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アニメ版 ONE PIECE
第894話
「必ず来る ワノ国のエース伝説」 
放送日時:2019年 7月 21日


【原作の対応話数】
91巻 第911話 12P~19P、
第912話 3P~7P


もくじ
あらすじ
原作からの変更点
感想・妄想
登場した技
声の出演



【あらすじ】
お玉を救ったお礼として、一飯の恩に預かる事となったルフィ。彼のために白米を用意してくれたお玉だが、自分は何も口にする事無く、お手洗いと称してどこかへ姿を消してしまった。
すると食事を終えたルフィの元に、天狗の様な面を被った妙な男が現れる。天狗山飛徹と名乗った男は、ルフィが米を食べた事を知ると激怒。お玉が用意した米は、日々の食事さえままならない生活の中、飛徹がお玉の誕生日にと買いに行かせた御馳走だったのだ。

戻って来たお玉は、ルフィを睨み付ける飛徹に事の経緯を説明。だがその際中、彼女は突然えずき始め、その場に倒れてしまう。お玉は空腹を紛らわすため、工場排水によって汚染された川の水を飲んでしまっていた。
飲み水さえ満足に得られない村に、お玉が残り続けるのには理由があった。彼女は4年前に村を訪れ、親しくなった海賊――エースが再び訪れるのを、待っていたのだ。



【原作からの追加点・変更点】
※セリフの変更点は細かい差異が多いため、気になった箇所のみ紹介


「何でアニキなんだよ」と問うルフィに対し、お玉が「アニキはあっしの命の恩人だからアニキでやんす」と答えるシーン追加。

・お玉がギフターズに追われていた理由を語る際、その回想の映像が追加。

・お玉が手懐けた狒々に対し、『ひひ丸』と命名するシーン追加。(原作ではテロップで名前が表示されるだけだった。)

・お玉の「おら将来ようえんなくの一になるでやんす」というセリフの際、お玉がくの一のポーズを取って見せる描写追加。
その際、ルフィは「ようえん」という言葉に首を傾げている。

・お玉がルフィのための食事を用意する過程が加筆。

・お玉の「くのいちは身軽でなきゃなれませんから」というセリフの際、お玉が手裏剣投げのマネをする描写追加。

・ルフィの「おかわりは冗談だ」という一連のセリフの内、「お腹いっぱいになった!! ありがとう」という部分が削除。

・飛徹が家へと戻ってくる際の描写追加。
木を蹴りながら空中を進んでおり、道中で家から走り出していくお玉の姿を目撃している。

・ルフィが米を食ったと知った際、飛徹が全身に青黒いオーラを漂わせる演出追加。

・お玉が倒れた際、飛徹によって家の下に叩き落されていたルフィが這い上がって来る描写追加。

・川の水が毒の様に汚染されている事を知ったルフィの、「だったら何でこんな場所に住んでんだ!」という飛徹へのセリフ追加。

・ルフィからエースの名を聞いた際、原作では苦しそうなだけだったお玉の表情に、若干の笑みが加わる様に変更。

・エースが死んだ事をお玉に告げた際、頂上戦争でのエース死亡時のシーンが挿入される演出追加。

・お玉が気を失った後、ルフィが飛徹に「エースはもういねェ! たまを連れてもっとマシな土地へ行けよ!」と言うシーン追加。
それに対し、飛徹は「そうしたいのはやまやまだが……」と、自身もここで人を待っている事を述べている。

・飛徹が編笠村について語るシーンで、ドレークが村の用心棒5人を打ち破り、恐竜の姿となって村を破壊するイメージ映像が追加。

・飛徹が語るエースの編笠村到来の時期が、「4年近く前」から「4年前」に変更。
また編笠村について、「元々貧しかった」との説明追加。

・4年前の回想シーンにて、お玉が笠と鎌が供えられた簡素な墓を拝んでいる描写追加。

・エースが自身を拘束する縄を解く際、身体から炎を出し縄を焼き切る描写が追加。

・拘束を解いたエースが、お玉に「しっかり食べたか?」と笑いかける描写追加。

・デザートが手に入る場所を聞いたエースが、村人達のために自らデザートを採りに行くシーン追加。

・お玉とエースが共に笠を編んだり、団子を食べたり、星を眺めたりするカット追加。

・ホーキンスが九里ヶ浜へと向かうシーンのタイミングが、エースに関する話の後に変更。
またホーキンスと部下の会話が、部下を引き連れ九里ヶ浜へと向かっている最中のものとなった。

「どうします真打ち」というホーキンスの部下のセリフが、2年前からホーキンス海賊団にいた弁髪の男のものとなっている。



【感想・妄想】

■ひひ丸

お玉のきびだんごによって家来となった狒々だが、その名前は『ひひ丸』に決定。
玉の気まぐれで名付けられた名前だが、見事にド直球だ。まあ8歳児のネーミングなので、妥当なところ……というか、麦わらの一味に任せるとよりヒドい事になるので、ONEPIECE界においてはむしろマシな部類だと言える。
スルメくんとハサミくんとマツゲくんは泣いて良い。


しかしそーいやひひ丸くん、家来にしたのは良いけど、その後全然出番がないですね。
ちょくちょく姿が描かれてはいるものの、狛ちよと違って全然役割を持たせて貰えないというか。いや、狛ちよの方も2幕に入ってから全然出番ないんだけど。

ワノ国編におけるヒロイン役は、一応お玉になる……と思われるので、彼女にピンチが訪れる事があれば活躍してくれるかな。
本来、その役割はルフィなのではって気もするけど、他にこのコたちが貰える役割って無さそうだしなぁ。乗り物要因としての働きを除くと。



■失われた食糧

サニー号を安全な島影に隠すルフィだが、その際食糧庫を漁ったところ、あるハズの食糧が無くなってしまっていたと。
渦に呑まれた際、アニメではサニー号の積み荷が海に沈んでいく様子が描かれていたので、この時一緒に流されてしまったんだろう。


単行本46巻に載っているサニー号の図解を見ると、食糧庫は船の2階、マストの奥にある扉を開けてすぐのところに配置されている。
意外と剥き出しの場所にあるらしく、扉が開いた状態で転覆してしまえば、中の食糧は簡単に外へ飛び出してしまうって事ね。


他に失われてしまうと替えが利かなくなる積み荷と言えば、サニー号の修繕用に使う宝樹アダムの素材、ナミがこれまで記録して来た海図、トットランドで奪って来たポーネグリフの写しなんかが浮かぶ。

が、補強素材置き場は船の地下に設けられているし、船尾にある測量室は、3階の扉を開けてハシゴを降りた先に存在しているらしい。
これなら、船が沈んだ際に中の積み荷が飛び出したりしてしまう確立は低そう。大事な積み荷がダメになってしまわない様、意外と考えられた設計になってるのね。

ポーネグリフの写しがどこに保管されていたのかが分からないが、まあたぶん図書館(測量室と合同)辺りに置かれてそうなので、心配もないだろう。


そしてどうでもいいけど、「ルフィが1人で船の停泊作業できるの、ちょっと意外だなぁ」と思ってしまったコトを白状しておきます。



■玉が炊いた米

すげぇ量だな米。
まあ普通に考えたら、玉と飛徹の2人分の米を買って来たんだろうし、このぐらいの量にもなるか。

ルフィの胃袋の容量なんて玉は知らないワケだし、普通に自分の分とルフィの分で2杯よそっても良さそうなモンなのに、全部ルフィにあげちゃう辺り真っすぐというかなんというか。
武士を志す身として恩義にはしっかりと報いたかったのと、飛徹に黙って自分が米を食べる罪悪感でもあったんでしょか。自分の誕生日なんだし、気にしなくても良いのにね。正直な良い子だ。



■ぶんぶく茶釜

amarec (20190909-051421)
(TVアニメONE PIECE 第894話より)

玉の住まう家の中に、何か居やがる珍妙なタヌキですが、こいつはこういうデザインの置き物……ではなく、『イヌイヌの実 モデル:たぬき』を食べたぶんぶく君なる茶釜なんだとか。(93巻SBSより)


ワノ国のいち家庭に、モノに悪魔の実を食べさせる技術があるたぁ驚きですが、コイツの存在も、飛徹の正体に関わって来たりするんですかね。
ラッスー、ファンクフリード、スマイリーなど、今まで登場した「悪魔の実を食べた物体」は全員世界政府の関係者(王下七武海を含む)だったイメージだけど。

つっても、ラッスーの飼い主であるMr.4は「世界政府の関係者」かと言われれば微妙なライン(バロックワークスは別に「七武海としてのクロコダイル」の傘下勢力ではないなんで、技術自体はある程度世に広まっていて政府関係者でなくとも扱えるのかもしれないけど。


……ちなみに、このぶんぶく君が乗っかっている茶っこい敷物は、座布団の類ではなくタヌキご自身のフグリだそうで。
原作者様は爆笑していらっしゃった。天才の笑いには、時折ついていけなくなるコトがあるものです。

それは良いのだけれど、アニメで改めて見るとこのお袋様、完全にタヌキの股から離れちゃってますね。
着脱可能なの? 俺が知らないだけで、タヌキってそういう構造なの? 急いでマーガレット呼んで来た方がいい?



■天狗山飛徹

amarec (20190909-053557)
(TVアニメONE PIECE 第894話より)

めっちゃドス黒いオーラ纏ってる。
お前は立海大付属中テニス部の副部長か。


ワノ国編アニメでオーラと言えば、ゾロが刀を抜いた時に刀身に纏うアレという印象が強かった。
武装色の覇気を纏った刀が黒く変色するのは原作からの事だが、フルカラーのアニメになると若干地味で分かりにくい面もあった。そのため、その変化を映像に向いた形で反映させる事を目的とした演出……なのかと思っていたのだが、どうもそれだけじゃないっぽいな。

少なくとも2019年9月9日現在、この砂ワニ声のこけしマニア殿が覇気の使い手であるという描写は、原作の方にもない。なのでコレは「覇気を纏っている」事を表すオーラではなく、「飛徹のルフィに対する怒り」を表現した演出であると思われる。


……のだが、ゾロが纏うものとイマイチ差別化されていないため、若干分かりにくい。
というか、ゾロが纏っていたアレも、自分を含む一部視聴者が勝手に勘違いしていただけで、別に武装色でも何でも無かった可能性が浮上してきたぞ。

ワノ国編はスタッフ変更の影響もあってか、以前に比べ全体的に演出重視の雰囲気が漂っている。そのため、これらのオーラの様な表現も、画面的な映りをよくするための演出であり、別段意味が有ってつけているモノではないのかもしれない。

後の話数では、決して強キャラポジションとは言えないバットマンが放つ矢にさえオーラ表現が使われていたので、これはもう『ドラゴンボール超 ブロリー』を経験した監督さんが、「戦闘時にはとりあえずオーラを纏わせておけ」という手癖そのままに多用しているだけな気がして来た。
ワノ国編アニメにおいては、多少過剰な演出が使われている部分を、あまり真に受けない様にする見方が必要なのかもしれない。



■エースのワノ国上陸は4年前

アニメ的には次回分の話になるが、エースのワノ国上陸時、お玉の年齢は「5歳」だったと言う。
そしてルフィと玉が出会った日は、彼女の誕生日であり、この日お玉は「8歳」になっている。
つまりお玉とエースの出会いは「3年前」……と見せかけて、飛徹曰く、エースがここを訪れたのは「4年前」だと言う。


お玉の年齢がおかしい。
これは原作からしてそうだったもので、原作では「4年近く前」と言われていたエース到来がアニメでは「4年前」と言い切られた事で、その違和感は更に増幅する結果となった。

「4年近く前」と言われれば、エース到来を「3年半前」と見て、玉の年齢は4歳と半年。それならまあ、四捨五入すれば5歳とも言えるし、子供じゃないとアピールしたがる玉の顔を立てて「5歳」と数えてあげた……などの見方もできる。
しかしアニメ版で、あえてセリフを変更してまで「4年前」と断定して来た辺り、これはもう誤差などではなく意図的な齟齬にしか見えなくなって来た。


多少無茶な理屈を展開すれば、お玉の年齢の齟齬には説明がつく。
お玉が、1年分の時間をスッ飛ばして現代に居る場合だ。

アニメ派の層にはなんやそれはと思われそうな話だし、重要なネタバレを含むのでここから先は自衛して貰いたいが、ONEPIECEの世界ではそれが可能である事は原作読者にはお馴染みのハズ。
要は、時を越えられる能力者が近場にいればいいワケだ。


トキ様は20年前にご臨終なされているという話だが、彼女がああいう能力を持っている以上、遺体が確認されるまでは生存の可能性もゼロではない。
まあ別に、死んでいても問題はない。彼女の死後、あの悪魔の実はどこかで再生するのだから、それを再び食べた能力者がワノ国に現れていればいいだけだ。


1年以上前……つまりエース到来から2年半ほどが経った頃(この時お玉は7歳と半年前後)、編笠村にはX・ドレークの脅威が襲い掛かった。
村の惨状を見るに、用心棒だけでなく、ここに住んでいた人々も全滅に近い状態だったんだろう。

にも関わらず、お玉と飛徹はこうして生き延び、今も編笠村に留まっている。
マトモな暮らしが出来ない状態となった今でも、お互いの待ち人のために村を離れずにいるのだから、ドレーク襲撃時もここに居たんだろう。

2人はドレークの襲撃時、1年後の未来へと渡る事で辛くも生き延びたのだ。
それを可能にした能力者は飛徹でも良いし、2人に何らかの縁があった誰か(傳ジロー、小紫、丑三つ小僧etc.)でもなんでもいい。
1年分の時を渡れば、玉の年齢が「7歳と数か月」の状態で、今から数か月前のタイミングに飛ぶことができる。


これなら、玉の年齢に関する齟齬は解決される。
「年齢操作」の能力者はすでにジュエリー・ボニーが登場してしまっているし、仮に彼女がワノ国と縁があったとして、お玉の年齢を1年分操作する事に意味があるとは思えない。
ならば「時間操作」系の能力……となった時、白羽の矢が当たるのはトキ様の能力になるワケだ。


……しかし、そもそもドレークは何故、編笠村を破壊したんだろう。
いくら傍若無人な振る舞いを続けるオロチやカイドウとはいえ、何の意味も利益もなく村を破壊しに来るとは思えない。

用心棒の侍達がオロチへの反抗勢力であり、見せしめとして村ごと滅ぼされたんだろうか。
それとも、ドレークが本当に討つべき目的だったのは、飛徹や玉だったり……?





【声の出演】
ルフィ・・・・・・田中真弓

エース・・・・・・古川登志夫
お玉・・・・・・・潘めぐみ
飛徹・・・・・・・大友龍三郎
ホーキンス・・・・宗矢樹頼
狛ちよ・・・・・・荒井聡太
ひひ・・・・・・・山田真一

ギフターズ・・・・橋詰知久
ホーキンスの部下・・・深川和征
ナレーション・・・大場真人