週刊少年ジャンプ2019年15号分の感想です。
 ネタバレを含むので、自分で買ってから読んでください。 


★もくじ
兎丼の真打ち・大看板達
えびす町
花の都「湯屋」
ヒョウ五郎と福ロクジュ  



兎丼の真打ち・大看板達

■ソリティア


 囚人採掘場に登場した新たな真打ちで、「副看守長」の1人。副看守長と言えば、以前ルフィとキッドにボコボコにされたドボンさんも同じ肩書だったし、副看守長は複数人体勢なのね。

 しかしこの人の能力……猿!? これ猿の能力なの? 蜘蛛とかじゃなくて?
 猿の要素、尻尾ぐらいにしか見当たらんのだが……この6本腕は一体。猿の能力の一環とも思えないし、コレはこういう種族なんだろうか。はっちゃんの様な魚人族には見えないけど、「六つ手族」的な? 

 まあ女性で猿の能力、しかも能力の解除が出来ないパターンも多いSMILE能力と来ると、あまり猿の容姿が前面に出過ぎていても可哀想になるので、人の姿を保てた事にとりあえずは「良かったね」と言っておこう。
 ……実はあのヘルメットを取ると、目のあたりが猿っぽかったりしそう。だとすれば「ご愁傷様」と言う他ない。
 四刀流の使い手っぽいのでマトモに戦えばカッコいい感じにもなりそうだけれど、既に副看守長クラスの真打ちは実力の底が見えて来ているので、活躍を見込むのは中々難しそうだ。同じ剣士キャラという事で、兎丼に向かって来ている菊あたりのかませ犬にでもなって貰うのが良いのかな。


■ダイフゴー

 このサソリ男、真打ちだったのか。前回の登場時から、見た目が割と好きだったので名前が分かったのは嬉しい。まあ、活躍はしなかったけど。
 百獣海賊団の中では割とカッコいい部類の見た目なんだが、お名前の方は日本語のゲーム名をそのままカタカナにした感じで、あまりカッコいい響きではない。ノリとしては、シャーロット家の方に近いかも。ダイフク兄さんに名前ちょっと似てるし。

 こちらも副看守長という事だが、海楼石の錠をつけた状態のルフィに簡単にやられてしまったので、まあ単体で強い方ではないだろう。サソリの能力者という事で毒でも扱えるかもしれないので、サポート役としてなら活躍できるかもね。一応、まだノックアウトされたワケではないし。まあその毒もルフィには効かないワケですが。

 .彼をブッ倒したルフィさんの方は、海楼石をつけた状態で動き回る事で修業の一環にしていると。流石ルフィ、転んでもタダでは起きない男。一週間程度の短い期間でどの程度力がつくのかは分からないけれど、思えば力を封じられた状態でここまで戦ったりするシーンは貴重なものだったし、思った以上に成長できるのかもしれない。重たい甲羅を背負ったまま修行をしていた、悟空とクリリンみたいなモンだろう。
 カイドウとの力の差は歴然だったので、ここでの修業期間でどの程度成長できるのかは楽しみなところですね。


■ババヌキ

 その海楼石状態のルフィさんを、謎の鼻息爆弾で吹き飛ばした看守長さん。前回からチラッとだけ姿が見えていたけれど、看守長だったのね。
 副看守長である3人とは同じ「真打ち」という事だが、彼は飛び六胞ではないのかな? ダイフゴー達とは明確な序列をつけられているし、実力の方も彼らよりは上っぽいので、同じ真打ちとはいえその立ち位置には差があるみたいだ。

 海楼石をつけて弱まった状態とはいえ、今まで真打ち達に対しては無双状態だったルフィに痛手を与えているので、力量はそこそこっぽい。
 ルフィとの戦闘では、象の鼻息エレファントハックションなる、胸部のゾウがクシャミをする事で放たれる砲撃を使った技を披露してくれた。
 技のシステムは、ホールデムの“獅子の火”に近い。炎を吐くたびにツラそうだったホールデムに比べれば、こっちはまだマシな部類……か?
 これはやっぱ、動物の顔の中に兵器でも仕込んでるんだろうか。果たしてゾウの鼻に砲弾を仕込む必要はあるのか。手に大砲でも持つんじゃダメなのか。やはり彼らは身体に生まれた動物を虐げて楽しんでいる変態なのか。謎は深まるばかりである。


■クイーン

 ジャック、キングに次ぐ大看板様。
 てっきり採掘場の看守長なのかと思っていたけれど、ババヌキが看守長という事で彼は兎丼の中で特定の立場を持つ人物というワケではないらしい。フラッと現れては拷問により囚人の心を折る、嵐の様なお方なんだろう。まさに災害。

 地味に小紫ガチ恋勢だったことが判明した事でオカマ疑惑をハネのけたクイーンさんだが、その懸賞金は13億2千万ベリーという事で、あのカタクリよりも上。と言っても、ルフィの金額には負けるんですけど。
 まあ3人の“災害”の中でも最弱っぽいジャックさんでも10億ベリーだったので、このぐらいの額は妥当なところかな。別に懸賞金額はそのまま強さに直結するものではないので、彼がカタクリよりも強いのか、と言えば分からないところだけれど。

 百獣海賊団の懸賞金額が高めなのは、ビッグ・マム海賊団に比べてもそれだけ民衆への被害が甚大なんでしょうね。ビッグ・マムは良くも悪くも「ビジネス」としてナワバリ内の民衆をその名で守る事もあるけれど、カイドウらは何をしでかすか分からないというか。船長自身、気分ひとつで世界を滅ぼしにかかろうとする思想の危険性もあるからなぁ。
 ジャックが10億、クイーンが約13億って事で、大看板の最強格(たぶん)っぽいキングの賞金は15億のルフィを上回ってきそうかな。

 グラサンに口紅の筋肉デブキャラというキワモノデザインなクイーンさんだけれど、「困ってる事ランキング」に律義に驚いて見せるオーバーリアクションっぷりが愉快だったので許した。なんやこのオッサン。
 ジャックの場合はジンラミーとかにも恐れられていたけど、クイーンは部下からも割と人気っぽい。やっぱりあの反応の良さと、大ふとカチカチボディが人気の秘訣なんだろうか。

 ……と見せかけて、クイーンに殺される事を恐れて「小紫が死んだ」と言い出せない辺り、やっぱり絡むとヤバすぎるヤツなのかもしれない。テレビで見てるのが丁度いい距離感のタレントみたいな感じ。百獣海賊団、まじでマトモな上官がいない。



えびす町

■行方知れずのゾロ

 ロー達が町を訪れたにも関わらずゾロと合流していなかったのは、ゾロがすでに町を発ってしまっていたせいらしい。
 なんでも刀を盗まれて追いかけていったらしいが……キミ、いつも刀盗られてんね。ドレスローザでもウィッカに持ってかれてたし……。たしぎさんは正々堂々と戦いを挑むより、プライドを捨ててこっそり盗み出した方が名刀回収の成功率が上がるかもしれない。

 ワノ国内で盗っ人と言えば、例の丑三つ小僧なる義賊さんが思い当たる。……が、あの人は大金持ちから盗んだ金を貧乏人にバラ撒くタイプの盗っ人だと聞くので、えびす町に滞在するゾロから盗みを働くのかと言えば微妙。
 ……と思ったけれど、ゾロ十郎さん、今は奉行斬りのお尋ね者として指名手配中なんだった。そら盗みに合っても文句言えんわ。


 そも、ゾロの持つ刀のうち「秋水」「三代鬼徹」は、ワノ国に由来する刀。錦えもんが以前に勘違いしていた様に、これらの刀を「ゾロが盗み出したもの」と認識されても不思議はないかもしれんね。

 それに92巻のSBSにて、コウシロウの祖先がワノ国の出である可能性も出てきた以上、ヘタすりゃ「和道一文字」も元はワノ国の刀であるのかもしれない。そう考えると、ゾロの刀を狙うのは何も悪党ばかりとは限らない。「鬼徹」にゆかりのある人物は飛徹さんぐらいだろうけれど、「和道」の本来の持ち主の子孫なんかが出て来たら、ゾロを目の敵にしたり刀を盗んだりなんて事は十分に考えられるしな……。

 思ったんだが、和道一文字は元々、秋水同様にワノ国から盗み出されたものだったんじゃないだろうか。
 ワノ国出身のとある人物が、元の持ち主から刀を奪い、東の海へと出る船へと乗り込む。そしてワノ国に似た景観を持つシモツキ村を気に入り、そこで子を成して行った。そして生まれて来たその人物の子孫こそが、ゾロの師でもあるコウシロウさんだったんじゃないか。

 ゾロが掛け声として使い、菊曰く「九里の良くない方言に似ている」という「スナッチ」という言葉は、現実世界の英単語で「強奪する」という意味合いを持つ。仮にこの方言の元ネタがそういう意味の英単語なら、和道一文字を盗み出す様な賊徒が使っていてもおかしくはない。
 コウシロウさん自身は、先祖から伝わった和道一文字の出自をよく知らないまま、娘に刀を授けた。そしてくいなの死後、ゾロの中に剣士としての何かを見たのか、その刀をゾロへと託す。それが巡り巡ってワノ国へと辿り着き、和道一文字の元の持ち主の子孫がゾロを発見、盗み出したという寸法だ。


 まあゾロの刀を盗みたがる人物などいくらでもいそうだが、問題は何故ゾロがえびす町にいると分かったのかという事。
 いや、別に単に金目のモノを盗みたかっただけならば偶然という事もあるだろうが、それにしても盗っ人がえびす町に出現するのは不自然だ。餓死者が頻出するこの町に盗める様なモノなどないだろうし、今までの様子を見るに、この町の感情がバグを起こした様な住人が、金目当ての盗みに手を染めるとは考えにくい。

 ……そう考えると、トの康がゾロの情報を売ったとしか思えないんだよなぁ。トの康がわざわざゾロの寿司代を肩代わりし、えびす町まで連れて来たのも、ゾロが持っている刀に目をつけたからなんじゃないか。
 目の前の浪人が持っている刀が、トの康の仲間(または商売相手)が欲しているものである事に気付き、その仲間に何らかの手段で情報伝達を行うと同時にゾロを町へと誘導、盗みやすい状況を作り出そうとしたんじゃないか、という気がして仕方ない。



花の都「湯屋」

 おそばマスクへと変身する事でステルス化する能力を手にしたサンジ君、女湯へ向かうの巻。しかしトラブルの予感しかしない。まだ敵がウロついているかもしれない都に行って、大丈夫なのかサンジ君。

 そして肝心の湯屋の方は、ある意味ではステルスの能力が全く活きない場所だった。というか、女湯の概念がねぇ。男女混浴。そしてナミさんは若干戸惑いながらも、ロビンは一切動じてねぇ。新世界以降、特に私服の露出度が上がって来たロビンさんだけれど、もはや露出狂としてかなり板について来てますねこの方……。

 悪魔の実の能力者であるロビンは、もしもの敵襲に備え全身を湯に浸ける事を躊躇っていると。しのぶさんも水に入れば力は出ないという事で、ワノ国でいう「妖術」と悪魔の実は、完全にイコールという事で良いのかな。まあ、玉潰しぐらいはやれてるけどしのぶさん。

 ……というかよく見たら、風呂場にさりげなく港友さんおるやん!
 92巻のSBSで「フーシャ村に現れたみなともさんとは、血のつながった別人」であると明かされた港友さん、女体に現を抜かす弟子をしかりつけている……と思った数コマ後には、地べたに頬を擦りつけてまでロビンの下から覗き込む始末。現金なエロ親父め……!



ヒョウ五郎と福ロクジュ

■“花のヒョウ五郎”と福ロクジュ

 今や小柄な爺さんと化したヒョウじいだが、「花のヒョウ五郎」として現役だった頃は燃えるような髪を持つガタイのいいオッサンだったらしい。過酷な囚人生活の中で痩せ衰えた今では見る影もないし、20年という月日の重さを感じさせられる。極!男塾1話の松尾や小沢のごとく、光月の名を聞いた瞬間に覚醒したりせんやろか。うん、無理だな。

 というかヒョウじい、周りの囚人達に自分の正体知られてなかったのね。まあ見たところ若い囚人が多いし、ヒョウじいが衰えた後に収監されたメンツが多いんだろう。同年代っぽい囚人があまり見られない辺り、同時期に収監された人たちは既に死んでしまっているか、心を折られてカイドウの部下になってるって事かな。衰えてもなお心折れずに生き延び続けている辺りは、流石なのかもしれない。
 
 しのぶの話では、ヒョウ五郎だけでなく今やオロチの部下となった「お庭番衆」、そして彼らを率いる隊長の福ロクジュも、元は光月家の家臣であったと。
 これは……どうなんだろう。上手くすればお庭番衆を味方に引き込む事も可能……って事になるのか? けど彼ら、光月家の陥落後すぐにオロチに寝返ったっぽいし、オロチの部下としてもそれなりのポストを得ているだろうから、今更光月側に戻ってくるのも考えにくいか……。同じ忍として、雷ぞう辺りと戦う事になるのかしら。


■雷ぞう

 その雷ぞうさんの方は、兎丼にて何とか手錠の鍵を手に入れていた。ルフィの憧れに応えるがごとく、めちゃくちゃニンニン言いながら駆けまわってる。忍べてない。けど速いからバレてない。忍んでないけど忍べてる。うん、よく分からんくなってきた。
 敵サイドに成りすまし、鍵番のカニ男に偽鍵を金庫へと収納するようお願いする事で、扉を開けさせて奪取する隙を作ったってとこかな。雷ぞうさんも優秀なんだが、まともに歩けもしないカニ男を鍵番に置いた百獣海賊団の人事担当は反省した方が良いと思う。誰だ、人事担当。看守長のババヌキか。

 しかしタイミング悪く、その頃すでにルフィは囚人への反抗や脱獄未遂の罪により処刑寸前の身に。SMILE取引をダメにし、ジョーカーを打倒し、ワノ国でもそれなりに暴れて来たルフィ相手でも「部下にさえなればそれらの罪も全てチャラにする」というカイドウの人材マニアっぷりも中々だが、まあルフィがその提案を呑むとも思えず。
 クイーンは何らかの「盛り上がる」拷問を思いついたらしいけれど。闘技場的な処刑でもするんだろか。アマゾンリリーのバキュラよろしく、見世物を兼ねた処刑法的な。
 キングの事を「拷問好きの変態野郎」なんて呼び方をしていたクイーンさんなんで、処刑や心を折る手段にあまり残虐な拷問を用いるイメージはないんですよね。自分が楽しむこと第一の、盛り上がりを重視した処刑方法みたいな。


■謎の囚人

 「魚の骨で看守を攻撃する」という小器用なマネをしていたシルエットの男だが、その正体は光月家の家臣であった河松だった。
 これで錦えもんが挙げたアシュラ童子、河松、傳ジローの3人の侍の内、残るは傳ジローだけに。順当にいけば、“人斬り鎌ぞう”がその正体なのかな。イヌアラシ、ネコマムシが赤鞘九人男に数えられるのであれば、丑三つ小僧は赤鞘とは無関係の人物という事になる。実は敵サイドだったりするんだろうか、丑三つ小僧。

 しかし河松、独房から出れたところで、戦える様な状態にあるのかな。闘志は折れていないとはいえ、毒の魚を常に与えられ続ける「処刑」を受けているという事は、採掘場の掟上「両腕の切断」「両足の切断」は既に受けている可能性もある。
 そこまで行ってしまうと、流石に戦力にはならなそうだけれど……ペロスペローの様に、能力で義手・義足を作り出したりするんだろうか。

 仮に四肢の切断がされていないのであれば、彼は通常の囚人とは異なる扱いを受けているって事になる。赤鞘の1人であった事を考えると、特別扱いになっていてもおかしくはないか。アシュラ童子なんか、20年経った今でもなお口説かれていたぐらいだし。

 
 各地域で物語が展開されているワノ国編だけれど、やっぱ注目は兎丼の採掘場かな。クイーンが意外と良いキャラをしていたので、現在進行形で兎丼に向かっているトットランドのクイーン(記憶喪失中)とぶつかった時、どういう展開になるのかが気になる。
 リンリンとクイーンがぶつかっている隙をついて、雷ぞうがルフィを救出する感じかなぁ。「四皇」と「四皇の最高幹部」じゃ本来なら分が悪い気もするが、記憶喪失中っていう言い訳が効く以上、それなりに良い勝負になってもおかしくないし。