時代劇っぽいサブタイなのに、ONE PIECEでこの響きを見ると『お控え・ナ・鞭打』が浮かんでしまうのでいけない。
週刊少年ジャンプ2020年19号分のONE PIECE感想です。
ネタバレを含むので、自分で買ってから読んでください。
■錦えもんの天然
赤鞘みんなにバレてんのかい。
昔から結構、こういう事あったんだろか。
「流石は錦さんだ!!」とか言いまくってた狂死郎の方は……「切れ者がいる」と敵に思わせるためのブラフなのか、はたまた彼だけは愚直に錦えもんを信奉しちゃってるのか。
何となく、後者っぽい気がする。おでんが山の神を斬った時の反応と言い、あの子どうも、1度ホレ込むと妄信的になるフシがあるからなぁ。
策でも何でもなかった事が皆にバレバレの状態で持ち上げられまくった錦さん、大層恥ずかしかった事だろう。「よせブリュレ」状態。
しかしまあ、赤鞘の皆さん「正直に言ってみろ」とか言ってますけど、錦えもんの解読ミスについて誰か訂正してやるヤツはいなかったのか。
……と思いながら読み返してたら、第954話で錦えもんがナミに暗号の解読法を説明してる間、赤鞘の人らって同席してなかったんですね。
ちょうど彼の答えである「常影港」の名が出た辺りで、徐々に合流してくる形になってる。彼ら、錦えもんがどういう過程で解答を導き出したのかまでは聞いてなかったみたい。
と言うか、錦以外のメンバーはそもそも新しい判じ絵自体を1度も見てなかったのか。
判じ絵は死の間際の康イエが牢の中の侍達に見せ、そこからベポ→ナミを経由して錦えもんに手渡された。そのまま錦えもん以外の誰かが判じ絵を目にする機会がないまま、各地の侍達に「ハブの腹に線二本」との情報が伝達された。
そのまま錦えもんは赤鞘達にも判じ絵を見せたり、解読方法を伝える事なく「常影港」とだけ伝えている様子。
「判じ絵を直接見せなかった」という気まぐれが、奇跡的に内通者に集合場所を錯覚させるという結果を生んだわけですね。
なんつーか錦えもんさん、運命に愛されているとしか言いようがない。一歩間違ったら総崩れだよこれ。
カン十郎が見なくても、赤鞘の誰かが判じ絵を見た瞬間「違うぞコレ」と突っ込まれて終わってたかもしれない。なんて剛運だ。
そんな剛運を発揮した錦さん、何やらセルフで死亡フラグを立ててますが、うーん。
WCI編でのペドロの事もあるし、近年のONE PIECEの作風を考えると、赤鞘の誰かが命を落とすぐらいの事はあってもおかしくないっちゃないんだよな……。
まあトキの歌の事もあるし、ある一定のタイミングまでは犠牲者は出ないだろうけども。モモが「夜明けを知る君」となった後なら、死者出ても普通におかしくないっすからね。
「生まれも育ちも違おうが死ぬときは一緒」というのはベッジの時にも引用された、三国志の桃園の誓いを元にしたセリフだろうけど、その桃園の三兄弟だって、結果バラバラに死んでますからね。
ただまあ、こう見える形でフラグを立てられると、逆に錦えもんは生き残り、他の誰かが死ぬというフラグにも見える。
死ぬなら誰だろ。……傳ジローかな。なんか知らんけど、死相が見える。根拠は何にもないけど。
■河松 VS カン十郎
荒波の中でも関係なく、瞬時に距離を詰められる魚人族の強み発揮。
96巻のSBS曰く、トラフグの魚人らしいですね。タイヨウの海賊団のワダツミが「オオトラフグ」の魚人なので、そのちっこい版ですか。
SBSでは「本人が河童と言い張ってるのでカッパで」と言われてましたが、カンさんには「魚人野郎」呼ばわりを受けてしまった。もう彼らの知るカン十郎ではない事が分かりやすい。
種族差別勃発。まあアーロン編じゃ、ゾロやサンジも半魚だのサカナ野郎だのひでぇ言い様だったんスけど。
魚人と人魚のハーフを「半魚人」と呼ぶ世界観での半魚呼ばわり、種族主義のアーロンからしたら結構ピキッてたんだろうなぁ。
しかしカン十郎って、覇気使いである事以外にはイマイチ戦闘力が分かりにくかったけれど、河松の奇襲を容易く受け切る程度には強いのね。
というか武器、筆て。改めて刀を受けている光景を見ると、凄く異様だ。
仕込み刀とかでもなく、このまま鈍器として振るうのが正しいのかな。
まあカン十郎の場合、単純な実力以上に能力が非常に厄介なので、武器を使った勝負に持ち込むまでさえ苦労しそうだけど。
召喚した動物の飛行能力もきちんと再現出来るって事は、それこそ龍やなんやを呼び出せば相当な脅威になりそう。マジメに描けば、りゅーのすけみたいなポンコツにはならんだろうし。
武器や兵器の類も再現できるのかな? 絵で再現できない毒ガス兵器なんかは流石に難しそうだけど。
そんな中で今回使用した技である『墨雲 浮世夕立ち絵図』なんかは、墨の矢を雨の様に降らせるという明らかに「雲」の機能を超越したものになってる。
描き出したものの形状や質量は自在に操れるのだろうから、それを利用した技ですかね。
なんか髪ブン回して筆として扱ってますけど。クマドリか君は。
おでんに出会うまでは「刈り取った髪を筆にして売っていた」そうなので、そこからの着想だろうか。
しかし『浮世夕立ち絵図』……「夕立ち」かぁ。
夕立ちって、カン十郎が(おそらく)おでんの家臣になった後に取った異名でもあるんですよね。元は『希美の妖怪』だったし。
これは錦えもんらが見た事のない技という事で、「夕立ち カン十郎」ではなく「黒炭カン十郎」としての技なんだろうが、その技名に「夕立ち」の文字を入れているのはどういう心情なんだろう。
彼の中にまだ光月家家臣としての自分が生きている様にも取れるし、逆にこの文字の含まれた技で光月の家臣達を攻撃している皮肉にも取れる。
まあ深い意味とかないのかもしれないけど、なんかちょっと気になる技名だった。
■モモの助と日和
モモの助、男を見せるの巻。
ただ威張ったりビビり散らかしたりするだけだったパンクハザード時代に比べたら、えらい成長っぷり。
「光月おでんの息子」ではなく1人の人間として、対等の自分を見て、崇拝や庇護ではなく「友達」として力を貸してくれるルフィの存在は、やっぱり大きかったんだろう。
兎丼で解放された奴隷達を見て、父の偉大さを再確認した事が大きな覚悟に繋がった様です。
カン十郎は日和については「殺す」と発言している反面、モモの助はすぐには殺さず、連れ去ってしまった。
ただ光月の血を断絶したいだけならこの場で殺してしまえば良いし、わざわざ連れて行くのはモモの助にまだ利用価値があるからなんだろう。
もしくは、オロチが光月家が終わる瞬間を自分の目で見たがっているか。
オロチはまあ人質とか平気で取りそうだけど、ひぐらしババアの末路を知っている以上、カイドウの戦いに人質を持ち出すのは、余程の事が無い限りしない筈。
ならやっぱり、カイドウが知りたがっている「世界の秘密」を聞き出すための重要参考人っていうのが一番考えられるかな。
カン十郎らが過去から飛んで来た事を知った時、カイドウは「聞きたい事ができたから殺すな」と言っていた。
にも関わらず、今回錦えもん達を迎え撃った百獣海賊団に生け捕りの指示が出ていた雰囲気がまったく見えないのは、情報を聞きだす相手をモモの助に絞っていたからだと思う。
特に歴史の本文の解読ができるのはロビンや覚醒した三つ目族といった特殊事例を除き、読み書きを伝えられた光月家だけなので、そういう意味でも跡取りであるモモの助を殺してしまうのはマズいのかもしれない。
と言っても実際には、モモの助は世界の秘密について何も聞かされていないだろうし、古代文字の読み書きについても伝授される前におでんが死んでしまったので、技術は完全に途絶えてしまったのだけれども。
モモの助がダメだと分かった時、次に狙われる可能性が高いのはロビンなんだよな。ゾウで狙われるフラグも立ってたし。
■操舵手・加入
ついに揃った10人目。
8巻で名前だけ登場。
54巻で初顔見せ。
66巻で勧誘され、86巻では仲間入りが確定し、VIVRE CARD等でも仲間として扱われていた男。
97巻収録分になる今週号にて、ついに麦わらの一味への合流です。長かった。
いや本当に長かった。
勧誘から8年経ってるからね。30巻経ってるからね。
30巻ったらアレよ、海に旅立ったルフィが空島でエネルとドンパチ始めるぐらいの時間ですよ。その間に仲間が6人も増えてる分量よ。
あまりにも引っ張られるもので、正直これはビビと同じ、「仲間として繋がっているものの旅には同行しない」メンバーになるのかな、とも思ってた。
長く続いたルフィ・ゾロ・サンジの三強体制も崩れるし、年季的にも実績的にも、頼りになりすぎて操舵手と同時に実質的な副船長ポジションに落ち着いてしまいそうな懸念もあった。
でも今回、海底の生まれにして誰よりもワノ国生まれっぽい口上と共に、堂々と駆けつけてくれました海峡パイセン。
この口上、ジンベエのキャラソンの「海峡親分見聞録」冒頭のセリフをイメージしてるんですかね。
「手前生国と発しますは」「人呼んで海峡のジンベエ」のとこ、ほとんど合致してる。ワノ国のイメージにも合うし、逆輸入したんだろか。
これは流石に、完全に仲間入りって事でいいんですかね。
見た感じ大きな負傷とかも抱えてなさそうだし、戦いに耐えれない身体になってしまっているという事もなさそう。
一味のパワーバランスに関しても、これから先は大幹部の時点で七武海を超える実力者が集まっている四皇との戦いになる事、ゾロやサンジにそれぞれ閻魔やおそばマスクと言った強化イベントを貰った事もあって、特に問題ない段階には来てるのかな。ちょっと正直、チョッパー等の下位打線がどうにもならない事態になりつつある気はするけど。
ゾロに関しては、新世界に入って未だに限界が見えてない感じもあるし。
彼が入る事によって海戦でのバリエーションが増えて来そうな、目次ページの作者コメントを見るに海戦が描かれる事はほとんどなさそうな。どっちになるでしょね。
ジンベエが加入すると聞いた際の、ローとキッドの反応が面白い。
そういやロー、長く旅に同行してたけど、彼の加入についてまでは知らんかったか。
魚人島、WCIと、新世界においてジンベエが絡んだエピソードは綺麗にローが欠席だったし。意図的ですかね。
世間では既に報道された内容だけれど、WCI編終了時点で2人ともワノ国にいたから情報を見てないのね。
ローはまだ頂上戦争に関わっていたから、ルフィとジンベエの繋がりに合点は行くかもしれないけれど、キッドはびっくりでしょうね。
同期のライバル一味に、経験豊富な超大物が加入しちゃうわけで。Jリーグのライバルチームにイニエスタ入って来ちゃったよ、みたいな。
懸賞金については、VIVRE CARD内で判明した金額から変更ナシ。
ベッジが5000万アップしてたんで、彼も上昇するかと思ってたけれど、やはり船長といち船員では話も違うのかな。
まあどっちにせよ、サンジに1億の差をつけて一味内第2位に入り込んで来る高額っぷりなんだけど。サンジ、短い天下だった。
どうでもいいけど、ジンベエが「“麦わら”の親分さん」と言ったすぐ後にウソップがジンベエを「親分」と呼んでしまってるのが何か面白い。
ついでにこの場には狂死郎もいるから、親分が3人いる事になってしまうよ。
まあ……風格あるしな、ジンベエ。
魚人島でもWCIでも使われていた愛称だし、やっぱ根付いたイメージは強い。
次回、鬼ヶ島に向けて出撃再開ですかね。
海戦は続くのか否か。
キング率いる飛行ユニット軍団とか出てきても面白いかもしれないけど、あいつら、今頃金色神楽でフィーバーだろうしな。