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アニメ版 ONE PIECE
第898話
「真打ち! 魔術師ホーキンス登場」 
放送日時:2019年 8月 18日


【原作の対応話数】
91巻 第913話 2P~10P

もくじ
あらすじ
原作からの変更点
感想・妄想
登場した技
声の出演



【あらすじ】
お玉を医者に連れて行こうと荒野を駆けるルフィ達の前に、百獣海賊団“真打ち”、バジル・ホーキンスが立ち塞がる。
侍のマネをして二代鬼徹を構えたルフィは、刀の心得を持たないなりの格闘術を用い、敵を撃破していく。更にゾロは、群衆をかき分けながら放つ飛ぶ斬撃により、いきなり頭目であるホーキンスの首を狙う。斬撃は、確かにホーキンスの身体を斬り裂いた。だがその場に倒れたのはホーキンスではなく、ホーキンスに付けた筈の傷と全く同じ箇所から血を噴き出した、部下の侍だったのだ。

悪魔の実の能力により、身体に部下達の分身である“藁人形”を宿したホーキンス。その身に受けた傷は代わりに部下が受け、ホーキンス自身には通らないという、まさに不死身の能力者であった。
自身と同格の存在である『最悪の世代』2人を相手に、真正面からの戦いを避けたホーキンスは、『藁人形ズカード』を用いたゲームにより、ルフィ達を追い詰めようとする。

お玉の病状が悪化した事で、狛ちよはルフィとゾロを無理やりに戦場から連れ出し、町へと急いだ。そんな彼らの背後に、巨大な影が迫り寄る。その正体は、『藁人形ズカード』により「追撃」の能力を得た、ホーキンスが生み出した藁の怪物であった。



【原作からの追加点・変更点】
※セリフの変更点は細かい差異が多いため、気になった箇所のみ紹介


・ホーキンスが空中に配置したカードに、青色のオーラが付与される様に変更。部下達の戦況に合わせ、その色が若干変わる演出も加えられている。

・ルフィの「名刀でござるだろ?」というセリフが、「名刀でござるござるだろ?」に変更。

・二代鬼徹を見せる様に頼むゾロに、ルフィが「刀は侍の魂でござる!」と拒否する掛け合い追加。

・ルフィとゾロの、ホーキンスの部下達との戦闘シーンが加筆。
ゾロが多数の敵を一瞬で斬り伏せたり、ルフィが二代鬼徹による鍔迫り合いを見せたりしている。

・原作では結局二代鬼徹を用いた攻撃をまったくしなかったルフィだが、アニメでは鬼徹を振り回し敵5名の刀を瞬時に両断したり、敵を1人斬り倒したりした。
ただしその扱いは不格好なものであり、ゾロにも「お前やっぱり使えてねェぞ」と言われている。

・狛ちよの背で毒に苦しむお玉が、うわ言の様にエースの名を呼んだり、彼との約束を口にする描写追加。

・ホーキンスの部下の巨大な木槌を使う侍が、木槌を地面に叩き付ける事で地割れを起こすシーン追加。
ルフィはその地割れに呑まれかけるが、手足を伸ばす事で穴底から這いあがっている。またこの地割れによってホーキンス側の部下も何人か巻き込まれてしまった。

・ゾロと弁髪の男(シャボンディ諸島編からホーキンス海賊団にいた人物)の戦闘シーン追加。
自身の弁髪を縄の様に使い、ゾロの左腕を絡め取る戦い方をした。
しかし途中でその髪をゾロに切断された上、勢い余って上記の地割れに自ら落下してしまっている。

・ルフィが『ゴムゴムの戦斧』によって、木槌使いの男を撃破するシーン追加。

・ルフィ達に歯が立たないと感じた部下達が、ホーキンスに助力を請うシーン追加。

・『ゴムゴムの銃』を3連発で繰り出す描写が追加され、ホーキンスの部下3人を連続で撃破した。

・ホーキンスに攻撃を仕掛ける直前、ゾロが咥えていた爪楊枝を吐き捨てる描写追加。

・『藁人形ズカード』の使用時、ホーキンスが手元のカードを一斉に空中に浮かべる描写追加。

・藁備手刀から藁人形の化物を生み出すシーンが加筆され、変形の過程が詳細に描かれた。
またルフィの「うお!! 何か出てきた!!」というセリフ削除。

・ホーキンスが「愚か者」逆位置のカードを引いた際、部下達が怯える描写追加。
またカード効果の発生時、カードの形をした残像の様なものが部下達に向かって飛んで行く描写追加。

・仲間割れの効果が発生した際の、ルフィの「何やってんだ!? あいつら」というセリフが削除され、ホーキンス達を睨み付けるのみになっている。

・「法王」の効果が発揮される前、トカゲに乗って迫って来る追手を、ルフィとゾロが跳ね除けるシーン追加。



【感想・妄想】

■タロットカード

ホーキンスが能力の使用時に使う、あのタロットカードなんですが、浮いてますね。文字通り。
プカプカ浮かんでるワケでもなく、空中に張り付いてる感じで。


アニメになっても相変わらず原理はサッパリながら、ただ浮いてるだけだった原作に比べ、カードの周りに青っぽいオーラが描かれる様に。
まあこれも、能力の一環なんでしょう。引いたカードの効果を実現する能力も持っているし、タロット自体がただのカードではなく、能力によって出されたものなのかな?


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(ONE PIECE 52巻 第508話より)

2年前のシャボンディ諸島編でもこのカードは登場しているが、この時はただ空中に浮いているのではなく、この様に藁の様なもので固定する方式を取っていた。
これを空中にそのまま配置できるようになった事がホーキンスの成長なのか。他にもっと伸ばすべきところがあったんじゃないのか。


いやもしかしたら、この『藁人形ズカード』を用いた戦い方を会得したのが、新世界に入ってからの事だったのかもしれない。
2年前時点でホーキンスが見せた能力は、ダメージを肩代わりさせる『藁人形』と、自身を藁の怪物へと変貌させる『降魔の相』の2つ。カードを用いた行動は、あくまでも一般的なタロットの使い方と相違ない、「占い」の範囲を超えるものではなかった。

ルフィがギア4を会得して来たように、ホーキンスもまた、新世界で生き残るためにワラワラの能力を鍛え上げて来た。
その結果として習得したのが、『藁人形ズカード』。タロットや藁人形を操り、運勢次第で両陣営に影響を与える、非常にピーキーな能力だったのだ。

それに伴い、タロット自体にも能力の影響を及ぼし、空中に配置するなど物理法則を無視した操作を行う事が可能となったのかもしれない。



■二代鬼徹

原作では結局マトモに使って貰えなかった名刀だが、アニメではその活躍の機会が増加。っていうか、敵の刀ごとスパスパ行っちゃってるよ。
剣術を扱えないルフィの適当な一振りで、敵の刀が5本まとめて一刀両断。怖すぎる。

ゾロに言わせればコレでもロクに扱えていない状態らしいですけど、十分すぎる破壊力である。結局は格闘術重視のスタイルで戦っていた事に変わりはないけど、斬撃で敵を討ち取る描写も追加されているし。


これも妖刀が持つ魔力なんだろうか。
思えばゾロがローグタウンで手に入れた三代鬼徹は、そのコントロールに慣れるまで「主人が斬ろうとしていない時にまで斬ってしまう」という問題児で、ウィスキーピークでは石オノを真っ二つに斬ってしまい、使用者のゾロさえも驚かせた程だった。

不慣れな者が扱えば、使い手の意志に関係なく触れるもの皆斬ってしまう。
それこそが『鬼徹』の名を冠する妖刀達の特徴なのだとすれば、剣術の心得などロクに持っていないルフィが使っても、これだけの斬れ味を発揮してしまったのにも納得がいく。


要は妖刀の呪いにさえ耐えられる者ならば、誰が使っても一定水準の破壊力は繰り出せてしまうのだ。というより、当人の剣術の腕が大した事なくても、刀の方が勝手に獲物を求め、叩き斬ってしまうんだろう。

本来の名刀の在り方とはかけ離れた暴れ馬っぷりだが、それだけ刀剣としての力には優れているという事でもある。
だが勿論、刀に振り回されて望まない物まで断ち斬ってしまう様な事態がずっと続けば、使い手の方だってタダでは済まない。鬼徹の持つ力を最大限に発揮させるには、やはりゾロの様に妖刀のパワーをきちんと制御し、自身の望む物だけを斬れる様に従える、それだけの剣豪としての力量が必須なのだ。



■弁髪マン

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(TVアニメONE PIECE 第898話より)

百獣海賊団の真打ちとなったホーキンスの傍につく、この弁髪の男。
彼は2年前のシャボンディ諸島編時点からホーキンス海賊団にいた人物と、同一人物であると思われる。

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(ONE PIECE 51巻 第498話より)

似た様なローブを着込んだメンバーの多いホーキンス海賊団の中で、彼は私服かつ随分と個性的なヘアスタイルをしており、恐らく一味の中でもその立場は上の方……なのだと思われたのだが、あんま強くないなぶっちゃけ。

今回のアニメ版にて戦闘シーンが描かれた彼だが、その戦い方は自分の長い弁髪を投げ縄の様に使い、相手の動きを封じるというもの。
うーむ、生命帰還で髪を自在に操れるワケでもない以上、クマドリの『髪縛り』の劣化互換だな。


しかも敵の動きを封じてからの戦闘プランがまったく見えず、せっかく携えている2本の刀も使わず仕舞いだった為、「動きを封じられたから何なの?」感がエグい。
ゾロの腕を絡め取った後、何やら必死で自分の方に手繰り寄せようとしていたが、徒手のまま剣士の間合いにわざわざ踏み込んで何がしたいのかね。

結局、必死で引っ張っている最中に髪をスパンと斬られ、哀れそのまま地割れ(しかも味方が引き起こしたもの)の中に落下してしまいましたとさ。


うーん、名もないモブとはいえ、原作中に何度か登場し印象も薄くないキャラだったので、この扱いはハッキリ言って残念かも。
ホーキンスにはあまり目立った部下が登場しておらず、彼を除くと猫のミンク族で魔術を使えるとされるファウストぐらいしかいない。

弁髪の彼はよくホーキンスの傍にいたので、側近のようなイメージも持っていたのだが……もしかしなくてもホーキンス海賊団、人員の層だいぶ薄いか?
戦い方こそ無茶かつ味方を巻き込みまくるポカをしでかしたものの、木槌の一振りで地割れを起こすという中々のパワーを見せた男もいたが、彼は服装的にワノ国側の侍っぽいしな…。


ま、まあファイアタンク海賊団とかも、結局ヴィトやゴッティがどの程度の強さを持つのかはハッキリしてないし……ルフィやゾロという相手が悪すぎただけで、普通の海賊相手ならそこそこやれるんだろう、たぶん。



藁人形ストローマン

ホーキンスが身体に宿す、部下達の分身……なのだが、アニメで演出が強化されたバージョンで見ると、中々に気味悪いっすねコレ。
身体から這い出てくる時も不気味だし、藁備手刀が変異した巨大な怪物みたいなのなんか、演出の尺の取り方が凄まじい。身も蓋もないコト言えば大胆な尺稼ぎなんだろうけど、まあコレはコレで。


ってか改めて見ると、もうこれ悪魔の実の能力って感じはあまりしないな。
どっちかと言うとスタンド能力だね。ダイフクのホヤホヤの実に次ぐ、召喚系の能力と考えた方が良いかもしれない。
元は刀を藁化して変異させたものなのだが、藁の化物への変身が終わった後は刀の柄から独立し、自在に動けるようになってるみたいだし。

地味にあの「キョキョキョキョ」いう声の主が、粗忽屋東品川店ことウソップだという事に驚き。



【登場した技】 
ゴムゴムの銃
使用者:ルフィ

ホーキンスの部下に対し、二代鬼徹を構えた状態で使用。
「キるでござるぞ!!」と言いながら放たれたが、刀とは無関係な殴打を繰り出しただけだった。
更にアニメ版ではもう1度使用され、3連発で放つ拳によりホーキンスの部下3人を連続で撃破した。


ゴムゴムの戦斧
使用者:ルフィ
※アニメオリジナルシーン

ホーキンスの部下である、巨大な木槌を使う男との戦いで使用。
足を大きく伸ばして振りかぶるカカト落としにより、木槌使いにトドメを刺した。


藁備手刀ワラビデとう
使用者:ホーキンス

刀身を藁状に変化させた刀を伸ばし、対象を貫く技。
元は普通の刀を、“ワラワラの実”の能力によって藁状にしたものだと思われる。
劇中では、ルフィが放り投げて来たトカゲの様な動物の背を貫いた。


藁人形ストローマン
使用者:ホーキンス

“ワラワラの実”の能力の1つ。
他者の分身を藁人形として身体に宿す事で、自分へのダメージをその人物に肩代わりさせるというもの。
劇中ではゾロから放たれた飛ぶ斬撃によるダメージを、部下の侍に代わりに受けさせた。また仲間割れのカードによって部下同士が斬りあった時も、倒れた部下の分の藁人形が身体から抜け落ちている。


藁人形ストローマンズカード
使用者:ホーキンス

“ワラワラの実”の能力の1つ。
手元のタロットカードをランダムに1枚に引き、その内容によって特殊な効果を発生させるものであり、その効果は必ずしも自分にプラスなものであるとは限らない。
また能力の発動時、『藁備手刀』の刀身が巨大な藁の化物へと変貌し、カードの内容によってはその藁人形が攻撃を繰り出す。

ルフィ、ゾロとの戦闘時にホーキンスが使用。
最初は「愚か者」のカードを逆位置で引き、「仲間割れ」の効果を生み自分の味方同士で殺し合いを始めさせてしまった。
その後、狛ちよに連れられて逃げようとするルフィやゾロに対し、「法王」の逆位置による「追撃」のカードを引き、藁人形による追撃を仕掛けている。



【声の出演】
ルフィ・・・・・・田中真弓
ゾロ・・・・・・・中井和哉

お玉・・・・・・・潘めぐみ
狛ちよ・・・・・・荒井聡太
ホーキンス・・・・宗矢樹頼
ストローマン・・・粗忽屋東品川店(山口勝平)

部下・・・・・・・山田真一 坂井易直
         大西弘祐 寺崎千波也
         兼政郁人 田邊幸輔
ナレーション・・・大場真人