新年1発目の少年ジャンプ。
なぜか今回、電子版の配信時間が朝5時ではなく、日が明けた深夜0時からの開始となっていた。他のマンガ雑誌はそういう時間設定が多いとも聞くけれど、今後はジャンプも0時解禁になって行くんだろうか。
しかしアレね、早めに読めるのは良いけれど、深夜に初見で読むONEPIECEはテンションが変な事になるので良くないっすね。
カロリーが高すぎて胃がもたれる。しかも今回なんざ、ただでさえ20数年の歴史の中でも最高潮に達する濃厚回と来ているので、明日の体調が心配になる事この上ない。
ラストシーンは当然1番の見所だが、それ以外でも読者のよく知る島々を旅するロジャーやおでんの姿が見れるのがポイント。
もう普段みたいに見出し分けとか出来る気がしなかったので、順番に触っていく。
■北極か南極か
まず冒頭から、シャンクスとバギーの聞きなれたケンカ話が飛び込んで来る。第3巻で語られた、バギーの回想シーンでも使われていたケンカね。約20年越しに拾われた小ネタには、流石にちょっと胸に来るものがある。
最初見た時は「ん?」と思ったのだけれど、よくよく考えるとこのシーン、3巻の回想と同一のシーンというワケではない。
アレはバギーがバラバラの実を食べてしまう少し前のシーンだったが、第0話では、27年前のシキとの戦い(エッド・ウォーの海戦)の時点で、バギーが既に能力者になっている事が分かる。
対して今回の回想シーンは、26年前のもの。第3巻の回想から、少なくとも1年が経過している。
同じ様なやり取りをしているが、そのタイミングはまったく異なるものなのだ。
つまりこの2人、1年以上にも渡って全く同じネタでケンカを続けてるって事ですね。仲がよろしくて結構でございます。よく飽きないな。
■ロード歴史の本文
ロジャーがおでんを勧誘する時に持っていたロード歴史の本文の写しは、WCI編でも触れられていたリンリンから奪ったものだったらしい。
ロジャーには更にもう1つ在り処の心当たりがあり、残る2つはイヌネコの故郷であるゾウと、おでんの故郷であるワノ国にあったと。
2つの石の在り処を探すのに13年かかっていた事を考えると、降って来たような出会いだ。
出来すぎとさえ言える偶然であり、天がロジャーのラフテル到達を望んでいるかの様に見える。

(ONEPIECE 11巻 第99話より)
現代においては、ロード歴史の本文はカイドウが1つ、リンリンが1つ、そしてゾウに1つ所有されており、残る1つは行方不明という事だった。
カイドウのものは元々持っていた石ではなく、ワノ国を支配した事で自動的に手に入ったものなのかな。
リンリンのものとゾウのものは現代でも変わらず残っているので良いとして、所在不明となってしまった最後の石は、26年前時点ではなんと魚人島にあったらしい。
あまりにしれっと置かれてるけど、2つ並んだ石の片方が、明らかに赤い。
麦わらの一味が訪れた際には「ジョイボーイの謝罪文」が刻まれた方の石しか無かった様だが、誰かに持ち出されてしまったんだろうか……?
最後の石はロジャーと共に魚人島を訪れたイヌアラシ、ネコマムシにさえ「所在が分からん」との事だった(82巻)ので、ロジャーの偉大なる航路制覇後に魚人島から失われてしまったのか。
ロード歴史の本文を求めるレベルの大物で、かつ魚人島と縁が深い人物と言えばニューゲートやリンリンが思い当たる。
だがリンリンが魚人島をナワバリとする様になった時点でロード歴史の本文がまだ魚人島にあったなら、リンリンはまずその石を見返りに要求していたと思う。2年前の時点で、石はすでに魚人島から失われていたのではないかと。
それならニューゲートが運び出したのかと言えば、彼はそもそもラフテルに興味を持っていないため、わざわざ運び出す理由がない。
まあリュウグウ王家が大事にしていたのは謝罪文の方だろうし、石を狙う海賊に島を荒らされるぐらいならと、ニューゲートに持って行って貰った可能性もあるが……んー、謎。
イヌネコがルフィ達に対して「魚人島にある」と誤った情報を言わなかった辺り、彼らも石が失われた事を知っているように思える。
2人はロジャーの航海に最後まで同行したワケではないが、いつ知ったんだろう?
いずれにしても、石の行方についてネプチューンに聞くため、ルフィ達はもう1度魚人島を訪れる必要が出て来るのかな…?
そしてその時こそ、「魚人島を滅ぼす」というシャーリーの予言の本当の意味が分かって来るのかもしれない。
■ウォーターセブン
数ページ戻って、ロジャーのウォーターセブン上陸。
船はすでにトムに作って貰ったあとで、今回は2回目の上陸なのね。
在りし日のトムさんの再登場はまあ予想の範疇として、フランキーお前、おでんに会った事あるんかい。
と言ってもおでんは名乗ったワケではないから、フランキー自身も気付いてはいないだろうけど。それにしても数奇な縁というか。
まさか伝説の航海を描いた回想に、麦わらの一味のメンバーが登場するだなんて夢にも思っていなかった。よくよく考えれば、アダルト世代の面々なら十分あり得る事だったんだなぁ。
この頃のフランキーは海賊嫌いの「身なし子」だった様で。
フランキーがトムさんに拾われるのは、今回の回想と同じ26年前。なので、恐らくこの直後ぐらいにトムさんと出会う事になるんだろう。トムとの再会に盛り上がるロジャー一味とは、あえて離れた場所で描かれてるしね。
■建設中の橋
ウォーターセブン出航後、航海の途中で発見している海の上の巨大な橋。
まだ建造中のこの橋だが、これはどう見ても、くまに飛ばされたロビンが行き着いたテキーラウルフと同じ橋。
と言っても、テキーラウルフとは橋の名前ではなく「橋の上にある国の名前」であり、かつその所在地は東の海だったので、偉大なる航路も中盤に差し掛かったこの場所は、厳密にはテキーラウルフではない。

(ONEPIECE 54巻 第524話より)
しかしこの橋がテキーラウルフと同種の橋であること自体は間違いないと思う。
ナンバー付きの労働者に石材を引かせる作業であったり、雪の降る冬島(島じゃねーけど)であったりと、共通点も多い。
要するにこの「島と島を繋ぐ」ことを目的にした橋の建造は、700年に渡って世界中のあちこちで行われているんだと思う。
24年の間に作業が進み、東の海にまで到達したのかもしれないが、700年も続いている作業の進捗がたった数十年でそう大きく変わるとは思えない。あらゆる箇所で並行して作業が行われているんだろう。何の為に……?
ロジャーの最後の航海は概ねルフィ達と似た様な進路で進行しているが、場合によっちゃ、ルフィ達がこの大橋に遭遇する可能性もあったのか。
魔の三角地帯に捕らわれたせいで、多少船の進行ルートが変わったのかな。
■魚人島
記録指針の最終地点にまで到達した一団であろうと、魚人島へと潜る際の危険度に変わりはないらしい。
まあ確かに魚人島を目指した船の到達確立はたった3割なので、2度に渡って航海を成功させているのは中々の悪運の強さ。新世界→ウォーターセブン→新世界という折り返しを成功させたローラ達は冷静に考えると凄い。
魚人島への航海中、深海の海王類の声を聞くロジャー。
それ自体は66巻の海王類達の会話で分かっていた事、かつロジャーやレイリーのセリフもほぼほぼ一緒なんだが、「その場におでんも同席していた」のはあーそうか、という感じ。
おでん様、ロジャーやルフィ同様、ゾウだけでなく海王類の声も聞こえるのね。
モモの助も含め、この4人が持っている能力は「万物の声を聞ける」というアレで共通しているって事で良さそう。その上でゾウに命令を出すことが出来るのは、能力に加え光月の血を引く人物のみであると。
名前が登場するのみで残念ながら本編登場は叶わなかったガン・フォールとは違い、独身大騎士時代の姿をしっかりと見せてくれたのはネプチューン王。
いかにも成り上がりっぽい印象だけれど、王族の血を引いてるのはこっちの方なのよね。てっきりオトヒメが元々王女として生まれたものかと思っていたので、VIVRE CARDの記述を見た時はちょっとビックリした。「オトヒメ」なんて名付けた親御さん、勇気あるな。
ってかそのオトヒメさん、ネプチューンとの結婚前は政治デモとかやってたんかい。
署名活動の時もだいぶ強引な……もとい無茶なやり方を取ってたけど、元の性分からして結構過激派なんだろうか。
デモの決行は数日前の事だった様で、「即位数か月後のネプチューン」の政治に対する不満があったって事になるけれど、どういう経緯で結婚したんだろう。本筋とぜんぜん関係ないところなのに、妙に気になる。
■おでんの帰郷
新世界の航海を進め、遂にワノ国近海にまで辿り着いたロジャー海賊団。
途中、本来なら魚人島から出る指針の1つであったライジン島っぽい、雷の降る島にも立ち寄ってる。ルフィ達のようにどの指針も選ばないという無茶苦茶はしなかった様だけれど、やっぱロジャーも一番針がブレる島を選んだのね。
ワノ国ではオロチが将軍代理の座についてから数か月といったところだろうが、ワノ国はすでに大変な事になってしまっている様で。
煙を噴き出している工場はすでに立ってしまっているけれど、武器の製造はカイドウの支配と関係なく、オロチの判断で始めた事なのかな。
しかしいくら幻獣種の能力を持っているとはいえ、あくまで将軍“代理”の身で着いてくる部下も多くないであろう中、そこまでの無茶が効くのかどうか。
26年前のこの時点ですでにカイドウと手を組んでるんだろうか。あまりにも行動が早いけど、マネマネの老婆があらかじめ手引きしていたのかな。
また82巻で「ラフテルには同行していない」と言っていたイヌネコだが、病のトキを送り届ける際に船を降りたのね。
ピンチの故郷を半ば見捨てる形で飛び出す事になったおでんだが、それでもなお揺らぐ事の無い忠誠心を持ち続けた錦えもん達はすごい。普通なら恨みの1つ2つ持っていてもおかしくないよ。
■ラフテルへ
ワノ国とゾウのロード歴史の本文を回収し、遂に4枚の写しをコンプリート。
いよいよ船は最果ての島へ……というところで、バギーが高熱によりリタイア。
映画『スタンピード』の特典冊子では、ラフテル到達後のロジャー海賊団を描いたシーンへの原作者の指示で、「バギーは影でも描かない事」という一文があった。
その事からバギーがラフテルに行っていないことは判明していたが、それに付き合う形でシャンクスも船を降りていたのね。
「いつか自分の船で行く」という物言いは、「自分の船を持ったら時間をかけて世界を見て回ろうと思ってる」と語っていたシャンクスらしい。
ロジャーが病のために生き急いだ航海をしていた事もあって、折角ラフテルへ行くならゆっくりと人生をかけて辿り着きたいという思いもあったのかもしれない。
とはいっても、現代におけるシャンクス、ロード歴史の本文をひとつも持ってないのよね。
まあロジャー海賊団時代に得た座標情報を記憶しているなら、石がなくても向かう事はできるんだろうけど。
単にまだ向かう時ではないというだけなのかもしれないけれど、五老星との不穏な関係とかもあるので、何とも言えないところかも。流石に、幼少期のこの時点から繋がりを持っていたとは考えにくいけど。
■莫大な宝
魚人島に謝罪文を残したジョイボーイという人物、まあ空白の100年に関係する人なんだろうな~ぐらいにしか思っていなかったけれど、ひとつなぎの大秘宝を遺した張本人だったとは驚き。最重要人物じゃねーか。
しかしその宝の内容……想像できん。
(作者曰く)きちんと形のあるもので、冒険のご褒美足り得るもの。それでいて、見つければ世界がひっくり返る程のもので、かつ見ると涙が出るほど笑ってしまう。ロジャーをして、ジョイボーイと同じ時代に生まれたかったと言わしめる何か。
まったく分からん。そんなものがこの世にあるのか。
最果ての島に「笑い話」という名をつけるぐらいだし、財宝の類ではない事は確か。
そんでこれ、あくまでもロジャー達のような「海賊の感性」を持っている人間だからこそ笑えているもので、一般的な人間が見ても笑えるものなのかも分からない。笑いの感情って、あくまで主観だしね。
そもそもこの「笑い話」のような財宝が、『ひとつなぎの大秘宝』と呼ばれる所以も気になる。ラフテルと違い、ロジャーが名付けたものなのかも今のところよく分かってなかった気がするし。
空白の100年やDの一族といった、「世界のすべて」を知り「ひとつなぎ」にする事で、初めて大爆笑できる何か……?
分からん。さっぱり分からん。
けどまあ、分からんからこそ楽しみよね。いつかラフテルに到達するであろうルフィと一緒にその正体を知れるワケで、更にそのルフィがどういう反応を示すのかも気になる。
ニューゲートの最期の言葉からして、おそらくルフィ達がラフテルに到達したあと、歴史を背負った『巨大な戦い』が巻き起こるのだろうけど、今回のロジャー達の反応からして、ラフテル到達で得られる一番有用なものとしては「歴史や兵器に関する知識」なのかな?
大秘宝に関しては、ご褒美として値するものでこそあれど、実用性の面で価値のあるものでは無さそうな気がする。なんとなく。