週刊少年ジャンプ2019年47号分の感想です。
ネタバレを含むので、自分で買ってから読んでください。 


★もくじ
決戦2日前
オロチの策謀
おでんの侍達
 



決戦2日前

今週は細かい見所がいっぱいあったので、箇条書きで羅列。


■鎧カブト

飛徹が用意したらしい鎧や兜のたぐいを装備し、喜ぶルフィ達。
このテの男子心をくすぐる装備を目にすると、ルフィくんいつも「ウソップに見せてェ」って言うのよね。一味の中でも、こういうロマン(?)の面では一番の理解者であり、親友の様なポジションなんだろう。

ロビンには「昆虫みたい」と言われるなど、案の定ONEPIECE世界の男子のロマンは、女子には理解されない……と見せかけて、キャロットには大いにウケたっぽい。
たぶんだけど、もしこの場にビビがいたら、割と良い反応をするんじゃないかな。ナミやロビンは完全に女性寄りの感性(=ロボや装備に興味を示さない)だけど、ビビやキャロットはどちらかと言えば、男子寄りの感性を持ってるイメージがある。ルフィと意見が合う感じ。


ところでこの鎧兜、なんかどっかで見た事があるな……と思ってチェックしてみたところ、海賊無双シリーズのDLC衣装として登場したものと概ね同じデザインだった。


ワンピース 海賊無双3_20191023092405

ワンピース 海賊無双3_20191023092514
(「ワンピース 海賊無双3」より)

兜はオプションボタン(PS4版準拠)で着脱可能。


……と、自分が連想したのは無双の衣装だったんだが、調べたところこの衣装には元ネタもある様で、第310話(33巻)にて使用された巻頭カラーのイラストを元にしたものらしい。
(カラー版は「COLOR WALK4」の24ページに掲載)

刀の柄のデザインが簡略化されてたり、一味のマークが描かれていなかったりと微細な変更点はあるが、まあ大体同じデザインかな。
ワノ国編は相当前から温められていたエピソードらしいので、巻数にして60巻以上も昔の段階から出したかった恰好なのかもしれない。


個人的には「防御性能を重視した重装備」が好きなのだけれど、このルフィの装備は右腕が剥き出しになっている(=攻撃を直に受けてしまいやすくなる)デザインなので、そこまで好みというワケではない。

が、よく見たらその隣のブルックがめちゃくちゃカッコいいでやんの。
着込みもバッチリだし、何より「ガイコツ+重装備」という組み合わせが中々に好みなんだなぁと再確認した。Tボーン大佐とかも好きだし。

まあ、いざ戦うとなったら持ち味であるスピードを邪魔する要因にしかなりそうもないのが珠にキズだけどね。



■ゾロVSサンジ

相変わらずケンカの沸点が低い。

ワノ国編は割と途中経過がすっ飛ばされる傾向にあるが、ルフィとサンジの新たな手配額など、最低限の情報は共有されてるみたいね。

そしてゾロと閻魔のせいで、ワノ国の面積がどんどんと減っていく。
決戦2日前ってことで、閻魔の扱いにもそこそこ慣れてる頃だと思うし……わざとだな、たぶん。



■鬼ヶ島の天候

ワノ国は元々、土地ごとに季節の差が如実に現れる国となっているが、そのワノ国と海底で繋がる鬼ヶ島に関しては、入り口だけが冬島の気候らしい。
ドレスローザ編の終盤で、ドフラミンゴの陥落をカイドウに知らせにきたドレーク達は雪空の下にいたが、アレも入り口付近のことだったのかな。


そしてイヌアラシ三銃士のうち、シシリアン以外の両名(コンスロット、ジョバンニ)の名前も本編初登場。
VIVRE CARDにて判明はしていたけれど、本編ではまだだったからね。

「当日は満月の周期だが 月が隠れては意味がない」

スーロン化という奥義を抱えるミンク族にとって、天気は戦況を左右する大問題だが、これはなんだかフラグじみて見える。

満月の夜(=火祭り)のうちに決戦に持ち込めたとして、相手には天候を従える女ことリンリンがいる。
リンリンが怒り、ゼウスとプロメテウスが暴れれば空には暗雲がかかるというのは、WCI編において証明済み。これが実行されれば、その時点でスーロン化は完全に封じられてしまう。


……まあ、現時点ではゼウスはナミによって掌握されているワケだが、果たして完全に安心できるのか。
カイドウとの電伝虫でリンリンが言っていた「返してもらわなきゃいけないもの」がゼウスなら、再度奪還される可能性もあるしなぁ。



■ジンベエの安否

こちらも何やらロクでもないフラグが立っている。

流石にジンベエがこのまま死亡退場という事はあり得ないと思うが、ここまで「生きてる」を連呼されると、無事では済んでいないのではないかという雰囲気が強くなってくる。


元々、ジンベエは七武海を経験したほど強く、仲間に入ってしまうと少々パワーバランスを崩してしまうきらいもある。
タイマンを張ればゾロでも勝てるか微妙だろうし、サンジなどもってのほか。(おそばマスク化すれば可能性はあるか?)

ルフィ、ゾロ、サンジという初期から続く三強のポジションを崩してしまう事を考えると、ジンベエはビビと同様、仲間として繋がりはするも旅に同行する事はないという立ち位置になる様な気もする。
リンリン戦で傷を負い、約束を果たしワノ国に辿り着きはするも、航海を続けられる身体ではなくなっている……みたいな。


……まあ、「リンリンは殺したと思っていたが、実は生存していてルフィのピンチに颯爽と登場」みたいな展開の布石とも捉えられるし、そっちの方が前向きかな。
実際、ソウル・ポーカスによって奪われた寿命は搔き集めれば復活することもできるというのはモスカートが証明しているので、そういう展開がやりやすい敵ではあるしね。



■丑三つ小僧

えびす町に再び現れたという丑三つ小僧。
だが今回は、普段とは違い都での盗みは行われず、金だけが置かれていったと言う。


似た様な事件が起きても手口が異なっている、という時は模倣犯の仕業であるというのが鉄則な気もするが、今回はどうなんだろう。

そも、最初に「丑三つ小僧の正体」とされた康イエは、それが虚偽であることを言い残して死んでいった。
結局のところ、「康イエ=丑三つ小僧というのは嘘だった」のか、「嘘という事が嘘だった」のかは微妙なライン。
だが、その死後一発目に現れた丑三つ小僧が、模倣犯っぽい手口……というところから、康イエは本当に丑三つ小僧だったんじゃないかという気がしてくる。
初代丑三つ小僧である康イエの意志を継ぎ、何者かが二代目として似た様な行動を取っていると。


個人的には、その二代目丑三つ小僧……というか、少なくとも今回現れたものに関しては日和の仕業じゃないかなと。
都での盗みを行わずに財を振りまいたという事は、元々少なからぬお金を自分で持っている人物でなくてはならない。
小紫として悪党から金を巻き上げていたエピソードがある以上、それによって得たお金は何らかの用途に使われるハズだし、今回えびす町にバラ撒かれた金の出所はここじゃないかなと。


と言っても、初代丑三つ小僧が康イエの単独犯だった、とするには、彼がゾロと行動を共にしていた時間帯に丑三つ小僧が出現している事に説明がつかなくなるんだが…。
個人的には、丑三つ小僧は複数人が共謀して交代で務めていたものだと思ってるのだけれど。



■お鶴の覚悟

「菊の丞を見た時は驚いたよ…」

気付いてたのかお鶴さん。

これはビックリ。
タイムスリップ直後の菊は普通に男性っぽい装いだったので、昔は露骨な女装をしていなかった為に気付いていなかったものとばかり……。


菊の存在から、錦えもんがワノ国のために裏で動いている事まで推察、そして赤鞘の生存を悟らせないために、あえて気付いていないフリをしていたと。
なんて肝の据わり方。流石は武士の妻というか、驚かされました。


錦えもん曰く、その後おこぼれ町は焼き払われてしまったらしいが、これも傳ジローかドレーク辺りが動いて、何とかなっていると信じたい。




オロチの策謀

オロチ様がカッコよすぎる。
今週の見所はここに尽きると思う。


いやまあ、立ち位置としては完全な悪者だし、本人が勇ましく戦ったワケでもないのでコレを「カッコいい」と認識する感性は少数派なのかもしれないけど…。
個人的には、性格の卑劣さとか見た目のブサイクっぷりとか、そういう汚点を一発で吹っ飛ばせる程の魅力が、今週のオロチ様にはあったと思った。


オロチは元々、狂死郎からは「小心」、宴席に参加した家臣からは「とんだ妄想」、康イエからは「ただの害虫」と、劇中人物からロクでもない評価ばかり下されてきた。
が、その実、家臣の誰もが見向きもしなかった赤鞘九人男の復活を危惧し、警戒を続けていた。赤鞘は実際に復活し、カイドウを討たんと計画を進めて来たのだから、オロチの危機意識はまさに的中といった形になっている。


オロチの小心者ゆえの慎重さは、ほとんどがプラスに働いているのだ。
そしてオロチは、内通者なのか何なのか、ともかく信用に値する情報の入手経路を確保し、錦えもんらが練って来た作戦を的確に潰して行った。
結果として、錦えもんらは協力者であるルフィ達とも、折角搔き集めた4000を超える兵力とも合流できず、戦わずして敗北直前の状況にまで追い込まれてしまっている。


いかにルフィ達が強くとも、戦ってくれない相手には勝つ事はできない。
モリア戦などでもそうだったが、正面から戦いを受けてくれない相手に、ルフィはもっとも弱いのだ。

ならば直接戦闘に持ち込めれば容易く討てるのか、と言えばそうでもない。
オロチには、カイドウという世界屈指の最強戦力がついている。マトモに戦ったとしても、倒す事ができる確率は相当低いのだ。


最強の守神を擁しながら、それに胡坐をかかずに策を弄する。
そんじょそこらのリーダーに出来ることではない。カイドウが味方についているのだから、何もせずとも負けるハズがない、と、油断しきって対応がおざなりになるのが普通だと思う。

その油断が、オロチにはなかった。
戦場で生き残るのは、強者と臆病者……。かつてゴア王国にて、ブルージャムという海賊がそんな事を言っていた。
カイドウという「強者」と、オロチという「臆病者」。
この2者が組んだ事により、「戦わずに勝つ」「戦いになっても勝つ」。そんな鉄壁の布陣が完成してしまったのだ。ルフィ達にとって、紛れもなく史上最強の敵である。



まことに残念ながら、オロチはあくまでも「敵キャラクター」。
そういうポジションである以上、彼の徹底的な分断策には、どこかしらに抜けがあるんだろう。錦えもんらの策か、あるいはルフィ達の奮闘によって、彼の権力は失墜する運命にあると思われる。

しかしそれを念頭に置いても、彼の様に個の武力よりも戦術を駆使し、戦う事すらさせないという強さの持ち主は、個人的にはかなり大好物。
見た目のアレっぷりも、「この見るからに小物臭いデザインから、これだけの手腕を見せてくれるなんて」というギャップにさえ思えて来る。

描写や活躍が増えていくにつれ、どんどん好きになってるキャラクターなのでした。




おでんの侍達

「最期までおでん様の……… “侍”でありたく候!!!」

さてさて、そんなオロチ様の策略により、兵力も渡航手段も一気に失ってしまった赤鞘九人男。
自害に等しい無謀を承知で、おでんに殉じるべく鬼ヶ島への討ち入りを決行しよう……と。


引き留めるモモの助にもロクに取り合わず、「生きていただきたい」と。
しかしまあ、この状況はどう見ても、モモの助の意志はほとんど尊重されていない。生きているモモの助よりも、死んだおでんを選び、命を投げ打とうとしている。
「自分が仕えたのはあくまでも光月おでんであり、光月家に仕えたワケではない」というのはアシュラ童子の言葉だったが、おそらく他の侍達にも、少なからずその想いはあるんだろうと思う。


……と言っても、少なくとも錦えもんに関しては、このやり取りは芝居だと思う。
仮にもキレ者と称された錦えもんが、情報の流出元にまったく意識を向けずにしてやられてしまった、というのはあまりにもマヌケすぎるし、何らかの手は打っていると思いたいところ。

錦えもんは内通者の存在を警戒し、何らかの策を実行した上で、あえて内通者を炙り出すためにひと芝居打っているというのが、個人的な予想。
橋を落としただけではルフィやサンジの様な飛行能力の持ち主は止められないし、彼らとの合流が出来ていない辺り、「あえてオロチの策にかかったフリをしている」のだと思う。


ゾウ編の事を考えると、「内通者など実際にはおらず、敵の能力などによって情報が漏れている」可能性もありそうだが、それだと42号にて、兎丼の制圧が誤報扱いとなった事への説明がつきにくい気がする。
と言っても、今回の赤鞘達の覚悟を見せられると、彼らの中に内通者がいるというのも……なので、やっぱり怪しいのはしのぶかなぁ。日和という可能性も考えたけど、明らかに日和が知らないであろう情報も漏れているので、ちょっと厳しそう。

劇中でサニー号の置き場所を知っていたのはルフィと玉だけだったハズだが、これはまあ……描かれていない場所で、他の仲間に報告していたのを聞かれていただけかな。

オロチ曰く、「20年前からやって来た侍」をまだ確認していないそうなので、少なくとも錦えもん、カン十郎、雷ぞう、菊之丞はシロに見える。
あの用心深いオロチが、直接のコンタクトも取れない相手を内通者として信用するとは思えないし。



そして、いよいよ始まる光月おでんの過去回想。
舞台となるのは「花の都」で、その時間軸は39年前……ではなく41年前
公式ツイッターにて誤植の訂正が入ってました。



41年前と言えば、ゴッドバレーでの決戦が行われる3年前。
モモの助がロジャーと会った事がある以上、おでんのロジャー海賊団入りはおそらく28年前以降……と考えると、10年以上の時を描いた、中々に長期間のエピソードとなりそう。


なんやら民衆にはえらく嫌われてるみたいだけれど、まあ元々「暴力事件を繰り返して都を追われた」人物なので、当たり前か。
コレが現代では、苦しむ民にとっての希望の様な存在になってるんだから面白い。いったい彼がどんな人生を歩んだのか、ロジャーとの旅の中で何を知ったのか。
次回以降が楽しみでございます。