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 少年ジャンプ2018年06号分のONE PIECE感想です。
 ネタバレを多く含むので、 自分で買ってから見てください。

 なお、巻頭カラー感想は別記事にて。→巻頭カラー感想

 続きより

☆本編
 巻頭カラーにつき、扉絵連載はなし。レオ達の冒険は次号に持ち越しです。

 前回、食いわずらいの暴走状態のまま、サニー号へと乗り込んできたビッグ・マム。今回は、そんなマムと、ナミ、チョッパー、ブルック、ジンベエによる戦闘がメインのお話となっています。物語としての進展は少な目ながら、個々の持ち味を生かしたバトルシーンや多数登場した新技がみどころ。


〇ビッグ・マム
 喰いわずらい発症から約8時間、若干ながら痩せた事による身軽さを手に入れ、ペロスペローらですら予測のつかない「未知のママ」と化してしまった彼女。
 宝樹アダムによって作られたサニー号の一部を、片手で引きちぎってしまうという驚異的なパワーを見せつけてくれやがります。
 うおう、コイツはまずいのでは。フランキーどころかウソップすら欠いたサンジ奪還チーム。新入りのジンベエは分かりませんが、他の面々はとても単独で船の修繕なんぞできるとは思えない。第46巻SBSで描かれた設定図によれば、修繕用に予備のアダムは残されてるみたいなので、合流さえできれば何とかなるが・・・こんなボロボロの状態で、新世界の海を航海できるんだろうか。
 技術力という意味では、ジェルマ辺りが協力してくれれば応急処置にはなるかもしれんが・・・彼らがマトモに協力してくれるかどうか。

 乗り捨ても覚悟、とジンベエは言ったがサニー号を失うという事はフランキーの旅の目的が失われるという事。勿論メリーも大事な仲間でしたが、サニーの場合は少々事情が異なって来る。なんとしても、無事サニーと共に切り抜けなければならん局面なのです。
 ただサニーも、世界に誇る船大工であるアイスバーグが「千の海を越える船」と称賛した船。ちょっとやそっとの事じゃあ致命傷にはならんでしょう。サニーに船を移してからは珍しいダメージ描写だったが、そういう意味ではある程度の安心感はあるかも。

 船を破壊しながらケーキを探すマム。しかし、サニー号にケーキがあるなどというのは、ペロスペローがついた咄嗟のウソ。どうやらペロスペローは誤魔化せるとおもっていた様だが・・・マムはきっちりとその事を覚えていた。
 うーむ、喰いわずらいの最中、マムにどの程度意識が残っているのかは、息子達でも正確には分からんのですね。今回に関しては、ある程度はペロスの言葉が耳に入っていた辺り、それなりに意識も残っている様子。まあ、喰いわずらいを収めた後にどうなるかは分からんけど。
 しかし、いくら敵方の存在とはいえ、ペロスが後々マムに粛正される展開は正直あまり気持ちがよくない。ここはやはり、サンジのケーキに期待する他ないだろう。多大なる幸福感を与えるあのケーキにより、マムの悪の部分が多少なりとも浄化される展開を期待。

 しかし、今回のマムのセリフには思うところもある。ジンベエにケーキなどないと言われた際、彼女は「人の息子をウソツキ呼ばわりすんじゃねェ」と言っている。
 一見、息子思いの母親の様なセリフだ。ウソなら殺すってのは無茶苦茶な話だが、このセリフ一つを切り取ってみれば、多少なりとも子への愛情は持っているのか、とも受け取れる。

 ただ個人的には、これは愛情などではなく思い込みの強さの表れなんじゃないかとも思える。子供達は皆自分のために尽くすもので、ウソなどつくはずがない、という。今までのふるまいを見るに、子達の事を自分の思惑を達成するための道具としか見ていない様であったが、それを当然の事と受け止めている様にも見える。まるで「子供が生んで貰った親の言いなりに生きるのは当然の義務」と言い放った、サボの父親であるアウトルック3世の様なものだ。

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ONE PIECE第60巻585話より引用

 更に自身の攻撃を受け止めたジンベエを「サメごとき」呼ばわり。うーん。差別のない国を作ろうって女王とは思えん発言だ。彼女のトットランドという理念がどの程度まで本心かは知らんが、心から根付いた思想ではないんだろうなぁ。

 戦闘面においては、今回も圧倒的なパワーを見せてくれたマム。しかしハッキリ言って、お茶会の時に見せたそれより、幾分か弱体化している様にも思える。あの時、マムはルフィのギア4による全霊の一撃を、片手で受け止めて見せた。ダメージを感じさせる表情どころか、怯む事すらなかったのだ。

 しかし今回、彼女はパワーにおいてジンベエを吹き飛ばすも、チョッパーの"毛皮強化"に対しては有効打を与えられず。更にその後、ジンベエの"武頼貫"によって吹き飛ばされるという目に遭っている。

 確かに、ジンベエは強い。しかし、ギア4を発動したルフィを越える程のパワーを持っているだろうか? 直撃を受けたというのもあるが、これはマムが喰いわずらいにより細身となってしまった事により、パワーや防御力といった戦闘能力が、少なからず落ちてしまっているせいじゃないだろうか。身軽さを手に入れはしたが、だからといってジンベエ達の攻撃を避ける様子もない。こちらは、回避できないというよりは、元々「避ける」という戦闘方法に馴染みがないのかもしれん。性格的にもそうだし、砲弾も効かん人間に、避けるなんて行動が必要になるとも思えんし。

 とはいえ、彼らの全力の抵抗も、時間稼ぎ程度にしかなってはいない様子。多少弱くなろうが四皇は四皇。まともに立ち会って勝てる相手ではなさそう。やはり彼女を倒すには、サンジの到着を待つしかなさそうではありますね。

〇シャーロット家の面々
 今回は完全に、驚き役に徹していた感じ。サニーとの距離が多少空いているとはいえ、マムに続いて乗り込んで来る様子もなし。
 まあ、これは仕方ないと思う。ただでさえ喰いわずらいで何しでかすか分からん、しかも未知の領域にまで踏み込んでしまったマムと、敵のホームであるサニー号の上で戦うなど、巻き込まれに行くようなものだ。マムの強さを良く知っている家族であればあるほど、そんな愚行に踏み込もうとするやつはおらんだろう。
 マムがジンベエらによる連撃を受けた際などは、ペロスペローらもかなり驚愕の表情を見せている。彼らにとっても、あの程度の攻撃がママに効くはずがない、という思いがあったのだろうか?

〇ジンベエ
 一瞬とはいえ新技・"梅花皮(かいらぎ)"によりマムの攻撃を受け止め、"海流一本背負い"による船の消火をこなし、更に"武頼貫"の一撃でマムを吹き飛ばすなど、かなりの大活躍を見せてくれた。
 しかし、マムの炎熱を纏った斬撃を受けきる事はできず、確かに流血を伴ったキズを受けている事が分かる。しかしその後、攻撃を受けた左腕の描写が確認できず・・・どうなっているのかが不明。海流一本背負いを使用している以上、左腕も健在だとは思うが・・・四皇の一撃をモロに受けただけに、そのダメージ量も心配なところではある。

 新技の"梅花皮"という名称であるが、これは特定の魚が背面に持つ、堅い粒状の皮であるそうな。要は武装色の覇気により硬化させた腕をこの梅花皮に見立て、相手の攻撃を防ぐ防御技だろう。ジンベエの技はそのほとんどが魚人空手、あるいは魚人柔術に属する技だが、梅花皮はこれらの特性を用いない、ジンベエ独自の技っぽいかな。あるいは魚人空手に由来する受けの技なのかもしれんが。

 そして"武頼貫"。これは魚人島にて、ワダツミに対しても使用した技で、魚人空手の"奥義"とされるもの。魚人空手の真髄となるのは、相手の体内にある水に衝撃を与える力。それを利用し、相手の体を突き抜ける「水」によりダメージを与える技だ。
 ワダツミ戦、そして今回のビッグ・マムと、自身を遥かに超える巨体を持つ相手に対し使用される事が多いこの技。今回、マムが弱っていた可能性が高いと上の方で書いたが、この技自体に、巨体に対する特効性があるのだろう。体内の水分に影響を与える技なのだから、水分自体の多い巨体を相手にした方が、その衝撃の量も増すというもの。ギア4を超える威力を発揮した様に見えるのも、ジンベエを遥かに上回る巨体を持つマムが相手だからだったのかもしれない。

〇チョッパー
 目立つ役回りではなかったものの、"毛皮強化"によりマムの攻撃を受けきり、ナミを守るという活躍を見せた。もう守られるばかりの存在じゃないね。
 毛皮強化は確かに強固な防御性能を誇るものの、まったくの無敵というワケではない。空島編において、ゲダツの放つ"ジェットパンチ"を受けた際は、ガードの上からでも有効打を与えられてしまっていた。

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ONE PIECE第28巻262話より引用

 チョッパーの毛皮強化の性能自体は勿論当時から成長しているが、本来であれば流石にマムの一撃を受けて無傷でいられたとは思えない。マムが万全とはいいがたい状態であったのはラッキーだったかもしれない。

〇ブルック
 ホールケーキアイランド編においては大活躍の連続だったブルックだが、今回も魅せてくれた。序盤は船の危機にオロオロとしていたものの、以前のマムとの因縁、そして持ちネタの「パンツ見せて貰ってもよろしいでしょうか」で気を逸らした瞬間、あのビッグ・マムも気づかぬ内にゼウスを両断してしまった。
 奇襲気味とはいえ、この剣速は異常な程だ。マムは既に、ナポレオンの進化形態(?)である"皇帝剣(コニャック)"を構えた状態であった。にも関わらず、マムの背後へと抜けるブルックの剣技に、対応する事すらできなかったのだ。勿論、直接対峙しても威力の面でマムに傷をつける事はできないだろう。しかし、速度と言う一点に特化すれば、あの四皇にすら一矢報いる事ができる程の実力を見せたのだ。 もう誰も彼に地味だの、一味の中で浮いてるだのとは口が裂けても言えないだろう。

 またゼウスを斬った際には、懐かしの彼の代名詞、"鼻唄三丁・矢筈斬り"が登場。さらに"魂の"と名を変え、ホーミーズであるゼウスにも有効となる一撃であった。新世界編では吹雪斬りや一節斬りに取って代わられかけていた得意技なので、この大舞台での復活は嬉しいね。

〇ナミ
 ブルック同様前半は目立たなかったが、ゼウスに"正電荷ブラックボール"を与える事で放電させ、マムに雷撃を与えるとともにゼウスをただの雲へと変えてしまった。更に放電しきって力を失ったゼウスに対し、二択の質問・・・もとい脅迫を行う外道っぷり。いやあ、ホールケーキ編ではナミのこういう部分が光る光る。

〇キャロット
  前回、前々回と主役級の活躍を果たした彼女は、今回はほぼ出番なし。スーロン化の反動で、かなりへたばってしまっているご様子。
  しかし、そんな彼女の休む部屋に、マムの攻撃が。幸い、屋根部分の崩壊は免れたものの、斬撃による亀裂は多少なりとも入ってしまったみたいだ。亀裂から差し込む月光程度でスーロン化してしまうのかは分からんが、仮に今スーロンとなってしまったら、彼女は自我を抑え込めるんだろうか?

プロメテウス、ゼウス、ナポレオン
 ナポレオンとプロメテウスは互いに混じり合いマムの武器に、ゼウスは足場としてマムのサポートといった形だったが、今回でゼウスが半ば脱落。
 しかしプロメテウス(及びパンドラ)は魂を与えられた炎の塊だったが、ゼウスは一体何を媒介としたホーミーズなんだろう? てっきり電気や雷を固めたものなのかと思っていたが、放電しきった後も雲として残り続けるあたり、元々雲に魂を入れたものなのか? だとすると、マムは空島近辺にまで昇った事があるんだろうか。まあカイドウが簡単に昇ってたし、行こうと思えばそら行けるだろうけど。

 ゼウスを欠いた後は、プロメテウスが代わりにマムの足場に。・・・マムに炎が効かんのは良いとして、この炎、物体として触れる状態なんすね。表面だけがメラメラしてるのであって、中身はきちんとした個体なのかな。元々太陽の形だったし。

 ナミに囚われてしまった哀れなゼウスですが、消滅ではなくわざわざ生き残らせたという事は、今後の出番もあるのかな。雷撃使いの印象も強いナミですが、元々万の気象に通じる力の持ち主。意志を持つ「雲」そのものを味方につけることができれば、今後の戦いの幅も大きく広がっていきそうだ。ホーミーズを他人がどの程度扱えるモンなのかは分からんけども・・・特に「雨」なんかは、プロメテウスの弱点にもなるし、ゼウスの存在が今後のビッグ・マム戦を左右する可能性もあるのかもしれない。


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