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アニメ版 ONE PIECE
第896話
「特別編! 決戦! ルフィVS炭酸王」 
放送日時:2019年 8月 4日


【原作の対応話数】
アニメオリジナルストーリー

もくじ
あらすじ
人物・用語紹介
感想・妄想
登場した技
声の出演



【あらすじ】
コーラを求めて工場へと辿り着いたルフィは、自身の首を狙う賞金稼ぎ・シードルと激突する。一方で、サニー号に待機していたゾロ達のもとにも、シードル・ギルドの炭酸兵達が襲撃を掛けていた。だがゾロとサンジによって返り討ちに遭うと、彼らはあっさりと降伏。炭酸兵達は皆、シードル達に脅されて兵隊にされていた、島民達だったのだ。

工場前ではルフィとシードル、ハンコックとガラナが戦いに臨んでいた。炭酸兵器が生み出す圧倒的なパワーを、能力によって跳ね返すルフィ。その存在に、シードルはかつてダグラス・バレットから受けた痛みを思い返し、「能力者の海賊」を抹殺する想いを強くする。

戦闘にはマリーゴールドとサンダーソニア、そしてジンジャーが合流する。だがシードルは一時撤退を指示。ジンジャーとガラナに時間稼ぎを任せ、自身は工場内に保管された『最強装備』を使用する準備へと入った。

工場前を守るジンジャーとガラナだが、ルフィは彼らを飛び越え、工場内へと突撃。2名の幹部とは、残されたハンコック、マリー、ソニアが戦う運びとなった。
炭酸兵器の力を駆使してハンコックを狙う2人だが、ハンコックはその身体能力と『メロメロの実』の力により、2人を圧倒。あっという間に、ジンジャーとガラナの身体を石へと変えてしまうのだった。

工場内では、最強装備を装着したシードルと、ルフィの再戦が始まる。炭酸ガスの力によりパワーを増し、自在に回転する拳から放たれる攻撃は、ルフィを吹き飛ばし壁を貫かせるほどの威力を誇っていた。
装備の威力と速さの前に、苦戦を強いられるルフィ。シードルはルフィを殴りつけながら、万博にてバレットを討ち、恨みを晴らすと共に多額の金を得る事を宣言する。

だが、信念を持たない男に、ルフィは負けない。
「お前に倒される海賊なんて いねェよ」。ルフィは『ギア3』を発動し、覇気を纏った全力の拳を、シードルへと叩き込む。激突する拳と拳。だが勝負の趨勢は、ルフィへと傾いた。ルフィの攻撃は最強装備の力をも打ち破り、シードルの身体を捉えたのだった。

シードルの撃破により、兵隊とされていた島民達は解放された。一味は島民達から、多くのコーラを譲ってもらう。島での目的は、これで果たされた。
シードルを破った際、ルフィは海賊万博への招待状を手にしていた。万博での再会を約束し、ハンコックと別れるルフィ。祭りの余興として開催される、ロジャーの遺した宝探しに胸を躍らせながら、一味は海賊万博の開催地、デルタ島へと船を進めるのだった。



【人物・用語紹介】
人物像・姿などは前回分を参照。
いずれ前回分の紹介と統合予定。

【オリジナルキャラクター】

■シードル
かつてダグラス・バレットの襲撃を受け、額部分に大きな傷を負った。明確には語られていないが、その際周囲の景色は炎に包まれており、シードル以外にもバレットの手にかかった人物がいる様子。
その経験からバレットに恨みを持ち、また能力者の海賊を「世界の害悪」と呼び、その者達の首を狩る事を誓う。

ルフィを100人目の賞金首として狩るべく、対峙。コーラ工場前にて、炭酸ガスの力によって強化された拳により、ルフィと真っ向から撃ち合った。兵器による機動力とパワーによって戦闘を優位に進めるも、ルフィの悪魔の実の力を使った防御技により、反撃を喰らってしまう。

ジンジャーの合流後は一時撤退し、『最強装備』を着込んでルフィと再戦。最強装備の力によってルフィを一時は追い詰めたが、その信念の欠如を指摘され、最後には『ゴムゴムの象銃』によって敗れた。


■ジンジャー
コーラ工場前の戦闘では、兵を率いて途中から合流。
シードルが『最強装備』の準備を終えるまでの抑え役として、ガラナと共に工場前に残りハンコックと交戦。しかし炭酸水の砲撃によって攻撃するも全て回避され、『芳香脚』を喰らい石化されてしまった。


■ガラナ
コーラ工場前の戦闘時には、シードルとルフィの戦闘を邪魔させぬよう、炭酸兵を率いてハンコックと対峙。『虜の矢』を回避するほどの機動力を見せた他、『炭酸流水剣』を用いてハンコックと戦う。
シードルが『最強装備』の準備に向かった後は、工場前に残りジンジャーと共にハンコックと再度交戦。ジンジャーの敗北後、『炭酸流水剣』による攻撃を繰り出すが、剣が届くよりも素早いハンコックの蹴りを受け、石化させられてしまった。


■カラメル
第896話ではセリフこそ無かったが、シードルの敗北により解放された息子らしき人物と再会し、涙を流して喜んでいる姿が描かれた。


■ダグラス・バレット
劇場版に登場するキャラクターで、シードルが恨みを持つ「能力者の海賊」。
第896話ではシードルの回想に登場した他、万博の開催を前にして「いよいよだロジャー、生き残るのは最も強ェ奴、ただ1人だ」との言葉を発している。


■ブエナ・フェスタ
劇場版に登場するキャラクター。
第896話ではシードルがルフィに敗れたという事を知り、「あれだけ大口叩いておいてそんなもんか」と笑い飛ばしていた。
また万博でルフィとバレットがぶつかる事で生まれる盛り上がりを想像し、1人高笑いをあげていた。



【用語】
人物紹介同様、前回分の紹介を参照。
こちらもいずれ統合予定。

■炭酸兵
シードル・ギルドの攻撃部隊。
896話では、その正体が心からシードルに忠誠を誓った者達ではなく、家族を人質に取られ兵隊に加わった島民達である事が発覚した。
ハンコックとの戦いでは石化させられた者もいたが、これらは一件の解決後、石化を解かれ家族と無事に再会している。


■最強装備

2019年08月18日(Sun)06時32分08秒
(TVアニメONE PIECE 第896話より)

シードルが誇る、バレット打倒のために作り上げた最強最高の装備。
シードルが元々着ていた装備と比べると、背中の炭酸が入ったタルが2つから4つに増えている他、炭酸ガスを噴射する向きも下方向から背面へと変更されている。飛行する際には、足のポンプ部分から下方向に向けて炭酸を発射する。

また腕に取り付けられたタルと鉄製のグローブ部分は高速で回転し、攻撃の威力を底上げするために役立てられる。
その一撃は殴り飛ばしたルフィを、何枚もの壁を貫通して吹き飛ばすほどのものであった。その後もルフィを相手に優位に戦うが、最後には『ギア3』と武装色の覇気を併用した一撃により、押し負けている。



【感想・妄想】

これを書いてる時点では、すでにスタンピードの公開が始まっていますが、まあネタバレは極力ナシの方向で。
スタンピードのざっとした感想はこっちに載せてるよ。


■炭酸島編 総括

島の名前が分からんので、今回のエピソードを便宜上『炭酸島編』と名付けます。
『スタンピード特別編』って長いし、映画ありきな感じがするし。


前回の引きから始まった、シードルとのバトル。
確かに、炭酸を兵器として活用するシードル・ギルドの発想は面白い。ONEPIECEの世界には既にフランキーという、「炭酸の兵器化」を実現した人間がいるのだから、荒唐無稽な設定でもない。

が、ハッキリ言って今のルフィと対峙する人物としては、力不足な面が否めなかったかな……。
炭酸の活用法も、炭酸ガスを操り敵の動きを封じるジンジャー、炭酸水を鞭のような剣として扱うガラナに比べると、ただパンチの威力を上げるだけという何ともアイデアの物足りないボスになってしまった感じもあった。


と言っても、ルフィの攻撃の基本形も殴る蹴るなのだから、「ただ殴るだけ」の敵でも強ければ何も問題はない。やはり盛り上がりにくい要因は、シードルがイマイチ強力な敵として映らないところにあるんだろう。

というより、そもそもがどう見ても、「強力な敵」として用意されたキャラクターではない。
ギア4を発動させるどころか、2年後の基本技のひとつである『ゴムゴムの象銃』1発でKOだったのだから、これはもう「ルフィよりも遥かに格下の敵」として描かれているのが明らかだろう。


敵が弱いのならばシナリオ・ドラマ性で盛り上げるところだが、そこへ行くとこの特別編、ドラマらしいドラマもない。ルフィがコーラを求めて戦う。ただそれだけのお話で、「島民が人質を取られ、兵隊として駆り出されている」という設定も、ルフィとシードルの戦いには何の影響も及ぼさなかった。

「ドラマ性が薄い」というのはある種、「スタンピードの特別編」としては相応しい構成なんだろうが、ドラマ性が薄くバトルもいまひとつ盛り上がらないとなると、いよいよもって見所が……ね。
ついでに言うと炭酸島の正式名称さえ未判明のまま終わってしまったので、資料性にも乏しいし。強すぎるハンコックを眺めて楽しむのが正解?


まあ正直なところ、確かに今のONEPIECEでアニメオリジナルのお話を作るのは難しい。
ルフィは今や、その首に15億ベリーの値がつく大海賊。そんな彼が苦戦する様な強敵と言えば、もはや四皇やその最高幹部、七武海や海軍大将など、いわゆる「最強談義」に名前が挙がるクラスの相手でなければ厳しい。

そんな相手を、アニメオリジナルのストーリーでおいそれと用意すれば、世界観が狂ってしまう。LEVEL6の脱獄者という都合の良い設定もあるにはあるが、それだって映画やゲームなどで、原作者の協力を得た上で作られたキャラクターでなければ、登場させるのは難しいだろう。そこらの島でホイホイとエンカウントできるような、お手頃価格の存在では無いのだ。


ルフィを苦戦させるような猛者を用意するのは簡単ではない。
しかしバトルを成立させるためにも、ルフィには多少なりとも、苦戦して貰わなければならない。
その結果行き着いたのが、今回のように「ルフィに序盤、多少手を抜いた戦い方をして貰う」という方向性だった。

攻撃時に覇気を使わない。第1戦目では『ギア2』さえ使わない。2戦目でもある程度苦戦するまでは『ギア3』を使わない。『ギア4』は完全封印。これだけの条件を課して、ようやくルフィに、若干の苦戦を演じて貰える土俵が整った事になる。
勿論、視聴者側は全力のルフィを知っているのだから違和感はすぐに襲って来るし、それでシードルの格が上がるワケではまったくないので、最善手でも何でもないのだけれど。


纏めると、エピソードとしての魅力はやっぱりイマイチ。
やはり「リトル東の海という設定」「3億越えの巨人海賊の登場やモモンガとのバトル」「バルトロメオの旧友という設定を持つ新キャラ」など、劇場版との繋がりを抜きにしても「1つのエピソードとしての見所」を持っていた過去3作の特別編に比べ、炭酸島編は本当に「スタンピードへの繋ぎ」以上の意義を持てなかったのが痛い所だと思う。

というか、その「劇場版への繋ぎ」という役割さえ、スタンピード側からは無かった事にされていた様な……まあいいか。



■シードルの実力

散々ザコ扱いをしてオシマイというのも余りにシードルが可哀想なので、シードルの強みについてもひとつ。

シードルの強さと言えばやはり「パワー」。地面を割るほどの威力を持つ初期装備でも中々だが、『最強装備』を得た後は更に磨きがかかる。
だがこれは、あくまでも「装備の力」に過ぎない。いや、元々のパワーもそれなりにはあるんだろうが、少なくともルフィと競り合える様なレベルでは、絶対にないハズだ。


シードルの強さが装備によるものばかりだと言うなら、あの装備は誰が着てもそんなに変わらんという事になってしまう。それではシードルが浮かばれない。

今回のお話で見せたシードルの強さがもう1つある。機動力だ。
回避性能に関してはガラナ等もそれなりだったが、最強装備に切り替えた後のシードルは更に速い。何しろルフィの『ゴムゴムのJET銃乱打』に対し、パンチの間を掻い潜りながらカウンターを喰らわせているのだ。異常なスピードだ。


シードルは最強装備を着込む事で、圧倒的な速力を得た。そしてその速力を用いて、ルフィの攻撃を回避している。
これは分かる。速度が速ければ攻撃は避け易い。単純な話だ。

単純に避けるだけなら話は早い。大きく外回りに逃げる事で、拳が繰り出される範囲自体から逃れてしまえば良いのだ。コレなら、「パンチが飛んでくる」事にさえ気づけば、後は装備の速力を利用してスイーっと動いてしまえば良い。


だが無数に繰り出される拳の合間を縫うというのは、まったくもって話が異なってくる。
コレをやるには、装備がもたらす速力だけでは足りていない。
拳の1発1発が飛んでくる場所、来ない場所。それを正確に見極める「動体視力」。それを認識し、コンマ数秒ごとに変わり続ける安全圏へと、瞬時に動ける「判断力」。それらをかなり高いレベルで求められる回避行動になっている。

これらはどう考えても、装備の性能の高さだけでは実現できない。
加えてルフィが繰り出している攻撃は、速度に特化した『ギア2』による乱打攻撃だ。これを見切り、小刻みな回避を可能にしている事が、シードル自身の持つ高い戦闘技能を表していると言える。最強の賞金稼ぎはダテではないのだ。


……まあ、かなりハードルを下げての「強い」である事に変わりはないけどね。
ハンコックを討ち取ろうとも企んでいたが、間違っても七武海に敵うレベルではあるまい。覚醒ホーディにさえ勝てるかアヤシイくらいだと思う、正直。



■『最強装備』

2019年08月18日(Sun)06時32分08秒
(TVアニメONE PIECE 第896話より)

ところでこの『最強装備』とやらだが……名前は無いんだろうか。
地味にアホそうな呼び方で、聞く度にフフッとなってしまう。シードルの性格を表した呼び名なのか、炭酸島の名前が無いのと並び、単にプロット書いた人が固有名詞をつけるのを面倒くさがったか。


名は体を表すと言うべきか、性能の方も単純明快。通常時の装備と比べると、「背負ってるタルが増えた」「パンチ力が上がった」「機動力が上がった」というのが大きな違い。
「炭酸を燃料にした兵器なんだから、背負ってる炭酸が増えれば強くなるでしょ」というその真っすぐな精神、ぼくは嫌いじゃないよ。


最強装備ならではの新機能と言えば、腕パーツの回転。ダズ・ボーネスの『螺旋抜斬』を彷彿とさせるぐらい、そりゃもうグルングルンと回る。
この回転も、パンチ力の増強に一役買っているみたいだ。いわゆるコークスクリュー・ブローや、ONEPIECEで言えば『ゴムゴムの回転弾』と同じ理屈だろう。


しかし身体の性質そのものを変える能力者であるダズやルフィとは違い、シードルの身体はあくまでも生身。どんな装備を着込んだところで、身体そのものを変形させる事など、不可能である。
つまりこの回転は、あくまでも装備の腕パーツがグルグルと回っているだけで、その中にあるシードル自身の腕は、特に回転する事もなく大人しくなさっている事だろう。


なら、あの腕パーツの回転時、シードルの拳部分はどうなっているのか。
「中身はそのままに、装備が回っているだけ」で話のつく腕部分とは異なり、鉄製のグローブ状になった拳パーツが動けば、当然中に入っているシードルの手や指はその干渉を受けてしまう。無理に回転させれば、たちまちシードルの肉体そのものが引き千切られてしまう。


そうならない様にするためには、どういう構造になっているんだろう。
装備自体がシードルの腕よりも長めに作られていて、シードル自身の拳が腕パーツ辺りまでの位置に収まる様になっているのか。
ハリボテにしては拳を握るシーンなどもあるが、これはボタン操作などで動かす事が可能だと考えればいい。拳パーツは見るからに硬そうな鉄製のブツなので、下手に生身の拳を収めるための空洞を作るより、威力も見込めそうだ。

だがこの説を推すなら、最強装備をつけたシードルの腕が、拳1つ分以上は長くなっていないとオカシイ。
通常装備時と最強装備時のシードルの立ち姿を見比べた結果、どちらも膝より少し上ぐらいの位置に拳が来ており、明確に「長くなっている」とは言い難かった。残念ながら、説立証ならず。


ならば発想を逆転させ、「拳パーツが回転しようが、それに引っ張られ千切れてしまうハズの拳が、シードルには無い」と考えればどうか。
シードルの腕は、元々義手だったのだ。

バレットに敗北したシーンでは、彼の顔アップのみが映されており、身体がどうなっているのかは確認できない。あの時、彼は額に受けた傷だけでなく、手首をも失っていた。以降、彼は義手を付けて生活する様になったのだ。
2話に渡る劇中にて、彼は全ての登場シーンでグローブをはめている。生身の拳を晒したシーンが存在しないのだ。これは義手を隠すためのグローブだったんじゃないだろうか。

千切れる手首が初めから無いのなら、いかに最強装備がグルグル回ろうが関係はない。
義手を1度外した状態で最強装備を着込むのは難しいが、シードルが普段使っている義手を最初から回転可能な構造にしておけば、義手をつけたまま装備を着る事も可能だ。
これだけ無茶な科学技術がいっぱい登場しているのだから、回転可能な義手ぐらい余裕でしょう、たぶん。


というワケで、「シードルの拳が回転しても平気なのは、元々義手だったから」でファイナルアンサー。
原作キャラと違って、のちの展開により「それは違うよ!」と言われる心配がないので、安心して好き放題言えるのがアニオリキャラの良い所です。



■マリー&ソニア

キミ達……なんかした?

遅れて現れて、変身して、ガラナ&ジンジャーと対峙……したかと思えばハンコックが1人で片づけちゃって、「流石姉様!!」と言って、変身解除。


……何しに来たの、キミ達。

ってかグロリオーサ、何でいるの。九蛇海賊団でも何でもないでしょ、貴女。観光目的で万博に向かってたのか?


■ガラナの炭酸流水剣

「能力者の首を狩るのは得意」だそうだが、対能力者に特化した戦術はイマイチ見当たらず。
まあ政府の人間じゃないのだから海楼石の入手も難しいだろうが、せっかくのホームゲームなんだし、「瞬時に水溜めを築くための炭酸水のダム」みたいなモンが用意されてても良かった気もする。下半身が浸かるぐらいの深さでも力は抜けるし、ガラナ達は空を飛べるのだから、水没の影響を受けにくいし。


さておき、『炭酸剣戟団斬込隊長』の肩書きを持つガラナが扱うのは、『炭酸流水剣』と呼ばれる炭酸の力を借りた剣。
剣とは言っても、モノ自体は背中のタルから伸びるホースに鍔を取り付けただけの物体。そこから炭酸水を噴射する事で、その炭酸水を刃の代わりとして使用するのが、彼女流の剣術だ。

刃は水であり、決まった形を持たない。それゆえにホースの動かし方ひとつで自在にしならせる事ができる。そしてその威力も中々で、刃を叩きつければ地面が割れる程度のパワーは、生み出されている様だ。
うん、コレ剣じゃなくて鞭か鈍器だな。
少なくとも劇中で、何かを「切断する」描写はない。ってか、1発も攻撃当てられなかったしね。


鞭の様にしなる剣と言えば、空島の神官オームが使っていた『鉄雲』の刀を思い出すが、あちらがあくまでも「斬撃」を主体とした攻撃を繰り出していたのに対し、こちらは「破壊」を目的とした兵器であるという印象。
対象を「斬る」というより、炭酸ガスの力を借りて発射される水の水圧で、「殴りつける」様なイメージかな。


確かに当たれば強力だが、そもそもがこの炭酸流水剣、その独特な構造による奇襲性こそが持ち味だと思われる。
「炭酸水の刀身から繰り出される変幻自在の剣」などそうお目にかかれるモノじゃないし、1発目の攻撃の時点で軌道を見切り、回避するのは難しいかもしれない。
逆に言えば、対ハンコックに際してはその「1発目」を華麗に回避されてしまった時点で、ガラナの戦況不利は決定的なものになっていたと言える。


後はまあ……ジンジャーがやられた事で、若干勝負を焦った感もあったかな。
本来の彼女の戦術は、ジェットパックを用いた機動力により「能力者の攻撃を喰らわず」、炭酸流水剣の性質を駆使し「中距離からの奇襲攻撃を繰り出す」ことにある。

にも関わらず、最後には一般的な剣の長さと同程度の水しか出さず、ハンコックの攻撃範囲に無闇に飛び込む形となってしまった。
これではせっかくのリーチが活きず、流水剣の強みも台無しだ。肉体そのものの強さでは常人の域を出ないガラナでは、「技の出の速さ」という点でハンコックに勝つ事はできない。

味方の敗北に勝負を焦り、本来自分が得意とする間合いを放棄し、短期決戦にシフトしてしまった。その判断ミスこそが、ガラナの敗因の1つだったのだ。


……まあ、間合いをキープしてたところで勝てはしないと思うけど。



■石化された炭酸兵

空中で石化した人たち、落下の衝撃で割れちゃってないか……? 
大丈夫か? 実際マリンフォードで『芳香脚』を喰らった人たち、蹴られた部分ボロボロと崩れてたもんな……。
石化が解除された時、その辺りに肉片が飛び散った状態になるんだろうなと考えると大層グロいです。


そんなスプラッタな想像はさておき、ハンコックによって石化させられた炭酸兵達は、事件の解決後もとに戻された。
理由は「脅されて兵隊にさせられていただけの、ただの島民達」だったからなのだが……ハンコックさん、よくわざわざ解除してあげたな。

ルフィ以外の男などゴミ同然ぐらいに思っている彼女なので、普通にそのまま放置して帰っても不思議はない。多分、ルフィが何か言ったんだろう。ルフィがひとつ頼めば、秒で従うハズだこの海賊女帝様は。

ハンコックだけでもシードル・ギルドを壊滅させる事はできただろうが、島民達はこの場にルフィがいた事を感謝した方が良いと思う。



■ルフィ、招待状入手

これは……ルフィが海賊万博に参加できたの、偶然だったって事で良いんだろうか。
いやでも、シードルはあくまでも『特別ゲスト』枠だった(そもそも海賊ですらない)ワケだし、一般参加の海賊達は別に招待状ナシでも参加できるのか。


フェスタ的にも、ルフィは必ず万博に参加して欲しい人材だろうし、シードルに出会おうが出会うまいが招待状を送る予定があったのかもしれない。
ネタバレって程でもない事だとは思うが、スタンピード冒頭で一味が読んでいた招待状には、紙っぺら1枚だけではなく何か他にも封入されていた気がする。(細かくは忘れた)

そう考えると、「ルフィはシードル宛の招待状を手に入れたが、それとは別にフェスタから直接送られて来た招待状も受け取っている」と考えるのが、一番自然かも。



【登場した技】 

・ゴムゴムの銃

使用者:ルフィ

シードルとの戦闘時に登場。
しかし、炭酸の力を利用したジェットパックで空を飛ぶ事で回避されてしまった。


虜の矢スレイブアロー
使用者:ハンコック

ガラナとの戦闘時に登場。
炭酸水による攻撃を回避すると同時に使用。ガラナには回避されたものの、空を飛ぶ炭酸兵達を一斉に石化させた。


・ゴムゴムの銃乱打
使用者:ルフィ

シードルとの戦闘時に登場したが、『ゴムゴムの銃』同様、炭酸兵器の機動力の前に回避された。


・ゴムゴムの鞭
使用者:ルフィ

シードルとの戦闘時に登場したが、こちらも回避されている。


・銃キス
使用者:ハンコック

ガラナとの戦闘時に使用したが、炭酸の剣によって弾かれた。


・炭酸流水剣
使用者:ガラナ

ガラナが操る炭酸兵器。
背中に背負ったタルから伸ばしたホースより噴射される炭酸水を、鞭のようにしなる剣として操る。
ハンコックとの戦闘時に使用し、攻撃と『銃キス』に対する防御双方の役割として使用された。


・ゴムゴムのロケット
使用者:ルフィ

撤退したシードルを追う際に登場。
時間稼ぎに残ったジンジャー、ガラナを無視し、工場の壁を破り突撃していった。


芳香脚パフューム・フェムル
使用者:ハンコック

ジンジャー、ガラナとの戦闘時に登場。
ジンジャーが放つ炭酸ガスの砲撃を跳躍によって回避し、空中からの蹴りを顔面に叩き込み、その身体を石化させた。


・ギア2
使用者:ルフィ

『最強装備』を着込んだシードルとの戦闘時に登場。


・ゴムゴムのJET銃乱打
使用者:ルフィ

『最強装備』を着込んだシードルとの戦闘時に登場。
しかし装備によって圧倒的な機動力を得たシードルには通じず、全て回避された。


・ギア3
使用者:ルフィ

シードルとの最終決戦にて登場。


・ゴムゴムの象銃
使用者:ルフィ

シードルとの最終決戦にて登場。
『ギア3』と覇気を併用した一撃により、シードルを撃破した。



【声の出演】
ルフィ・・・・・・田中真弓
ナミ・・・・・・・岡村明美
ゾロ・・・・・・・中井和哉
ウソップ・・・・・山口勝平
サンジ・・・・・・平田広明
チョッパー・・・・大谷育江
ロビン・・・・・・山口由里子
フランキー・・・・矢尾一樹
ブルック・・・・・チョー

シードル・・・・・田村真
ジンジャー・・・・宮澤正
ガラナ・・・・・・佐藤聡美
ハンコック・・・・三石琴乃
ソニア・・・・・・斎藤千和
マリー・・・・・・斉藤貴美子
ニョン婆・・・・・真山亜子

バレット・・・・・礒部勉
フェスタ・・・・・ユースケ・サンタマリア

炭酸兵・・・・・・大西弘祐 田邊幸輔
         清水健佑