←第907話  アニメ感想一覧  第909話→

アニメ版 ONE PIECE
第908話
「宝船到来 ルフィ太郎の恩返し」 
放送日時:2019年 10月 27日


【原作の対応話数】
91巻 第918話 12P~17P
第919話 2P~5P

もくじ
あらすじ
原作からの変更点
感想・妄想・注目点など
登場した技
声の出演



【あらすじ】
博羅町から奪い取った食糧宝船と大量の飲み水は、無事おこぼれ町へと運び込まれた。貧困に飢えていた町人達は、届けられた豪華な食糧の数々に喜びの涙を流す。
一方で、騒ぎを起こさない事をゾロに約束させていたローは、ワノ国への反乱を企ててしまったルフィ達を叱責する。だがこれは、ルフィにとって反乱などではなかった。自分に食べ物をくれたお玉への恩返し。そしてその恩返しは、まだ終わりではなかった。ルフィはお玉に、ワノ国を出ていく頃には、このぐらいの食べ物が当たり前に食べられる国に変える事を約束する。

おこぼれ町の住人達の感謝を背に浴びながら、ルフィ達は町を後にした。お玉の安全をスピードに任せると、一行は同行を申し出たお菊と共に、おでん城の跡地へと身を移す事とする。
20年程前には、九里を統治していた光月おでんが住んでいたとされる城。だがローによれば、その城には今、ワノ国の「亡霊」と呼ばれる者達がいると言うのだった。



【原作からの追加点・変更点】
※セリフや演出の変更点は細かい差異が多いため、気になった箇所のみ紹介

※セリフの色分け
 緑色→原作のみのセリフ
 紫色→アニメで追加・変更されたセリフ
 青色→原作・アニメの共通セリフ(誤差がある場合はアニメ準拠)

■食糧宝船を走らせているシーン
・お玉がスピードをねぎらい、お礼の人参を差し出すシーン追加。
・騒ぎを起こした事について叱責するローに対する、ゾロの「悪かったな」というセリフ追加。その後、更に詰め寄るローに対する「仕方ねェだろ、ルフィに会っちまったんだから」というセリフ追加。
「大丈夫ですか?」と尋ねるお菊に、ローが「大丈夫じゃねェ!」と怒鳴るセリフ追加。
・お玉から人参のおかわりを貰うスピードを見ながら、ローが「なんで敵の真打ちまで…」と呟くセリフ追加。
・ローがお玉に対し、ルフィの行方を尋ねるセリフ追加。

■ルフィがギフターズ達から、巨大な桶に入った水を奪い取る描写が加筆。
・原作第918話にて、ルフィが運んできた桶に潰された3人のギフターズが水の番をしている。ルフィよりも一足早くおこぼれ町に辿り着いている所はそのまま。
・またバットマン以外の、ウサギとヘビのSMILE能力者にそれぞれ『ラビットマン』『スネークマン』の名称が判明。
・スネークマンの口から、この大量の水がオロチ将軍への献上品である事が語られている。

■宝船がおこぼれ町に到着するシーン
・原作で貧困に耐えかねて自害しようとしていた母親のシーンにて、首つり用の縄と包丁が削除。母子の前で老婆が念仏を唱えるだけとなっている。
・上述の母子や老婆はその後、ルフィが運んできた水を涙を流しながら飲んでいる姿が描かれている。
・狛ちよが宝船を急停止させる際、お菊、ロー、ゾロおよびお玉を乗せたスピードが、船から飛び降りる描写追加。

■町人達が大量の食べ物に喜ぶシーン
・宝船の食糧に手を出す町民達を止めようとするギフターズに対し、ゾロとお菊が立ちはだかる描写追加。その後ルフィが運んできた水桶にギフターズ達が潰されてしまうため、戦闘には至っていない。
「なんか美味いもん食えたか?」と尋ねるルフィに、お玉が「まだでやんす。アニキを待ってたでやんす」と答えるシーン追加。
・原作でお玉が食べていたリンゴを、ルフィが直接お玉に手渡す描写が加筆。
・ルフィの「これはおれにメシをくれた玉への恩返し」というセリフが、お玉の頭を撫でながら直接語りかける形に変更。

■博羅町側のシーン
・部下が気絶したホールデムに駆け寄るシーンにて、原作では噛二郎は最初から意識があったが、アニメでは部下の声を聞いて目を覚ます形に変更。
・ホーキンスがスマシで現状を報告する際、ルフィ、ゾロ、ローの名を明確に伝える描写追加。

■おこぼれ町の町人達が、宝船の食糧をそれぞれに運び込むシーン追加。
・お玉が貰ったリンゴを食べた際、その美味しさに喜ぶ描写追加。また「こんな幸せな誕生日はもうないでやんす」というセリフ追加。
「本格的に追手がかかるぞ」というゾロの言葉に対し、ルフィの「ああ、騒ぎは起こせねェからな。お前ら、いいか!」というセリフ追加。

■おでん城跡地への移動を開始するシーン
・ルフィがお玉を抱え、スピードの背に乗せてやる描写追加。
・お玉の「狛ちよ、アニキの力になって欲しいでやんす!」というセリフ追加。

■ローが「ワノ国の亡霊」について語るシーン
・シーンの順序が変更され、お玉たちと別れ城の跡地に向かっている最中のシーンに。



【感想・妄想・注目点など】
※主にアニメ独自の部分についてのみ触れています。
 原作と変わらない部分については、本誌感想の方をご参照ください。


脅威の放送から3か月遅れと言う更新ペースとなって参りましたが、特に気にしない事とします。

■ギフターズ3人組

原作第918話にて、ルフィが運んできた水桶にグシャァン!と潰されてしまった哀れなギフターズ3名。
そのうち、バットマンを除くウサギとヘビのSMILE能力者には原作で名前がついていなかったのだが、声の出演欄およびTV字幕にて、彼らの名が『スネークマン』『ラビットマン』である事が判明しました。まあ、そのままですね。


amarec (20200125-234419)
(TVアニメ版ONE PIECE 第908話より)

ウサギの方は、もう何度もイジッた気がするけども泣きそうになるぐらい恩恵が得られないSMILE能力。
いや……もしかしたら恩恵はあるのかもしれないけど、外見の犠牲っぷりが可哀想すぎる。あれだけのリスクを負わなければいけないSMILEの賭けに打ち勝った結果がコレでは報われなさすぎる。

そしてもう1人のヘビの方……スネークマンて。
ギア4の変身形態とモロ被りである。
「イ」と「ー」という表記の違いで、なんとか差別化を保っている状態だ。「ドレーク」(堕ちた海軍将校)と「ドレイク」(アニオリ少佐)の違いみたいなもんですね。

せっかく名前が判明したものの、これと言って戦闘シーンが描かれたりする事はなかった。ラビットマンの戦い方、見てみたかった様な気はする。
しかし……バットマン、アニメ版のお前に関しては水桶に潰されたぐらいでやられるタマではないだろう。
仮にも覇気を操れる程度の力量はあるのだし、あんな水桶ぐらい……と思うのだけれど、下手に暴れて桶の底を突き破りでもしたら大量の水に力を抜かれて溺れ死ぬ可能性もあったりするかもしれない。意外とどうにもならない状態だった……のか?

原作でもこの後ロクに登場していないので、彼らの出番はここでオシマイなのでしょうか。
スネークマンは地味だしややこしいしでアレだけど、ラビットマンは見た目が面白いのでもうちょっと出してあげても良い気がする。



■水桶を運ぶルフィ

amarec (20200125-224318)
(TVアニメ版ONE PIECE 第908話より)


思ってたよりずっと荒業で運んでた。
こぼれる。っつーかこぼれてる。貴重な水が。

これだけ豪快に飛び移りながら進んでいると、アメトーークの体当たりシミュレーションよろしく、おこぼれ町に辿り着く頃にはほとんど水が残らないんじゃないかと心配になる。
しかし実際に運ばれた水は、ゴール地点にまで至っても並々と残っていたので安心。

……そういや、水を奪ったルフィはそのままおこぼれ町に向かった筈なのに、何故か水の番をしていたギフターズ3人組よりも到着が遅かったな……。
奪う瞬間だけササッと動いて、ギフターズを撒いた後は意外と慎重に運んでたのかもしれない。それはそれとして、バットマンは空飛べるんだから、おこぼれ町になんか向かわずそのままルフィを追跡した方が良かったと思います。



■自害を図る母子

極貧生活を強いられるおこぼれ町の住人達の中でも、その苦しみに耐えかね、赤子共々死を選ぼうとしていた母親。
セリフもない小さな1コマとはいえ中々にショッキングなシーンだったのだが、ショッキングが過ぎたのか、アニメでは流石に描写が変更になった。

IMG_3775amarec (20200125-225951)
(ONE PIECE 91巻 第918話、TVアニメ版ONE PIECE第908話より)



恐らくこの母親は、手にした包丁で我が子を手にかけた後、首を吊って自分の命も絶とうとしていたのだが、アニメでは包丁や縄という自殺を連想させるアイテムがすべて削除に。
念仏を唱える老婆の存在も自動的に、この暮らしを好転させて欲しいと願っているだけのような印象に変わった。

この辺、「おこぼれ町の人々がどれだけ限界に近い暮らしをしていたか」というのがよく分かる印象的なシーンだったのだけれど、まあ……確かに朝9時台から流れる子供向けアニメとしては、ちょっと厳しい描写だったのかな。
勿体なくはあるものの、変更もやむなしですかね。



■お玉にりんごをあげるルフィ

amarec (20200125-234735)
amarec (20200125-234735)
(TVアニメ版ONE PIECE 第908話より)


意図されたものかはともかく、このシーン、シャンクスから帽子を貰うシーンに構図がどことなく似てる。

お玉にとってのエースは、ルフィにとってのシャンクスのような憧れの存在だった。
船に乗せて欲しいと頼むも断られ、またいずれ立派に成長した時にと、再会の約束もした。
けれどシャンクスとは違い、エースはその約束を果たす前に命を落とした。しかしその約束は、意志を受け継いだルフィが、本人も意識しない内に引き継いでいた。

そう考えると、今のルフィはお玉にとって、シャンクスと同じようなポジションにいるとも言える。
当のシャンクスも、15億の首にまで上り詰めたルフィの姿に、「もうすぐ会えるかもな」とその成長を認めていた。

かつて憧れた、ルフィの理想とする大海賊。
その姿を重ね合わせることができる程に、ルフィは強く、大きく成長したのだなと、何となく思わされるワンシーンでした。





【声の出演】
ルフィ・・・・・・田中真弓
ゾロ・・・・・・・中井和哉

ロー・・・・・・・神谷浩史
エース・・・・・・古川登志夫
お玉・・・・・・・潘めぐみ
お菊・・・・・・・伊瀬茉莉也
お鶴・・・・・・・柿沼紫乃
ホーキンス・・・・宗矢樹頼
噛二郎・・・・・・小山剛志
狛ちよ・・・・・・荒井聡太
スピード・・・・・佐藤聡美
バットマン・・・・北島淳司
スネークマン・・・高塚正也
ラビットマン・・・粗忽屋東品川店(山口勝平)

母親・・・・・・・鶴田真希
夫・・・・・・・・深川和征
少年・・・・・・・関根有咲
老人・・・・・・・増谷康紀
町人・・・・・・・中村光樹
男・・・・・・・・大西弘祐 兼政郁人
         寺崎千波也
子供・・・・・・・田口奏弥 間宮香
ナレーション・・・大場真人