週刊少年ジャンプ2020年03号分の感想です。
ネタバレを含むので、自分で買ってから読んでください。 


★もくじ
扉絵連載
モモの助誕生
白ひげ海賊団 隊長
黒炭オロチの成り上がり
ロジャー海賊団  



扉絵連載

は、早ぇ…………。

このテの扉絵専用キャラはロクに活躍しないまま瞬殺されるのがオチ……とは言ったものの、まさかほとんど描写すらなく殲滅されるとは。何とも哀れな連中だ。

キスキス菌なるブツはちょっと気になるけど、特に本筋には関係の無い兵器なのかな。
まあ、人をキス魔に変える兵器なんてものに重要な役割を果たされても困るし、別にいいけど。

バイキン海賊団との戦いにあたって変装を解いてしまったベッジだけれど、正体がバレた事から話が進んでいくカンジなんだろうか。
言っても警備の海兵達じゃあ彼らとやり合うには力不足だろうし、ピンチに陥る事もないだろうけど。




モモの助誕生

白ひげ海賊団に加わるための荒行の中、トキとの出会いを果たしたおでん。
やがて恋仲になる2人だが、その馴れ初めは思った以上にバッサリと省略された。

過去に尾田さんは「少年向けのマンガだから恋愛描写はあまり入れない」という旨の発言もしていたし、その辺りの都合かな。
最近ではプリンとサンジにガッツリと恋愛絡みのエピソードが描かれた事もあったので、半ば解禁気味なのかとも思っていたけど、まああくまでも回想キャラなので細かい過程は重要ではないとの判断だろうと思う。



トキはワノ国の血筋ではあったが、本人がワノ国に暮らしていたというワケではなかったそうで。
両親がワノ国の出身だったのね。空白の100年真っただ中のワノ国から旅立ち、別の土地でトキを生んだ事になるけれど、うーん何が理由だったんだろう。

今回のお話では「天月家が光月に仕えた大名家の1つ」という事実も発覚しているけど、トキの両親はワノ国を離れ、光月家とは別の道を歩んでいる。
トキの両親は天月の分家の1つだったんだろうが、オロチの祖父の時代(今から約80年前ぐらい?)にまで光月と天月の主従関係が解消されていなかった所を見ると、両家の中が険悪なものだったとは思いにくい。国外に旅立ったのも、国を追放されたとかそういう理由ではないと思う。トキトキの実を探す必要があったのかな?

トキがおでんに対し「あなたと居ると目的地に着いた様な気持ちになる」と言うのも、単に男女の仲を示す発言というだけでなく、「光月家のもとに帰還する」ことそのものが、天月の血に与えられた宿命だった様にも思えるし。



おでんの出航……つまりトキとの出会いから2年が経ち、モビー・ディック号の船上にて、モモの助が誕生。

……あれ、「船上」で?
VIVRE CARDのモモの助のカードじゃ、出身地はハッキリと「ワノ国 九里」って書かれてたぞ?
ビッグ・マム海賊団の面々では出身地が「船上」となっている人も少なくないのに……さてはまたテキトーに記載したな?


VIVRE CARDの話は置いておくとして、モモの助の名の由来となったのは「天下無敵」を表す言葉らしい。
最初は何の事やら分からなかったのだけど、桃の花言葉が「天下無敵」らしいですね。へー。
8歳になった現時点では程遠いけれど、いずれおでんの息子に相応しい無双っぷりを見せる様に成長するんだろうか。

またその2年後には、生誕の描写こそないが日和の存在も確認できる。
ワノ国にはまだ帰還していないし、こちらも船上生まれだったのかな。しかし出産の立ち合いは誰がやってたんだろう。のちに船医者になるマルコも、モモ誕生の時点じゃ17歳の若者だし……唯一女性のホワイティベイ辺り?




白ひげ海賊団 隊長

モモの助が誕生した28年前ごろ、構成員の増加に伴い白ひげ海賊団が5隊ほどの部隊に分かれる事に。
現在では16部隊にまで膨れ上がっていたが、この頃は5部隊だったのね。


そのうち2番隊の隊長には、光月おでんが就任。エースの加入時には欠番となっていた部隊だけれど、元はおでんの部隊だったのね。
この約2年後におでんとロジャーが出会うので、その辺りで白ひげ海賊団を去る事になるんだろうが、20年以上に渡って欠番扱いだったのか。


他に隊長に名乗りを挙げたメンバーとして、ビスタともう1人の人物が確認できる。帽子の形や段々になった身体の形状からして、エポイダかな?

ビスタはここから頂上戦争までずっと5番隊の隊長を務めていたのだろうが、エポイダはこの後白ひげ海賊団の本船を去り、傘下海賊の船長となった。
つまり隊長には最低1つ空席が出来ることになるのだが、2番隊と違いこちらは新たな隊長が就任し、穴を埋められる事になる。
おでんの場合とは何が違ったんだろう。「息子」ではなく「弟」として加入しているので、事情が違ったのか。あるいは「いずれ白ひげ海賊団に帰ってくる」といった約束のもとに別れたりしたのかな。


おでん、ビスタ、エポイダ以外の2部隊の隊長となったのは誰なんだろう。
マルコやジョズはまだ若手すぎるし、4番隊隊長となるサッチの姿はまだ確認できない。今週話ではフォッサがマルコに偵察の指示を出したりしているけれど、仮に彼がこの時点で隊長格なら、わざわざ部隊の拡張後に15番隊という後ろの番号に回る必要もない。

ので、のちに傘下海賊へと移る面々の中から2人を選ぶとするなら、ホワイティベイアンドレ辺りかな? 第963話の見開きでも大きく描かれてるし。
まあホワイティベイは今週話で1度も描かれていないし、既に船を降りてしまってる可能性もゼロではないけど。



また、のちに四皇の一角となるティーチの加入時期も、この28年前頃だった事が判明。
ティーチは現在40歳なので、12歳の少年だった頃ですね。以前のSBSで描かれた事がある様に、子供の頃の彼は涙を浮かべ、ボロボロの衣装に身を包んだかなり悲惨な姿。身なし子だったのね。

今回の描写だと「白ひげ海賊団の旅先でたまたま出会った」ように描かれているが、45巻のエースとの対決にて、ティーチは「何十年も白ひげの船にいたのは その実が転がり込んで来る確立が一番高ェと思ったから」と語っている。

これはあくまでも「白ひげの船を降りずにそのまま在籍した」という意味で、「ヤミヤミの実を得るために白ひげ海賊団に乗った」ワケではなかったのかな?
それとも身なし子の姿さえ芝居で、最初から白ひげに目を付けていたんだろうか。


またこの時のティーチは普通に12歳相当ぐらいの見た目で、年齢の重ね方におかしな点は見られない。
エースからは「人の倍の人生を歩んでる」と表現され、またその文言に傍点が振られていた事から意味深だったけれど、40歳という年齢そのものに間違いはないのかな?
まあエースの年齢は20歳なので、文字通り「エース自身の倍の人生」という意味に取れなくもないけれど、ティーチの身体の謎にも関わって来そうなので何らかの意味はありそうなカンジ。




黒炭オロチの成り上がり

おでんがワノ国を離れている間に、将軍スキヤキの病状が悪化。おでんが戻るまでの代理将軍にまさかのオロチを指名する事になるのだが、その背景が驚き。


まずオロチが康イエに仕える様になる前、彼はボロボロの社の様な家での貧乏暮らしをしていた。
そこに現れた妙な老婆にそそのかされ、将軍の座を志す様になったと。

明確にはされていないけれど、この老婆はオロチの祖母っぽい。オロチ祖父の謀が露見して黒炭家が没落したのち、海外に亡命。悪魔の実の能力を得て、光月家への復讐、そして黒炭家の復権と言った目的を遂げるべく帰国したという感じかな。



「生まれて来た光月スキヤキ」に対する復讐心はどう考えても逆恨みなのだけれど、オロチの場合、将軍と言う地位に対する野心の様なものは、最初から心の奥に持っていた様に思う。
老婆の言葉を受け、秘めていた野望が表に現れたという印象を受けた。

しかし、オロチは野心家である以上に小心者。力も後ろ楯もない状況でコトを起こせるほどの度胸はないし、何より「祖父の罪によって地位を追われた」一族である自分が将軍になる……などと大それた考えは、夢見こそすれどあり得ないと、自らの内に押し留めていた事と思う。

そんなオロチが謀反という大それた行動を起こすには、なんらかの大義名分を持つことで自分を納得させる必要があった。
それこそが、光月スキヤキへの復讐。
傍目には破綻した逆恨みであっても、オロチにとっては自身の行動に正当性を持たせるための、大事な後押しだったのだ。



さて、この老婆が得た悪魔の実の能力だが、なんとあのマネマネの実
現代ではMr.2 ボン・クレーことベンサムが得た能力だが、先代の能力者はこの老婆だったのね。

アラバスタの乗っ取りを企てた際にも、コブラに成り代わり事件を起こすことで反乱に火を着けていたが、やっぱりこのテの謀略戦においては相当恐ろしい能力だなぁ。
予備知識を持っていたルフィ達だから何とかなったものの、初見でコレをやられたらまず見抜けないだろう。


しかも不気味なのが、スキヤキと老婆が入れ替わったタイミングがイマイチ分からない点。
殺害したスキヤキの遺体をどこかに隠したのち、スキヤキに化けた老婆がオロチを代理将軍に指名。その後遺体を元に戻し訃報の公表……という流れになるが、いつから入れ替わってたんだ?

ついでに気になるのが、おでんが将軍行列を引き連れて都に戻って来た際。
この時すでにオロチはスキヤキに仕える身となっていたが、これはおでんに化けた老婆が、スキヤキにオロチを推薦しての事。
おでんの帰郷時に少しでもオロチの話が出れば、「オロチを推薦したのがおでん本人ではない」事がバレ、計画は一発で破綻する。

オロチが部屋の外で心配そうに話を聞いていたのはそれを心配しての事だったのかもしれないが、より計画を完璧に煮詰めていたのなら、あの「おでんとスキヤキ最期の会話」を行っていたのはスキヤキ本人ではなかった可能性すら0ではなく……いや何か、あらゆる意味で恐ろしい能力っすね。すべてのものが信用できなくなる。



また、これはツイッター等で他の人が話しているのを見て初めて気付いたのだけれど、老婆がマネた顔のメモリーの中に、金獅子のシキがいる。
まだ若く、髪型やヒゲこそ異なるが、あの眉毛は確かにシキだ。

マネマネの実で他者の顔をメモリーしておくには、その人物の顔を見るだけでなく、実際に触る必要がある。
そのため、この老婆は海外に出ている間に、ロックス海賊団と接触する機会があった……可能性が高い。


シキ自身にもワノ国出身っぽい雰囲気(和装っぽい衣服や「木枯し」「桜十」という刀の名など)もあるが、仮にシキとの接触がワノ国での出来事とすると、老婆がマネマネの能力を得たのはワノ国から亡命する前の話になってしまう。
もしそうならば黒炭家の政争にも当然能力は使われただろうし、計画が露見した時点で光月家側にその存在はバレてしまっているハズ。

にも関わらず、この危険な力を持つ老婆が野放しとなった上、光月家側にも警戒の様子がない辺り、マネマネの能力は海外で得たものなんだと思う。


現在ではマネマネの能力がベンサムに移行してしまっている以上、この老婆はすでに故人と言う事になる。
単に寿命が尽きたのか、秘密を知る老婆をオロチが始末したのかは分からないが、とにかく死亡済みである事は間違いない。
ゆえに謎を残す部分ではあるんだが、ロックスについて深く語られる時に、回想で再登場したりするのかな。個人的には、謎は謎で残しておいてもいい部分だと思うけど。




ロジャー海賊団

ロジャー海賊団と白ひげ海賊団、激突迫るの巻。

……この対戦カードが実際に描かれるのか。丸々1戦描かれるワケではないだろうが、この異常ともいえる豪華な邂逅が描かれるのだからこの回想シリーズは凄い。


今回のお話では、ティーチが白ひげ海賊団に乗船した。
大海賊時代の幕開けまで残り2年とさし迫っているし、ロジャーの「お前と会うのも最後かもしれねェ」というセリフ的にも、この両海賊団の本格的な激突は、これが最後となるのかもしれない。(戦い以外では、自首前にサシ飲みをしたりしてるけど。)

そしてこの26年前時点では、シャンクスの目に3本の傷跡がない。
あれはティーチによって付けられたものであり、もしもそれがロジャー海賊団時代の出来事であるなら、今回の戦いで傷を負う可能性が高いという事になる。

ただ、まだ実力に乏しい見習いだった時代に負った傷なのだとすれば、「おれは油断などしていなかった」というセリフが急に軽いものになってしまうので、微妙なところかな……。まだ13歳の少年が油断してなかったっつっても、たかが知れてますしね。
独立して実力をつけた後の出来事だと考えた方が、それっぽいような気もする。分からんけど。

(追記)
コメントで指摘貰ったのですが、シャンクスの傷はおでんの加入後も付いてなかったので、この戦いで受けた傷でない事は確定してました。すっかり忘れてた。(第958話より)

これはロジャーの偉大なる航路制覇後のシーンだと思うので、やっぱり傷を受けたのは赤髪海賊団の旗揚げ後なのかな。




傷と言えば、シャンクスだけでなくニューゲートの方にも、この回想内では胸の傷が描かれていない。
45巻でのシャンクスとの会話では「てめェの顔を見るとあの野郎から受けた傷が疼きやがる」と、恐らくロジャーとの戦いで負った傷なのではないかと思われるセリフもあった。
こっちに関しても、今回の戦闘で付けられるのかな。思った以上にガッツリと戦いが描かれる事になるのかも?


……しかしシャンクスよ、お前いくら少年時代だからって、「えへへ」ってアンタ……。
そんなに全力で読者に媚びてくるキャラだっけキミ。

キミには子供であっても精悍な男であってほしかったよ……。


……とは言ったものの、そういえば子供の頃のルフィは、シャンクス曰く「ガキの頃のおれにそっくり」だったらしい。
そういう意味じゃ、確かに似てるかもしれんな……もの食いながら嬉しそーに笑ってるとことか。どっちかと言うと、少年期というより2年後ルフィっぽい。心なしか手配書のルフィにちょっと似てる気もする。

なんか納得してしまったのでした。