大看板、クイーン様の命運や如何に。


週刊少年ジャンプ2019年30号分の感想です。
ネタバレを含むので、自分で買ってから読んでください。 




★もくじ
クイーン VS おリン
雷ぞう & カリブー
覇気の開花 




クイーン VS おリン


遂に兎丼の採掘場へと到達してしまった、おしるこ魔人リンリン……ことおリンさん
記憶を失っているとはいえ、四皇の一角。この脅威に対抗すべく立ち上がったのは、百獣海賊団の最高幹部、大看板がひとりクイーン様


クイーンは大戦力とはいえ、あくまでも『四皇の配下』に過ぎない存在。
あらゆる常識が通用しない領域にあるリンリンに立ち向かうのは、あまりにも無謀だと思われた。
実際に前回の時点では、能力によって古代生物へと姿を変えたクイーンを、ワケもなく投げ飛ばしたりしてしまっていた。


しかし!
しかしだ。

クイーン様だって腐っても、大看板のひとり。
これからルフィや錦えもん達が戦おうという、敵組織の最高戦力クラスだ。
いくら相手が悪いとはいえ、決戦前のこの大事なタイミングで、惨敗して負傷したり株を下げたりなんぞしている場合ではないのだ。


さあ見せてくれクイーン様。
『ブラキオサウルス』という巨体を得た事によって生まれた、その圧倒的なパワーを!!
 四皇に勝るとも劣らない、類稀なる戦闘力を!!





おリン「おしるこよこしなトカゲ野郎ォ!!!」

クイーン「ぎぃやああ~~~!!!」





クイーンボコボコタイム。


まあね。
無理があるよね。
知ってた知ってた。


あまりにも次元を超えた存在に遭遇してしまったクイーン様、哀れたった2発でノックアウトという運びになってしまいました。
合掌。


……ズニーシャに蹴散らされたジャックといい、本格的なバトルをさせて貰う前に、どうにもならない相手とマッチングさせられる大看板さん、大変だな……。



いやしかし、個人的にはクイーンさん、勝てはしないまでも多少は粘るんじゃないかと思っていたんだ。
今のリンリンは記憶喪失。いうなれば、戦闘の経験値や悪魔の実の能力の取り扱いが封じられた状態だと言える。


6歳にして真っ向から巨人族を殺害したNATURAL BORN DESTROYERとはいえ、年老いたヨルルと現役バリバリの大看板では、戦闘力にも大きな違いはあるハズ。
今のリンリンが相手なら、クイーンにも少しは付け入る隙もあるんじゃないかと。
むしろ四皇相手に一矢報いて、「今からルフィ達が戦おうとしている敵は、こんなにも強いんだぞ」と印象付けるチャンスではないかと。


でもこれ、もうそんなの関係ないよね。
天性の肉体強度と格闘センスだけで、大看板クラスをワケもなく粉砕していく圧倒的な強さ。
研鑽や修練なんぞ1ミリも必要としない、大看板のお株を奪う厄災の如き存在がそこにはあった。


……改めて、マジで次元が違い過ぎるな……。
カタクリと互角に戦ったルフィが、カイドウ相手には手も足も出なかったのだから、順当と言えば順当なんだけど。
あの一撃を耐えきったチョッパーの『毛皮強化』マジで凄まじい防御性能なんだな。



まあノックアウトされたとはいえ、ルフィの「おしるこを食べた」という発言には反応も見せていて、意識はある模様。
「動物系の『覚醒』はタフさと回復力がウリ」とも言うし、たぶん決戦の日までには復活してくれるだろう。……くれるよね?


しかし出番が終わったワケではないとは言っても、コレで百獣海賊団側の『組織としての』株はまた下がってしまった印象もある。
いや、リンリンに負けた事それ自体は責められた事ではないんだけど、それにしても「初戦闘でいきなり惨敗したキャラクター」を「強敵」として描くのは、説得力を持たせるハードルが中々に高い。


加えて、同じ大看板であるところのジャックさんも、出番の多さの割りに目立った成績を残せていない。
イヌアラシやネコマムシを相手に制圧しきれず、ズニーシャには軽く蹴散らされ、アシュラ童子には武器を折られ傷を負い……と、中々に悲惨な目にばかり遭っている。


これはもう、大看板の威信をすべてキングさんに委ねる他にないな。
拷問好きの変態野郎だけど……プテラノドンの能力が強そうには見えないけど……まあうん……獣人型になったらカッコ良くなるよきっと……。


というか思ったのだけど、もしかしたらワノ国編の話の流れ上、作者にあまり『百獣海賊団』という組織そのものを強大に見せるつもりがないのかもしれない。
ワノ国で見せるべきは『カイドウ』『リンリン』という怪物達の強さであって、今後『ロックス』を本格登場させる為の布石なのかな、と少し思った。




雷ぞう & カリブー


クイーンがやられ、ビッグ・マムの脅威に対し成す術を失った百獣海賊団。
急ぎスマートタニシ(スマシ)の通信によりカイドウの指示を仰ごうとするも、謎の通信障害によって叶わず。
その裏には、雷ぞうと共にルフィ達を救出することと相成ったカリブーの暗躍があったのだった。


おお、やるやんカリブー。
通信が遮断された事で、雷ぞうの鍵探しミッションの難易度は大幅低下。
ついでにリンリン到来の大騒ぎが敵の本営に伝わらなくなったのも……いやこっちはプラスに転ぶかマイナスに転ぶか分からんな。


しかしカリブー、意外にも情報収集力に長けている。
「ダテに長く捕まってない」とは言っても、ルフィ達が魚人島を発ってからここまで、精々2か月弱が関の山。
カリブーが捕らわれたのはそれよりも更に後の話なのだから、言うほど長いこと捕まっているワケでもないと思われる。
クラーケン討伐の策を与えた時といい、人魚姫の情報を盗み聞いた時といい、案外頭脳労働が向いてるタイプなのかもしれない。人間的に信用がないのがアレだけど。


一方の雷ぞうさんは鍵の捜索へ。
今必要なのは、河松とキッド、鎌ぞうの3つ分かな。カリブーの「鍵という鍵片っ端から~」ってセリフからして、全部回収して来るんだろう。
ここさえクリアできれば、とりあえず採掘場脱出の手筈は整う。という事で、頑張れ雷ぞう。




覇気の開花

「そうかおれ今侍に変装してるからわかんねェのか!!」

変装……まだしてるつもりあったんだ……。


それは良いとして、ルフィの(良くも悪くも)馬鹿正直な点が災いして、リンリン&クイーンに「おしるこを食った」事がバレてしまった。
土俵から出れば、首輪の装置が作動して一環の終わり。逃げる事もできない絶体絶命の状況で、迫り来るビッグ・マム。


リンリンが怒り狂う理由が、「おしるこを食えなかったから」ではなく「おしるこを皆に食べさせられなかったから」というのは、意外ながらも納得かな。

幼少期、エルバフで彼女が振るった暴力の大半は善意から来るものだったし、記憶喪失により幼児退行に近い状態になっていると考えれば、妙な優しさが生まれるのも自然。
まあ彼女の場合、元々持っている良心や善意自体が、ぐにゃんぐにゃんに歪んじゃってるんで、安心も出来なきゃ「良い人」ともならないんですけど。

あと、暴れてはいるけれども自我はハッキリしてるし、『食いわずらい』とは違う症状っぽいかな?



たとえ相手が優しさを原動力にしていようとも、窮地である事に変わりはない。
リンリンから逃げ回る最中、遂に土俵外へと飛び出してしまったヒョウ五郎を救うべく、ルフィの覇気が開花。
外れる事の無かったハズの首輪を握りつぶし、装置の作動前に放り投げる事で、ヒョウ五郎を救出したと。


こ、これは……シャボンディ諸島でレイリーが見せた、謎の首輪解除!!
第504話でオークションに出品されたケイミーを助けた時のアレを、ここに来てルフィが会得!!

見返してみると、確かにあのシーンでも「グシャ!!!」って効果音が描かれている。
あれ、結構力業で粉砕してたのね……。
サボの『竜爪拳』にも近いやり方だけど、アレも1段階上の覇気を用いた拳法だったんだろうか。


首輪の解除に成功したは良い物の、その理屈はまだイマイチ分からず。
ワノ国に伝わる『流桜』の片鱗らしき力だけれど、シンプルに物理的な力で引き千切ってるだけなのかな……?
それともこう……覇気を上手い事使って、破壊の衝撃を分散させたりしてるのか……?
ルフィが真に会得すべきは「敵に直接触れずに弾く覇気」なので、それに近い力を応用してるんだろうきっと。


海楼石の錠も外れ、首輪も破壊し、キッドや鎌ぞうの拷問も中断され、オマケにクイーンは戦闘不能。
一目散に逃げだせるだけの状況は整ったルフィだが、ヒョウ五郎は今こそ覇気を開花させる為の修行をする時だと。

「覇気は実戦の極限状態にこそ更に開花する」とはレイリーの言葉。
それと同じ事を、ヒョウ五郎もまた言うワケです。


ルフィが覇気の開花に失敗すれば、自分も死ぬ。
ルフィの成長を見込み、信じ、命を懸けているワケだから、その覚悟や信念にはやはり過去一流の戦士だった者の面影が見える。

そしてルフィも、そのヒョウ五郎の覚悟に応える様に、ビッグ・マムと対峙。
ルフィとリンリンの直接対決は、お茶会の場で『ギア4』を発動し、一撃だけ拳を交えた時以来か。


ハッキリ言って力の差は圧倒的だが、「力の開花」がこの差を埋める事はできるのか。
というか「怒れる四皇が相手の実戦を修行に使う」って、冷静に考えたら滅茶苦茶な贅沢だ。