扉絵……ハンコックさん大丈夫?
恋患いが拗れ散らかして、「ルフィ要素のある生き物なら何でも良い」領域に踏み込んでない?

まあ「ほっといたら死に至る」とされる病らしいし、サルと麦わらで症状を緩和できるならマシな部類……なのか?
けどこの調子で行くと、ゴムにさえ発情しかねない勢いっすね……これはこれで、治療が必要そうだ。


以下、週刊少年ジャンプ2019年27号分の感想です。
ネタバレを含むので、自分で買ってから読んでください。 



★もくじ
麦わらの一味 VS オロチ一派
“人斬り鎌ぞう”の正体
忍び寄るビッグ・マム  



麦わらの一味 VS オロチ一派

■ゾロ&サンジ

オロチに狙われたトコを救い出す為、敵の眼前に姿を晒してしまったゾロとサンジ。


ベポ達が捕らわれたのと併せ、これで完全に「麦わらの一味とハートの海賊団全員のワノ国滞在」が確定してしまったかな。けどまあ、状況が状況であったが故に、意識を切り替えてこの場を切り抜けた後の落ち合い先を決める一味が、何というか凄く、「らしい」。
やっぱカッチリと計画された動きを貫き通すのとか、向いてないっすねこの方々。船長のカラーが如実に反映されている。


ゾロとサンジの、互いの髪や眉を揶揄した仇名を付け合うケンカも、随分とご無沙汰。
サンジがヴィンスモーク家の都合で一味を離れてから、初めての再会なワケだけど、変わってないっすねお二人。
ゾウではサンジを連れ戻すのに(表向きは)反対の姿勢を見せていたゾロだけれど、他ならぬ船長が「連れ戻す」と決めそれを実行した今、あの時の事は特に引き摺ってもいないのかな。


そのゾロだが、康イエを無残に処刑したオロチに対しては、過去90巻あまりを振り返っても珍しい程に、率直な「怒り」を見せている。
ゾロがここまで激昂するのも珍しい。

チョッパーを斬ったオームや、弱い相手を優先して狙うモネなんかにも怒りを浮かべていた事はあったが、印象としては今回の比ではなさそう。
相手への怒りそのものが戦いの原理となるパターンは、ゾロにとってはかなり貴重なんじゃないかな。




しかしまあ、サンジも叱責している様に、ここでオロチに手を出してしまったのは迂闊であると言わざるを得ない。
ワノ国における敵は「カイドウ」と「オロチ」のツートップなのであって、オロチだけを討てばはいクリア、というワケには行かないのだ。


むしろ討伐困難なのはカイドウの方であって、そのカイドウを討つために立てて来た計画が、火祭りの夜の「討入り」作戦だった。
火祭りの夜には、オロチの大名行列が鬼ヶ島へと赴き、百獣海賊団と役人たちの宴が催される。今ここでオロチを討ってしまえば、おそらく火祭りがそのまま執り行われる事はなくなってしまう。
そうなれば錦えもんらが立て、更に康イエが命を懸けて繋いだ計画は、台無しとなってしまう。


まあ……それを頭で理解して尚、剣を抑える事ができない程に大きな怒りだったんだろう。
ゾロがこうも感情のコントロールが効かなくなるのもまた珍しい。と思ったけど、ブラハム戦やらカク戦やら、戦闘外のところに気を取られて油断する事も多いんだよなゾロさん……。
意外と本能的に動いちゃうタイプでもあるのかもしれん。


あと何気に、フランキーに対して「頼む」と一言だけ告げる感じがとても良い。
一味の中では言う程絡む方ではない2人だけど、やはり仲間として全幅の信頼を置いているのだなぁってのが伝わる感じで。
元々気は合いそうだしね。「男」というものに対して一家言持ってそうなお二人。



■居眠り狂死郎

ゾロからの“飛ぶ斬撃”を受けかけたオロチ将軍だが……あの感じだと、狂死郎の妨害が入らなければこのまま斬られてたっぽいですね。
んー、幻獣種の能力はともかく、純粋な剣士としての実力はやっぱり2流って事になるのかなぁ。
個人的には、剣術の腕にも多少は期待してたのだけど。オロチ二辺流……もとい、オロチ二刀流なんて流派名も付けられてたぐらいだし。まあ洗脳教育の一環ですけど。


そのオロチを守る為、ゾロとの間に割って入った狂死郎だがこちらはまた中々に手強そう。
ゾロの七百二十煩悩鳳を、顔色一つ変えずに霧散させる剣術。これは強キャラとして、中々に期待できるんじゃないだろうか。

と言っても、狂死郎さんに関しては小紫の偽装殺人の一件があるので、最後までオロチ一派に属しているとは中々思えないんだよなぁ。

あの状況で小紫が命を持って逃げ延びるには(小紫自身の能力で何とかしたので無い限り)、直接彼女に手を下す立ち位置だった狂死郎の協力が不可欠はハズ。
そうなると、彼も何らかの意図を持ってオロチ陣営に潜入している……という可能性の方が高そうではあるのよね。
今回の「将軍の犬ゆえ」も、実際には将軍を裏切る機を狙っている事のフラグの様に見える。


ただ個人的には、狂死郎にはこのまま最後まで敵として戦って欲しいですかね。
大看板や飛び六胞は良いとしても、敵陣営に「ワノ国出身の実力者」が余りにも欠けているし……。
狂死郎なら、ゾロの相手として剣豪同士の戦いを繰り広げるにも不足はなさそうなので、そっちの方面に期待したいところ。



■ドレーク&ホーキンス

とりあえずは事態を静観する腹積もりっぽいホーキンスに比べ、ドレークは恐竜形態となってサンジに攻めかかっております。
サンジの方も反撃は繰り出してるけど、あまり効いて無さそう。

けどまあ、これは仕方がないかな。
トコを抱えた状態で、本気の蹴りなんか繰り出せるハズも無いし。


サンジがヴィンスモーク家の人間であるという報道をドレークが耳に入れているのかは不明だが、少なくとも「サン五郎=おそばマスク=レイドスーツの使い手」というのは、これでドレークやホーキンスにもバレてしまった筈。

ジェルマの絵物語を良く知る2人なら、対策も打てたりするモンなんだろうか?
この場で決着がつくまでやり合うとは思えないし、いずれ決戦の場でサンジVSドレークが仕切り直されるのだとしたら、今回正体がバレた事がマイナスに響いて来そうな予感。




“人斬り鎌ぞう”の正体

今週号一番の衝撃。


確かに、ヒントはあった。
金色の長髪。使用武器が「2本の鎌」。未だ明かされていなかった素顔。


けどまあ、思わんよ中々。


鎌ぞうの正体が、SMILEを食わされたキラーだったとかさ。


人相書きに描かれた鎌ぞうの姿が、傳ジローのシルエットに酷似していたのも、今にして思えばミスリードだったんだろう。
あれで皆、「鎌ぞう=傳ジロー」だと騙されてた。キラーは今も無事に、キッドを救い出す為の作戦を練っている事だろうと思ってた。
そのキラーが、既にキッド以上に凄惨な目に遭っているとは……。


SMILEがえびす町にもたらした悲劇に関しては、相手がモブキャラである事や、そもそも症状が現れた状態で初登場した事から、悲惨さこそ伝わるものの深く感情移入するには至らなかった。
しかしキラーは、「最悪の世代」に数えられる実力者にして、初登場から40巻分ほどが経過している古参キャラクター。
そりゃもう、読んでて受けるショックも段違いなものだった。


キラーは自身の笑い方にコンプレックスを持っていて、それを隠す為、いつからかマスクを着けて生活する様になったと。
彼は食事の時にさえマスクを外さず、呼吸穴から食べられるスティック系や麺類を好んで食べるという設定があった。キッド、ホーキンス、アプーの3海賊団の会合の時にも、その食事風景は見る事ができる。
当初はちょっとしたネタ設定にしか見えなかったが……今回の話を知ってから改めて考えると、見方が変わって来る。


その外したくないマスクを外され、聞かれたくない笑い声を上げさせられ、涙を流しながら笑い続ける姿が悲惨すぎる。


しかも何か……単に「笑う事しかできなくなる」というSMILEの副作用以上に、精神がどっか飛んでっちゃってる様な……。
これホントにSMILE食わされただけか? なんかそれ以上の精神攻撃受けてないか?


無事キッドに再会できた事で得た安心感などの感情が、SMILEの影響によって全て笑いに変換されている……という見方もあるかもしれないが、何だかそれどころではない壊れっぷりの様な。
キッド自身が「キラー」と正体を明しちゃってるんだから、マトモに喋れる状態なら受け答えぐらいしたって良さそうなモンだしなぁ。


キッドの「何をされたらここまで変わり果てる」という言葉からしても、SMILEを食わされた事以上に、実際に「誰かに」「何かを」されたというフラグにも見える。
もしかしたら、「拷問好きの変態野郎」こと大看板のキングさんに、惨たらしい拷問でも受けたんじゃないだろうか。


以下、勝手な空想。
キラーが“人斬り鎌ぞう”に身を落とすまでには、こんな流れがあったんじゃないか。


カイドウは実力者の心を折り、部下に加えようとする傾向がある。
恐らくはキッドを奪い返しにでも来たキラー達を、百獣海賊団は叩きのめした。そして2億の賞金首であるキラーを、カイドウは当然、部下に加えたがる。


しかしキッドが収容される兎丼に、キラー達を一緒に放り込む事はしなかった。
近くに仲間がいるという状況は、キッド達にとって精神的な余裕を生んでしまうかもしれないし、中で結託して脱獄を謀るかもしれない。
その為、キラー達はキッドとは異なる場所……つまり、キングの管轄となる地に送られた。


クイーン以上の拷問狂いであるキングは、見事カイドウの意に沿い、キラーの心を折る事に成功した。本来なら、そのまま百獣海賊団のコマとして、部下に加えられる筈だった。

しかし、そこで問題が発生する。
キングの拷問は、キラーの心を折るどころか精神の崩壊寸前にまで追い込んでしまったのだ。

おいはぎ橋にてゾロと対峙したキラーは、確かに「強い」と思わせる実力こそ見せたが、結果としてはたった8ページの交戦で敗れてしまっている。
牛鬼丸の意図せぬ援護があったにも関わらずコレでは、最悪の世代に数えられる者同士の戦いとしては少々物足りない。


これはキラーが、戦闘において本来の力量を発揮できる状態に無かったからなのではないか。キングの拷問によって心身ともにボロボロになったキラーは、自我さえも半ば砕かれ、マトモに戦闘を繰り広げられる状態ではなくなってしまったのだ。


カイドウが求めていたのは、強い部下。
こうなってしまったキラーなど、いくら忠実な部下であろうと、用はない。
その為、カイドウは用済みとなったキラーの身柄を、オロチに放り投げた。扱いやすい手駒が欲しかったオロチはこれを喜び、都合の悪い人間を始末する為の刺客として、キラーを利用し始めた。


ゾロに敗北した際、斬られたのがトリガーとなったのか、その後更なる拷問でも喰らったのか、ともかくキラーの精神は完全崩壊。キャプテンの言葉すらマトモに通らない惨状となってしまったと。



そも、部下に加えれば大戦力となる事間違いなしのルフィやキッドの拷問を、クイーンが担当していた事が妙だった。
キングとクイーンの会話によれば、人の心をへし折る術に関してはキングの方が得意な様だった。なら、ルフィ達の拷問もキングが担当した方が、確実かつ素早く彼らを部下に加えられたように思う。
カイドウがそうしなかったのは、キングの行き過ぎた拷問が「相手を部下に迎え入れる」という目的においては、不向きなものであると理解していたからなんじゃないだろうか。



……ところで、8月から始まる映画「スタンピード」には、キッドやキラーの出演も決定しているワケだが……。


俺ら、この状態の2人を知った上で、在りし日のキッド海賊団を見る事になるの?

何か地味にキツいぞこれ……。変わり果てた相棒を前にしたキッドの反応とか、見てるだけで心抉られるところあったし……。

というか、キッド海賊団の面々の無事も確認できてないんだよな……。
一団のナンバー3以下になると、カイドウが欲しがる戦力に届いているのかも微妙だし……もしかしたらキラーを拷問する為に利用され、五体不満足な状態になっている可能性も……最悪命さえ……うわぁ……。




忍び寄るビッグ・マム

ここまでは「ルフィを無限に戦わせる」という、拷問なのかご褒美なのかよう分からん事しかさせて来なかったクイーン。
今回はキッドやキラーを利用し、久々に拷問らしい事をさせてますね。
まあ他人っちゃ他人だし、普通なら見捨てるとこだろうけど。その辺は、ルフィの性格や反応をある程度見抜いた上での策っぽい。


クイーン自身も、ルフィの拳を容易く払いのけたりと、四皇の最高幹部に相応しい強さの片鱗を見せてくれた。
ここまでキャラの良さは伝わって来たものの、愛嬌がありすぎて大看板としてはちょっと物足りなさを感じていたので、そこは良かったかな。


……しかしその背後から、おしるこ求めて全てをブチ壊しにかかる大魔神現る。
これ、完全に食いわずらい入ってますよね。
チョッパー達、無事でいるのか?


大看板クイーン、ここで退場してしまうのか?
それとも意地を見せ、何とか一矢報いて生き残るのか?

クイーンさんの明日はどっちだ。