週刊少年ジャンプ2020年10号分の感想です。
ネタバレを含むので、自分で買ってから読んでください。 






■扉絵連載

キスキス菌、まだ効果持続してるんかい。
いやよく見たら、968話の時にもキス魔に追われてる人いましたわ。

バイキン海賊団はすでにベッジによって討伐済みなので、悪魔の実の能力では無さそうですね。大体の場合、能力者がやられたら能力止まるし。
アレは完全に兵器による産物なんだろう。アホみたいな効果だけど、実際に3億5000万の首をこうやって足止めできている以上、実用性の面ではバカにできたものでは無いと思う。

「民間人を暴走させられる」という点が地味に強力で、悪名高い海賊相手には通用しなくとも、正義を掲げる海軍達はこれだけで一気に手出しが難しくなってしまいそうだ。
バイキン海賊団からこれを奪い取れば、ファイアタンク海賊団の戦力上がるんじゃないですかね。いや、キス魔を先導して戦うベッジ達とか、あんま見たくもないけど。



■スパイ

あっけなく約束を反故にしたオロチに我慢の限界を迎え、カイドウを討つべく動き出したおでんと赤鞘九人男。
しかしその挙兵は何故か見破られており、すでにカイドウと1000人の海賊達が迎撃態勢を整えておりましたと。


うーん、現代の方でも内通者の疑惑は出ていたけど、カイドウの言い分だとスパイは20年前から忍び込んでいたらしい。
まあわざわざスパイがいる事をバラしてしまっているのも不用意だし、実際にはスパイなどいなく別の方法で情報を探っていた可能性も考えられる。が、いると考えた方が色々とスムーズでもあるんだよなぁ。

第968話でおでんが帰還した際の錦えもんの話では、おでん不在時にトキが矢傷を負った際、「裏から手を回されてカイドウの部下が城に潜入していた」との事だった。
いくら河松・イヌアラシ以外の主要な家臣が出払っていたとはいえ、特殊な能力でも持っていない限り敵の城に潜り込むのは容易ではない筈。隠密を得意とする福ロクジュの忍者集団も、当時はオロチには従っていないわけだし。
この辺りも、「城内に敵の侵入を手引きできるスパイが存在していた」と考えると納得できる。


と言っても、20年前のこの戦いの時、敵方には黒炭ひぐらしがいる。
マネマネの実の能力を使えば、敵拠点への侵入や密偵活動など容易い。今回の戦いでもオロチのもとを離れ百獣海賊団の戦線に参加している事から、カイドウと直接コンタクトを取れる位置にもいるはず。

かつ、今回の戦いの中で彼女はモモの助に変身している。モモの助の顔をメモリーしているという事は、どこかのタイミングでひぐらしとモモの助が直接接触したのが確実。ひぐらしがこの5年の内に、誰かの顔を真似て城内に忍び込んだ可能性が高いと思う。

20年前と現代のスパイ(疑惑)がそれぞれ別の人物や方法によるものなら、過去の方はこれで説明もつきそう。なので、「味方側にはスパイなどいない」と考えてもまあ納得はいくかな。故人である事は確定しているので、現代の方はそうは行かないけど。


何にしても、スパイの存在が20年前時点から示唆されているとなると、錦えもん達の側からしてもその存在はある程度織り込み済みだったんだろうか。

康イエが死ぬ前の段階では完全に敵の策に振り回されていた様に思うが、流石に3度に渡って同じ手でやられてしまうのはいただけない。やはり、討ち入り時に一見オロチの良いようにされてしまったのは、何らかの策を打った上での芝居だと思う。
というか、でないとあまりにも間抜けすぎるのでそうであってくれ。



■おでんとの協定

おでんが25年前に結んだ何らかの取り決めは、オロチだけでなくカイドウとの間に交わされた協定でもあったのね。
カイドウと言えば話が通じず手の付けられない奴、みたいな前評判が多かったけれど、酒に酔ってさえいなければ案外冷静。
戦力の差を分析して負ける戦を避けようとするなど、一団のリーダーとして物凄くマトモな判断を下してらっしゃる。

25年前の時点では、百獣海賊団もまだ戦力が整った状態ではなかったらしい。
ゴッドバレーでの見習い時代から13年ほどが経っているが、カイドウの敗北歴を考えると、ロックス崩壊からしばらくは格上の海賊や海軍相手に単独で暴れ回ってたんだろうか。海賊団を組織するようになってから案外そんなに時間が経ってなかったり?


一方で「騙された」側の立場になるおでんだけれど、「話を未来に進めようぜ」5年前の判断をまるで悔いていない辺りが流石。

おでん自身は嘲笑われる立場となり信頼も失ったが、あの時すぐに全面戦争の構えを見せていたら、もっと多くの血が流れる事になったんでしょう。ヒョウ五郎の妻が殺された事には激情を覚えても、自身の名が汚れる事にはなんの後悔もない。
破天荒ながらも何を大切にするべきか、今何をするべきかをしっかりと見定め、行動に移せる辺りに王の器を感じる。


王の器と言えば、アシュラ童子曰くおでんは覇王色の覇気を扱えたらしいのだけれど、今回の乱戦の中でも使った様子はなかった。
11対1000という多勢に無勢なので、うってつけの技だと思うのだけれど。
アシュラはどこでおでんの覇王色を見たんだろう。描写上カットされているだけで九里平定の辺りから扱えてたのか、処刑寸前にでも覚醒するのか。

あと結局、今回の戦いの中でも菊の丞が仮面をつける事はありませんでした。
兎丼の採掘場ではあの般若の面=残雪の菊の丞という認識があったぐらいだし、20年前の百獣海賊団との戦いの中で強烈な印象を植え付けたのかと思ったけれど……違ったらしい。言う程使ってなかったのかあの面……?



■しのぶ

改めて見るとしのぶさん、現在との別人加減がヤバイな。
ココロやカルメルを遥かに凌駕する変貌っぷり。

おでんとはスキヤキが統治する時代に会ったきりらしい。
30年前におでんが海に出た頃に子供だったとすると、今は40歳手前ぐらい……? いや、それはいくらなんでも……アレか。会ったのがおでんが勘当される前(41年前)の事だとすると、48歳ぐらいですかね。それならまあ、相応か。

しかししのぶさん、光月家のお庭番衆として都の方の城に仕えていた事もあり、おでんとは全く接点がないままだったんですね。
錦えもんの妹分という自己紹介をしていたけれど、錦えもんとはいつ知り合ったんだろう。ただのチンピラだった頃には当然接点もないだろうし、おでんが不在だった期間に慕われる様になったのかな。

敗戦後はおでんが機転を利かせた事で無罪放免となった様だけれど、意外と甘いな百獣海賊団。
明らかに敵意を向けて戦線に加わって来たんだし、仮におでんの家臣でないとしても死罪で問題なさそうなのに。
個人的には現在の光月陣営にスパイがいるならしのぶ(かカン十郎)じゃないかと思ってるのだけれど、その辺の都合であえて逃がしたという可能性も……?



■VS百獣海賊団

シルエットのみの登場ですが、明らかにクイーンとキングらしき強敵が出てますね。
ジャックは見当たらず。流石に8歳児だし、まだ団に加わってないのかな……? 91巻の回想じゃ、3人分の巨漢のシルエットが描かれていたけれど。イヌネコとも別に顔見知り感はなかったしな。

そしてどうもキングさん、アシュラ童子を背後から刺したり、雷ぞうの額の三日月型の傷の元凶っぽかったりと、地味に色々と因縁が出来ている。
討ち入りの際はこの辺の雪辱戦みたいになったりするのかな……?


しかし改めて、おでんの強さが想像の上を行っている。
ロジャーとニューゲートのブツかり合いを見た時は「触れる事すらない攻撃」に驚いていたけれど、斬撃で百獣海賊団をまとめて吹き飛ばしている辺り、あの後でマスターしたんだろうか。

何にしても、九里でアシュラ童子を始めとするチンピラ達を統一した頃よりも遥かに強くなってますね。
白ひげ海賊団、ロジャー海賊団という世界トップの海賊団で何年も冒険して来たのだから、当たり前と言えば当たり前なんだけど。


現在でも残っているカイドウの腹の十字傷をつけたのもおでんだった。
以前日和は、閻魔の事を「カイドウに唯一傷をつけた刀」と称していたが……この描写を見ると、おでんは閻魔と天羽々斬の二刀流で同時に斬撃を放っている。唯一じゃないね。

日和曰く、おでんは処刑される直前に2本の刀を子供達に託したと言っていたが、決戦には普通にこれらを使って挑んでいる。
おでんと一緒に囚われた9人の侍は何とかして脱出する事になるんだろうし、その際に彼らを経由して飛徹に渡される事になるのかな。


この世における最強生物などという触れ込みもされているカイドウだけれど、この時点ではおでん相手に劣勢気味。おでんと一幕時点でのルフィの間には、そこまで大きな実力差があったんだろうか。流石に、伝説の海賊団クルーの全盛期の強さだ。

まあおでんが強かったこと以上に、この時点でのカイドウ自身が、現代の様にそこまでの圧倒的な実力者というわけでは無かったのかもしれない。
勿論強いことは強いんだろうが、ロジャーやニューゲートに比べれば1つ劣る海賊だったんじゃないだろうか。
ここから更に20年が経過し、不死身(?)の肉体にも更に磨きがかかり、「サシでやるならカイドウ」と呼ばれる程の名実ともに最強の生物と化したと。

当時の冷静さはどこへやら、今では自殺願望の果てに世界ごとぶっ壊す戦争を起こそうと考えているカイドウだけれど、どこでタガが外れてしまったのやら。
自殺願望自体はこの頃から持ってたんだろか。謎が多い。



しかしまあ、今回の回想におけるワノ国簒奪のMVPは、まごう事なき黒炭ひぐらしですね。
というか、マネマネの実が凶悪すぎる。
おでんに一瞬の隙を作らせるためのピンポイントな活躍により、劣勢に立っていた百獣海賊団側に大逆転のきっかけを生んでしまった。
というか、基本的にオロチの傍にくっ付いてる従者や助言役的なポジションに収まってるのかと思ったら、しれっと戦場に現れるフットワークの軽さが怖いよ。

ボン・クレーとサンジとの戦いの時には「タイマン勝負だったこと」「相手の能力を事前に知っていた事」「オカマ拳法との相性の悪さ」「ボン・クレー自身のキャラクター性」などから、戦闘時にそこまで凶悪な性能は発揮しなかったが、乱戦において奇襲気味に使われた日にはこうも決定打を作る働きをしてくるのだなぁと思わされる。



結果的に敗北する形となったおでん達は、羅刹町の牢屋敷に投獄。
3日後に「釜茹での刑」に処される事になりましたと。

おでんの死に際の言葉でもある「煮えてなんぼの」というフレーズは他所でも使われていたけれど、文字通りの「釜茹で」だったんすね。
一体どんな温度でどのぐらい茹で続ければおでんを死に至らしめられるのか想像もつかないけれど、彼がここで死亡するのはほぼ確定事項。

後は、赤鞘の侍達がどうやって脱出するのかかな……。スパイでないなら、しのぶ辺りが手引きするんだろうか。
特に傳ジローは現代においても行方が分かっていないので、この後どういう動きをしていたのかが気になるところ。