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アニメ版 ONE PIECE
第895話
「特別編! 最強の賞金狩りシードル」 
放送日時:2019年 7月 28日


【原作の対応話数】
アニメオリジナルストーリー

もくじ
あらすじ
人物・用語紹介
感想・妄想
登場した技
声の出演



【あらすじ】
サニー号に乗り、海を旅する麦わらの一味。彼らは今まさに、炭酸の力を利用した兵器を扱う謎の集団から、襲撃を受けている最中であった。クー・ド・バーストによって逃げ切ることに成功するも、船は傷付き、コーラも不足してしまう。先ほどの敵が再度襲って来れば逃げる事もままならない状況に、一味は態勢を整えるようと、手近にあった島へと上陸する事とした。

一味が停泊した島は、あちこちから炭酸水が噴き出す不思議な島だった。面白島に興味を惹かれたルフィは、サニー号に積み込むコーラの買い出し担当を、1人で請け負う。
コーラがあるという工場へと向かっていたルフィは、その途中、先ほどサニーを狙ったシードル・ギルドの幹部、ジンジャーに遭遇。ジンジャーが放った炭酸兵器の攻撃によって吹き飛ばされ、崖下へと落下してしまう。
崖下にあった炭酸水の川に落ちたルフィは、巨大な浴場へと流れ着く。そしてそこには、湯浴みの最中であった海賊女帝、ボア・ハンコックの姿があった。

シャボンディ諸島を出発して以来の再会を喜び合う2人。だがその頃、シードル・ギルドの軍団長である賞金稼ぎのシードルは、部下にルフィとハンコック双方の抹殺を指示。命を受けたジンジャーが浴場へと襲撃をかける。

ハンコックが背中の紋章を見られない様、彼女を庇いながら戦おうとするルフィ。守られてばかりではいられないハンコックもまた、メロメロの実の能力により、敵の兵達を石へと変えていく。
追い詰められたジンジャーは、超濃度の炭酸ガスを放出し、ルフィ達の呼吸を封じようとする。ガスによって倒れかけるハンコックを連れ、ルフィはガスの届かないところまで撤退。そのまま、当初の目的であったコーラ工場へと向かう。

工場へと向かう途中、ルフィはハンコックより、近く開催される『海賊万博』の話を聞く。あらゆる海賊達が集まる祭りに興味を示したルフィは、万博への参加を望んだ。
そんな彼らのもとに、軍団長シードルが奇襲をかける。炭酸ガスを利用した強固な武装を誇るシードルは、ルフィを自らの100人目の標的と見定め、対峙するのだった。



【人物・用語紹介】

【オリジナルキャラクター】

■シードル

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(TVアニメ版ONEPIECE 第895話より)

ブエナ・フェスタから特別ゲストとして『海賊万博』に招待された賞金稼ぎで、シードル・ギルドの炭酸攻撃軍団長。笑い方は「シュワワワワ」。
身体に炭酸の力を用いた兵器を装備しており、極限まで高めたガス圧を開放する事で、地面を割る程の大爆発を起こす事ができる。

部下達による麦わらの一味を狙った海賊狩りの最中、フェスタからの電伝虫を受る。『鬼の跡目』と呼ばれる海賊ダグラス・バレットが海賊万博に参加するとの知らせを受けると、バレットを倒す機会を得た事を喜び、「万博に集まる海賊を皆殺しにする」と豪語する。

ハンコックとルフィが接触したとの報を受けた際は、「目障りな王下七武海を始末するいい機会」と、双方を始末するよう命令。七武海殺害による海軍との衝突を避けるため、ルフィによってハンコックが殺された様に見せかけようと企んだ。

ルフィ達がジンジャーの襲撃を退け、コーラ工場へと向かった後は自ら出陣。ルフィとハンコックを、自身が狩る「100人目の賞金首」とするべく、彼らと対峙した。


■ジンジャー

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(TVアニメ版ONEPIECE 第895話より)

シードル・ギルドに所属する、炭酸銃劇団突撃隊長。
麦わらの一味を狙った海賊狩りに参加し、炭酸魚雷によってトドメを刺そうとする。撃ち込んだ魚雷をサニー号の船底に直撃させるが、クー・ド・バーストによって逃げられてしまった。

島へと戻った後、工場へと向かうルフィに遭遇。部下を引き連れ、ルフィを仕留めるべく戦闘を行うが、超刺激トルネード炭酸によってルフィを吹き飛ばしてしまい、仕留め損なう。
その後ルフィとハンコックの抹殺命令を受けると、通路を守るサンダーソニアとマリーゴールドを破り、ハンコックのいる浴場へと襲撃をかけた。

率いていた炭酸兵がルフィとハンコックに撃破されると、奥の手である炭酸ガスを利用し、浴場を制圧。ハンコックの意識を奪いかけるが、ルフィによって救い出され、逃げられてしまった。


■ガラナ

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(TVアニメ版ONEPIECE 第895話より)

シードル・ギルドに所属する、炭酸剣戟団斬込隊長。
サニー号襲撃時は、ジンジャーと共に炭酸魚雷の攻撃を撃ち込むが、結果として逃走を許してしまう。

その後、島にボア・ハンコックが訪れている事や、彼女がルフィと接触した事をシードルに報告。ルフィとハンコックの殺害命令を受けた。
ジンジャーとルフィ達の戦いを遠方から監視しており、ルフィ達がコーラ工場へと向かった際は、その旨をシードルに電伝虫で報告している。

島での戦いにおいて、シードルから直接の指示を受けた彼女が戦闘を行う様子は描かれていない。そのため、シードルの指示をジンジャーに伝える橋渡しの役割を担っていたものと思われる。


■カラメル

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(TVアニメ版ONEPIECE 第895話より)

桃色のカバの様な動物に乗った婦人。
島に上陸したルフィと出会い、コーラをタルごと欲しがるルフィに工場を案内した。またこの工場が、シードル・ギルドが牛耳る危険な場所である事も伝え、炭酸ならビンで我慢しておいた方が良いとの忠告をしている。


■ブエナ・フェスタ

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(TVアニメ版ONEPIECE 第895話より)

劇場版『STAMPEDE』に登場する人物で、『海賊万博』の主催者。通称『祭り屋フェスタ』。

本エピソードでは、特別ゲストとして賞金稼ぎのシードルを万博に正体した事が判明。シードルに電伝虫で連絡を取り、万博にダグラス・バレットが参戦する旨を伝えた。
シードルがルフィを討ち取ろうとした時は、万博の目玉であるルフィが開催前に消えてしまう可能性に焦りを浮かべていた。



【用語】

■海賊万博

何年かに1度、気まぐれに開かれるという海賊達の祭り。主催者はブエナ・フェスタ。
トータルバウンティ100億を超える海賊達が一堂に会し、あらゆる非合法がまかり通る闇の祭りとも言われている。
特別ゲストとして招待されたシードルの他、ハンコックも万博に参加するため、アマゾンリリーからの航海の途中であった。ルフィはこの万博の存在を知らなかったが、ハンコックから詳細を知らされた際に参加の意志を固めている。


■シードル・ギルド

シードルを軍団長とする賞金稼ぎチーム。
島に炭酸の工場を所有しており、島の男達を駆り出し強制労働をさせている。

コーラ工場へと到着した際、ルフィは「ここがシードル・ギルドか」と発言しており、チーム名だけでなく拠点とする工場の名でもあるのかもしれない。


■炭酸兵

シードル・ギルドの賞金稼ぎ部隊であり、炭酸のエネルギーを利用した兵器を使いこなす。
炭酸の力によって宙を飛ぶ円盤状の乗り物を使い、空中からサニー号を追い込む。しかし仕留めきれず、クー・ド・バーストによって逃げられてしまった。

その後も浴場前にてサンダーソニアやマリーゴールド、浴場にてルフィやハンコックと戦うが、目立った活躍はなく、すべて跳ね除けられた。
またコーラ工場前にてルフィとシードルが対峙した際、その周囲を取り囲むように配備されている。


■コーラ工場

物語の舞台となる島(名称不明)に存在する、シードル・ギルドが所有する工場。
島の男達を強制的に働かせている様で、島で大量のコーラを手に入れようと思えば、この工場に行く他にないと言う。

サニー号に積むコーラを手に入れるべく、ルフィが目的地としていた。
ジンジャーとの戦闘後、ハンコックと共に到着。しかしそこでシードルの奇襲を受け、戦闘になっている。



【感想・妄想】

現時点で893話・894話分の更新が済んでいませんが、せっかくの映画連動ストーリーという事で、時系列前倒しの更新です。

今回は2019年 8月9日より公開が開始される映画、『ONEPIECE STAMPEDE』に連動したオリジナルストーリー。


本編では既にワノ国へと突入してしまったが、そこら辺の辻褄合わせは特に考慮しないパラレルな時間軸となっている模様。
よって、ジンベエを除く麦わらの一味が全員集合した状態で、サニー号での航海を行っている所から物語は開始する。ワノ国は一切出て来ません。


オープニング映像の方も、冒頭とラストを除いて、スタンピードで実際に使われる映像をツギハギした特別なものになってるっぽいですね。
個人的には、実際に見た時の新鮮味が薄れそうでアレだったので、深くは見とらんです。ネタバレ好きじゃないタイプ。



■ブエナ・フェスタ

海賊万博の主催者。
劇場版『スタンピード』の戦いの舞台を作り上げた人物……というと如何にも黒幕っぽく見える。が、同じく劇場版で近しい設定を持っていた『デッドエンドの冒険』では、主催者はガスパーデに裏切られてしれっと退場してたなぁ。今回はどうなるんでしょ。


声優を務めるのは、タレントのユースケ・サンタマリアさん。
テレビで見てても特徴的な声の方ですが、正味普通に聞いてたら全然気づきませんでした私。フェスタって言われて、そーいや声の担当ユースケさんだっけ、ってなった感じ。キャラとの相性も含めて、中々良い感じなんじゃないですかね。
関係ないけど、今ユースケさんって上の名前だけ呼ぶと、ダイアン西澤さんの改名後の方を連想しちゃいますね。本当に関係ないですね。


今回の登場は顔見せ程度というか、劇場版と本作を繋ぐ架け橋のキャラクターって感じ。従来の特別編でも、アインやタナカさんがチラッと出てきたりしましたっけね。

海賊達が集まる海賊万博に、主催者自らが「海賊の敵」であるシードルを呼び込もうとしている辺り、何やら企みを感じなくもない。強くて盛り上がる人選なら、誰でも良いんでしょうか。まあ、あんなトンデモ装備を背負った賞金稼ぎ、出て来たら確かに盛り上がりそうだけど。ネタ枠的な意味で。


しかし劇場版の情報はあんまり入れてないんだけれど、海賊万博、ティーチも参加する(?)みたいなのかな。
それで言うと、「トータルバウンティ100億ベリー以上」ってそこまで大した事ないな……ルフィとティーチだけで、3分の1以上占めちゃってますもんね。

ちなみに、試しに麦わらの一味と最悪の世代全員の金額を足してみると、それだけで75億を超えてしまったりもする。
やっぱ今の時代、祭り屋から見てもメインコンテンツは最悪の世代なんですかね。ダグラス・バレットは何ベリーぐらいなんだろう。



■シードル・ギルド VS 麦わらの一味

シードル・ギルドという名称を聞くと、ギルド・テゾーロとごっちゃになる。
あれはあれで『グラン・テゾーロ』と『ギルド・テゾーロ』がややこしかったけど、そこに来て更なる『ギルド』が現れてしまった。

『グラン・テゾーロ』は地名(船名)、『ギルド・テゾーロ』は人名、『シードル・ギルド』は組織名です。念のため。
しかし上の紹介欄で書いた様に、『シードル・ギルド』は地名としての側面もあるっぽい。うーむ、ややこしい。


シードル・ギルドの面々が使うのは、炭酸の力を用いた兵器。
炭酸の力と言えば、コーラを燃料に様々な武装を使えるフランキーやサニー号と相似している。しかし炭酸の力だけで、円盤状の乗り物を浮遊させる力を生み出しているのは凄い。

「空を飛ぶ」というだけなら、フランキーの『クー・ド・ブー』やサニー号の『クー・ド・バースト』でも可能ではある。
しかしアレらは「ジェット噴射の勢いで身体(船体)を思いっきり飛ばしている」だけで、空中での制御が上手い事取れるワケではないし、コーラの消費が激しく長時間保てるものでもない。


だがこのシードル・ギルドの乗り物は、ナミの突風ソードをたやすく回避するなど、小回りの効く動作が可能。更に船などを連れずこの円盤だけでサニー号を狙っていた辺りを見るに、かなり長時間の飛行が可能っぽい。少なくとも、島から島への移動をコレだけで出来るぐらいの省エネ具合にはなってるんだろう。


攻撃方法に関しては、腕に取り付けた銃口(『メトロイド』のサムスを連想して貰えれば分かりやすい)から放水する炭酸銃がメインウェポン。詳しくは不明だが、おそらく炭酸ガスの圧力を利用し、炭酸水を高速で放っているんだろう。
コーラのボトルをよく振ってから空けた時のシュワシュワに、科学的な強化を全力で加えた感じだ。うん、我ながら物凄く頭の悪い説明だ。


パッと見ショボい兵装だが、ただ炭酸水を放つだけで物体を破損させるほどの威力を持っていると考えると、何気に凄い。数多の炭酸兵達が連発する事で、宝樹アダムを素材にするサニー号を損傷・炎上させる程の威力だ。

しかも、量産体制が作れているのが地味に脅威。
単発の威力では、もちろんフランキーの『クー・ド・ヴァン』等の方が圧倒的に強いだろう。
しかしアレはフランキーおよびサニー号に搭載された装備でしか使用できず、燃費も悪く連発できる代物ではなかった。(2年後の『クー・ド・ヴァン』に関しては、後者の難点は改善された様だけど)

そこへ行くと、こちらの炭酸銃は連射可能・量産可能という手数を重視した攻め方により、敵を制圧する事ができる様になっているのだ。


これら炭酸兵器により、兵士達は円盤による機動力、炭酸銃による火力を簡単に得る事ができる。一線級の猛者達が使うには心許なくとも、今回の様な人数に任せた人海戦術で相手を仕留めようと思えば、相当に有用な兵器であると思われる。

麦わらの一味を仕留め切る事こそできなかったものの、彼らに応戦ではなく撤退を選択させたという戦果は、ジンジャーらの地の力を考えれば十分すぎる戦果だろう。
まあ、バトルアニメの宿命なのか、陸地での戦いじゃ全くの役立たずだったけれど、それはそれ。円盤もないしね。



■三輪咲き(トレスフルール)

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(TVアニメ版ONEPIECE 第895話より)


『三輪咲き』と言いながら技を使用したロビンさん、間違えて真ん中の敵に腕を4本咲かせてしまうの巻。

やってる最中に「あ、間違えた」と思ったんでしょうね。関節をキメる際には腕を1本しゅっと引っ込めてます。
クールな考古学者様のドジッ子エピソードでした。そこ、作画ミスとか言わない。



念のため補足しておくと、原作においては、
アラバスタ編(第201話)で使用した『三十輪咲き ストラングル』が海兵30人に対し1本ずつ、
シャボンディ諸島編(第505話)で使用した『九輪咲き ツイスト』が海兵3人に対し3本ずつの腕を咲かせていたので、『〇輪咲き』の名称は1度の攻撃に使用した総本数で決まる模様。

なので、本来なら3人の炭酸兵に3本ずつ腕を咲かせたならば、『三輪咲き』ではなく『九輪咲き』が正解だと思われる。
ロビンさん、どっちにせよ間違ってました。ドンマイ。



■炭酸の島

そんな炭酸兵器を用いるシードル・ギルドが本拠とするのは、天然の炭酸があちこちから吹き出す島。

これは……島の名前、設定されてないんですかね。少なくとも本編には登場しませんでした。
地名が設定されるだけでも、島のイメージを抱きやすくなって良いと思うんだけどなぁ。固有名詞フェチとしても、せっかく登場させるなら名前は欲しいところです。


島から吹き出したり、貯水されて川の様になっている水はすべて炭酸らしい。
まあ、トットランドには『わたあめ雪』やらジュースの流れる島やらがあったので、新世界ではこういう島も珍しくはない。
この島に流れる炭酸は……全部ただの炭酸水なのかな。サイダーとかじゃなく。
だとしたらあんまり飲みたくはないな……お酒を割るのには良いけどね。


しかしアレね、今回のエピソード、上陸→即戦闘→ハンコックと再会→即戦闘って流れなので、島の人間がほとんど出て来ないですね。
ゆえに「島の男手はほとんどシードル・ギルドに連れていかれている」という設定も、ちょっとフワッとしちゃってる感じ。

カラメルさんは出て来たけど、ほんの顔見せだけだしなぁ。字幕や声の出演欄を除いて、名前すら出てないし。というか、思いっきりマザー・カルメルと被ってますがな名前。


この辺、特別編の話数を2話に抑えた弊害なんだろうなー。
今までの映画特別編は4話構成だったところ、その半分ですからね。島の詳細を描いている尺が取れなくて、その分を敵キャラの描写に充てているというか。

あと2話多くして、特別編終わってからワノ国突入って流れでも良かった気がする。
どの道ほとんどルフィしか出てこないんだから、あえてパラレルな時間軸にせずWCI編メンバーだけの登場でも問題なさそうだし。



■ハンコック入浴中

ほんとルフィさん、のび太君かってぐらい風呂場に突撃していくな。

というワケで、シャボンディ諸島で分かれて以来の再会なお2人さんです。
嬉しいのは分かるけどハンコックさん、登場シーンの半分ぐらい素っ裸だよ。良いのかそれで。

何でまた、あんな巨大な浴場に1人で浸かってたのかサッパリ分からないが、有名な温泉地だったりするのかしら。ホラ、炭酸風呂とかあるじゃない。適当だけど。


ハンコックは海賊万博へと向かう道中だったらしい。となると、この炭酸の島は女ヶ島~万博会場の間にある島という事になる。
また、ルフィ達がたまたま発見できるという事は新世界にある島であり、逆に女ヶ島は凪の帯の中でも偉大なる航路前半側に存在する島。当然ハンコックも、わざわざ赤い土の大陸を抜けてここまで来たという事になる。


ハンコックは現役の七武海だが、政府に打診すればマリージョアの通行許可が出るものなんだろうか?
しかし、七武海と言えど海賊は海賊。頂上戦争の様な「政府側からの勅令」ならともかく、海賊万博などという(おそらく)個人の都合による通行など、許されるものなんだろうか。

ドフラミンゴの逮捕も記憶に新しく、七武海そのものへの信用度が薄れているタイミングで、天竜人の住まう土地の近くを通らせるなど、危険極まりないと思うんだが。(なお、本エピソードの詳しい時系列が不明なので、この時点では革命軍によるマリージョア襲撃事件は発生していないものとする)


仮にハンコックが、赤い土の大陸の下を通る魚人島ルートを選んで来たのなら、少し縁のある話になる。
ハンコックは奴隷時代、魚人島出身の冒険家であるフィッシャー・タイガーに救い出されているのだ。
基本的には傍若無人なハンコックだが、原作521話では彼に対し「計り知れない恩がある」と、珍しくその大恩を口にしていた。


同じく恩人であるレイリーにはぞんざいな対応だったが、アレは近くにルフィがいたせい。自身を奴隷の身から救い出してくれたタイガーの故郷を通ったその時、彼女にも何か思うところはなかっただろうか。
もし世界会議へと旅立っている最中でなければ、タイガーについてよく知るネプチューンと直に会い、話していたりなんかすると面白いと思う。



■炭酸銃劇団突撃隊

ジンジャー率いる炭酸兵の部隊で、炭酸水を放出する銃の使い手を集めた部隊らしい。

……炭酸銃劇団? 銃撃団じゃなく? まあ良いか。


先程も述べた様に、兵器自体の性能は中々なものの、陸地での戦闘になるとほとんど活躍できなくなってしまった哀れな方々。
確かに、「1人の戦士」としての実力は、ルフィやハンコックと言った一騎当千の猛将に敵うものではなかった。しかし彼らを「1つの軍隊」として見たとき、凄まじい有能さを誇る点がある。

全裸のハンコックを目の当たりにし、マトモに戦意を見せている事だ。


ギャグかお色気マンガの様な話にも聞こえるが、ことハンコックを相手に据えた場合、これはギャグでも何でもなくなる。

ハンコックの美貌には、海軍の精鋭ですら骨抜きとなってしまうのだ。技を繰り出さなければ石化とまでは行かずとも、実際にモモンガの部下達は彼女の言いなりになり、船の積み荷を差し出そうとまでしていた。

妹のマリー曰く「老若男女見惚れる美しさ」を誇るハンコックの裸体を前に、一度は目を奪われるも、隊長の檄を受けて兵士としての動きを取り戻す炭酸銃劇団は軍隊の鑑だと言わざるを得ない。勿論、一番に正気を取り戻した隊長のジンジャーを筆頭に。


……しかし、服を届けに来たマリーやソニアは、一体どこから現れたんだ……?
浴場への通路を守っていたハズなのに、実際に浴場に現れたジンジャー達とはまったく違うところから現れたが……。
っていうか、どっかから降って来たよなキミ達。どんなルートを使ったんだ。



■超高濃度DX炭酸ガス

なんかややこしい名前がついているけれど、様は背中の装備から炭酸ガス(二酸化炭素)を放出し、空気中のCO2濃度を引き上げる事で攻撃する技っぽい。
空気から酸素を引き抜く事で呼吸を封じる、シーザーの『無空世界』とは真逆の性能って事ね。


調べたところ、空気中に含まれる二酸化炭素の量は一般に360ppm(パーツ・パー・ミリオン)程度、つまり空気全体の0.036%ほどだと言う。

これが30000ppmにまで上昇すると、呼吸困難や頭痛、吐き気などの症状が出始め、100000ppm辺りから視覚障害や意識不明250000ppmを越えると死に至る可能性もあるとの事だった。
(参考資料→http://www.nonrisk.co.jp/co2jintai-eikyou.pdf


今回ハンコックは炭酸ガスの放出から数秒後には呼吸困難となり、ルフィに救出される際には気を失う寸前といった様子だった。
上の資料によれば、意識不明や睡眠状態といった症状が現れるのは80000ppm程度。ジンジャーの放った炭酸ガスによって引き上げられたCO2濃度はこの辺りだろう。


しかし、このぐらいの濃度を持つ二酸化炭素でも、人間の意識を奪うまでに通常数分はかかるとされている。普通の人間よりも遥かに屈強な身体を持つハンコックが、僅か数秒にして意識を失ってしまうとは思えない。

ついでに言えば、二酸化炭素中毒というのは普通、換気の効かない密室で発生するもの。そして今回ジンジャーと戦った場所は、屋根のない露天風呂だった。
拙い知識では深く掘り下げた事までは言えないが、このシチュエーションではいかに炭酸ガスを放出したところで、ガスは大気中に分散してしまい、中毒に至らせるのは難しいように思う。


この辺りを加味していくと、ジンジャーが兵器から放った炭酸ガスは、我々の世界で言うところの炭酸ガスとは異なる気体である可能性がある。

敵は炭酸を利用した飛行装置を作ったり、高威力の水銃を作ったりできるような技術者だ。この兵器によって生み出された『超高濃度DX炭酸ガス』というのも、「炭酸ガスに何らかの化学変化を加えて生み出した毒性の気体」なのかもしれない。
そしてこのややこしくもどうでもいい話1つのために、わざわざ消防庁の資料まで確認しに行った結果、二酸化炭素中毒でもないのに頭痛を起こしそうになっています。


なおこの辺りのお話は、ざっくりと調べた内容を羅列しただけなので間に受けてはいけません。



■海賊万博

詳細については、劇場版の内容なので割愛。

ハンコックが語ったイメージ映像の中には、実際にルフィ達が出会ってきた海賊たちの姿が。

右からバルトロメオ、キャベンディッシュ、ウルージ、ベッジ、フォクシー、アルビダ、バギー、ギャルディーノ、ドレーク、アプー、ボニー、クロコダイル、ロー、キッド、キラー、ホーキンス、ミホーク、ティーチの18名ですね。

姿は暗めに描かれ、それぞれ目が赤く光った怪しげな雰囲気。
なのですが、マスクを被っているせいで1人だけ目が描かれていないキラーさんに気付くと、若干シュールで面白い。


しかし……キラーとキッドって言えば、今の原作本編の状況で言うとアレだろ?
ぼくはどんな顔して、彼らと劇場で会えば良いんだろうね……?



■軍団長シードル

今回は顔見せ程度なので、詳しくは次回に回します。

賞金稼ぎだそうだけれど、島民を半ば強引に工場へ連れて行っている時点で、まず真人間ではない。
それでいて、海軍との衝突を嫌い七武海暗殺の罪をルフィになすりつけようとしている。まず間違いなく、メンタル的には大物の類ではないだろう。


というか、賞金首100人斬りって微妙だよ。
過去99人がどのぐらいの賞金首だったのかは分からないけど、殺した数だけで言えばヒグマでさえ56人だからね。
まあ、億越え100人倒したとかだったら、素直に凄いと思う。


現時点では炭酸ガスによる爆発を伴う拳を繰り出す事ぐらいしか分からないが、シードル本人の実力というのはどんなモノなんだろう。
今のルフィとやり合うのだから、最低でも覇気ぐらいは使えないと寂しいものがあるけれども。



【登場した技】 
突風ガストソード
使用者:ナミ

サニー号を襲撃する炭酸兵との戦いで使用。
天候棒の先端から放たれる突風で攻撃したが、回避されている。


ゴムゴムの銃乱打ガトリング
使用者:ルフィ

サニー号を襲撃する炭酸兵との戦いで使用。
ナミの突風ソードを躱した敵を含め、数名の炭酸兵を一掃した。

その後浴場での戦闘時にも使用し、ジンジャーが率いる炭酸兵を撃破している。


焼鉄鍋ポアル・ア・フリールスペクトル
使用者:サンジ

サニー号を襲撃する炭酸兵を撃破する為に使用。


鼻唄三丁 矢筈斬り
使用者:ブルック

サニー号を襲撃する炭酸兵を撃破する為に使用。


三輪咲きトレスフルール クラッチ
使用者:ロビン

サニー号を襲撃する炭酸兵を撃破する為に使用。
なおこの際、ロビンは3名の敵に3本ずつの腕を咲かせて攻撃している。技名の『〇輪咲き』に入る数字は、基本的には敵全体に使用した腕の総本数で決まるが、今回は1人1人に使用した本数で数えられている模様。

なおこの際、3人のうち中央の敵に咲かせた腕の数が4本になってしまっている(TV放送時)。
関節を決めた際には、セリフの通り3本の腕に戻っていた。


炭酸魚雷
使用者:ジンジャー、ガラナ
※アニメオリジナル技

ジンジャーやガラナの右腕に装着された兵器。
炭酸の力で発射される魚雷を放ち、サニー号の船底に直撃させた。しかしサニー号がクー・ド・バーストで逃げ延びた為、トドメを刺すには至っていない。


風来クー・ド・バースト
使用者:フランキー(サニー号)

サニー号を襲う炭酸兵達から逃げ延びる為に使用。


超刺激トルネード炭酸
使用者:ジンジャー
※アニメオリジナル技

背中に装備したタル状の兵器から、赤と黄色、2つの炭酸水を噴射する技。2本の炭酸は螺旋状に混ざり合い、水圧によって敵を吹き飛ばす。炭酸であるため目に入れば視界を封じる事ができ、水で洗い流す必要がある。
島に上陸したルフィとの遭遇時に使用。これによって吹き飛ばされたルフィは崖から落下し、炭酸の水脈に流された先でハンコックに再会した。


虜の矢スレイブアロー
使用者:ハンコック

ジンジャー率いる炭酸兵との戦闘時に使用。
メロメロの実の能力によって生み出したハートの矢により、炭酸兵達を石化状態にした。


超高濃度DXデラックス炭酸ガス
使用者:ジンジャー
※アニメオリジナル技

ジンジャーが使用した、炭酸兵器の切り札。
ガスマスクを装着し、両腕を組み合わせる事で装着したポンプを作動させ、高濃度の炭酸ガスを周囲に充満させる。ガスの範囲にいる者は呼吸が困難となり、やがて意識さえも遠のいて行く。

浴場での戦闘時、部下達を全滅させられたジンジャーが奥の手として使用。ハンコックの動きを封じかけたが、ルフィによってガスの範囲外へと救出されてしまった。



【声の出演】
ルフィ・・・・・・田中真弓
ナミ・・・・・・・岡村明美
ゾロ・・・・・・・中井和哉
ウソップ・・・・・山口勝平
サンジ・・・・・・平田広明
チョッパー・・・・大谷育江
ロビン・・・・・・山口由里子
フランキー・・・・矢尾一樹
ブルック・・・・・チョー

シードル・・・・・田村真
ジンジャー・・・・宮澤正
ガラナ・・・・・・佐藤聡美
カラメル・・・・・江森浩子
フェスタ・・・・・ユースケ・サンタマリア

ハンコック・・・・三石琴乃
サンダーソニア・・斎藤千和
マリーゴールド・・斉藤貴美子
ニョン婆・・・・・真山亜子

炭酸兵・・・・・・荒井聡太 五味洸一
         大西弘祐 清水健佑
         小野将夢 林雅貴
         竹田海渡


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