■第13話 “放送塔ジャック”■ |
(「ONE PIECE WORLD SEEKER」より)
厳重な警備の敷かれた放送塔へと近づく為、
ジャンヌは麦わらの一味に、協力を願い出る。
戦争への発展を秒読みとする程に、高まってしまった島民達の士気。
怒りに燃え上がってしまった彼らの感情は、もはやジャンヌ1人の手でどうにか出来るものではなかった。
放送塔をジャックし、島民達に呼び掛ける。
ジャンヌが打ち出したその作戦には、ある考えがあった。
「少しでも母さんを覚えているなら
きっとみんな 聞いてくれるはずよ」
ふむ……放送塔とジャンヌの母には、何か深い関係があるんだろうか。
彼女がリーダーを務めていた時期には、島民達が頻繁に広場で話し合いをしていたと言うし、
放送塔を使って島民達に呼びかけを行っていたのかな。
だがゾロは、「放送塔からの呼びかけが、本当に島民に通じるかは分からない」と冷静な意見を述べる。
逆に島民達の火に油を注ぎ、戦争の機運を高めてしまう危険性すらある、と。
だが、ジャンヌにはその覚悟があった。
リスクはある。
だが、何もせずに手をこまねいていては、どのみち、戦争は始まってしまう。
そうなれば、この島に明日はない。
危険を承知で作戦に臨むジャンヌは、放送塔のジャックに力を貸して欲しいと、麦わらの一味に頭を下げる。
(「ONE PIECE WORLD SEEKER」より)
一味の答えは決まっていた。
ジャンヌの覚悟は本物。
ならば彼らも、その覚悟に応えるべく、全力をもって協力に応じるのみ。
一味に課せられたミッションは、
放送塔のモニター裏にあるという放送施設の確保。
しかし放送施設の機能を止められない様、
地下の動力装置も押さえておく必要があると言う。
複数箇所を同時に制圧する必要があるという事で、
一行はひとまず、チームを分担して作戦にあたる運びに。
ナミ、フランキー、ブルックで動力施設の確保、
ゾロ、チョッパー、ロビンの3人で、外からの援軍を食い止める役割、
ウソップは放送塔の二階で機材の準備、
サンジはジャンヌの護衛役といったチーム分けとなる。
そしてルフィ……つまりプレイヤーが成すべきは、
二階の放送施設の確保。
という事で、さっそく放送塔へとゴー……。
(「ONE PIECE WORLD SEEKER」より)
(「ONE PIECE WORLD SEEKER」より)
なんかいるなぁ。
以前海底監獄へ忍び込んだ際にはボスとして登場したパシフィスタだが、
この辺りからは単なる雑魚敵の扱いとして登場するらしい。
まあそもそも、原作中でルフィに一撃にやられたプロトタイプ如きじゃ、ボスとしては役者不足ってもんよ。
(「ONE PIECE WORLD SEEKER」より)
けどこうして壁を挟んだりして見ると、凄い威圧感ね。
せいぜい2メートルぐらいの壁が、巨人を遮るウォールマリアに見える。
(「ONE PIECE WORLD SEEKER」より)
放送塔2階の海兵達を片付け、放送の準備へと移る一行。
だがここでアクシデント発生。
この2階にある設備だけでは、
放送塔上部にあるスピーカーのスイッチをONにする事ができなかったのだ。
まあ、そんな気はしてた。
雑魚海兵を4人ぐらいブッ飛ばしただけでミッションコンプリートなんて、
そんなに都合よくは行かないと思ってたさ。
という事で、ルフィは塔上部にあるというスイッチを入れる為、放送塔を更に駆け上っていく。
そして塔上部の敵も全て片付け、スイッチをON。
同時に、ナミ達から動力施設を確保したとの知らせが。
放送の準備は全て整った。
ジャンヌは大きく息を吸うと、島民に伝えるべき言葉を、ゆっくりと紡ぎ出……
ジャンヌ
「みんな~~~~~!!!
起きなさ~~~~~い!!!」
!!??
(「ONE PIECE WORLD SEEKER」より)
ジャンヌの口から飛び出した第一声。
それは冗談でも、気が振れたワケでもなかった。
彼女の母がリーダーを務めていた頃、
母は毎朝こうして、島の皆を起こす放送を行っていたのだ。
かつての母に代わり、激情に駆られた島民達の目を覚まさせる……。
それこそが、今のジャンヌに出来る、全てであった。
(「ONE PIECE WORLD SEEKER」より)
町では既に、武器を構えた島民達が対峙し合っていた。
しかし彼らは、放送塔から届く12年前を思わせる放送に、思わず耳を傾ける。
この12年、島では様々なことが起きた。
多くの人が傷付き、自由を奪われる者もいた。
やり場のない怒りが募り、爆発した結果が、今回の戦争。
ならばこそ、ジャンヌが母に代わり、皆の言葉を全て聞く。
辛さ、悲しさ、苦しさ。
その全てを、彼女が聞き届ける。
ジャンヌにとって、この島の人々は皆、家族であった。
その強き思いを、彼女は放送に載せ、監獄島の全土へと響き渡らせた。
また12年前の様に、広場に集まって皆で話そう、と。
睨み合うままに失われてしまった12年の事を。
そして、これからの島の未来の事を。
(「ONE PIECE WORLD SEEKER」より)
放送を終えたジャンヌを、一味は温かく出迎えた。
伝えるべき事は、全て伝えた。
あとは島民達を信じ、彼らが広場へと集まってくれるのを待つのみ。
(「ONE PIECE WORLD SEEKER」より)
だがそんな彼女のスピーチを、苦々しい思いで聞き届ける者がいた。
監獄長・アイザック。
ジャンヌの兄であるこの男にとって、彼女が取った行動は計算外のものであった様だ。
これはつまり、「島民達の団結」という結果は、アイザックにとって不都合なものであるという事になる。
彼が行動を起こしたのは、「母の死を無駄にしない為」だと言っていた。
ならば島民達がひとつに纏まるのは願ったり叶ったり……とは行かないんだろうな。
母を見殺しにした島民達に対し、何か思うところがあるのか。
あるいはアイザック自身の言葉に、やはり裏があるのか。
ともかく、今回のエピソードは中々に良かった気がする。
放送に載せたスピーチで民達への愛を語る、という流れは相変わらずビビ王女のオマージュな気もするが、
今回に関しては「ジャンヌが王族などではなく、他の人々と対等な一般市民である」という点で言葉のニュアンスをビビと差別化出来ていたのが大きかったかな。
ジャンヌの望む解決策には具体性も何もあったもんじゃないんだが、
少なくとも今この場で戦いを始めようとする島民達を纏めるためと割り切れば、悪くもないやり方だとは思う。
曲がりなりにも、ジャンヌの母が彼らに慕われていたのは事実なのだろうし、その時代を思い起こさせるスピーチは、彼らの高まった士気を下げるのには効果的だろうしね。
あとは「島民達がジャンヌ母を見捨てた」という件が引っかかるのだが…この辺についても、納得の行く形でその理由が語られたりするんだろうか。