週刊少年ジャンプ2019年13号分の感想です。
 ネタバレを含むので、自分で買ってから読んでください。 


★もくじ
ペロスペロー海賊団
兎丼へと向かうおリンさん一行
北の墓場組
えびす町組
兎丼組  



ペロスペロー海賊団

 船長のビッグ・マムがどえらい状態になっている一方で、ペロスペローを始めとした幹部の面々は無事にワノ国近海へとどまっていました。
 ローラの一件以降、ビッグ・マムの子供達ですらママのビブルカードを持つ事は禁じられている、という話だったけれど、ペロスペローは所持しているのね。今回の様な非常事態を見越して、ビッグ・マム本人を乗せた遠征の際には特別に所持する事を許可されているのか、もしくはツイッターで指摘されたのですがナミから没収したローラのカードをそのまま子供達が預かったというところかな。

 ビッグ・マムがいくら怪物とはいえ、同じ四皇の敵地に単独で放り出されたとあってはピンチ……のハズが、ペロスペローらはえらい落ち着いた雰囲気で時期船長の話で盛り上がる始末。
 あなた、WCI編では「ママが死んだら国も海賊団も終わり」って大焦りして……。やっぱケーキの一件で、ペロスペロー達もママの無茶苦茶っぷりに嫌気がさしてきたんだろうか。元々ペロスペローはビッグ・マムの事を「組織として必要な人物」とは考えても、1人の息子としては母の事をそんなに快く思って無さそうな印象なんだよなぁ。まあ彼、下手をすればあのままビッグ・マムに殺されてもおかしくなかった状態なんで、そう考えても当たり前ですけど。

 時期船長にカタクリを推すダイフク兄さんの反応を見るに、彼がルフィ戦の敗北、および口裂けの一件で立場を悪くしたという事は特になさそうで。少し安心かな。というか、ルフィがカタクリを倒したと知って激昂してたオーブンといい、この3つ子めっちゃ仲良いですね。
 ダイフク兄さん、お茶会でプリンがサンジ抹殺をしくじった時には結構辛辣な対応してたんで、あまりきょうだい間での情愛みたいなものを持たない人なのかな、と思ってたけど、カタクリに関しては結構慕ってるみたい。ペロス兄含め、幼少期には結構4人でつるんでたみたいだし、上の方の兄弟とは仲が良いのかな。
 まあ正直、30歳も年が離れたプリンとは接点もあまり無さそうだしなぁ。これだけ人数が多いと、きょうだい間での親しさみたいなものもバラつきが生まれるのは当然かもしれない。
 あと、地味に「ペロ兄」呼びにじわる。


 そして他の兄弟達がビッグ・マム死後の話に花を咲かせる中、1人緊張感を保ち続ける我らが将星様が存在した。
スムージー「勝手にママを殺すな!!!」
     「必ず帰って来る!! ママを常識で計るな愚か者共!!」
ONE PIECE 第934話より

 急にどうした?
 なんかえらくマトモな事言い出したぞ!?


 あの口を開くたびにぽんこつ発言で株を下げると言われ続けたスムージー姐さんが……なんか冷静な事喋ってる……スムージー姐さんのくせに……。
 まあペロスペロー達も本気でマムが殺されると思って喋ってるワケじゃなかったかもしれないけど、なんか突然将星としての貫禄を見せ始めましたねこの方。クラッカーもカタクリも欠いたワノ国出兵組の中じゃ戦力としては最高峰だろうし、自分が締めなくては、みたいな思いもあるんだろうか。

 しかしこうして聞いてると、他のシャーロット家のメンツはイマイチ「母親として」のシャーロット・リンリンへの愛を感じない一方、意外とスムージー姐さんはマムに好意的な様にも見える。
 スムージー姐さん自身は完全な戦闘能力特化タイプだろうし、同じ女の身ながら他を寄せ付けない圧倒的な強さを誇るビッグ・マムに対し、憧れや尊敬の思いを持っているのかな。ぶっちゃけやる事なす事うまくいかないスムージー姐さんを、その力を認め将星の一角というポストを与えてくれた恩義の様なものも感じているのかもしれない。


 そして何気に、ビッグ・マムとカイドウが昔は仲間だったという事が、モンドールの口から明確に語られましたね。十中八九、2人がロックスなる一団に所属していた頃の事かな。
 ほぼ分かり切っていた事とはいえ、この怪物2人が同じ組織に所属していたと考えると凄まじい。加えてもしかしたらニューゲート(と、ついでにミス・バッキン)もその仲間だったかもしれない、となると、もはやその気になれば簡単に世界を滅ぼせそうなレベルになってくる。
 そんな一団の瓦解に関わっているっぽいガープさんって何者やねん!と、改めて思うのであった。



兎丼へと向かうおリンさん一行

 息子・娘たちが上陸しあぐねている一方、絶賛記憶喪失中のビッグ・マム……もといおリンさんは、菊、モモの助、玉、チョッパーと共に、ルフィが捕らわれている兎丼へと向けて出発するのであった。

 飛徹さん、苦労人やなぁ……。大事な刀は持ってかれるし、玉はめちゃくちゃアグレッシブだし……。
 錦えもんからモモの事を頼まれているという事は、もう彼らが「20年前からタイムスリップしてきた」という事は知らされているハズ。これは元々知っていたワケではなく、編笠村での合流後に初めて聞かされた感じなのかな。時を渡る直前、錦えもん達と一緒にいた笠の侍とは体型も年齢も一致しそうなのだけれど、この感じだと飛徹が赤鞘九人男の1人って感じはしないんだよなぁ。

 しかしビッグ・マム、記憶を失ってもやはり天然の暴力が失われる事はなかった様で。玉のきびだんごで従えたのかと思ったワニガメ、マムのゲンコツで従わざるをえなくなったという恐ろしい事実。幼少期の頃もそうだけど、自身の暴力の中に悪気がまったくないというのも、下手すりゃ見るからに悪辣な本来のビッグ・マムよりもタチが悪いかもしれない。
 
 記憶が戻れば一環の終わり、というのは勿論だけれど、ぶっちゃけ記憶なんか戻らなくても普通に危険なのよね。
 善悪の理屈が根幹からぶっ壊れているのがリンリンなので、彼女にとって「これはやってはいけない事」だと感じる行動を味方側がとってしまえば、「おしおき」の名目でブン殴って来るぐらいの事はいつ起こってもおかしくない。それじゃおちおち、襲ってくる敵への応戦も出来ない。
 もっと最悪なのは、食いわずらいの発生。これは記憶や性格とは無関係の本能的な発作だろうから、記憶喪失の今だって、発生してもおかしくない。それこそ鶴さんに貰った「おしるこ」ぐらいなら何とかなっても、チョッパーを見ながら腹を鳴らしていた今回の感じだと、食いわずらいのお題にチョッパーを指定してくるなんて絶望的な事態が起きたっておかしくはないワケだ。

 もはや存在そのものが展開の起爆剤。彼女が物語に関わるだけで、話がどう転ぶのかまったく読めなくなる。凄まじい存在が味方側(?)についてしまった。


 第934話では、ワノ国の大まかな地図が登場した。ワノ国という土地は大きく分けて、
「九里」「希美」「兎丼」「白舞」「鈴後」、そして「花の都」の6つの郷に分かれていると。
(ちょっと「リンゴ」の「ゴ」の字が潰れてて正確に読めない。たぶん違う字だと思う。)

 こう見てみると、えびす町って九里を出てから兎丼を通り越していった先にあるのね。最初からそこを目指したロー達はともかく、ゾロはまたえらい距離を迷い倒していったなぁ。
 「希美」という土地は以前から登場していて、20年の時を経た錦えもん達を出迎えた地武えもんが、そこの旗本だと言っていた。てっきり希美というのは九里の中にあるひとつの土地なのかと勘違いしていたのだけれど、まったく違う土地だったのね。
 

 一方でモモの助の口からは、「スナッチ」なる謎の掛け声が登場。
 スナッチ……と聞くと思い浮かぶのは相手のポケモンを強制的に捕獲できるという太古のゲームシステム……ぐらいしか思い浮かばないが、調べたところ英単語としての「snatch」の意味合いは「ひったくる」「強奪する」という意味らしい。

 ゾロから教わったまじないの類だそうだが……ぶっちゃけ読者側としては初めて聞きましたね。そんなまじない知ってたんかゾロ。
 まあこれはあくまで、ゾロがモモの助と同じぐらいの子供の頃に頼っていたまじないなんだろう。剣士として成熟した今のゾロに、まじないに頼らなくてはならないほど「勇気が出ない時」なんてタイミングはそうそうないだろうし、劇中のゾロが一度も口にしていないのも仕方がない。

 この言葉は菊曰く「九里の古い方言に似ている」「モモの助が使うに相応しい意味ではない」との事。現実世界での単語と同じ意味ならば、確かに「相手のものを奪い取る」などという言葉は将軍家の正当なる血統の者が使うに相応しい言葉とは言い難い。しかしこんなにもあからさまな外来語が、ワノ国の古い方言として存在するというのは中々に謎。しかもそれを、ワノ国を訪れた事などあるはずもないゾロが何故知っていたのか。

 ゾロとワノ国の関係性と言えば、やはり彼の少年時代の師匠でもあるコウシロウを引っ張り出したくなる。彼の住むシモツキ村の建物は妙に和風の作りをしていて、コウシロウ自身の名前や雰囲気などから、ワノ国の出身者なのでは?という声も多く出ていた。
 実際のところVIVRE CARDでは東の海出身と描かれているコウシロウなのだが、まあVIVRE CARDだしな……。

 仮にコウシロウ自身の出身地が東の海というのが事実であっても、彼の親、あるいは祖父母などがワノ国の出身だったという可能性はあるかもしれない。そのワノ国出身の肉親から教わった「スナッチ」という掛け声が、一心道場においてコウシロウから弟子たちへと伝わったというなら、VIVRE CARDの情報とも矛盾はしない。
 
 しかしこの言葉自体がワノ国らしくない、という事に変わりはないし、そもそも良い意味を持たないような言葉が「勇気を出すためのまじない」として伝わっているのには違和感がある。
 思うにコレは、ゾロまたはコウシロウの勘違いから生まれた言葉なんじゃないか。この言葉を外国へと持ち出した人物が決して良くない意味合いで叫んだ単語を、聞きかじった幼少時代のゾロもしくはコウシロウがまじないの言葉として勘違いし、定着してしまったんじゃないだろうか。言葉自体も正確には「スナッチ」ではなく、発音の似通った和風の名称だったのかもしれない。



北の墓場組

 小紫の斬殺事件(仮)現場から、なんとか逃げ延びたロビン達。北の墓場の小屋に身を隠し……って、つまり「北の墓場のオバケ騒動」ってブルックの仕業かい。

 トコは遊郭に預けてきたらしいけれども……大丈夫なのか? 小紫の死(仮)はオロチとしてもだいぶ堪えていたみたいだし、その原因を作ったトコがこのまま許されるとも思えないけれども……。
 トコを巡って、またひと騒動起きそうな予感。

 その小紫を斬り殺した(仮)狂死郎は、カン十郎達20年前の人間にとっては知らぬ名らしい。逆に言えばそれによって、元々光月家側だった人間が、狂死郎と名を変えてヤクザの大親分にまで上り詰めたという可能性もあるのかな。アシュラ童子の例なんかを見ると、20年前に光月側だった人間すべてが光月家の帰りを信じて待っていた、というワケではなさそうだし。


 一方でオロチお庭番衆に見つかってしまう、というポカをやらかしたかに見えたロビンさんの方は、ポーネグリフの発見以外のほぼすべての情報を聞き出しきっていた。
 いやもう大金星でしょ。活躍できない事が増えたとか言ってごめんねロビン。

 特にオロチ・カイドウ両軍の持つ兵力や組織図なんかが手に入ったのはデカい。こちら側の期待兵力が5000という事でかなり大所帯の合戦になるため、戦いを取り仕切る指揮官的な存在は必須となるはず。それを考えると、敵の戦力があらかじめ頭に入っているというのは大きなプラスになるんじゃないかな。
 まあぶっちゃけ、これはONEPIECEという漫画なので1人の力が1000の大軍をハネのける事など当たり前に存在するので、劇中で兵力と兵力のぶつかり合いが目立って描かれる事はないかもしれないけれどもね。
 後は不安事項としては、結果として今回ロビン達の潜入がバレた事で、少なくとも「オロチ周辺を嗅ぎまわる間者の存在」は敵側の頭にも入ってしまっている。錦えもんらの生存を疑っている用心深いオロチの事、決戦当日の予定や警備状態を大きく変更してくるなんて事も十分に考えられるので、その辺りがどうなるか。


 一方でブルックが見つけたポーネグリフの周辺には、こけしの様な木彫りの人形が置かれていたらしい。
 こけしと言えば、玉の行動力に振り回されまくっている苦労人こと天狗山飛徹さんには「美少女こけしコレクター」という不名誉かつまったく意味のわからない紹介がなされていましたね。
 ……え? あの出オチみたいな謎設定、本筋に絡むの? オロチも同類の趣味持ちなの?
 まあわざわざポーネグリフの厳重な警備の中にそれを並べておくぐらいだし、何か意味のあるものなんだろうけれど、まさかこんな所で繋がりが出てくるとは思ってなかった。

 そしてナミさん、今ワノ国の風呂場に近づいてはいけない。
 妖怪おそばマスクが現れるから。今この国に、プライバシーという言葉は存在しないから。



えびす町組

 小紫(仮)が死んだという事で、明日には葬儀が予定されているらしいが……遺体はどうするんだろう? 正直アレで本当に退場とは微塵も思えないんだが、何か遺体をでっち上げる手段でもあるのかな。

 女湯覗きの事しか頭にない危険人物はさておき、地味にワノ国編における浦島の大相撲の実況、ホーキンスの連絡手段、ロビンのナミ達との連絡など様々なところで登場していたスティック型の電伝虫の名称が判明。
 スマートタニシ、略して「スマシ」というなんともハイカラな道具でした。名前にワノ国っぽさが皆無で笑う。見た目的に、小電伝虫を独自の形状にて設計し直したものなのかな。

 822話では、錦えもんが電伝虫の事を「海外には“かたつむり”を使ってその……」という風に言っていたので、少なくとも20年前までは、ワノ国にとって電伝虫というのは「異国の文化」でしかなかったんだろう。光月家の消滅後、カイドウによって持ち込まれた電伝虫が独自の発達を遂げていった感じかな。
 我々の文化で例えるなら、黒電話すら知らない人々がいきなり携帯電話を持たされたようなものだ。文明のハネ上がりっぷりが凄い。



兎丼組

 まさかキッドが物語の合間にて脱獄を果たしているとは思いもよらなんだ。絶対ルフィと不本意に共闘する流れになると思ってたのだけれど。
 これはアレかな、ストーリー上、ビッグ・マムとキッドの遭遇を避けるための展開なのかな。キッド、マムと顔を合わせたら普通に討ち取りにかかりそうだものな。その辺のお話は、もうちょっと先になって来るか。

 と言ってもキッドは海楼石の錠をつけたままの状態なので、どこかで錠を解除する必要はある。未だ姿の見えないキラーや仲間達と合流する事ができても、雷ぞうですら手こずっている鍵の奪取を、そう容易に出来るとも思えない。しかし、パンクハザードで海楼石の鎖を切断していたローなら、キッドにつけられた錠を切断する事も可能なハズ。彼らとバッタリ遭遇でもすれば、何とかなるか?
 問題は、あのキッドがローに頼み事なんてマネが出来るとは思えない事だが……。キラーとの合流後なら、何とかなるか? あの馬の合わないアプーやホーキンスとの同盟を成立させた立役者っぽいし、キッドとの協力はローにとっても利のあるものだろうしなぁ。

 兎丼の方では、何やらまた濃ゆい見た目のギフターズが数名登場。名前つきで登場したのはアルパカマンだけだけれども、サソリのSMILEやゾウのSMILEを食べたと思しきギフターズも確認できる。

 アルパカマンはギャグキャラだけれど、サソリの方は……何気にカッコいい気がする。頭部のトゲから毒でも出せるなら純粋な戦闘能力も高そうだし、ヒザにトゲのついた足が複数に枝分かれしているのはカタクリの“柳モチ”を彷彿とさせる。名前も出ないままルフィに潰されたっぽいけれど……まあ、真打ちですら力不足なのに、ヒラのギフターズじゃしょうがないか。
 ゾウの方に至ってはフキダシで顔さえも隠れているという不遇な扱いだけれど、胸部分に動物の頭部がペタッとくっついてる感じはビーストウォーズのロボット達を連想した。
↑こんなの。


 そして今回は、ルフィから飯の整理券を恵んでもらっていたヒョウジイが、20年前にはワノ国一のヤクザの大親分であった花のヒョウ五郎という人物であったという事が分かった。
 まじか……この爺さんそんな凄い人やったんか……。自身の発言的に任侠派のヤクザだったっぽいし、狂死郎一家の様に町で恐れられるタイプではなかったのかな。少なくとも、兎丼の連中からは親しまれてそうだし。

 老いた今となっては流石に前線で闘う事はできなさそうだけれど、ルフィの脱獄や対オロチ戦など、要所で力を貸してくれそうな感じ。FILM GOLDに登場したレイズ・マックスみたいな立ち位置になりそうなイメージかな。

 ルフィがヒョウジイのために暴れ始めた一方で、予想通りというか、大看板の1人であるクイーンが仰々しいバイクに乗って採掘場に出現。やっぱ、ここを取り仕切ってる看守長は彼なのかな。

 ルフィ、クイーン、そして兎丼へと向かっているビッグ・マムと3者入り混じる展開になりそうだが、どうなるんだろう……? WCI編でいうクラッカーの事を考えると、決戦前に大看板の1人が消えるという線も多分に存在はするけれど、ただでさえ少なめな敵陣営のコマをここで消費するというのも考えにくいかな……?