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アニメ版 ONE PIECE
第909話
「謎の墓標 おでん城跡での再会!」 
放送日時:2019年 11月 10日


【原作の対応話数】
91巻 第919話 6P~17P

もくじ
あらすじ
原作からの変更点
感想・妄想・注目点など
登場した技
声の出演



【あらすじ】
花の都の学校では、ヘビのSMILE能力を持つ先生が子供達にワノ国の歴史を教えていた。だがその内容は、現在の将軍オロチに都合の良いように歪められた話ばかり。光月家を悪とするその教えに、傍を通りかかった光月派の僧侶は苦い表情を浮かべる。
一方、芸者としての修行を積むロビンは、仕事の中で黒炭家御用達の両替屋である狂死郎の屋敷を訪れていた。オロチとの繋がりを持つ狂死郎の会話に聞き耳を立て、ロビンは情報を探ろうとする。20年前に死んだ光月おでんの妻は、死ぬ前に1つの予言のような言葉を残したと言う。その内容から、死んだ筈の侍達が自分を殺すために化けて出て来るのではないか。オロチがそう恐れていると考えた狂死郎は、泥酔した勢いのままにオロチを「小心者」と嘲笑うのだった。

おこぼれ町を出立し、おでん城の跡地へと向かうルフィ達。だがその道中に現れた巨大な虎を迎え撃つために残ったゾロが1人はぐれてしまう。
城の跡地で錦えもんやモモの助、そしてルフィを探していたナミ達と再会したルフィ。そして同盟の「本拠地」となる焼け落ちた城の中にルフィ達を招き入れた錦えもんは、またしても黙っていた事が1つあると、彼らに語り始める。
錦えもんの口から語られる衝撃の事実。それは彼ら侍達が、20年前のワノ国から時を越えてやって来たという事だった。



【原作からの追加点・変更点】
※セリフや演出の変更点は細かい差異が多いため、気になった箇所のみ紹介

※セリフの色分け
 緑色→原作のみのセリフ
 紫色→アニメで追加・変更されたセリフ
 青色→原作・アニメの共通セリフ(誤差がある場合はアニメ準拠)

■おでん城跡までの道中を描いた追加シーン
・ルフィがゾロやローに対し、ワノ国の「亡霊」について尋ねるシーン追加。2人はそれぞれに「行きゃ分かる」と答えるのみで、明確な答えは出していない。
・口に刀を咥えた、右目に傷を持つ巨大なトラが、ルフィ達の後を追跡して来るシーン追加。ゾロはルフィ達を先に行かせつつ、1人で狛ちよから飛び降りてトラを迎え撃つ。これに伴い、原作ではおでん城跡への到着時にいつの間にか姿を消してしまっていたゾロが、アニメではトラとの戦闘後に合流できず迷子になった事になっている。

■花の都での授業シーン

・ヘビのSMILE能力者で首が伸びる先生の名前が、原作では「さらへび先生」だがアニメでは「ろくろ先生」になっている。TV放送時点では原作での名前が判明していなかった事による齟齬と思われる。
・授業の開始と同時刻に、足首に逆三日月の印を刻んだ僧侶が寺子屋の前を通りかかるシーン追加。校舎の中を覗き込み、オロチにとって都合よく改変された教えに対し「何もかもでたらめじゃ」と心の中で吐露している。
・ろくろ先生が首を伸ばした際の子供達のセリフが、「ぎゃーー出たーーーー!」から「出たーーろくろっ首ーー!」に変更。また赤鞘の名前に関し「何で答えちゃいけないの?」と問う生徒のセリフ追加。
・生徒達が開いている教科書のページに、錦えもんら『赤鞘九人男』の姿を描いたページが確認できる描写追加。
「ワノ国は現在のように平和な国になりました」というろくろ先生のセリフの背景で、貧困に苦しむおこぼれ町の住人達の姿が描かれる演出追加。またその後、原作ではまだこの時点では登場していなかったオロチの姿が描かれ、にやりと笑う演出追加。

■居眠り狂死郎の登場シーン
・狂死郎の屋敷にて、彼とオロチに繋がりがある可能性を考えたロビンの「重要な情報が得られるかもしれない」というモノローグ追加。
・狂死郎の「オロチ将軍はこう読み解いた!」というセリフが「オロチさまは」に変更。

■ルフィ達がおでん城跡に到着するシーン
・ゾロがはぐれた経緯が変更になったため、ルフィの「ゾロもどっか行っちまったし~~」というセリフが「そういやゾロも戻って来ねェな」に変更。
・ゾロと刀を咥えたトラが刀を交える戦闘描写が追加。
・錦えもんらの墓を目撃したルフィが彼らの死を疑うシーンが、原作に比べシリアスな演出に。彼らの姿を思い浮かべた後、「嘘だ、あいつらが死ぬわけねェ!」と自らの想像を否定している。
・オバケのような死にかけの顔で現れた錦えもんに、ルフィが驚いて叫ぶ描写追加。
・お菊が駆け寄って来た際の、錦えもんの「何奴!?」というセリフ削除。
・イヌアラシの所在を問うルフィに対し、モモの助の「勿論イヌアラシもワノ国に来ておる」というセリフ追加。

■ナミ達との合流シーン
・錦えもんと連絡を取り、「お城の跡が目印」と言われたナミ達が錦えもんを探して山を登っているシーン追加。
・再会早々ナミに飛びついたモモの助が、ブルックに対し煽るような顔を見せるギャグ描写追加。
「一味に戻られたのだな」と言う錦えもんに対する、サンジの「おう、心配かけたな」というセリフ追加。
・お菊と出会った際、サンジが「何て可憐なレディー!」と目をハートにするシーン追加。またルフィとの再会時にサンジは上半身の服を脱いでいたが、このタイミングでシャツを着こんでいる。
・錦えもんがお菊に対し、「この者達は皆、ルフィ殿のお仲間。心強き、我らの助っ人」と紹介するシーン追加。
・ナミやブルックとじゃれ合うモモの助の姿を見ながら、お菊が「モモの助様、あんなに元気になられて」と目を潤ませるシーン追加。

■廃城の中で錦えもんが話をするシーン
・城内を歩くチョッパーやキャロットが、ボロボロになった木材に足を取られたりして転ぶ描写追加。
・城内に皆を集めた錦えもんが、ワノ国への同行に感謝を述べると共に頭を下げる描写追加。



【感想・妄想・注目点など】
※主にアニメ独自の部分についてのみ触れています。
 原作と変わらない部分については、本誌感想の方をご参照ください。


■ろくろ先生

amarec (20200202-072625)
(TVアニメ版ONE PIECE 第909話より)

ワノ国の寺子屋っぽい学校にて、子供達にワノ国の近代史を教える先生。
本編中では名前が登場しておらず、アニメ版における字幕や声の出演欄では「ろくろ先生」との名称が設定された。
が、このTV放送よりも後に発売されたONEPIECE95巻のSBSでは、彼女の名前が「さらへび先生」である事が判明してしまった。


こう言った出番がほとんどないモブキャラクターの名前がアニメと原作で異なってしまう現象は時々ある。
例えば海軍中将ステンレス(25巻でドフラミンゴに操られた海兵に首絞められてた人)がアニメでは「カイゼルヒゲ」という大変見たまんまの名前にされていたり、
カマバッカ王国の住人ティバニーの名前がアニメでは「エリザベス」だったりもしていた。


最近ではビッグ・マムの子供達の名前の多くがTVアニメ版で先に判明していたので、原作側のより詳細な資料を貰えるようになっているのかと思っていたけれど、さらへび先生に関してはそうでもなかったらしい。

……というよりは、アニメ放送時点では「さらへび先生」という名前自体が作者サイドで設定されていなかった可能性もありそうかな。いくら何でも、出て来るモブ全員に固有の名前を設定しているとは考えにくいし。
名前設定のないキャラにアニメで独自の名前を与えたところ、SBSでの質問に答える際にそれを知らなかった原作者が、後から別の名前を付けてしまったパターンな気がする。


ちなみに彼女、都で大人しく授業なんかやってる辺り、百獣海賊団ではなくオロチ側の部下……と見せかけて、SMILE能力者である事からも想像できる通り普通にギフターズの一員っぽいですね。直接明言されたワケではないものの、原作第943話でのSMILE能力の説明図にて、ギフターズ特有のツノの被り物を付けている姿が描かれているので。

……ってか、同じヘビのSMILE能力者でも、さらへび先生とスネークマン(前話分参照)では能力の現れ方がえらい違いだな。
ライオンのSMILE能力も、能力の現れ方次第ではもうちょっと役立てやすくなってたりもしたんでしょうか。



■狂死郎初登場

オロチ配下における貴重な強キャラ枠こと狂死郎……なのですが、改めて見ると初登場時はほぼ別人だなアンタ。
酒乱ここに極まれり。他の登場シーンではほとんどクールに決めてるのに……。

以降はどちらかと言えば渋めなキャラクターとして登場してくる事になりますが、声が意外と高い。WCI編ではヴィト役をやってた方ですね。元々ONEPIECEは兼役の多いアニメだけれど、WCI→ワノ国はローテーションの間隔がかなり短くなっている気がする。

赤鞘の侍達との交戦経験こそないらしいが、「城内へ追い込み全員焼き殺したであろうが!!」という言葉の雰囲気的に、その現場に立ち会ってたんでしょうか。まあ、9人の侍のうち「城内へ追い込んだ」のは5人だけだと思われるので、大間違いも良いとこなのだけども……(イヌネコに至っては途中で捕まってるワケだし)。

仮に20年前の当時に若手の侍だったのだとすれば、現在は40歳前後ぐらいか。役者が同じヴィト(36歳)よりも一回り甲高い演技だけれど、まあ妥当な範囲内かな。

原作でもまだ未判明だけれど、もしも狂死郎が未だ姿を現さない某侍と同一人物だとすると、どう少なく見積もっても50歳前後……流石にちょっと、無理がある感じは否めない気もする。まあこの辺は原作の展開を待ちますか。



■巨大な虎剣士

amarec (20200202-081821)
(TVアニメ版ONE PIECE 第909話)


何だコレ。

ルスカイナもびっくりのバケモノ猛獣現る。
まあ狒々の存在とかもあるので、ワノ国では剣を使える獣というのはそう珍しくないんだろうけど、にしてもデカイ。

口に咥えた刀に片目の傷と、明らかにゾロを意識した造形の虎さん。
最近では「虎」と言われると「トラ男」からのローを連想してしまうけれど、そういえば麦わらの一味を動物化したフィギュアでは、ゾロには虎の姿をあてがわれていたりもしたなぁ。


戦闘の描写はそこまで多くなかったものの、ゾロがはぐれてしまうシーンは原作では「狛ちよの背に乗っていたハズなのに知らない内にいなくなっていた」と、もはや方向音痴というよりただのじっとしてられない人と化していたので、まあ納得の行く理由付けがされていたのは良かったかな。
仮にも敵の襲撃を1人で対処してくれていた事を考えると、戻って来ないゾロに対するルフィの扱いがぞんざいすぎる気はするけど、まあ信頼の証と取っておこう。



■腹痛の錦えもん

amarec (20200202-083054)
(TVアニメ版ONE PIECE 第909話より)

こわいよ。
お化けとか通り越して、もはやゾンビだよ。モリアの部下に紛れ込んでても気付かないよ。

ワノ国で猛烈な腹痛に襲われるとなると、ベポ同様に汚染された川の水を飲んでしまったものと思われる。
地元民にも関わらず不用意に水を飲んでしまったと言うのも妙な話ですが、彼のワノ国知識には20年分の欠けがあるので、今のワノ国ではここまで汚染が進んでしまっている、というのを知らなかったんでしょう。

……と、原作を読んでいた時には思っていたのだけれど、最近の原作の展開を見ていると、どうやら彼らが未来に飛ぶよりも6年ほど前から、ワノ国には武器工場が建てられ始めていた。汚染がすでに始まりつつあるワノ国に、錦えもんも数年間は住んでいた経験があるようです。

当時の時点では汚染のレベルもそこまで進行していなかったため、まあ大丈夫だろうとタカをくくっていたんでしょうか。しかし錦えもんだってアホではないだろうし、20年も経ち工場の数も増やされている現代では川の汚染がどこまで進んでいるか、想像もできそうなものなのに。
きっとワノ国想いの錦えもんのこと、自分達が国を空けていた20年間の民の苦しみを我が身で体感しようと、あえて水を飲んだんだろう。

しかし屈強な侍である錦えもんですらこんな有様になってしまう毒、子供が飲んだらそりゃあ無事では済まないな。ゾロですら何となく腹を痛めてはいたし。
ゾロから貰った肉を普通に食ってたのに何ともなさげなルフィの胃袋は流石である。まあルフィが腹壊さないの、FILM GOLD曰く「運がいいから」らしいんだけどね。


amarec (20200202-084945)
(TVアニメ版ONE PIECE 第909話より)

どうでもいいけど、腹壊して死にかけてる時に喰らう3メートル近い巨体からのタックル、かなり辛いものがありますね。





【声の出演】
ルフィ・・・・・・田中真弓
ナミ・・・・・・・岡村明美
ゾロ・・・・・・・中井和哉
サンジ・・・・・・平田広明
チョッパー・・・・大谷育江
ロビン・・・・・・山口由里子
ブルック・・・・・チョー

ロー・・・・・・・神谷浩史
錦えもん・・・・・堀内賢雄
モモの助・・・・・折笠愛
キャロット・・・・伊藤かな恵
お菊・・・・・・・伊瀬茉莉也
狂死郎・・・・・・岸尾だいすけ
ろくろ先生・・・・小松由佳
ペンギン・・・・・平井啓二

僧侶・・・・・・・麻生智久
商人・・・・・・・魚建
生徒・・・・・・・れいみ のぐちゆり
         関根有咲 田口奏弥
         久下知秋 鶴田真希
         間宮香
ナレーション・・・大場真人