週刊少年ジャンプ2020年17号分のONE PIECE感想です。
先日発売の96巻が、もうこれの1話前まで収録されていてビックリ。
電子版で17号のバックナンバーを買うだけで、月曜から本誌派に切り替えられる計算になります。興味のある人はぜひ。








■扉絵連載

必死でシフォンを助け出したゴッティくんはお手柄だったのですが、救出されたシフォンは人違いでしたの巻。

まあ概ね想定通りというか、ローラが間違われてたんでしょうね。本来ならシフォンに比べて髪が長いのですが、捕らわれた場所が美容室だったというのがミソだったと。
シフォンがベッジに嫁いだこと自体知らないのかな、ローラは。まあシフォン自身の悪名が皆無な以上、ベッジの傘下入り自体は報道されても、娘のうち誰と結婚したかまでは大々的に名が上がらないかもしれないしなぁ。

しかし仮にも海賊船長であるローラ自身の悪名より、「ベッジの妻」としての人質的価値の方が勝ってしまってるのが哀しい。デュバルみたいだ。
3億5000万の大型ルーキーと、2400万の(新世界としては)弱小一味じゃ、まあ仕方ないけどもね。



■捕まったしのぶ

ローラメインの扉絵から1ページめくったらしのぶさんが縛られてる絵面のコンボ、濃ゆすぎて胸やけしそう。

先週の時点では、正体を現したカン十郎がいつの間にやらモモの助に接近してたんで、私はてっきり「能力でしのぶの姿を着込んだカン十郎が成り代わっていた」のかとでも思ってたんですが、普通に縛り付けられて倒れてただけだったみたいです。
錦えもん達の死角に隠れて、ひっそりと様子を窺ってたのね。347cmの巨体にハデハデな格好、相当目立ちそうですけど。スパイ活動といい、雷ぞうよりも忍者忍者してる気がしないでもない。

あとどうでも良いけど、敵としてのカン十郎が「ルフィ」と呼び捨てにするのがちょっと意外。普段呼んでいた「ルフィ殿」から敬称を取っ払っただけなのだけど、敵方の人らって多くが「麦わら」呼びだし。
ワノ国の人間である事に加えて、この時代にやって来たのがつい最近だからルフィの異名に馴染みがないのかな。



■麦わらの一味合流

砲撃を受けて沈められたと思われたサニー号ですが、普通に無事だったらしいです。
確かに、アダムの強度を持つ船を砲撃で沈めようとするのは容易じゃないか。素手で引き千切ってたリンリン、改めてどんなバケモノだってカンジですね。
木製部分の強度に比べて帆を傷つけられると弱いという難点も現れているし、ベラミーが修業している町の「破れない布」が使われる日も来るのかな……?

一味それぞれの衣装も結構変わってますね。
ルフィは甲冑を早速脱ぎ捨て、普段の衣装に海賊コート的な上着を羽織った格好。先週も首付近だけ描かれていたけど、カッコいい。意外とサマになってますね。
まあこれ、戦いが始まったら速攻で吹っ飛んでいきそうですけど。他キャラなら謎の重力で固定されてそうだけど、ルフィだし。

ゾロは魚人島編のデフォルト衣装とほとんど変わらず。
サンジもそんなに変わり映えはしないけれど、手袋をはめてるのは少し珍しいかな。まあこっちは、戦うとなるとおそばマスクの姿になると思うんで、あまり見る機会もないかもしれないけど。
おそばマスクの衣装デザイン、手直しを頼もうと言ってましたけど、変更はあるんですかね。個人的には正直、ヒーローにあまり興味がないので、テイスト変わってくれてても良いんだけど。

「ウソップにも見せてやりてェ」と言われていた鎧兜だけれど、当のウソップは軽装の鎧だけを着込み、忍者っぽい見た目になってる。やっぱ憧れなんですかね。
身軽さがウリのブルックは結局鎧を取っ払ってたり、チョッパーの鎧が微妙に変わってたり。ナミも鎧ですね、あまり防御力に期待できそうにない面積の少なさだけど。
ロビンは着物。フランキーは……なんか凄いゴテゴテしてる。三日月の意匠のついた兜は光月家イメージなのかな。



■飛行系ギフターズ

サニー号を壊し損ねた3人組、なんかもうそれはそれは恐ろしい勢いで情報をベラベラ喋ってくれる。
ルフィ達の足を止められなかっただけでも失態なのに、こんなに鬼の様な情報漏洩をしでかして平気なのか。ルフィ達の危険度を知らないせいで、勝った気でいるんだろうか。鎖国国家の悪いとこ出まくってる。

船や橋を壊した件はともかくとして、ビッグ・マム海賊団と百獣海賊団の同盟についてコイツらが喋ってくれたのは有難いっちゃ有難い。
知らずに向かって不意を打たれるよりは、いくらか心構えもできますしね。いやまあ、心構えの1つや2つで何とかなる敵でもないんですけどね。



■3船長の戦い

戦功を張り合う船長たちのシーン、流石にというか、えらく気合が入って描かれてますね。ただの雑魚戦なんだけど、迫力が凄まじい。
特にバウンドマン、普段はハッキリ言ってイロモノ系の見た目なのだけれど、今回のシーンに関しては顔立ちが数割増しでイケメン化している気がする。目元が鋭くなってるからかな。まあ、顔は良いに越したことはありません。

そしてキッドくん、登場から10年以上を経てようやく新技を貰えました。
これまで多くのゲーム作品に出演する中で、長らく『反発(リペル)』1本で食って来た哀しい境遇がようやく報われる。

と言ってもまあ厳密には新技じゃなく、腕に金属片を纏わりつけて巨大化させる技に名前がついただけではあるのだけど。
その名も磁器魔人
パンクロットン
。パンク……パンクでしたか。ヘヴィメタではなかったのか。
この両腕に大量の金属を取り付ける技は海賊無双4にも登場しているのだけれど、発売日ギリギリで名前が判明したため流石に間に合わんかった模様。アプデとかで、名前だけ変えてあげられないかな。

ほんでローさん、3人の中では唯一自分の姿を変化させる技を持っていないので、ROOMの展開でお茶を濁すのであった。
ちょっと疎外感感じてない?平気?



■狂死郎の離反

そのリーゼント、ヅラだったんかい。

留守番の任務をほったらかして海上に駆けつけた狂死郎親分、百獣海賊団の船を斬り付けると共に怒涛の種明かしです。
怒涛過ぎて、ちょっと流れに付いて行けない所があった気もする。1人だけ都に残っていたわけだし、ワノ国の方で工作でも行う作戦なのかと思っていたけれど、普通に討ち入りに加わるのね。
これで本土の方、日和が完全にフリーになってしまった。未だに立ち位置がよく分からん人なのだけど、どういう役割になるんだろう。

狂死郎のオロチ陣営離反によって、羅刹町から解放された1000人の侍だけでなく、200人の狂死郎一家も味方に加わる事に。
と言うと、あの十八番そばを台無しにしてサンジ達に成敗されたクニさん・スケさん・カクさんも今は味方って事になるんですかね。まあそれなりに負傷してたし、戦いには参加しないかもしれないけど。

あの3人が如何にもな小悪党だったんで、「こいつら味方で大丈夫か」感もなきにしもあらず。まあ回想を見てた感じ、元々は狂死郎のカリスマ性で組織した一家っぽいんで、彼が味方にいるうちは問題なさそうか。



■トカゲの判じ絵

以前、ワノ国の将軍オロチ様は錦えもんに対し、こんな評価を下していました。
「リーダー格 錦えもんは頭の切れる男だ!!」

恐らく、当時オロチ様のこの言葉を聞いた読者の大多数が、こう思った事でしょう。
「そうか……?」

ハッキリ言ってキンさんに、切れ者というイメージは全然なかった。
いや、そりゃ5000人規模を動員する戦いの指導者なのだし、当初の作戦立案は概ね彼が担ったのだろうから、まったくの猪武者ではないでしょう。
しかし思い返してみても変態性の強さばかりが目立ち、賢そうな場面が浮かばない。
おでんの回想を見返しても、参謀的な立ち位置は傳ジローに任せていた様にしか見えませんでした。

しかしそれでも劇中で実際に切れ者と評価されている上、この時にオロチ様が語った不安の多くは現実のものでもあった。なので、「まあ描写されてないだけで多分そうなんだろう」ぐらいに思っていた。

それがまさか、智謀ではなく単なる剛運でなんとなく計画が成立してしまうが為の過大評価だったというズッコケっぷり。
笑いました。なんかこう、凄くONE PIECEっぽい。
アホだけど、そのアホさが却って大物感に繋がってるカンジ。リーダー格って、こういう周到さだけじゃない、運を引き寄せる才能も必要よね。


個人的には当初、「錦えもんの切れ者っぷり」が今までにあまりにも感じられなかったので、ここらで内通者を欺く一計を見せつけて挽回して欲しかったんですよね。内通者の疑惑を放置したまま決戦の日を迎えてしまったのも、不用意なものを感じていたし。
でもこういう流れなら、全然オーケーです。だって切れ者じゃないんだもの。

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(ONE PIECE95巻 第954話より)

見返してみると、錦えもん自身も「(トカゲにしては)ちと長い」と漏らしていて、暗号の解読に多少の無理がある事は示されていたのね。足という割に、腹から上に線が貫通しちゃってるし。

橋の爆破シーンを見ても、侍達は「向こう岸に渡れない」と言っているだけで、「決戦に間に合わない」という様な事は言ってなかった。
これは既に橋を渡り切った後の様子だったんですね。「向こう岸に帰れない」という。完全に作者の手で踊らされていた。


周到な作戦が錦えもんのミラクル1つで完全に潰されてしまったオロチ様ですが、こうなってしまった要因には狂死郎が言う様に土地の距離を見誤ったこと以上に、作戦の意図を実行犯に伝えていなかった事が大きいかと。
傍目には、死んだ筈の侍達に怯える臆病者。かと言って、情報源であるカン十郎の事を部下に話せば、そこからスパイの情報が漏れるかもしれないからそれも難しい。

どの道信じて貰えないならと、オロチ様はすべての計画を1人で立て、「何をするべきか」だけしか部下に伝えなかった。
その結果、実行犯達は確かに橋を落としたものの、命令の意図をよく理解していなかったため「侍達の足止めが出来たかどうか」までの確認をしてはくれなかった。
なまじ情報源や作戦に絶対の自信を持ち、信頼関係のない味方との意思疎通を怠ってしまった結果、敵方の想定外のミス1つでひっくり返されてしまったと。



そういえば、侍達の全滅こそ免れたものの、お鶴が住んでいるおこぼれ町が焼かれたという部分に関しては続報が無いんですよね。
都に残っていた傳ジローが手を回しているものかと思ったけれど、今回特に言及はされておらず。うーん、流石に康イエと違って必要な犠牲とは言い難いので生きていると思うんだけど、ドレーク辺りが動いてるのかな……?

次回は遂に討ち入り開始ですかね。