気付いたら1000話を突破していました。
1話完結のお話ではなく、連続したストーリー性を持ちながらこれだけの話数を重ねる長大な物語が、どれだけあったでしょう。
まあそれが、時として読み始めるまでのハードルになってしまう事も多々あるとは思いますが、ここは素直にお祝いしましょう。おめでたい。


なんだかんだでお久しぶりになってしまいました、本誌感想です。
最悪の世代と四皇の激突が描かれる全3話、まとめていきたいと思います。

週刊少年ジャンプ 2021年5・6合併号~9号までのネタバレを含みます。
未読の方は自分で読んでからみてください。




☆イヌアラシ三銃士
共に城内を駆けていたサンジがブラックマリアと、ジンベエがフーズ・フーと対峙する中、ルフィは屋上へと続く階段まで到着しておりました。

さっきまでジャックとの大激戦を繰り広げていたミンク族達が、雑魚を蹴散らして道を開けてくれたんですね。かなり傷付いていた筈ながら、問題なく戦えている辺り流石の戦闘民族。ゾウ編ではジャックのタフさが強調されていたけれど、こっちも相当だよな。

しかし彼らがいくら強いとはいえ、流石にカイドウ相手には手も足も出ない。光月家の家臣として、モコモ公国の戦士として、イヌアラシやネコマムシと共に戦いたい気持ちは強かったでしょう。しかし、それは叶わない。悔しさも募っていただろうと思う。だからこそ、雷ぞうを守ったことを忘れないというルフィの言葉には救われる面も大きかったんじゃないかな。

あとルフィ、シシリアンのこと個人として覚えてたんだね。意外すぎた。名前間違ってたけど。イヌアラシの家臣なのにネコマムシに呑まれてたけど。


☆マルコ VS キング&クイーン
ゾロをカイドウの下へと送り届けようとするマルコ。それを妨害しようとするキング、クイーンですが、全然効いとらん模様
なんなんすかね、マルコの無敵っぷり。
前のお話では、マシンガンを受けて首が千切れる寸前になるほど肉体を損傷してたのに、何食わぬ顔で再生してます。
もうほとんど実体無いよね。ロギアって言っても通用するよね。
マルコにロギアガードのシステムを適用したバーニングブラッドのスタッフは何も間違ってなかった。

「元」とはいえ同じ四皇の最高幹部2人を相手にこの戦いぶりな辺り、やはり四皇の中でも白ひげ海賊団の戦力は1歩抜きんでていたんだろうか。単にマルコが突出して強かっただけかもだけど。
まあ、流石にキングとクイーンもこのままでは終わらんだろう。このまま戦い続けるなら、もう少しマルコを窮地に落とすところが見れる筈。たぶん。
あくまで助っ人枠だし、ゾロを送り届ける仕事を果たした今、一旦別のキャストと交代かもだけど。対戦カードを見るに、順当に行くとサンジが交代枠だからなー。

ほんでクイーンさん、前の話でも口からマシンガンを覗かせてて驚いたんですが、首にもなんか改造が施されてますね。
機械仕掛けになっていて、元々長い首を更に伸ばせるようになってるのか。フランキー同様の改造人間なんでしょうか。
まあ白ひげ傘下にも、ヴィタンというサイボーグ海賊がいたんで、新世界では改造人間の技術は稀に存在するものなのかもしれない。
クイーン自身かなりの科学者っぽいし、ジャッジとも面識ありそうだったしなー。


☆ゴムゴムの業火拳銃
レッドロック

ルフィが屋上へと到着する頃には、すでにゾロ、ロー、キッド、キラーといった最悪の世代の面々が、四皇カイドウ、リンリンと対峙していました。
同時に、カイドウに敗北し倒れた赤鞘九人男の姿も。

ルフィに対し敵意剥き出しの四皇2人を完全無視して錦えもんの下に歩み寄るルフィがいいですね。
錦えもんたちがおでんに寄せた想いの強さは、ルフィも重々承知している筈。「ワノ国を背負う」というのは、言葉で言うほど簡単なことではない。
けれど、ルフィは「当たり前だろ」と頷いて見せます。
命懸けで仲間を守ったミンク族、肉体は弱くとも一人前の覚悟を見せたモモの助、一飯の恩義ある玉。友達が住む国。だから守る。友達の宿願に手を貸すのに理由なんていらない。それがルフィでした。

そして登場した新技。
ゴムゴムの業火拳銃。レッドロックと読みます。火拳銃(レッドホーク)の強化版ですね。
ギア2で速度を上げた拳に炎を灯して敵を撃ち抜く火拳銃に比べ、業火拳銃はギア3を使用した技となっています。
とはいっても、元々、火拳銃はギア2の高速化による摩擦熱で発火する技(VIVRE CARD曰く)だし、「キュイン!!!」と明らかに速度を増したような擬音も描かれている辺り、ギア2とギア3を併用した技なんでしょう。モリア戦で見せた『ゴムゴムの巨人のJET砲弾』以来だ。
カイドウとの初戦で見せた象銃と同様、跳躍しての撃ち下ろし攻撃で見事にダメージを与えて見せる辺り、成長を実感する演出になってますね。

ルフィの武装色を用いた技には鳥の名前がついている事が多かったけど、なんでロックなんだろう?
と、そういえばドラクエに「ロックちょう」ってモンスターがいたな、と思い調べてみたところ、伝説上の巨鳥の名前らしいです。アラビアンナイトに登場するのが有名らしい。
なにやらこの鳥、別名を「ルフ」というらしく、ルフィっぽい名前だしそれもふまえて命名されたのかな、と思うと同時に、読み切り版ロマンスドーンに登場した怪鳥ルクの名前はここから取られてたのかな、と20年越しの発見があったのでした。

しかし、記念すべき1000話のタイトルを「麦わらのルフィ」、締めのセリフが「海賊王になる男だ」なのはやっぱり見返して見ても良いですね。
前の話で「ルフィにはDの名がついている」ことをヤマトに言わせた辺り、Dについて何か判明する回を1000話に持ってくるのかな、とわくわくしていたのですが、良い意味で裏切られた感じ。
改めて、ONEPIECEという物語が「世界の謎を究明する物語」ではなく「麦わらのルフィの冒険譚」なのだと実感しました。


☆ゾロ
上までで1000話の内容をさらっていったので、ここからはバトルパート。
各員の戦闘から受けた印象をしゃべっていきます。個人的にバトルが好きなのと、ONEPIECEの技が好きなので、1002話の新技ラッシュはテンション上がりっぱなしです。

まずゾロ。
まさかの狐火流を習得していました。
しかも錦えもんから教えて貰ったのではなく、「盗んだ」というのがゾロらしい。
元々ゾロは、ミホーク戦での敗北によって「柔の剣」の強さを知り、次のアーロン編でのはっちゃんとの戦闘ではもう柔剣の『刀狼流し』を習得しているなど、一度見た剣技を盗む才に長けているんですよね。

とはいえ、狐火流の「炎を斬る」「剣に炎を纏う」といった技術は、普通に見た程度で盗めるものなんだろうか。
我々素人には何がどういう原理なのかサッパリなわけですが、達人の目から見ると違うのか……。

また後者の「発火する剣技」に関しては、狐火流を知る前のスリラーバーク編から見せていたのも気になる。しかも相手は、ワノ国に縁深い霜月リューマの遺体。何か繋がりがあるんでしょうか。
元々ゾロが生まれたシモツキ村は、ワノ国出身の霜月コウ三郎が興した村らしい。
ゾロもまたワノ国の血筋を引く身であろうことがSBSでも匂わされていた事を考えると、ゾロはワノ国の血を引くため、狐火流の適性があったとも考えられそう。
狐火流が錦えもんの我流剣術なのか、誰かから学んだものなのかはハッキリしないけれど、もし後者なら古くからワノ国に伝わる剣技だったりもするのかもしれない。

まあ何にせよ、お望みの炎分ソードを会得できて良かったですね、ゾロさん。


☆キラー
はっきり言って強い印象がまったくなかったキラーさん。
読者がよく強さを知っているゾロを除けば最悪の世代で唯一の非船長だし、非能力者だし、何よりゾロに一度、割とあっさり敗北を喫しているのが大きかった。

四皇相手の大激戦について行けるのか……なんて心配していたのだけれど、思ったより強かった。
なんじゃあの巨大化する鎌。ぶっちゃけ船長のキッドよりよっぽど痛手を与えていた気がする。

今まで「回転する変な鎌」としか言いようがなかった武器の名称も判明し、『パニッシャー』と言うらしい。
「処罰する者」を意味する英単語らしいですね。『斬首クロー』という技名も併せて、処刑人をイメージしてるんだろう。お前はロシオか。

戦闘面においては、身軽さを武器にカイドウの巨体を駆けのぼり、『鎌阿音撃
カマアソニック
』なる技で龍となったカイドウを斬り捌いていました。
パニッシャーを風車のごとく回して敵を斬り裂く技なんですが、明らかに刃が巨大化してます。なんじゃこれ。

まあ流石に実体そのものが巨大化しているとは考えにくいので、イメージを表現したものなんだろう。
「内部へ斬り込めばいい」という直前のセリフをふまえても、身体の表面を斬り付けるのではなく、内部へと斬撃を浸透させているものと思われる。
魚人空手が衝撃を体内に伝える技だとすれば、鎌阿音撃はその斬撃バージョンみたいなもの……なのかな。巨大鎌は、斬撃が突き抜けていることの比喩だろう。


☆ロー
ルフィをシャンブルズで逃がしたかと思えば、すかさず「お前の命令を聞いたわけじゃない」と愚痴る姿が非常に“らしい”ローさん。
ルフィ・キッドと喧嘩したり顔芸披露してみたりと色々目立ちはするものの、戦闘においては意外と地味かもしれない。
5人の中で唯一、新技を披露してないのが大きいかな。ルフィやキッドと違って「姿を変える」系統の技を持っていないのも、派手さに欠ける。
カイドウから「まるで怪物」と評されるシーンでも1人だけ生身のままなもので、きっとローさんはいたたまれなかったに違いない。

そんな中でも豪快なツッコミポイントは残していて、「おれは“体内”への…医術的な死を与えてやる…」という自身の特徴とカイドウの長所をふまえた予告をしつつ、実際に撃ち出したのはタクトによる岩落としというズッコケ攻撃を繰り出している。思いっきり外部からの攻撃だよ。
次の話ではしれっと『ガンマナイフ』を使い、きちんと体内への攻撃を放っているのもほっとけない。最初からやれ。


☆キッド
地味に一番カイドウへの対抗手段を持ってないお人。
ぶっちゃけるとこの2話で出した攻撃全て、まったく効いてないんじゃないかって気がします。
「おれの強度は学習済みか」とカイドウ自らが発する中で、何の変哲もない投げ飛ばしでは流石に物足りなさが残る。投げ飛ばしって、そもそも普通の覇気すら乗らないから、威力としても只でさえ増しにくいのに……。

押し潰したり投げ飛ばしたり、と言った物理的な攻撃手段しか持たないため、カイドウ戦ではイマイチ持て余している感もある。
せっかくの磁力の能力だし、カイドウに鉄屑を呑み込ませて、それを引き寄せる力で内部から突き破らせたりとか……グロすぎてダメか。

ルフィが業火拳銃を繰り出した際には「打撃なんてカイドウに効くのか!?」と自ら言っている辺り、なんらかの対抗手段は持っていると思いたいが……まさかルフィの技が効いてたから「なんだ打撃も効果あんじゃん!!」と勘違いしたわけではなかろうな。

まあ、ルフィのギア4には時間制限があり、ローのオペオペには体力の消耗という代償があるため、持久戦に一番向いているのはキッドなんですよね。
長期戦になってルフィ陣営が劣勢になった時こそキッドが光るのかもしれない。


☆ルフィ
一段上の武装色という、もっとも分かりやすく「カイドウに攻撃が通る理由」があるルフィ。
業火拳銃に続き、『猿王回転弾』『猿王銃乱打』という弾む男の新技を連続披露しました。
『猿王銃乱打』は、映画スタンピードで見せた『大猿王銃乱打』の類似技ですね。こっちもいずれ出るんだろうか。映画で一度使ったネタって、あまり逆輸入したがらない印象だけど。

『猿王銃』の連打技といえば『猿王群鴉砲』があったけれど、個人的には、『猿王銃乱打』は連射力重視、『猿王群鴉砲』は狙い撃ち型というイメージ。
前者は敵のあらゆる箇所に全力の拳を無数に叩き込み、後者はあらかじめ定められた6つの射出口から、ヒット箇所を絞って的確に撃ち込む、みたいな。どっちが高威力なのかは状況によりそうだけど。

しかし今回、リンリンの雷が通じない時に久しぶりの「ゴムだから」を聞けたり、「ただの根性バカじゃなさそうだな」というカイドウの発言を受けての「根性ォ!!」だったり、ルフィっぽさ爆発の戦闘で良いですね。
熱息の直撃をゾロに救われている辺りも、仲間に助けられながら戦うルフィらしくて。


☆リンリン
ルフィ達の攻撃がほとんどカイドウに向かってるんで、サポート要員といった印象にはなりますが、中々のお邪魔虫っぷり。
天災を操る戦闘スタイルは、とにかく攻撃範囲が広いのが厄介。
『天満大自在天神』に至っては、無数の雷を降らせるだけでなく、ホーミーズゆえの意志を持った雷撃によりその軌道を自在に操れるという、エネルの『万雷』の上位互換のような性能をしています。
これ、鬼ヶ島は今ワノ国の上空に向けて動いてたハズだけど、下にいるワノ国民たちは無事なんだろうか。

とにかく攻撃を受けまくるスタイルのカイドウに対し、閻魔を用いた斬撃を避けるよう助言するなど、意外と冷静な面もあり。年長なだけあってカイドウより一歩場慣れしてるんでしょうかね。


☆カイドウ
持ち前の戦闘狂魂が燃えてるのか、強者フェチが疼いてるのか、とにかく攻撃を受けまくりなカイドウさん。
閻魔による攻撃に関しては本気でヤバいと思ったのか普通に避けてるんで、避けようと思えば避けられてるんでしょうね。
「コイツらの力を見たい」というリンリンへの言葉通り、まだ実力を計っている段階。赤鞘に対する「殺されてやってもよかった」発言もそうだったんだろう。ただ彼らの力が足りなかっただけで。

しかし正直なところ、龍への変身はカイドウの強さを引き出してはくれないのかな、とも思った。
人間形態での『雷鳴八卦』が未来予知をもってなお躱しきれない速度を誇っていたのに対し、龍形態での『壊風』は軽くいなされ、『熱息』はゾロに斬られルフィに根性で乗り切られ、とあまり芳しくない戦績。
普通の人が使えば超強力な能力なのでしょうが、元の戦闘能力が秀ですぎているカイドウにとっては、動きを緩慢にし的を増やしてしまうデメリットの方が大きく出ているように見えました。
この辺りは、人獣型の形態になれば解消されそうだけど、一向に見せてくれないですね。

あと、しれっと98巻のSBSで能力名が判明してましたね。本編ではモデルまでは分かってなかったんですが。
あまりにさらっと明かされすぎてて、一瞬受け流しかけました。ぜひ98巻で。



ここまでは超新星の快進撃といった感じですが、まあまだまだ、そう簡単に打ち倒せる相手ではないでしょう。
次回辺りから徐々に劣勢になり、窮地になったところで各幹部戦に移行って感じかな。そちらも楽しみです。
あと、最悪の世代が各所で戦い始める中、動向がサッパリ分からないホーキンスくんは一体何をしてるのかも気になります。