週刊少年ジャンプ2018年9号分のONE PIECE感想です。
ネタバレ要素を含むので、本誌で読んだ方のみ続きからGO。


☆扉絵連載
 前回ドレスローザの復興を手伝っていたレオ達でしたが、そのお礼という事なのか、ドレスローザの大工達から一隻の船をプレゼントしてもらった模様。

 船には樹木やキノコ、葉っぱ型の意匠など、森の中をイメージした様な飾りつけが施されています。トンタッタ族が落ち着いて生活できる様にか、グリーンビットの森を意識した造りにしてるのね。
 そして船首には、あの“必殺顔面ビックリ箱”こと、シュガーを気絶させた際のウソップの顔が施されています。
 ドレスローザに建てられた銅像といい、至る所にすげぇ顔を晒すウソップ。まあそれだけ、あの瞬間がレオ達にとって悲願の時として印象づいているんでしょう。
 航海中ずっとあの顔晒され続けるウソップは哀れだけど。

 さらにマストの上部には、レオ達の海賊旗が描かれた王冠状の見張り台が。
 一見、“ソウルキング”ブルックが被っていた王冠を模してるのかと思ったけど、形は微妙に違うし、レオ達はブルックと面識ないし。
 何か意味のある意匠なのかな。単に、かっこよさげなデザインを頼んだだけかもしれんけど。

 船の大きさは小舟程度のものですが、小人族の目線から見れば十分なサイズ感。
 ただ、傍目から見ればやっぱり小さな船なので、弱小海賊と思われて襲われやすくなりそうな気もする。
 そんじょそこらの海賊にやられるレオ達じゃないでしょうが、そういや彼ら、航海術の方は大丈夫なのかな。 ただでさえ荒れる新世界の海、航海の素人がこの小舟で渡っていくのは中々にハードルが高そうだ。能力者も数名混じってる事だし、転覆でもしたらよろしくない。

 何にせよ、衣装に海賊旗、そして海賊船まで調達が済んだとなれば、後は出航するのみ。トンタ兵団は200人の構成員を持ちますが、何も全員が海賊として海に出るワケじゃなさそうだし、あとの復興作業は残りのメンバーにお任せする形になるのかな。

 レオ編は残り2~3話といった所だろうけど、彼らの初陣は描かれるのか、そしてマンシェリーは同行するのか。




☆本編
 今回のサブタイトルは“強敵認定”。
 ホールケーキ城倒壊の真相を、麦わらの一味の仕業であると知った(思い込まされた)モンドールは意見を翻し、タマゴ男爵同様、全力をもって麦わらの一味を相手取る方針に。 
 そして鏡世界内のカタクリが、見聞色を覚醒させ始めているルフィに対し改めて危険度を認識した事からの、2つの戦局を指しての事でしょう。

 今回のストーリーとしては、サニー号サイドとサンジらケーキ作成班との合流、そしてケーキをエサにマムを引き付けるベッジ達と、スムージーらに追われながらカカオ島を目指すサニー号サイドの二手に再度分かれるというところ。
 結局、前回ラストでケーキを運んできたのはサンジ達で良かった様です。あえて次週へのタメにしていたもんで、ジェルマ辺りが訪れるもんかと思ってましたが、どうやら深読みだったらしい。

 あと、ジンベエの左腕も無事みたいですね。
 “梅花皮”によって受け止めたとはいえ、モロにマムの斬撃を喰らっていたので心配していましたが、どうやら大したキズにもなっていない模様。流石ジンベエというべきか、梅花皮という技の防御力がすごいのか。




〇オーブン
 カカオ島にて、いずれ鏡世界から現れるであろうルフィに備え、島中の鏡を割るよう住民たちに指示しています。脱出口である鏡をたった一つに絞ってしまえば、そこから出てきた瞬間を狙えば確実に仕留められると。
 ゆ、有能だ! シフォンやパウンドにブチギレまくって本質を見失ってた人とは思えない!
 やっぱ、冷静になりさえすればデキる男なんでしょうね元々。
 しかも、大切な鏡は割らなくても海に沈めればいいという有情な対応つき。海に沈めとけば、カナヅチのルフィは脱出口として使えないものね。
 一家処刑というのはかなり厳しい物言いだが、それだけの確実性を要する指示だという事。多少の脅しをかけてでも、脱出口を一つに固める必要があるのは事実。
 まあ、仮にその策が上手くいったとして、あのメンバーでルフィが止められるのかという問題もありますが、カタクリとの戦闘を経て万全の状態で脱出してくるとは思ってないでしょうしね。




〇スムージー、シトロン、シナモン
 遂にスポットの当たった将星の一角
 今まで、ブルックには宝物の間に忍び込まれ、一つしかない入口を死守するなんて単純な発想すら出てこず、お茶会ではレイジュに蹴飛ばされ、サニー号追撃戦では後詰扱いとおよそ将星の一角とは思えないくらいの不遇な扱いを受けてきた彼女。
 ようやくその真価を発揮する事ができるのか?
 しかし個人的に、この子はポンコツ街道を歩んで貰った方がキャラ立ちするんじゃないかとも思うぞ!
 というか正味、彼女の能力がどう戦闘に役立つのか予想できないのよね。船から汁を絞り出して浮力を奪うとか、そういう? 
 体内の水分が重要になってくる魚人空手にとっては、もしかしたら天敵とも呼べる能力かもしれん。

 ついでに、以前からちらほら出ていた2名の女性も名前が判明。どちらも足長族、そして14女~16女と序列も並んでいますが、スムージーとは三つ子なのかな?

 黒髪をオールバックにした彼女が、16女シナモン

 そしてもう一人、スタイルの良い他2名とは中々対極の体格をした女性が、15女シトロン
 足が長い分余計にずんぐりむっくりに見える。・・・ただまあ、ビッグ・マムの娘と言われて誰が一番納得かと言われたら、彼女だよな。




〇ベッジ&シフォン
 マムが欲するケーキを乗せたまま、サンジやプリンと別れリキュール島を目指すベッジ。
 暗殺計画自体は諦めずとも、毒などを入れない万全のケーキをマムに食わすという約束で落ち着いたらしい。シフォンもいるし、彼がこの約束を違える事はないでしょう。これもクリームの力ゆえなんですかね。
 しかし一重にケーキを食わすと言っても、その工程は一苦労。
 巨大化したプロメテウスに乗って襲い来るマムを何とか引き寄せつつ、かつ追いつかれない様にリキュール島へ到着せねばならない。
 普段のノストラ・カステロ号ならばともかく、現在この船はオーブンの攻撃によって外輪が損傷してしまっていたハズ。航行速度は万全とはいえない。この事がマムを振り切れない結果に繋がらなければいいが・・・。

 しかし、ベッジが単身でマムを引き受ける展開には驚いた。
 このホールケーキアイランド編におけるビッグ・マムとの決着は、ケーキを食べさせて癇癪を抑える事。つまり、このままリキュール島でマムがケーキを食べる結果になるなら、マムとの決着の場に麦わらの一味が一人も居合わせない事となってしまう。
 勿論、そう上手く事が運ぶワケではないんだろうが・・・先が全く読めない展開だ。



〇パニクるペロスペロー
 マムを正気に返す頼みの綱であるケーキが到着したものの、運び手が裏切者のベッジである事から、大人しくマムに食わせてもいいものかと悩んでいます。

 しかし彼、毒入りケーキである事を心配していますが、これは毒を飲まされればいくらビッグ・マムでもタダじゃあ済まないという事なんですかね。
 まさに鉄の胃袋とでも言うべき彼女の事、正直毒なんぞ飲ませた程度でどうにかなる気があまりしないんですが・・・。
 そういや、KXランチャーの時も「喰らっても効かなかった」のではなく「喰らう前に破壊された」という書き方でした。モロに喰らってしまえば、案外通用するのか・・・?

 しかし今回のペロスペローのセリフには、このトットランドという国の脆弱性も垣間見えますなぁ。
1.マムの癇癪を止められない
2.マムが死ぬ

 このどちらを取っても、国は滅びると。

 確かに、今ビッグ・マムの存在を欠いてしまっては、かつて白ひげ亡き後に彼のナワバリが踏み荒らされた様に、無法者達の攻撃を受ける事は十分に考えられる。
 しかもトットランドは、七武海でもない海賊を国主とする時点で、おそらく世界政府非加盟国。海軍やCPの援軍も望めませんし。
 そんじょそこらの海賊や人攫いチームくらいなら、カタクリやスムージーら残った構成員達で何とでもできるでしょうが、他の四皇クラスが襲ってきたりすれば苦戦を強いられる事は確実。しかもマムが死ぬという事はホーミーズも消滅してしまい、警備役なども含めた戦力ごと大きく削がれてしまうワケで。

 ・・・というより正直なところ、仮にマムが無事生き延びたところで、名を上げたい連中からしたら絶好の機会だと思うのよね。
 スイート四将星と呼ばれる最高幹部の内、スナックとクラッカーの2人が現在戦闘不能状態。しかもそれに追随する実力の持ち主であろうペロスペローは片腕を失い、傘下の重要戦力であったジンベエやベッジは離反、国家の中枢であろうホールケーキ城は倒れ、シュトロイゼンやオペラ、モスカートなどの戦闘不能者も続出。
 これにルフィとの戦闘でカタクリまで落ちたとすれば、ビッグ・マム海賊団は半壊状態。攻め入るにはまたとない好機となってしまうでしょう。
 特にバルティゴ襲撃によって大量の武器を得た可能性のある黒ひげ海賊団なんか、思いっきり狙って来そうじゃないか。彼、漁夫の利狙うの好きそうだし。


 しかもそこに、サンジの作ったクリームだ。
 ホールケーキアイランド編の落としどころとして、サンジの作ったケーキを食べたマムがすっかり浄化され、一時的にせよ和解に至るというのが、一番うまく事が運ぶ展開でしょう。そして、性格をも作り上げるという“攻めの料理”ならば、それも可能かもしれない。

 ただこの場合、マムの性格が丸くなるというのは、単純に良い事ばかりではないのかも。
 マムがケーキを口にした事によって、その野心や傍若無人な性格が失われると共に、すっかり牙を抜かれてしまったら。
 過去、生ける伝説と呼ばれたチンジャオの様に、齢相応に大きく弱体化してしまうかもしれない。そうなれば、トットランドは更に窮地に陥ってしまうだろう。


 何にせよ、トットランドがかなり脆い基盤の上に出来上がった国家である事は曲げ様のない事実だ。
 今回の一件が無事に済んだところで、マムだってもう68歳の高齢者。バケモノじみた強さを持っていようが、老いや病には敵わないというのは白ひげが証明済みだし、マムだっていつそうなってもおかしくはない。

 ビッグ・マム海賊団は敵対勢力ではあるし、トットランドの住民も彼女の統治に表立ってネガティブな印象を見せる者は現状見当たらない。
 かといって、彼ら国民は罪のない民衆。ルフィ達の襲撃によって、結果的に彼らが危険に晒されるというのは寝覚めが悪いじゃないか。
 ここはやはり、魚人島同様、ビッグ・マム打倒の後に麦わらの一味のナワバリとしてしまうしかないな。
 トットランドの住民的には、海賊の名によって安全な生活が送れればそれでいいワケだし、寿命を支払う必要もなくなって一石二鳥じゃないか。
 まあルフィの名の強さは四皇に比べたら数段劣るものだろうが、それもワノ国等で起こる事柄によっては変わってくるのかも・・・?




〇プリンとサンジ
 再会したナミに抱き着かれ、普段通りのメロリンモードに突入するサンジ。
 そんなサンジを見ても、彼に恋い焦がれるプリンはどうも無反応。特に妬いた様な表情も見せていないっぽい。
 そういえば第869話のお茶会のシーンにて、ジェルマ66の活躍によりスムージーから解放されたナミをサンジが抱き留めた時も、それを見て何かを思うプリンの意味深なカットがあった

 このカット、最初に見た時は、てっきりプリンが怒りを見せるのかと思ったんですよ。自分の三つ目を美しいと言ったのは何だったのかと。アレは誰にでも吐く様なセリフなのかと。

 でも、違ったんですよね。そんな事気にするそぶりもなく、彼女はサンジに首ったけ(死語)状態となっていた。

 つまりプリンにとって、サンジがどんな女性にでも優しい事は何らマイナス要素ではないという事になる。むしろプラス要素と言えるかもしれない。彼がシフォンを救出した時も、しっかり鼻血噴いてたくらいだし。
 まあ彼女、生い立ちや出生も相まって、かなり拗らせた人間観を持ってそうですしねぇ。恋愛面に関する感情でも、普通の人とは違う感性を持ってても仕方ないのかもしれん。

 しかしまあ、サンジが他の女性にもメロリンする事にマイナスな感情を持たないのなら、サンジにとってプリンは絶好の相手かもしれないですね。
 サンジに特定の相手が出来るには、彼の女性癖を受け入れてくれる器量を持つ相手でないと無理だと思ってたけど、案外プリンこそが該当する人物なのかもしれん。彼女の場合、器量とかとは少し違ってくるけど。




〇ルフィ、カタクリ、フランペ
 ラスト2ページでの登場。
 ルフィは徐々に見聞色の覚醒に近づくも、その肉体はもはや満身創痍。
 しかもフランペの妨害攻撃を喰らった事で反応が遅れ、カタクリの“モチ突き”を脇腹に直撃させられてしまいます。
 うーん、やってくれよったなフランペ。

 このテの“漢の決闘”的なものを邪魔するキャラクターというのは、少年漫画においてロクな目に遭わないもんですが、彼女の場合はどうなるんでしょうね。

 カタクリがルフィとの戦闘にワクワクを見出していた場合、それを邪魔したフランペに良い感情は抱かんでしょうが・・・逆に「何としてでも倒しておかなくては」って思ってたら、これはナイスアシストになるんだよなぁ。
 でも物語での立ち位置上、なんとなく前者の流れになりそうな気もする。