週刊少年ジャンプ2019年17号分の感想です。
 ネタバレを含むので、自分で買ってから読んでください。 


★もくじ
ルフィの成長
牛鬼丸と黄金の国
「黒刀」と成る刀
おトコと逃亡遊女
ゾロ VS 人斬り鎌ぞう  



ルフィの成長

  記憶を失ったビッグ・マムと共に兎丼へと向かう道中、「兎丼におしるこがないと知られれば大変な事になるんじゃ」とビクビクするチョッパー君……だが、兎丼におしるこはあった。
 あーあ、クイーンさん偶然とはいえなんてモノを。こりゃ兎丼でおしるこ争奪戦勃発まったなしだね。ご丁寧に「誰にもやらねェ」とフラグまで建ててるし。ご愁傷様。

 ……真面目な話、ここでクイーン退場という可能性もあるんだろうか。ジャックよりも格上である彼が先に戦線離脱する事はないかとも思っていたけれど、状況が状況だからなぁ。
 ただ、いくら相手がビッグ・マムとはいえ、記憶を失い(おそらく)覇気も能力も使えない状況。天性の暴力だけが武器で、戦闘技術もへったくれもない今のマムなら、三災害クラスなら互角に戦える可能性も……? いやそのハンデを軽く跳ねっ返しかねないのがビッグ・マムの恐ろしさだからなぁ。


 死亡フラグてんこもりとなったクイーンさんだが、ダイフゴーの「おれにやらせてくれりゃ即死刑完了」という言葉に「そんなものどこでエキサイトすんだ」と、まるでダイフゴーなら本当にルフィを倒せると思っているかの様に返答している。

 力を封じられた状態のルフィにも瞬殺された癖に偉そうな事を言えるダイフゴーも凄いが、どうもクイーンさん、ルフィの実力に本気で気づいていないっぽい。
 ドフラミンゴやカタクリを倒した男が海楼石の手錠から解き放たれた今、いち真打ち如きが討ち取れる相手ではないと分かりそうなモノだが……。

 もしかしてクイーンさん、ルフィがドフラミンゴ達を倒して来た事を知らないんだろうか。キングさんの「ドフラミンゴなき今」という言葉を真横で聞いていたワケだし、ドフラミンゴ陥落の報自体は聞いているハズだけれど、「誰に倒されたか」というところまで情報を貰っていないのかもしれん。

 だとしたら、「海楼石の手錠を外す」という若干不用心な処刑方法を選んだのも頷けるな……けど同時に、百獣海賊団の情報伝達力を改めて疑わせて貰わないといけなくなるな……。



 一方のルフィは、“ウェイターズ”に加えて“プレジャーズ”も容易く全滅させていた。
 百獣海賊団内での序列としては、“ギフターズ” > “プレジャーズ” > “ウェイターズ” って事になるのかな。ウェイターズとプレジャーズの違いがよく分からないけど、単に戦闘力の違いかな。ビリオンズとミリオンズみたいなもんだろう。

 そしてここに来て、ルフィの覇気に成長フラグが。
 カタクリ戦で見聞色を開花させたのに続き、ワノ国では武装色を強化する事になるのかな。

 ルスカイナでレイリーが披露した、ゾウの足を触れずに弾いた掌打は、かなり高次元の技だったらしい。
 要は単純に肉体の強度を高めて攻撃を防ぐだけでなく、「攻撃を弾く」事で防御そのものを攻撃に変換する様な技術と考えれば良いのかな? 

 そういや、鎧を纏うイメージという言葉通り「武装色を纏って攻撃を防ぐ」描写は多々あれど、レイリーの様な「受けるだけでなく弾く」という覇気の使い方は、初期の方にしか登場してなかったかも。マリンフォードで三大将が白ひげの攻撃を弾いた時とか、戦桃丸の“足空独行”なんかも「触れずに弾く」って概念としては近いのかもね。
 正味この辺、“覇気”という概念が登場したての頃だから、単純に描写に齟齬が生まれてるだけなのかと思っていたけれど、「最初に登場した覇気の使い方が最も高度だった」というのは意外な展開かもしれない。
 
 どちらかと言えば防御面での役割が大きそうなこの能力だけれど、このタイミングで差し込んで来た辺りこの力がカイドウを倒すための切り札になるんだろうか。これを取り入れたギア4の次のステージとして、ギア5辺りが登場してカイドウとの決戦になるのかな。
 「触れずに弾く」という事で、極めれば覇気を用いた遠距離攻撃(かめ〇め波的な)とかも出来るのかもしれないけど、元々ゴムゴムの能力でリーチに事欠かないルフィには、そこまで有効じゃないかもね。



牛鬼丸と黄金の国

 ゾロから秋水を奪ったおいはぎ僧兵の名は“牛鬼丸”
 どう見ても弁慶の様なキャラクターだけど、名前はどう見ても牛若丸。でも読み方は「うしおにまる」ではなく「ぎゅうきまる」。愉快な人だ。
 まあ、ゾロと対峙してるヤツが牛鬼と言われると、“牛鬼夕爪”しか思い浮かばなかったけど。

 リューマに対する敬意は本物ながら、戦闘においては何気にリアリストな様で、他所に気を取られた相手には全力で隙を狙ってくるタイプ。武士道とかの上ではアウトなのかもしれんけど、戦闘の場においてはそれが正解よね。まあ、第三者の乱入が入った状態でもそれを続けるのは、リアリストを通り越して頭がお堅いだけな気もしてくるけど。


 で、彼曰くリューマ在りし日のワノ国は、「黄金の国」と呼ばれ世界に認識されていたのだと言う。
 要はジパング的な事なんだろうが、黄金を求め狙う外敵と戦い続けた地……と言われると、やっぱり今は空島に飛ばされたシャンドラを思い出す。

 あちらの真に守るべきものはポーネグリフだったが、ブルックの調べによればワノ国にも同じくポーネグリフは眠っているという。リューマ達当時の侍も、本来はポーネグリフやそれを刻める石工の一族を守るために外敵と戦い、海外の者を寄せ付けない鎖国体制を作り上げたんだろうか。

 しかし「黄金の国」なんて呼ばれていたのは良いけど、今となってはその黄金は何処にも見当たらない。数百年の内に何処かへ売り払われてしまったのか、カイドウ達が取引の材料として持って行ってしまったのか……。

 というか、そもそも黄金なんてものは存在したんだろうか。牛鬼丸自身、「ワノ国が『黄金の国』と世界に認識されていた頃」と、あくまでも海外から見た認識でしか語っていない。現実に黄金が存在したかどうかについては、全く触れていないのだ。
 これもリューマ達がポーネグリフを守るために外敵と戦い続けた結果、侍達が守る物の噂に尾ひれがつき、「あの国には黄金が山ほど眠ってるんだ」と海外における夢物語として広まってしまっただけなのかもしれん。


 そんでリューマさん、単にワノ国における「歴史上の偉人」という扱いなのかと思ってたら、「刀神様」と呼ばれてまさかの神仏扱いとなっていた。
 現実世界における、三国志の関羽みたいなモンかな。思ってた以上に凄い扱いだった。
 そしてそんな神にさえ昇華した人物の墓を暴いたモリアさんも何気に凄い。警備体制、意外とザルだったんかな。まあ、あのオロチが過去の遺物なんぞに兵力を割くとも思えないしなぁ。



「黒刀」と成る刀

 何だかんだでゾロを一端の剣士と認めていたっぽいツンデレ牛鬼丸さんだが、ゾロが秋水を求めていると分かれば態度を一変させる。
 彼が言うには、「黒刀」として成った刀を求めるのは「気概なき行為」らしいのだ。

 ……黒刀として“成る”?
 秋水は元々は黒刀じゃなかったって事?

 牛鬼丸の言葉が事実ならば、元々は普通の刀だった“秋水”は、リューマを使い手とし激戦の中に身を置く事で、初めて“黒刀”へと変化して行ったという事になる。
 彼の言い方からして、“黒刀”という刀剣は、そもそもそういうモノなんだろう。「恐竜が踏んでも曲がらない」とされる程の並外れた強度は、刀鍛冶がその技術によって生み出す事ができる代物ではなく、一流の使い手が刀へと経験を積ませる事で、ようやく生み出されるものだったのだ。

 同じく黒刀を持つミホークは、「全ての刀剣は“黒刀”に成り得る」と言っていた。アレは「覇気を纏わせる事で黒刀並の硬度を与える事ができる」という意味だけではなく、文字通り「普通の刀を黒刀に変化させる事もできる」という意味が含まれていたのかもしれない。

 覇気を纏わせる事で、刀は一時的に黒刀となるがこれは覇気を解除してしまえば元に戻ってしまう。しかし、実戦の中でこれを幾度となく繰り返していく事で、使い手の覇気が刀そのものを強化して行き、やがて覇気を纏わずとも驚異的な硬度を持つ“黒刀”へと育っていくという事なのかな。

 かく言うミホークが使う“夜”も、元は普通の大剣だったものがミホークの覇気を受け続ける事によって、黒刀と“成った”刀だったのかもしれない。
 牛鬼丸が「黒刀を欲する=気概がない」と見るのは、「自らの手で黒刀を作り上げてこそ一流の剣士」という事なんだろう。

 今までゾロの刀は、ミホークに折られた無名の刀→三代鬼徹&雪走→秋水と、失った刀を新たに補充する事で強化を遂げて来た。
 しかし今後は刀を乗り換える事をせずとも、「すでに持っている刀を黒刀とする事で強化を施す」事も出来るようになったワケだ。

 今まで、「業物」「良業物」などの刀の位列は、鍛冶職人によって生み出された時点で変えようのないものだと思っていた。しかし、刀に研鑽を積ませて黒刀として“成る”事ができれば、刀剣としての強化にも繋がり後世では1つ上の位列として語られる事もあるんじゃないかな。
 “和道一文字”はゾロの愛刀だが、その位列は秋水と同じく“大業物”止まりだった。しかしこれも、いずれゾロが黒刀と化させる事で、和道一文字が「最上大業物12工」の仲間入りをする日が来るのかもしれない。



おトコと逃亡遊女

 いくらオロチでも、わざわざ子供1人を追いかけてまで殺しゃしないだろう……と楽観視されていたけど、案の定追手を差し向けていた。
 そら、小紫を殺さなきゃならないきっかけとなった子やからなぁ。オロチの性格を考えたら、怒りを買うのも止む無し。

 で、そのトコを連れて女が1人、追手から逃げて来るワケだが、顔を隠しているワケでもなく特徴的な目元も丸出しなので、残念ながらこちらには正体モロバレ。頭隠して顔隠さず。
 まあ、小紫さんがアレで退場なワケないとは思ったけどさ。今回なんて表紙にドドンと描かれてるぐらいだし。これで他人の空似だったらどうしよう。

 ……仮にも「ワノ国いちの美女」である有名人が、顔も隠さずに逃亡生活を送ってたら速攻でバレるんちゃうの?と思ったんだが、この場にいるのが脳筋に殺人狂に決闘狂なんで、誰も女の顔に注目してなさそうだった。
 まあ、花魁としてのオーラみたいなものはだいぶ消せてるし、庶民的な装いをしておけば意外とバレないんだろう。多分。

 オロチを呼び捨てにしたり、追手に対しても気丈に振る舞っている辺りの芯の強さはそのままだが、ゾロには素直に助けを乞うたりと、都で見せた様な傲慢さは影を潜めている感じ。やっぱ、アレは本質的な性格というより、遊女として都で生き抜くための仮面に過ぎなかったんだろうか。単に追われ疲れて、なりふり構ってられないだけかもしれんけど。

 
 しかし、都じゃ明日には小紫の葬儀が行われるって話だが、その張本人がこうして逃げ出して来ている以上、死体を偽装する必要はある筈。リューマの遺体が形を持って残っていた辺り、ワノ国での埋葬方法は土葬だろうから、棺だけでなく中身の遺体もきちんと用意しておかなければ、バレるのもたぶん時間の問題だろう。

 小紫自身がこうして都を離れてしまっている以上、それを実行できるのは今も都に残っている彼女に近しい人物……狂死郎ぐらいしかいない。
 狂死郎が光月一派にとっての味方になるのかと言えば難しいけれど、少なくとも「小紫の味方である」可能性は高そうかな。

 しかしアレ、ハンコックにしらほしと、ONE PIECE界きっての美女たちは皆まずはルフィと仲良くなって来たけど、ワノ国いちの美女は最初にゾロと関わるのね。
 まあなんかこう、ハンコックやプリンの時と違って、この2人に恋愛的な匂いを1ミリも感じられないってのが正直なとこなんだけど。

 SBSじゃ、たしぎのゾロに対する感情として意味深な答えが出てたりもしたけど、アレはどうなんだろね。まあONE PIECE、それもゾロで恋愛話がガッツリ描かれる気はあんまりしないですけど。
 
 

ゾロ VS 人斬り鎌ぞう

 トコや小紫(たぶん)を追うオロチの追手。その正体は、都を騒がす人斬り騒動の犯人である“人斬り鎌ぞう”であった。

 「無差別な辻斬り」がオロチの配下か……。そういえば、ゾロ十郎が指名手配を受ける原因となったあの奉行も、ゾロの見立てでは「辻斬りの真犯人」という事だった。これは「オロチがたまたま辻斬りに目をつけて部下にした」というより、「オロチの命令により不都合な人間を辻斬りに見せかけて消している」者達がいるって事なのかな。
 殺人対象の法則性に気付かれないよう、辻斬りを装うために無関係な民間人にも手を上げたりしていそう。


 しかし鎌ぞうがオロチの配下か。
 髪型やシルエットからして、てっきりコイツが赤鞘九人男さいごの1人、傳ジローだと思っていたのだけれど、別人なんですかね。

 まあ20年も経ち、アシュラ童子なんかは野盗へと身を落としてしまっているワケだし、オロチ側に寝返る人物がいたって不思議はない。志々雄よろしく包帯ぐるぐる巻きで顔を隠しているし、これを取って素顔を見せたらまさかの傳ジローってパターンも……?
 と思ったけど、926話に描かれた人相書きではどう見ても素顔のまま描かれているのよね。この素顔が傳ジローなら、都に出入りしているカン十郎なんかはすぐに気が付くだろうし、イヌアラシ達がアシュラ童子を呼び戻そうとしている様に何らかのアクションを起こしていないのは不自然かもしれない。
 まあ、逆さ三日月の事を敵側に伝えた裏切り者がカン十郎だった場合、これはクリアできるんだけど。

 
 その実力はゾロにも認められるレベルだったものの、牛鬼丸の横槍を得た上で、二刀流+不慣れな得物を使うゾロに負けてしまっているので、錦えもんやアシュラ童子達に比べれば一段劣るのかな。
 1話で片づけるには勿体ない気もするけど、どちらかと言えば小紫や牛鬼丸をゾロと結びつけるために登場した人物って感じなんだろうか。ビジュアルは割と格好良いし、決戦での再登場希望。

 ゾロの方は、妙な奇襲を受けたせいとはいえ、流血するに至った傷は新世界では珍しいかな?対藤虎戦ぐらいかもしれない。
 ローは「ケガひとつでも戦力ダウン」と言っていたけれど、肩への傷1つで今後に支障をきたすようなゾロではないか。

 何気に「鎌を使った三刀流」という器用なマネを見せたゾロだが、そも、“鬼斬り”系列の技は、「ONEPIECE RED」によれば「両脇から繰り出される2本の刀に加え、3本目の刀が唯一の逃げ道である縦の動きを封じる」との事。
 要は口に構えた刀は、背後への退路を断つための役割を持つ様なので、むしろリーチが長く刃に角度を持つ鎌は、下手すりゃ刀を使うよりも適役なのかもしれない。
 たぶんアレをずっと咥え続けていると、ゾロの歯並びがガッタガタになりそうという代償はあるけれど。


 しかしまあ、今回はWCI編でレイドスーツを入手したサンジに次ぎ、ルフィやゾロのそれぞれの強化の方向性が見えた感じ。
 未だに新世界編ではほとんど苦戦を味わっていないゾロはともかく、ルフィはカイドウに勝つための何らかの手段を得ないといけない状態だったので、強化フラグが立ったのは良かった。
 個人的には覇王色を雑魚散らし以外にも活用してくれたりすると嬉しいんだけど、まずは武装色かな。