第905話
「お玉奪還! 激闘! ホールデム戦」
放送日時:2019年 10月 6日
【原作の対応話数】
91巻 第917話 6P~17P
もくじ
・あらすじ
・原作からの変更点
・感想・妄想
・登場した技
・声の出演
・あらすじ
・原作からの変更点
・感想・妄想
・登場した技
・声の出演
【あらすじ】
姿を現したホールデムと対峙するルフィ達。しかし彼はお玉を人質に取っており、ルフィ達は迂闊に手を出す事ができない。更にお菊によれば、ホールデムを怒らせればその後ろ楯である、旱害のジャックが動く可能性すらあるという。ズニーシャの一撃によって海に沈んだと思われたジャックだが、生きてワノ国に帰還していたのだ。
人質に取ったお玉を締め上げ、悲痛な叫びを上げさせるホールデム。そんな時、桃源農園からの食糧を運搬しにきたスピードが姿を現す。お玉が有害な川の水をすする中で、百獣海賊団だけが無害な食糧を支配している。その事実に怒りを燃やしたルフィは、お玉救出に加え食糧の奪取を決意。ゾロと共に行動を起こすのだった。
ゾロはお菊と共に、スピードが引き連れる部下達を相手に大立ち回りを演じ、食糧を積んだ宝船を確保する。一方で、噛二郎がお玉を噛み砕こうとする一瞬の隙を突き、圧倒的な速度でお玉を奪い返したルフィ。ホールデムがお玉に行った非道に、ルフィは更なる怒りを見せた。ホールデムの放つ炎や剣技を意にも介さず、『ゴムゴムの火拳銃』によってホールデムを貫く。その姿に、お玉はかつて憧れたエースの面影を重ね合わせるのだった。
姿を現したホールデムと対峙するルフィ達。しかし彼はお玉を人質に取っており、ルフィ達は迂闊に手を出す事ができない。更にお菊によれば、ホールデムを怒らせればその後ろ楯である、旱害のジャックが動く可能性すらあるという。ズニーシャの一撃によって海に沈んだと思われたジャックだが、生きてワノ国に帰還していたのだ。
人質に取ったお玉を締め上げ、悲痛な叫びを上げさせるホールデム。そんな時、桃源農園からの食糧を運搬しにきたスピードが姿を現す。お玉が有害な川の水をすする中で、百獣海賊団だけが無害な食糧を支配している。その事実に怒りを燃やしたルフィは、お玉救出に加え食糧の奪取を決意。ゾロと共に行動を起こすのだった。
ゾロはお菊と共に、スピードが引き連れる部下達を相手に大立ち回りを演じ、食糧を積んだ宝船を確保する。一方で、噛二郎がお玉を噛み砕こうとする一瞬の隙を突き、圧倒的な速度でお玉を奪い返したルフィ。ホールデムがお玉に行った非道に、ルフィは更なる怒りを見せた。ホールデムの放つ炎や剣技を意にも介さず、『ゴムゴムの火拳銃』によってホールデムを貫く。その姿に、お玉はかつて憧れたエースの面影を重ね合わせるのだった。
【原作からの追加点・変更点】
※セリフや演出の変更点は細かい差異が多いため、気になった箇所のみ紹介
・ホールデム本人の登場以降も、ルフィが彼の名を「ボールデブ」と言い間違え続ける描写追加。
・『食糧宝船』の食べ物を見たルフィが怒りを見せる際、食べる物がなく汚染された水を飲んだお玉の姿を回想する演出追加。
・ゾロの「あいつは怒るだろうが」というセリフの際、ホールデムの方をちらっと見る描写追加。
・前回同様、原作ではホールデムと連絡が繋がらない事で額に汗を浮かべていたホーキンスだが、アニメでは真顔のままになっている。
・笠を被ったローが現れた際、ホーキンスが原作では「(誰だ……!? 強い……)」と心の中だけで語っていたが、アニメでは「誰だ……!?」の部分だけは口に出して問いかけている。
・お玉を人質としたホールデムが、「楽しいお話の時間はここまでだ。ここからはもっと楽しい時間になるぜ!」と残虐な笑みを浮かべるシーン追加。
・原作では酒天丸への人質は3人も不要であるとし、名指しでお菊を処刑しようとしたホールデムだが、アニメでは「1人や2人死んでも構わねェ」と部下にルフィ達3人を捕まえる事を命じている。
また人質としてお菊が捕まるシーンが、ルフィがお玉を救出した後に変更。
・向かって来るホールデムの部下を迎撃するため刀に手をかけたお菊に対し、ホールデムが「こっちにはこのガキがいる事を忘れちまったわけじゃないよな?」とけん制するシーン追加。
しかし、その直後ゾロは刀で旋風を起こし、部下達を吹き飛ばしてしまう。
・ゾロが反撃に出たことで、ホールデムが噛二郎に対し、お玉を噛み砕くよう命じるシーン追加。
原作でのルフィがお玉を救出するシーンは、その際の一瞬の隙を突いての行動になっている。
・ルフィが噛二郎に攻撃する際、腕に武装色の覇気を纏う描写追加。
・ルフィに救われたお玉が、安堵から涙を見せる描写追加。
・原作ではゾロの動きにまったく気付かなかったスピードだが、アニメでは向かって来るゾロを止めるよう部下に命じている。
また「まさかあいつ…」と、ゾロが指名手配中の奉行斬りであることに気付くようなセリフも追加。
・スピードが2本の矢を同時に構え、武装色の覇気を纏わせてゾロに放つシーン追加。
ゾロは刀でそれを弾くが、その際に多少ノックバックしている。
・ゾロが刀を地面に叩き付け、その衝撃波でスピードの部下達を吹き飛ばすシーン追加。
・ホールデムの持つ『絡繰刀』に、噛二郎が吐く炎を纏わせるシーン追加。
また原作では名前が明かされるだけだった『絡繰刀』が、分離式の刃をワイヤーで繋いだ蛇腹剣の様なものとして描かれている。
・百獣海賊団を相手に暴れ回るゾロに対し、部下の1人がお菊を人質に「仲間がどうなってもいいのか」と脅すシーン追加。
動きを止めたゾロを取り囲む海賊達だが、ゾロは「手助けはしねェぞ」と菊に言い放ち、再度攻撃を続行している。
・ゾロが攻撃を再開した際、お菊が自分を人質に取った男にヒジ打ちを喰らわせ、刀を抜き叩き斬るシーン追加。
その後はゾロと共に、百獣海賊団の掃討に加わっている。
・スピードが部下と共に、ゾロとお菊に対し無数の矢を放つシーン追加。
しかし2人の剣捌きの前に全て弾き落とされている。
・お菊が自力で人質から解放されるようになった変更に伴い、原作ではお菊を無理やり拾い上げていた狛ちよが、アニメでは自分の背に乗るようお菊に促す描写に変更。
・ホールデムが『獅子の火』を浴びせたルフィへの追撃として『絡繰刀』を構える際、絡繰刀の刃が分離し鞭状態になる描写追加。
・ルフィが『ゴムゴムの火拳銃』でホールデムを撃破した際、お玉がその姿にエースを重ねる描写追加。
※セリフや演出の変更点は細かい差異が多いため、気になった箇所のみ紹介
・ホールデム本人の登場以降も、ルフィが彼の名を「ボールデブ」と言い間違え続ける描写追加。
・『食糧宝船』の食べ物を見たルフィが怒りを見せる際、食べる物がなく汚染された水を飲んだお玉の姿を回想する演出追加。
・ゾロの「あいつは怒るだろうが」というセリフの際、ホールデムの方をちらっと見る描写追加。
・前回同様、原作ではホールデムと連絡が繋がらない事で額に汗を浮かべていたホーキンスだが、アニメでは真顔のままになっている。
・笠を被ったローが現れた際、ホーキンスが原作では「(誰だ……!? 強い……)」と心の中だけで語っていたが、アニメでは「誰だ……!?」の部分だけは口に出して問いかけている。
・お玉を人質としたホールデムが、「楽しいお話の時間はここまでだ。ここからはもっと楽しい時間になるぜ!」と残虐な笑みを浮かべるシーン追加。
・原作では酒天丸への人質は3人も不要であるとし、名指しでお菊を処刑しようとしたホールデムだが、アニメでは「1人や2人死んでも構わねェ」と部下にルフィ達3人を捕まえる事を命じている。
また人質としてお菊が捕まるシーンが、ルフィがお玉を救出した後に変更。
・向かって来るホールデムの部下を迎撃するため刀に手をかけたお菊に対し、ホールデムが「こっちにはこのガキがいる事を忘れちまったわけじゃないよな?」とけん制するシーン追加。
しかし、その直後ゾロは刀で旋風を起こし、部下達を吹き飛ばしてしまう。
・ゾロが反撃に出たことで、ホールデムが噛二郎に対し、お玉を噛み砕くよう命じるシーン追加。
原作でのルフィがお玉を救出するシーンは、その際の一瞬の隙を突いての行動になっている。
・ルフィが噛二郎に攻撃する際、腕に武装色の覇気を纏う描写追加。
・ルフィに救われたお玉が、安堵から涙を見せる描写追加。
・原作ではゾロの動きにまったく気付かなかったスピードだが、アニメでは向かって来るゾロを止めるよう部下に命じている。
また「まさかあいつ…」と、ゾロが指名手配中の奉行斬りであることに気付くようなセリフも追加。
・スピードが2本の矢を同時に構え、武装色の覇気を纏わせてゾロに放つシーン追加。
ゾロは刀でそれを弾くが、その際に多少ノックバックしている。
・ゾロが刀を地面に叩き付け、その衝撃波でスピードの部下達を吹き飛ばすシーン追加。
・ホールデムの持つ『絡繰刀』に、噛二郎が吐く炎を纏わせるシーン追加。
また原作では名前が明かされるだけだった『絡繰刀』が、分離式の刃をワイヤーで繋いだ蛇腹剣の様なものとして描かれている。
・百獣海賊団を相手に暴れ回るゾロに対し、部下の1人がお菊を人質に「仲間がどうなってもいいのか」と脅すシーン追加。
動きを止めたゾロを取り囲む海賊達だが、ゾロは「手助けはしねェぞ」と菊に言い放ち、再度攻撃を続行している。
・ゾロが攻撃を再開した際、お菊が自分を人質に取った男にヒジ打ちを喰らわせ、刀を抜き叩き斬るシーン追加。
その後はゾロと共に、百獣海賊団の掃討に加わっている。
・スピードが部下と共に、ゾロとお菊に対し無数の矢を放つシーン追加。
しかし2人の剣捌きの前に全て弾き落とされている。
・お菊が自力で人質から解放されるようになった変更に伴い、原作ではお菊を無理やり拾い上げていた狛ちよが、アニメでは自分の背に乗るようお菊に促す描写に変更。
・ホールデムが『獅子の火』を浴びせたルフィへの追撃として『絡繰刀』を構える際、絡繰刀の刃が分離し鞭状態になる描写追加。
・ルフィが『ゴムゴムの火拳銃』でホールデムを撃破した際、お玉がその姿にエースを重ねる描写追加。
【感想・妄想】
※主にアニメ独自の部分についてのみ触れています。
原作と変わらない部分については、本誌感想の方をご参照ください。
■全体
ワノ国に入ってからのアニメ版は、「進みが遅い」「無茶な引き延ばしでテンポが悪い」などの問題を抱える事が多かったが、その中でも今回は比較的良好な回だと言える。
戦闘描写を中心に追加のシーンを増やしつつ、敵キャラクターの設定面に関しても補完を入れているため、特に後半部分においてテンポを損なわずに見せ場を作れているのが好感触。
特にホールデムやスピードは、ハッキリ言って原作では幹部としては物足りない扱いだったので、独自の戦闘描写が多数追加されたのは嬉しかった。
ここの感想文でも「状況に見合っていない事がある」と時々書いている演出面だが、やはりハデなことはハデだし、絵の綺麗さも相まって今回はなかなか良い仕事をしてくれていたと思う。ホールデム戦の様な、魅せるべきシーンで魅せてくれるのは、やっぱり良いね。
■ジャックの海難事故
原作で特に説明がないまま進行しているので一応補足しておくと、ズニーシャにブン殴られ水没したジャックが生き延びる事ができたのは、彼がタマカイの魚人だったからである。
これはVIVRE CARDでようやく明かされた情報で、原作では未だその設定に触れられていない。もはや異種族が当たり前の様に出てくる現在、種族設定はあんまり重要じゃないのかな。
バンダー・デッケン九世がそうだったように、魚人や人魚であっても悪魔の実を食べれば海に嫌われる事に変わりはないが、あくまでも能力者のリスクは「水に浸かると身体が動かなくなる」というだけ。
元々水中で呼吸ができる彼らは、能力者になろうと水没したぐらいじゃ死なないという事ね。まあ、ズニーシャの鼻パンチを受けて無事でいられたのは、ジャック自身の凄まじいタフさ故だけれど。やっぱ、覚醒した動物系なんだろうか。
……ただ、種族の特徴によって水没から助かるのはジャックのみ。海に嫌われるというリスクはSMILE能力者も同じの様なので、残念ながら一緒に沈んだシープスヘッド達は……。
ジャックの敗北をカイドウに伝えていたアプーも、あくまで「通信が突然切れた」ことに気付いただけで、近くにいたワケではなさそうなので……。引き上げ、間に合ってればいいけどね……。
■ゾロ「あいつは怒るだろうが」
「食糧宝船とお玉を奪って逃げる」という方向に作戦が固まった際のゾロのセリフだが、アニメではこのセリフの際、ゾロがホールデムの方を見るという描写が加えられている。
って事は、この「あいつ」というのは普通にホールデムを指す言葉でいいのかな。
まあ「これ以上ホールデムを怒らせない方がいい」という流れからのコレなので、自然と言えば自然なのだけれど、原作では「あいつ」にわざわざ傍点が振られていたので、別の誰かを指しているのかと思ってた。
「騒ぎを起こさない」という約束は錦えもんともしていたし、てっきりお菊が錦えもんの仲間である事を見抜いた上で、彼のことを指して言っていた言葉なのかと……。
ここに限った事ではないのだけれど、ゾロはお菊に対しなにか勘付いている様な発言が多いのだが、アニメではそれぞれの発言がどう言った意図だったのかを分かりやすくさせるような演出になっている気がする。
お菊への手助けを拒んだ後に、菊の強さを示す回想を入れてみたりね。
原作ではお菊の「侍としての強さ」「性別の問題」「錦えもんらとの繋がり」など、ゾロがどこまで気付いているのかハッキリとはしてなかったからなぁ。
媒体が変わった事によって、伝え方や描き方も変えてるんでしょうね。まあ、単に回想をブチ込むことで尺が稼げるっていう大人の事情もあるんだろうけど。
■噛二郎の捕食
ホールデムに捕らわれたお玉を救出するシーンだが、原作とアニメではその経緯が微妙に違っている。
噛二郎が咥えた状態のお玉を奪い返す、というのは一緒なのだが、超スピードによってホールデムも気付かない内に噛二郎に打撃を加えた原作側に対し、アニメでは噛二郎がお玉を噛み砕こうと口を開けた一瞬の隙を突き、瞬時に動いて攻撃……という流れになっていた。

(TVアニメ版ONE PIECE 第905話より)
まあ正直言って展開自体に大差はないのだが、噛二郎がお玉を噛み砕く際、わざわざ1度口を開け、お玉の身体を離してしまっているのは気になる。
この時すでにお玉は噛二郎の口の中、つまりこのまま力を加えれば、そのままお玉の身体を噛み砕ける状態にあったハズ。
にも関わらず、噛二郎はその優位な状況を手放してまで、1度口を開くという「タメ」を作ってから噛み砕こうとしている。
一見して無意味な動きの上、この時に生じた隙のせいで奪還を許してしまっている以上、むしろマイナスな行動に見えてしまう。
だが普通に考えれば、1度わざわざ口を大きく開くという動きは、噛二郎の持つアゴの力をフルに発揮するためのものであると思われる。牙の間に挟んだ獲物をそのまま押し潰すより、全力で噛み付きにかかった方がより強い力をかけられる。
逆に言えば、噛二郎のアゴや牙は、こう言った力の加え方をしない限り幼子1人噛み砕けないほどの力しか発揮できないと言うことだ。
まあこんな些細な描写から噛二郎をアゴ弱ライオン扱いするのも中々の難癖な気もするが、よくよく考えると肉食動物の歯は、肉を引き千切るため臼歯に至るまでほとんどが鋭く尖っているらしい。
そんな歯で挟んだお玉を、「ミシッ」と音が鳴るほどに強く締め上げれば切り傷の1つもできそうなものだが、ルフィに救われたお玉にできた外傷はペンチに引っ張られた頬の腫れぐらいだった。
この辺りからも、噛二郎の歯やアゴは意外にも見掛け倒しだったんではないかと考えられる。
腹にくっ付いてる都合上リーチ的にも厳しいものがあるし、案外ヘタに噛み付くよりも腕で殴ったり引っかいたりした方が強いかもしれないな……。そりゃホールデムさんも、謎システムの火炎放射に頼りたくもなるわ。
■スピードの矢

(TVアニメ版ONE PIECE 第905話より)
原作ではほとんど戦う事がなかったスピードさんだが、アニメでは手元の矢を放ち、少しだけゾロと交戦する姿が描かれた。
しかも彼女が放った矢には、アマゾンリリーの戦士達のごとく武装色の覇気を纏っていた。例によって謎の紫オーラが邪魔して視認性が悪いが、よく見れば矢自体が黒く変色しているのが分かる。
まあTVアニメ版じゃ、三下でしかないバットマンですら覇気を使っていたので、仮にも幹部であるスピードさんが覇気使いなのは当然と言えば当然。だが、原作中でハッキリ言ってロクでもない扱いの者ばかりだった真打ち達の中で言えば、明確に覇気を扱えるというだけでも優秀な部類に入れる事ができる。
今更覇気が使えるぐらいでは猛者達に太刀打ちできるハズもないが、彼女が放った矢は、刀で受け止めたゾロを後ずさらせる程度の力は持っていた。
何かとヘッポコな印象も強いスピードさんだが、やはりフランキーやブルックの様な一味の中堅クラスとなら、案外良い勝負になるんじゃないだろうか。サンジには確定勝利だしね。
■絡繰刀

(TVアニメ版ONE PIECE 第905話より)
原作では謎のままだった、ホールデムが操る『絡繰刀』という刀だが、アニメでは分離式の刃を持つ刀であることが判明した。
要はいわゆる蛇腹剣ってやつですね。現実には耐久性などの問題から再現不可能な刀らしいが、百獣海賊団のオーバーテクノロジーで組み上げたんだろう。
ホールデムは更に、この刀に噛二郎が吐く炎をプラスし、「ヘルファイヤーエッジ」なる技も繰り出していた。
まあルフィにはまったく通用していなかったし、強さの程としては若干アヤシイものもあるが、燃える蛇腹剣というのは中々にカッコいい。
見た目のインパクトだけでも、ホールデムの微妙なポジションを補えていると思う。
スピードの武装色と言い、こういった「原作で活躍できなかったキャラの強さを補完する」という役割は、個人的にアニメに求めているものだったりする。
ONE PIECEのアニメには常に「原作に追いつかない様にする」という宿命があり、尺を稼ぐ必要性はどこかで確実に生まれて来るものなので、それを逆手に取って独自の補完要素を加えてくれるのは嬉しい限りだ。
※主にアニメ独自の部分についてのみ触れています。
原作と変わらない部分については、本誌感想の方をご参照ください。
■全体
ワノ国に入ってからのアニメ版は、「進みが遅い」「無茶な引き延ばしでテンポが悪い」などの問題を抱える事が多かったが、その中でも今回は比較的良好な回だと言える。
戦闘描写を中心に追加のシーンを増やしつつ、敵キャラクターの設定面に関しても補完を入れているため、特に後半部分においてテンポを損なわずに見せ場を作れているのが好感触。
特にホールデムやスピードは、ハッキリ言って原作では幹部としては物足りない扱いだったので、独自の戦闘描写が多数追加されたのは嬉しかった。
ここの感想文でも「状況に見合っていない事がある」と時々書いている演出面だが、やはりハデなことはハデだし、絵の綺麗さも相まって今回はなかなか良い仕事をしてくれていたと思う。ホールデム戦の様な、魅せるべきシーンで魅せてくれるのは、やっぱり良いね。
■ジャックの海難事故
原作で特に説明がないまま進行しているので一応補足しておくと、ズニーシャにブン殴られ水没したジャックが生き延びる事ができたのは、彼がタマカイの魚人だったからである。
これはVIVRE CARDでようやく明かされた情報で、原作では未だその設定に触れられていない。もはや異種族が当たり前の様に出てくる現在、種族設定はあんまり重要じゃないのかな。
バンダー・デッケン九世がそうだったように、魚人や人魚であっても悪魔の実を食べれば海に嫌われる事に変わりはないが、あくまでも能力者のリスクは「水に浸かると身体が動かなくなる」というだけ。
元々水中で呼吸ができる彼らは、能力者になろうと水没したぐらいじゃ死なないという事ね。まあ、ズニーシャの鼻パンチを受けて無事でいられたのは、ジャック自身の凄まじいタフさ故だけれど。やっぱ、覚醒した動物系なんだろうか。
……ただ、種族の特徴によって水没から助かるのはジャックのみ。海に嫌われるというリスクはSMILE能力者も同じの様なので、残念ながら一緒に沈んだシープスヘッド達は……。
ジャックの敗北をカイドウに伝えていたアプーも、あくまで「通信が突然切れた」ことに気付いただけで、近くにいたワケではなさそうなので……。引き上げ、間に合ってればいいけどね……。
■ゾロ「あいつは怒るだろうが」
「食糧宝船とお玉を奪って逃げる」という方向に作戦が固まった際のゾロのセリフだが、アニメではこのセリフの際、ゾロがホールデムの方を見るという描写が加えられている。
って事は、この「あいつ」というのは普通にホールデムを指す言葉でいいのかな。
まあ「これ以上ホールデムを怒らせない方がいい」という流れからのコレなので、自然と言えば自然なのだけれど、原作では「あいつ」にわざわざ傍点が振られていたので、別の誰かを指しているのかと思ってた。
「騒ぎを起こさない」という約束は錦えもんともしていたし、てっきりお菊が錦えもんの仲間である事を見抜いた上で、彼のことを指して言っていた言葉なのかと……。
ここに限った事ではないのだけれど、ゾロはお菊に対しなにか勘付いている様な発言が多いのだが、アニメではそれぞれの発言がどう言った意図だったのかを分かりやすくさせるような演出になっている気がする。
お菊への手助けを拒んだ後に、菊の強さを示す回想を入れてみたりね。
原作ではお菊の「侍としての強さ」「性別の問題」「錦えもんらとの繋がり」など、ゾロがどこまで気付いているのかハッキリとはしてなかったからなぁ。
媒体が変わった事によって、伝え方や描き方も変えてるんでしょうね。まあ、単に回想をブチ込むことで尺が稼げるっていう大人の事情もあるんだろうけど。
■噛二郎の捕食
ホールデムに捕らわれたお玉を救出するシーンだが、原作とアニメではその経緯が微妙に違っている。
噛二郎が咥えた状態のお玉を奪い返す、というのは一緒なのだが、超スピードによってホールデムも気付かない内に噛二郎に打撃を加えた原作側に対し、アニメでは噛二郎がお玉を噛み砕こうと口を開けた一瞬の隙を突き、瞬時に動いて攻撃……という流れになっていた。

(TVアニメ版ONE PIECE 第905話より)
まあ正直言って展開自体に大差はないのだが、噛二郎がお玉を噛み砕く際、わざわざ1度口を開け、お玉の身体を離してしまっているのは気になる。
この時すでにお玉は噛二郎の口の中、つまりこのまま力を加えれば、そのままお玉の身体を噛み砕ける状態にあったハズ。
にも関わらず、噛二郎はその優位な状況を手放してまで、1度口を開くという「タメ」を作ってから噛み砕こうとしている。
一見して無意味な動きの上、この時に生じた隙のせいで奪還を許してしまっている以上、むしろマイナスな行動に見えてしまう。
だが普通に考えれば、1度わざわざ口を大きく開くという動きは、噛二郎の持つアゴの力をフルに発揮するためのものであると思われる。牙の間に挟んだ獲物をそのまま押し潰すより、全力で噛み付きにかかった方がより強い力をかけられる。
逆に言えば、噛二郎のアゴや牙は、こう言った力の加え方をしない限り幼子1人噛み砕けないほどの力しか発揮できないと言うことだ。
まあこんな些細な描写から噛二郎をアゴ弱ライオン扱いするのも中々の難癖な気もするが、よくよく考えると肉食動物の歯は、肉を引き千切るため臼歯に至るまでほとんどが鋭く尖っているらしい。
そんな歯で挟んだお玉を、「ミシッ」と音が鳴るほどに強く締め上げれば切り傷の1つもできそうなものだが、ルフィに救われたお玉にできた外傷はペンチに引っ張られた頬の腫れぐらいだった。
この辺りからも、噛二郎の歯やアゴは意外にも見掛け倒しだったんではないかと考えられる。
腹にくっ付いてる都合上リーチ的にも厳しいものがあるし、案外ヘタに噛み付くよりも腕で殴ったり引っかいたりした方が強いかもしれないな……。そりゃホールデムさんも、謎システムの火炎放射に頼りたくもなるわ。
■スピードの矢

(TVアニメ版ONE PIECE 第905話より)
原作ではほとんど戦う事がなかったスピードさんだが、アニメでは手元の矢を放ち、少しだけゾロと交戦する姿が描かれた。
しかも彼女が放った矢には、アマゾンリリーの戦士達のごとく武装色の覇気を纏っていた。例によって謎の紫オーラが邪魔して視認性が悪いが、よく見れば矢自体が黒く変色しているのが分かる。
まあTVアニメ版じゃ、三下でしかないバットマンですら覇気を使っていたので、仮にも幹部であるスピードさんが覇気使いなのは当然と言えば当然。だが、原作中でハッキリ言ってロクでもない扱いの者ばかりだった真打ち達の中で言えば、明確に覇気を扱えるというだけでも優秀な部類に入れる事ができる。
今更覇気が使えるぐらいでは猛者達に太刀打ちできるハズもないが、彼女が放った矢は、刀で受け止めたゾロを後ずさらせる程度の力は持っていた。
何かとヘッポコな印象も強いスピードさんだが、やはりフランキーやブルックの様な一味の中堅クラスとなら、案外良い勝負になるんじゃないだろうか。サンジには確定勝利だしね。
■絡繰刀

(TVアニメ版ONE PIECE 第905話より)
原作では謎のままだった、ホールデムが操る『絡繰刀』という刀だが、アニメでは分離式の刃を持つ刀であることが判明した。
要はいわゆる蛇腹剣ってやつですね。現実には耐久性などの問題から再現不可能な刀らしいが、百獣海賊団のオーバーテクノロジーで組み上げたんだろう。
ホールデムは更に、この刀に噛二郎が吐く炎をプラスし、「ヘルファイヤーエッジ」なる技も繰り出していた。
まあルフィにはまったく通用していなかったし、強さの程としては若干アヤシイものもあるが、燃える蛇腹剣というのは中々にカッコいい。
見た目のインパクトだけでも、ホールデムの微妙なポジションを補えていると思う。
スピードの武装色と言い、こういった「原作で活躍できなかったキャラの強さを補完する」という役割は、個人的にアニメに求めているものだったりする。
ONE PIECEのアニメには常に「原作に追いつかない様にする」という宿命があり、尺を稼ぐ必要性はどこかで確実に生まれて来るものなので、それを逆手に取って独自の補完要素を加えてくれるのは嬉しい限りだ。
【登場した技】
・ヘルファイヤーエッジ
使用者:ホールデム
※アニメオリジナル技
※アニメオリジナルシーン
ホールデムが使う『絡繰刀』に、噛二郎が吐く炎を纏わせて振るう事で、鞭の様にしなる刃と炎を合体させた技。
お玉を奪い返された後、ルフィに対して使用したが、回避されている。
・獅子の火
使用者:噛二郎
ホールデムの腹が変化したライオン・噛二郎の口から炎を吐いて攻撃する技。
ルフィとの戦闘時に使用され、直撃を喰らわせたが、通用しなかった。
・絡繰刀
使用者:ホールデム
ホールデムが使う刀で、ワイヤーで繋がれた刃を分離させ、鞭の様に振るう事ができる蛇腹剣。
上記の『ヘルファイヤーエッジ』にも使用された他、『獅子の火』を喰らわせたルフィへの追い討ちとして使用。
しかし獅子の火がまったく効いていなかった事に怯んだため、実際に振るわれる事はなかった。
なお、この刃が分離するという設定はアニメ独自のものである。
原作では名前こそ判明したものの、ホールデム自身が刀を振るう事すらなく倒されてしまった為、原作でもこの様な機能を持った刀なのかは不明となっている。
・ゴムゴムの火拳銃
使用者:ルフィ
ホールデムとの戦いにて登場。
お玉への拷問行為に激怒したルフィが、ホールデムに対し使用。構えの間に噛二郎の炎を受けるが、一切動じる事もなく技を放ち、ホールデムを撃破した。
・ヘルファイヤーエッジ
使用者:ホールデム
※アニメオリジナル技
※アニメオリジナルシーン
ホールデムが使う『絡繰刀』に、噛二郎が吐く炎を纏わせて振るう事で、鞭の様にしなる刃と炎を合体させた技。
お玉を奪い返された後、ルフィに対して使用したが、回避されている。
・獅子の火
使用者:噛二郎
ホールデムの腹が変化したライオン・噛二郎の口から炎を吐いて攻撃する技。
ルフィとの戦闘時に使用され、直撃を喰らわせたが、通用しなかった。
・絡繰刀
使用者:ホールデム
ホールデムが使う刀で、ワイヤーで繋がれた刃を分離させ、鞭の様に振るう事ができる蛇腹剣。
上記の『ヘルファイヤーエッジ』にも使用された他、『獅子の火』を喰らわせたルフィへの追い討ちとして使用。
しかし獅子の火がまったく効いていなかった事に怯んだため、実際に振るわれる事はなかった。
なお、この刃が分離するという設定はアニメ独自のものである。
原作では名前こそ判明したものの、ホールデム自身が刀を振るう事すらなく倒されてしまった為、原作でもこの様な機能を持った刀なのかは不明となっている。
・ゴムゴムの火拳銃
使用者:ルフィ
ホールデムとの戦いにて登場。
お玉への拷問行為に激怒したルフィが、ホールデムに対し使用。構えの間に噛二郎の炎を受けるが、一切動じる事もなく技を放ち、ホールデムを撃破した。
【声の出演】
ルフィ・・・・・・田中真弓
ゾロ・・・・・・・中井和哉
ロー・・・・・・・神谷浩史
ホールデム/噛二郎・・・小山剛志
お玉・・・・・・・潘めぐみ
お菊・・・・・・・伊瀬茉莉也
狛ちよ・・・・・・荒井聡太
ホーキンス・・・・宗矢樹頼
スピード・・・・・佐藤聡美
ゾウ・・・・・・・山田真一
ホールデム部下・・・田邊幸輔
部下・・・・・・・深川和征 坂田将吾
寺崎千波也
ナレーション・・・大場真人
ルフィ・・・・・・田中真弓
ゾロ・・・・・・・中井和哉
ロー・・・・・・・神谷浩史
ホールデム/噛二郎・・・小山剛志
お玉・・・・・・・潘めぐみ
お菊・・・・・・・伊瀬茉莉也
狛ちよ・・・・・・荒井聡太
ホーキンス・・・・宗矢樹頼
スピード・・・・・佐藤聡美
ゾウ・・・・・・・山田真一
ホールデム部下・・・田邊幸輔
部下・・・・・・・深川和征 坂田将吾
寺崎千波也
ナレーション・・・大場真人