週刊少年ジャンプ2020年9号分の感想です。
ネタバレを含むので、自分で買ってから読んでください。 





■扉絵連載

ゴッティくん、海軍に連れて行かれてしまったシフォンを奪い返そうとするも、返り討ちにあってしまうの巻。

本編では地味に戦闘描写がなく、実力のほどがよく分からんのですが、これでもゴッティは9000万ベリーの賞金首。
億越えの域には残念ながら届かないものの、まあそれなりには強いんだろう。

アラバスタ編終盤でのイガラムのセリフを参照すると、1億の首ともなれば本部の「将官」クラスが動き出すらしい。ので、9000万のゴッティを軽くあしらえるこの海兵さんも、おそらく准将~少将ぐらいの地位にはありそうかな?
モブにしてはきちんとしたデザインがされているし、いずれ頂上戦争の様に大量の海兵が登場する際には、コマの隅っこでも良いから再登場するとちょっと嬉しいかもしれない。




■黒炭ひぐらし&黒炭せみ丸

オロチに斬りかかったおでんのシーンで終わった前回の引きから、今回はオロチに協力したババア&ジジイの名前が判明。「わしが誰かなんてどうでもいい」と言っていたけど、やっぱ黒炭家の人らだったのね。ババアの方はともかく、琵琶法師のジジイの方も黒炭家でした。
ひぐらしの方はオロチの祖母だと思うのだけれど、将軍の地位を狙ったオロチの祖父はすでに切腹して死亡済みの筈。せみ丸はその兄弟か何かかな?

マネマネの実の先代能力者であったひぐらしに次ぎ、せみ丸の方はバリバリの実の能力者でしたと。
やっぱ、「既出の悪魔の実の先代能力者が登場する」展開は燃えますね。特徴をよく知っている能力なのでその強さが分かりやすいし、「あの能力を敵側の人物が」という意外性も楽しい。
「一世代に一人のみ」「ただし能力者の死後なら誰にでもその能力を得られる可能性がある」というのは悪魔の実ならではの面白さなので、この辺の活かし方はやっぱ流石だなぁと。

しかしマネマネの実に加えてバリバリの実の能力者まで抱えているとなると、黒炭家の能力者の布陣が鉄壁すぎるな。
マネマネの実は戦闘においてこそ有用ではないものの、直接戦闘以外で国家を奪い取ろうと思えばこれ以上ない強力な能力。そこに相手のパワーを完全に無意味なものにしてしまうバリバリの実の能力が加わるとなると、もうちょっとやそっとで打ち崩せる相手ではないのでは……。

悪魔の実の特徴上すでに故人である事が確定している2人だけれど、仮にこの2人が生きてルフィ達と対峙することになっていたら、それだけでもう大苦戦だったと思う。物理攻撃で崩せない以上、ルフィには対抗のしようがないものな。


能力者死後の悪魔の実の再生法則はハッキリとはしていないが、グラグラの実やサラサラの実(シーザーが毒ガスの化物に食わせてたアレ)の例からいくと、「遺体の傍にあった果実のうち1つが新たな悪魔の実となる」というのが有力な説だったと思う。

が、現在ではマネマネ、バリバリの両能力は、ワノ国から海外に出てしまっている。
上記の説が正しいと仮定すると、「2人の死亡時にワノ国に1つも果実が存在していなかった」とかいう非常事態でもない限りは、「2人が海外で死亡した」または「再生した悪魔の実が海外に流れ出た」という事になるんだろうか。

小心者のオロチの事だから、おでん死後に家臣を整え安全を確保したのち、自分が将軍の座を奪うまでの全てを知る2人を体よく国から追い払う…とかもやりかねない気はする。
……ただ、トキの予言における赤鞘復活を誰よりも警戒していたオロチが、自分の身を守ってくれるバリバリの実の能力者をわざわざ手放したがるかって所が微妙かな……。まあこれは、せみ丸じいさんの寿命が20年ももたないだろうと予想し、それなら早いところ口を封じてしまった方がマシだと思ったのかもしれんけど。

ワノ国内部で再生したのちに海外に流れたのだとすると、カイドウによる裏社会との取引かな?
百獣海賊団の能力者の陣容を見ると、ホーキンスやアプーのように能力を得た状態で加入した人物をのぞき、あんまり動物系以外の能力に興味なさそうだしな……。
犯罪組織に身を置いていたボンちゃんや暗黒街のボスだったバルトロメオと、闇社会にはそれなりに通じてそうだしな、次世代能力者。



……ところで、バリバリの実の能力者はみんなやるんですね、あの指を結ぶ変なポーズ。
これ、てっきりバリアを張る際の条件として指を結ぶ必要があるのかと思っていたのだけれど、原作をざっと見返してみたところ、必ずしも指を結んでいるワケでもなかった。



一応、アニメ版では随所に「指を結ばないとバリアを張れない」と言うセリフがある(描写ミスなのか、手を開いたままバリアを展開しているシーンもあったりしてまちまちだけれど)ようなのだけれど、原作ではコレと言って確認できず。

あのポーズ、やっぱ気分の問題なのか……?
だとしたら、あのお歳でバルトロメオと同レベルの感性を持っているせみ丸じいさんが妙に面白い人になって来たぞ。

指を結ぶ必要性さえないのだとしたら、この能力マジで隙がないですね。指をほどいてやれば解除できるのなら、ハナハナの実の能力で無理やりこじ開けてやるとかで対処できそうだけれども。
「同時に張れるバリアの面積に限りがある」という制約こそあるものの、それなりに大きい階段を作れる程度の総面積が確保できる以上、ピーカやオーズのような規格外に巨大な敵でも現れない限りは弱点にもなってないですし。
バルトロメオがルフィに心酔してくれているキャラで良かったとつくづく思わされる。




■しのぶ

回想編ではまったく出番がなかったしのぶが、ここに来て数コマだけ登場。
いまの熟々とした容姿ではなく若かりし頃の姿なので、見落とした人も少なくなさそう。

25年前というとしのぶはまだ福ロクジュの部下として、光月家のお庭番衆の一員だった頃の筈。お庭番衆の任務として、オロチの出方を見張っていたんだろうか。
オロチとおでんの間で取り交わされた約束の経緯を知る唯一の人物となるワケだけれど、錦えもん達にそれを伝えた様子はナシ。妹分だってぐらいなんだから、錦えもんにだけは伝えていても良さそうなもんだけれども。

んー……現代の光月陣営の中にオロチ側の内通者がいるのであれば、彼女もその候補者の1人ではあるのよね……。
おでんへの忠誠心の強さを散々描かれている赤鞘から内通者が出るのは少し難しくなっているし、もしも仮にしのぶが内通者なら、この一部始終を目撃した事も理由になってくるのかな……?


そういや、しのぶの話では福ロクジュがオロチ側に寝返ったのはヒョウ五郎が従属を断るのとほぼ同時期だったみたいだけれど、わりかしすぐにオロチの馬車に付き従うようなポストを与えられてるんですね。小心者のオロチにしては意外だ。奇襲を喰らう心配とかしなかったんだろうか。

というかこの頃の福ロクジュ、頭短いっすね。今じゃすんごい事になってらっしゃるのに。何があったんだこの20年間。




■バカ殿の裸踊り

む、むごい…………。
名君とこそ言い難いものの、紛れもなく国や家族を救おうと動いた正統な統治者の血筋に対してこの仕打ち……。

国家の簒奪時に「元君主に対する国民からの信頼を落とす」というやり方は、ドフラミンゴと近しい。
むしろあっちの方が町や民衆への甚大な被害を出している分悲惨なハズなのに、何だろう、今回の方が物凄く痛々しい。

リク王ではどう足掻いてもドフラミンゴと刺し違える事はできなかっただろうけど、おでんの場合、真っ向からやり合えばまず勝てるだけの強さを持っているのが余計に痛々しい気がする。それがバリアというチートに武力を無効化され、人質や果たされない約束を盾にされて服従せざるを得ない。海賊王のクルーとして、これ以上に屈辱的なことはないだろうよ……。
色んな意味で、「守るべきものが出来てしまった人間の弱さ」を見せつけられた感じがする。


そしてロジャーの処刑を新聞で知った時のおでんだが、涙と笑いを繰り返すその反応がレイリーと概ね同じなのがとても良い。
まだ子供だったシャンクスやバギーは泣きじゃくるばかりだったけれど、他のクルーは大体がこういう反応だったんだろうなぁ。

IMG_3785
(ONE PIECE 52巻 第506話より)


しかしレイリーと違い、おでんにはとてもじゃないが、時代を作り上げた盟友を弔いながら酒を煽るような余裕を持てる状況ではないのが世知辛い。
ロジャーの偉業を尻目に、その後4年間にも渡ってただ裸踊りを続けるだけの毎日。あまりにもヒドすぎる所業……。
家族や国のために耐え忍び続けるも、それが初めから果たされる事のない約束なんだからつれぇわ。




■鈴後にてモリア VS カイドウ戦勃発

「ワノ国でカイドウと戦い敗北」
    by モリアのVIVRE CARD

よかった、VIVRE CARDの信憑性が少しだけ回復した。

それはそうと、この頃のモリアの海賊団って「ゲッコー海賊団」だったんですね。今は「スリラーバーク海賊団」に改称されてるけど。
戦いで仲間を失ったことがトラウマになって死体ばかり使う様になった人だし、壊滅した以前の海賊団の名前を使い続けたがらないのはまあ、妥当かな。

この頃は刀とか使ってたのね。
今より痩せてて身軽そうだし、本来は意外と近接戦闘タイプだったのか…?



■赤鞘九人男

赤鞘の名前、カイドウとの決戦以降に定着した呼び名だったのか。
タイムスリップ後すぐに海外に出立した錦えもん達からすると、ぶっちゃけあんまりピンと来ない名前かもしれんですね。地武えもんに会った時も、「赤鞘……?」とクエスチョン状態だったのかもしれない。
結局おでんとの再会叶わなかったイゾウは、そもそも赤鞘の一員になった時期自体がなかったと。

9人が揃って立ち並ぶ姿はなかなか絵になる。
傳ジローなんかは久々の登場だけれど、珍しくグラサンが透けて素顔が見えています。っつーか、意外とイケメン。
ぶっちゃけ見た目で言うとそこそこのイロモノ集団な赤鞘だけれど、彼と菊の丞が顔面平均値を大きく底上げしてくれている。
よく「傳ジロー=狂死郎」説も囁かれる彼だけれど、狂死郎の目は彼に比べかなり細いので、あまり似てはいない……かな?

に関しては、20年後の兎丼の収容場で「残雪の菊の丞と同じ面!?」と言われる程に仮面が印象的だったようだけれど、この時は被っていない。
現代での鬼ヶ島へ向かう際は(違う仮面だけど)集合の時点ですでに被っていたので、戦場へ向かう際に気合を入れるルーティン的な意味合いも籠っているのかと思っていたけども。
表情の見えないままに敵を斬り倒していく姿は不気味さもあって個人的に結構好きだったので、次回は仮面を被って戦うシーンが描かれると嬉しいかな。そんな尺もないかもしれないけど。


次回は百獣海賊団との戦い。次回ラストか次々回辺りで、おでん処刑の運びになるのかな?
第920話での焼け落ちるおでん城の回想では、キング、クイーン、ジャックらしき3人のシルエットが描かれていたので、当時の彼らも出てくるだろうか。

…………ジャック、当時まだ8歳だけど。モモの助と同じだよ年齢……。