうシーン追加。
 またナツメグが手にした鎌の柄で10つ子の男子を殴りつけるシーンにて、こちらもニュージと間違えてニューシを殴ってしまうという描写に変更。その後、間違われたニューサン、ニューシがニュージを殴りつけ、喧嘩になるシーン追加。

・「ONE PIECE magazine vol.5」に掲載された設定画では、10つ子の男子のうち体格の大きい人物がニューシという事になっていたが、アニメでは名前がニューサンと入れ替わっている。アニメ第869話の字幕においても、体格の大きい彼のセリフには「ニューサン」の名が振られていたため、アニメ版では彼がニューサンという事になっている模様。
 アニメ側のミスおよび設定変更なのか、magazineの設定画の記載ミスなのかは不明。

・ルフィの思考を読もうとするレザンの、「1時までここに仲間の船は来ない」というセリフが、「1時まで」と若干ニュアンスの違う言い回しとなっている。

・「ブリュレ姉さんドジッ子だから 割と捕まり易いのよね……」というオールメグのセリフが、アニメではアキメグのセリフに変更
 逆にオールメグは、アニメではこの発言に対し「アキメグ、姉さんが鏡越しに聞いてるかもしれないわよ?」とからかう側に回っている。

・ハルメグ、フユメグにそれぞれ台詞追加。
ハルメグ「あと30分、警戒は必要ね」
フユメグ「早く出ておいで、麦わら。私のこの鎌で真っ二つにしてやるわ!」

・サンジが回想するプリンとの思い出に、結婚式当日のシーンやケーキ作りのシーンが追加。またサンジの「じきお別れだ」というセリフの前に、「プリンちゃんとの毎日は楽しい時間だったが――」というセリフ追加。

・サンジの「おれの婚約者フィアンセ役はプリンちゃんでよかった」というセリフの前に、「でも、プリンちゃんは不愉快だったかもしれねェが――」というセリフ追加。

・プリンの「最後のお願い」の内容は、原作ではこの時点では不明となっていたが、アニメではサンジの煙草を奪ったプリンが彼の前で背伸びをする足元が映され、その内容が分かりやすくなっている。

・決着の直後、カタクリが前のめりに倒れるシーンにて、背後へと倒れ込みそうになったカタクリが「おれは……決して……負けん……」と呟きながら踏みとどまり、そのまま前のめりに倒れる描写に変更。

・モルガンズの発言に憤慨するモンドールが、イス代わりとしている本を能力によって動かし、彼の近くへと移動する描写が加筆。

・マストを燃やされたノストラ・カステロ号の船上にて、ビッグ・マムを引きつける役割への限界を訴えるファイアタンク海賊団の部下のセリフがヴィトとゴッティのものに変更。

・ビッグ・マムからの逃走を続ける中、シフォンたちがカステロ号の前方にふんわり島を確認するシーン追加。

・サニー号を追うスムージーの艦隊が、一時的に攻撃を中断する描写追加。ジンベエはこれを、カカオ島に用意した軍勢との挟み撃ちを計算してのものだと推察している。

・上記の策に対し、ブルックがスムージーへの交渉と称し「すいませーん!パンツ……」と叫ぼうとし、ナミに殴られるシーン追加。

・ルフィが無事に鏡世界を脱出できるかを心配するナミが、「もろもろ不安だけど……信じてるからね、ルフィ!」というセリフ追加。仲間達もこれに頷いている。

・勝負の決着後、倒れたカタクリの姿を見たルフィが「倒れる時も 前のめりか……でも、勝ったんだな……」と呟く描写追加。

・鏡世界を脱出しようとしたルフィが、ブリュレが縄を解いて逃げている事に気付き焦る描写追加。しかしブリュレは原作通りナゾムズに捕まっていたため、事なきを得ている。


【感想・妄想】
■ブリュレ脱出とナゾムズの鏡世界突入

 WCI編において、敵キャラクターとしての存在感を見せたのは登場最初期のみの事、今やルフィ達に散々利用され、妹からもドジッ子扱いを受ける様になってしまったONE PIECE界屈指の妹萌えキャラことブリュレさんが、今回なんと自力での脱出に成功!

 ……したかと思えば、なんか知らん内にペコムズに捕まってました。
 え……じゃあこの脱出描写、一体なんのために……。

 てっきり原作では不明だった「ペコムズがどうやって鏡世界へ入って来たのか」を描くための追加シーンなのかと思ったのだけれど、まったくもってそんな事はなかった。脚本担当の意向がイマイチ分からない。

 しかし本当、ペコムズさんはどうやって鏡世界に来たんだろうね……?
 鏡世界に出入りできるのは、能力者であるブリュレ本人か、彼女に触れている人物のみ。さっきまでホールケーキアイランド本島にいたはずのペコムズが鏡世界を訪れるには、ブリュレが鏡の外にいる状態で接触する必要がある筈。

 ペコムズの鏡世界突入前にブリュレが自由の身になっていたという事は、このブリュレが自由に動けているタイミングのどこかで、ブリュレとペコムズが鏡の外で接触する機会があったという事になる。が、今回のセリフから、ブリュレはカカオ島にいるオーブン達と合流しようとしていた事が分かる。
 対してペコムズは、上述の通り先ほどまでホールケーキアイランドにいた。原作を見返すと、最後にペコムズの姿が確認できたのは、ナワバリウミウシ達が姿を消した16時ごろ。ここから船で10時間以上もかかるカカオ島に向かったと考えると、勝負に決着が着いた0時47分のタイミングには少し間に合わない。第一、この時点でカカオ島には厳戒態勢が敷かれており、島に残された鏡はたった1つ。この警備の中を潜り抜け、鏡から出てきたブリュレをオーブンらに気付かれない内に捕らえ、鏡の中へ突入……などという芸当は、いくら何でも不可能だ。

 と、すると、残る可能性は1つ。ブリュレは出口を間違えたのだ。

 いくらなんでも、能力者本人が鏡を間違えるなんてあり得ない? 
 原作第851話で、キャロットの拷問(くすぐりの刑)を受けたブリュレは、「お城の鏡はどこ?」という問いに対し「いちいち覚えちゃいないよ!! 鏡に聞けばいいだろ!!」と半ギレで返答している。

 つまり、仮に能力者本人であっても、鏡世界内の鏡それぞれが、外の世界のどの鏡に対応しているかは分からないのだ。特定するには鏡それぞれに聞いていくしかないのだが、目的地であるカカオ島に通じる鏡は、オーブンの作戦によりほとんどが使用不能な状態となっていた。
 長い間捕まりっぱなしだったブリュレには、それがオーブンの策だとは分からなかった。目当ての鏡のほとんどが割られてしまっていた事で、焦ったブリュレはとりあえず外の状況を確認するため、ホールケーキアイランドへと向かう鏡へと飛び込んだ。
 
 しかし、それが運の尽き。目の前にはルフィを救うため、何とかして1時までに鏡世界かカカオ島へと向かおうと画策するペコムズの姿が。当然、彼の裏切りを知らないブリュレは、カカオ島に何が起こっているのかを訪ねる。ペコムズはほくそ笑んだ事だろう。カカオ島への最短ルートを構築できる唯一の人物が、無警戒にも近づいてきてくれたのだから。

 こうして、哀れブリュレは再び囚われの身となってしまった。知られざるペコムズの鏡世界突入には、そんな筋書きが存在していたんじゃないだろうか。
 カカオ島でアキメグ達に「ドジッ子」と言われている裏で、彼女は更なるドジッ子案件を起こしてしまっていたのだ。


■ニューサンとニューシ

 姿かたちが似通っており、元々ややこしい存在であるニューイチやハルメグ達10つ子だが、アニメではそれらが更なるややこしさを招いていた。
 いや女子勢は問題ないんだが、男子勢に関して、「ONE PIECE magazine vol.5」で明かされた設定画とアニメ版では、ニューサンとニューシの名前が入れ替わっているのだ。

 いきなりこの名前だけを放り込まれても、ほとんどの人がサッパリだと思うので補足しておくと、ニューシというのは10つ子の男子側の中でも最も体格の大きい、見分けのつきやすい人物の名前。
 なのだが、TVアニメ版ではこの大柄な男子が、オーブンからニュージと間違えてゲンコツを振るわれた際、「おれニューサンだよ!」と抗議するシーンが描かれていた。前後のシーンをふまえると、この大柄な人物が「本当はニューシだが冗談でニューサンを騙っている」と言う様なシーンではないため、アニメでは間違いなく、この大柄な人物がニューサンなのだろう。

 ニューサンとニューシが入れ替わっている。実はこのニューサン(大柄)の名前がアニメで明かされたのは今回が初ではなく、2週前の第869話においても、字幕や声の出演などでその名前が明らかとなっていた。
 この時はまだ「magazine vol.5」が未発売であったため、感想などを書いていた俺も「なるほど、こいつの名前がニューサンなんだな」と特に疑う事もなく記事を書いていたのだが、ここに来て疑問符が沸き上がって来る展開に。

 ……普通ならば、こういう矛盾が発生した際は原作側の描写や設定を基準とし、アニメ側のミス、あるいは設定変更……という風に捉えるのが普通だと思うが、これに関しては個人的に、アニメ側が正解で、「ONEPIECE magazine」側の記載ミスなのではないか、という気がしている。

 というのも、人数の多いシャーロット家のきょうだい達の構成は中々に厄介で、原作側でもたびたび設定や描写のミスを起こしている。フランペやプラリネの「第〇女」という表記がわちゃわちゃとしていたのは有名だろうし、地味に原作におけるモンドールの「スムージーの姉貴!」というセリフもミスであったことが、「ONE PIECE magazine vol.5」の発売により発覚した。(モンドールは35歳のスムージー姐さんより年上の38歳)

 このスムージー姐さんとモンドールの年齢問題に関して、TVアニメ版においては「magazine」発売前に放送された同シーンにて、モンドールに「スムージー」と呼び捨てにさせるという設定に忠実な修正を行っている。(参照:当ブログのアニメ第843話の記事

 この間は何故かフランペの設定を誤植修正前のジャンプ本誌版を元に描いてしまうというポカをやらかしたアニメ版ではあるが、この手の設定面に関して、基本的にはミスの発生しない様に尽力している、という信頼感が、個人的にはある。第一設定変更を行う理由もないし、最も分かりやすい大柄の名前を2話に渡ってミスり続けるという謎、発生するとも思えないし……。

 まあぶっちゃけ真相は闇の中。誰か暇があったら、SBSででも聞いてみて下さい。
 しかしコレ、呼び方に困るな……。原作側としては一応「でかいの=ニューシ」って事なんだが、個人的な信憑性としてはニューサンに軍配を上げているという……。ううん、一体どっちの名前で呼べば……。
 と思ったのだけれど、冷静に考えて彼ら個人を取り上げて名前を呼ぶ機会なんぞそうそうなさそうなので、特に問題もないのであった。


■シャーロット家の10つ子達

 余りにも分かりにくいので、彼ら10人の名前と外見の見分け方をざっくりと記載しておきます。
 と言っても、男子勢の方は原作のモノクロで描かれた絵の中ではものの見事に見分けがつかないため、アニメ版の帽子の色ぐらいでしか判別不可能っぽい。
 ちなみに原作では蝶ネクタイをつけている男子勢ですが、アニメでは普通のネクタイに変更されてます。何でだろう。

〇ニューイチ
 36男。帽子の色が赤。
 現時点では、5人の中でも最も印象が薄く、空気。
 
〇ニュージ
 37男。帽子の色が黄色。アニメでは男子勢の中で唯一、ネクタイをしておらずシャツを第2ボタンぐらいまで開けている。
 軽口を叩いて怒られたり、間違って殴られたニューサン達に悪びれない態度を取っていたり、5人の中でもヤンチャな方なのかもしれない。

〇ニューサン
 38男。男子側の中で唯一大柄で、もっとも分かりやすい。にも関わらず、オーブンにニュージと間違われて殴られた。上述の通り、「magazine」での名前はニューシ。
 帽子の色が紫。

〇ニューシ
 39男。帽子の色が緑。ニュージと間違われ、ナツメグに殴られた。上述の通り、「magazine」でのニューサンだと思われる。
 
〇ニューゴ
 40男。帽子の色が水色。ベスト弟ーティスト賞第2位の愛され弟。
 ルフィとカタクリの戦いの音沙汰が全くない事に不気味さを感じるなど、臆病なのか用心深いのか……という印象。

〇ハルメグ
 33女。ニューサン同様、女子勢の中で唯一体格がかなり大きい。
 男子勢同様に前髪で目が隠れており、後ろ髪は2つ結び。やや地味めな印象。一番上の姉というワケでもないのに、なぜ「春」の名があてがわれたのかは不明。
 1時まで30分という段階に迫った段階で「警戒が必要ね」と溢すなど、おちゃらけた姉妹達とは異なり思慮深い性格なのかもしれない。

〇ナツメグ
 30女。前髪を真ん中で分けたストレートヘアー。5人の中で一番露出度が高く、服装がハデ。
 カタクリを「完璧な男」と呼び、軽口を叩いたニュージを鎌で叩くなど、カタクリへの憧れが強い。

〇アキメグ
 31女。頭頂部に髪を団子状に結っている他、ドクロ模様の服を着るという謎のファッションセンスを持つ。
 アニメでは、ブリュレ姉さんに「ドジッ子」発言をした張本人。

〇フユメグ
 34女。後ろで1つ結びにした髪を、更に3回ほど結った髪型をしている。
 恰好は普通だが、アニメでは「(ルフィを)鎌で真っ二つにしてやるわ」と笑顔で言い放つなど、やや好戦的な性格。こわい。

〇オールメグ
 32女。アフロ気味の髪をオールバックにしたパンク系女子。腰の辺りにハート模様のついた服を着ている。「magazine」の設定画では、ハートの中にドクロの顔の様なものが描かれているが、原作、アニメ共に劇中では採用されていない様子。
 原作では「ドジッ子」発言をしたのは彼女だが、アニメではからかい半分にたしなめる側に。名前のヤケッパチ感が個人的に好評。


 以上、10つ子達でした。
 男子側の判別はかなり難解ながら、女子側の方は覚えやすいんじゃないかと。覚える意味があるのかは甚だ疑問だが。

 しかしアレね、服装や髪型に全然気を遣っていない男子達はまったくもって見分けがつかず、逆にオシャレを意識している女子達は見た目に個性が生まれているの、男女間の差が出てて面白いね。たぶん身長を除けば、ハルメグがもっともデフォルトの外見に近いんだろう。
 まあどっちにしろ、アレだけ体格の違うニューサンを「ニュージ」と間違えてゲンコツ振るったオーブンさんは眼科か脳外科を受診した方が良さそうですね。


■プリン最後のお願い

 ルフィVSカタクリと同じぐらい(?)長きに渡って続いて来たプリン劇場だが、こちらも遂に終局の時が。
 これを最後に、サンジとプリンは当面の間お別れとなる。というか、現時点では作中において再会する事があるのかすらも分からない。と言っても、プリンには歴史の本文を解き明かせる「3つ目族の覚醒」なる謎も存在しているので、このままフェードアウトという事は考えにくいけれど。

 アニメでの変更点として、まずここまでで描かれた「偽物の夫婦関係」に関し、サンジの口から「プリンちゃんは不愉快だったかもしれねェが」と語られた事。これによって、サンジが建前などではなくマジでプリンからの好意に気付いていないというのが印象づけられた気がする。
 第2に、「お願い」と称したプリンの行動が何を示すのか、というのが、この時点でほぼ明確な形で描かれた事。こちらは……正直、イマイチ変更の意図が読めないのだが、「そこまで引っ張るものじゃない」って事なのかな? アニメって子供も見るから、こういう大人の物語部分は分かりやすさも大事だろうし。

 しかしサンジ君、「おれ達は敵同士だもんな」と、「プリンが自分を敵として認識している」と考えているなら、何故プリンが「ルフィ救出の手伝い」などという得にもならない行動に出ていると……。
 印象の刷り込みってこわい。


■ルフィVSカタクリ、決着

 アニメ版の話数にして約20話、半年近くに渡って続いて来たカタクリとの戦いも、ここに決着の時が。長かったなぁ。
 
 ただその結末は、これだけの時間をかけたに相応しい熱量を持っていた。そして、その立役者となったのはやはり倒れてなお偉大さを失わない、カタクリというキャラクターの完成度だろう。
 この戦いは、形の上ではルフィが制する事となったが、実際にはほぼ互角の結末であった。互いの大技を受け合い、互いに意識を失った。そしてカタクリは倒れるも、この時は前のめりの倒れ方。地に背をつけて倒れる事を何よりも「敗北」と見るカタクリにとって、これはまだ敗北を認めてはいないという意志表示でもあると思う。
 
 しかしその後、一時的に目を覚ましたカタクリが再度意識を失う時、彼は自ら背後へと倒れた。これはつまりカタクリがルフィに対する完全敗北を認めたという事。これはルフィに対する敬意でもあったのだと思う。フランペの横槍を受け、それに対しカタクリ自身も自らの腹を抉って見せるなど、第三者の介入が少なからず入ったこの戦い。だが、ルフィはそれに対し、言い訳1つせずに戦い抜いた。そして、自分を超える程の力を見せつけた。

 そんなルフィに、この勝利を誇れと。カタクリが自ら負ったハンデの事など、気に留める必要はないと。そんな思いを、カタクリは地に背をつくという行為によって伝えたかったんじゃないだろうか。それはルフィへの敬意であり、この死闘に対する敬意。燻っていた自分の心を燃え滾らせた、この素晴らしい戦いの結果を、下らない横槍などで汚したくはなかったのではないか。

 そしてルフィもまた、カタクリへの敬意によってこの戦いを締めくくる。元々彼が必死で隠そうとしていた、大きく裂けた口。それを、被せていた帽子を乗せる事で、覆い隠す。ほぼ無意識の行動だったと思う。サンダーソニアの背中の紋章が露わになった時も、彼は自らが盾となり、紋章が人目に触れる事を防いだ。「見られたくないと思っているのだから、見えない様にしてやる」。ルフィは元々、こういう単純かつ無意識な気遣いが出来る人間ではあるのだが、今回のそれは、ソニアの一件とは根本的に性質が違うんじゃないのかな、という印象があった。
 シャンクスが以前言った、「白ひげは敵でも敬意を払うべき男」という言葉。これに近い感情を、ルフィはカタクリに対し、感じ取ったんじゃないかな、と思う。





【声の出演】
ルフィ・・・・・・田中真弓
ナミ・・・・・・・岡村明美
サンジ・・・・・・平田広明
チョッパー・・・・大谷育江
ブルック・・・・・チョー

ビッグ・マム・・・小山茉美
ジンベエ・・・・・宝亀克寿
ベッジ・・・・・・龍田直樹
キャロット・・・・伊藤かな恵
プリン・・・・・・沢城みゆき
カタクリ・・・・・杉田智和
ブリュレ・・・・・三田ゆう子
オーブン・・・・・木村雅史
ナゾムズ・・・・・飛田展男
シフォン・・・・・久川綾
モンドール・・・・伊丸岡篤
ヴィト・・・・・・岸尾だいすけ
レザン・・・・・・阿座上洋平
ユーエン・・・・・成瀬誠
ヌガー・・・・・・荒井聡太
モルガンズ・・・・加瀬康之
ステューシー・・・金月真美
オールメグ・・・・金子有希
ハルメグ・・・・・関根有咲
ナツメグ・・・・・一木千洋
アキメグ・・・・・祖山桃子
フユメグ・・・・・鹿野優以
ニューイチ・・・・新井良平
ニュージ・・・・・岡本寛志
ニューサン・・・・粕谷雄太
ニューゴ・・・・・千葉俊哉

ナレーション・・・大場真人