実在生物の『ウミネコ』に交じって、海獣の『海ネコ』が共演してる扉絵がちょっと面白い。

週刊少年ジャンプ2019年31号分の感想です。
ネタバレを含むので、自分で買ってから読んでください。 


★もくじ
大きく纏う『流桜』
クイーン様大健闘
リンリン、記憶復活



大きく纏う『流桜』

冒頭はシャボンディ諸島における、レイリーの首輪破壊シーンの回想から。
「首輪を破壊する」という似せたシチュエーションからも明らかだった様に、前回ルフィが無意識に発動した覇気の扱いは、レイリーの成したそれと同じものだったと。


回想の方も、本編登場時(52巻 第504話)から手が加わってますね。
あの時は「グシャ!!」という破壊音こそ描かれたものの、首輪を破壊した瞬間のコマはレイリーの顔アップになっていて、手元が映っていなかった。
今回の回想では首輪を握りつぶす瞬間の描写がされ、その腕には覇気を纏っているのが分かる。



瀕死のヒョウ五郎は、ルフィに『流桜』の扱いを伝授。

彼が教えられるという流桜は、「外に大きく纏う」タイプのもの。
覇気をその身に纏う事で、「見えない鎧」の様に防御を行ったり、攻撃に転じたりする力だと言う。
ルフィやその他多くのキャラクターが扱う普通の『武装色の覇気』とは、少し違った力の様だ。


ルフィが行った2年という修業期間は、本来覇気を完全に会得するには短すぎるとレイリーも言っていた。
そしてレイリーが指導をつけた1年半の間に叩き込んだのは、あくまで3種の覇気の「基礎」の部分のみだった。
見聞色の「未来視」や、「外に大きく纏う」武装色といった応用の技をルフィが会得していなかったのは、その為だろう。


しかしこの「見えない鎧」という比喩は、「見えない鎧を着る様なイメージを持て」というレイリーがルフィに教えたコツとも一致している。
これはレイリーが、最初からこの「外に大きく纏う」覇気を教えようとしていた……というよりは、一般的な『武装色の覇気(体の表面に纏う)』と、持っておくべきイメージ自体には大きな違いがないんだろうと思う。

どちらも同じイメージから繰り出されるが、覇気をより深く知り、極める事で、更に上級の「外に大きく纏う」覇気へと進化する。
それも一朝一夕で会得できるものではなく、経験を積み、実戦の中で開花させていく事で初めて得られるものなんだろう。


そしてこの「外に大きく纏う」覇気には段階があると。
更に上の段階になれば、纏った覇気は敵や物体の内部へと到達し、内側から破壊する力となる。
普通の覇気では破壊できなかった鋼鉄の首輪を破壊できたのは、この「内部から破壊する」覇気によるものだったと言うのだ。



どこの北斗神拳?



つまり本来ならば「身体の表面のみに纏う」ハズの覇気を、自身の肉体よりも広い範囲にまで届かせる事で、覇気が影響する範囲を増幅させるという事かな。

拳の表面のみに纏った覇気では、当然、敵の外側からしかダメージを与える事ができない。
しかし拳から少し離れた、周囲の空間にまで『覇気』を浸透させる事ができれば、その『覇気』は敵の肉体の内部にまで到達する。
本来なら物理的に侵入不可能な「敵や物体の内部」にも、形や質量を持たない『覇気』ならば行き届かせ、破壊する事ができると。


内部からの破壊……と聞くと、個人的に思い当たるのはサボの竜爪拳
中でも物体の『核』となる部分に腕を突き刺し、壁や地面などを大きく破壊する『竜の息吹』という技は、この「内部からの破壊」に近い技に見える。

「覇気を纏った掌で握りつぶす」というルフィやレイリーの技自体、サボの竜爪拳とは類似した印象があった。
竜爪拳はもしかしたら、武装色の覇気の1つ上の段階、「外に大きく纏う」覇気を利用した拳法なのかもしれない。



以上は「内部からの攻撃」に特化した覇気の扱いだが、ルフィが最初に得ようとしていた力は「敵に触れずに弾き飛ばす」タイプの覇気。

これも理屈は同じで、自身の拳よりも離れた部分にまで覇気を纏わせ、その覇気を用いて敵やその攻撃を弾くものだと思われる。
攻撃に転じれば戦桃丸の『足空独行』の様な技に、防御に転じれば三大将が頂上戦争で見せた、敵の攻撃を弾く「覇気のバリア」というべきものを展開する事もできるんだろう。


ルフィはリンリンを相手に、この「覇気のバリア」で防御を試みる……が、そう上手く行くハズもなく、あっけなく蹴散らされてしまった。
流石にまあ、1発じゃ上手く行かないか。

このままリンリンとの戦いが続けば、いずれ覇気の開花にも成功したかもしれないが、残念ながら(運よく?)リンリンはクイーン様の策によって出荷されてしまった。

今やこの兎丼の地にいるのは、看守長のババヌキを始めとした微妙な戦力ばかり。
海楼石の錠も外れた状態で、格下相手に暴れ回ったところで修業になるのか……?


……と思わせつつ、今回登場した兎丼の囚人製銑場なる場所に、何かいるな……爪楊枝咥えた変な囚人が。
ちょっと変わった風貌をしてるけど、重要人物なのかただのモブなのか、微妙に判断がつかない。顔が微妙にシルエットで隠されてるし……なんかあるのか?

囚人服を着てるし、彼がまだ見ぬ最後の赤鞘、傳ジローだったりするんだろうか。
リンリンが破壊した牢の中には、未だ解放されない河松もいるし、彼らの存在がルフィの成長に一役買ったり?

(追記)
コメント見て「あーそういや」ってなったのだけど、第940話でヒョウ五郎さんが言ってた「かつてのワノ国を裏で支えたヤクザの親分達」の1人に、今回の爪楊枝の人そっくりのシルエットがありましたね。

親分達も兎丼に捕まってるとの事だったので、間違いなさそう。
940話では4人分のシルエットが描かれていたので、そのうち4人とも出て来るかな。

一緒に脱獄するというより、兎丼を奪って拠点にする感じになりそうですね。





クイーン様大健闘

前回リンリンにひと捻りにされたクイーンだが、意外にもお早い復活。
単純な戦闘では敵わないと見るや思考を切り替え、策を練る事で、結果としてリンリンを海楼石の錠と鎖で封じ込めるという大金星をあげてくれた。


いやコレは予想外。
大看板の1人として、「一矢報いる」「多少善戦する」ぐらいの事はやってくれないかな……と期待していたのだけれど、まさかここまでやってくれるとは。


しかも、単純に「記憶を失った相手だから善戦できた」というのではなく、「記憶を失ってなお強さの変わらない怪物」を相手に、「策をもって立ち向かう」というのが良い。
まあ……この結果は「策が功を奏した」ゆえのものかと言えばアヤシイところはあるんだが、まあ結果オーライでしょう。


個人的に好感度高いのが、非常時における指示出しの迅速さ
リンリン昏睡から船を出すまで、最小限の時間で動いている様な印象を受ける。

リンリンの動きを予想・誘導し、その恐竜の巨体を活かした最大火力の一撃を見舞う作戦立てといい、なんだかクイーンさん、意外にもブレーンとしての素質が高いのでは?
言っちゃなんだが見た目的には頭弱そうな巨漢タイプのキャラなので、そのギャップが面白く、ちょっと好きになった。


まあ一瞬「わざわざ鬼ヶ島まで運ばなくても、拘束したリンリンをそのまま海にでも投げ込めば良いのでは?」とも思ったけど、
キングとの戦いでは実際に海に落ちてワノ国周辺の海流に流された結果、砂浜に打ち上げられたのが原因で上陸されてしまったのだし、焦って周りの海域に放逐しなかったのは英断かな。
かと言ってせっかく遠方まで船を出すなら、独断で動くよりもカイドウに直接処理して貰った方が良いだろうし。


戦闘面ではあまり良い結果を残せなかったクイーンさんだが、それは相手がアレでは致し方ない事。
初戦で惨敗した時には「えぇー」と思ったけど、今回のコレは正直かなり株が上がった。
前回アレだった分も、だいぶ挽回できたんじゃないかな。クイーン株ストップ高。


……鬼ヶ島に向かう最中、リンリンが目覚めない事を祈ろう。




リンリン、記憶復活

クイーンの活躍により、一時的に封じ込められたリンリン。
しかしその中で、クイーンの無頼男爆弾ブラキオボンバを脳天に直撃させられた事で、失われていた記憶が復活してしまったのだ。
さよならおリンさん。


基本的には健闘したクイーンだが、この一手は幸と出るか不幸と出るか。
「意外とアッサリ記憶戻ったな」ってのが正直なトコなんですが、リンリンが記憶を取り戻した状態でカイドウと対面する事になりそうなのは大きいかな。
3つ巴になるにせよ、カイドウと組むにせよ、おリンさん状態のままじゃ話にならんですからね。


しかし……物凄く都合のいいタイミングで眠り始めたな。
「食いわずらいを解消した直後」に突然眠り始めるのはいつもの事なのだけれど、今回は食いわずらいとは別の症状だったっぽい上に、肝心のおしるこは食えず仕舞。

にも関わらず、記憶を取り戻すと同時に昏睡状態に……まるでルフィやガープ、エースみたいだ。
あるいはロンメルのカマイタチか。……おリンさん、第2人格じゃなかろうな?
失われた記憶が突然舞い込んできた事で、脳の処理限界を迎えて眠りについたとか、そんな感じですかね。


しかしまあ、記憶を取り戻した途端、あんなに感謝していたハズのおこぼれ町を「うす汚ェ町」呼ばわりとは、なんとも露骨な……。

おリンさんがエルバフ上陸時のリンリンをそのまま成長させた姿だとすれば、記憶を取り戻したリンリンはカルメルの教えを誤って解釈し、カルメル達に捨てられたと思い込み、海賊として歪んだ成長を果たした結果なんだろう。



クイーン、リンリンが去り、目立った脅威の失われた兎丼。
ルフィは兎丼を占拠しようとするが、今後どうなるか。お玉やモモの助が、独断で採掘場に入ってしまったのも気になる。なんとなく、あまりいい方向には転ばなそうな予感も。