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 週刊少年ジャンプ2018年10号分のONE PIECE感想です。
 本誌で読んだ方のみ続きからどうぞ。

☆扉絵連載

 レオ達が乗る海賊船の名前は「ウソランド号」に決まった様で。
 うーむ、バルトロメオが乗る「ゴーイングルフィセンパイ号」に並んで、サニー号よりウソップが乗ってそうな船が出来上がってしまった(笑)。

 よく見たら、ウソップの顔を模した船首の口の部分、拳銃の様な砲身になっとるんですね。
 船の側面にも、大砲の様な穴ぼこが沢山。これ全部が大砲だったらそこそこの砲撃性能を持った船なのかもしれんけど・・・いかんせん、大砲も含めてトンタッタサイズなので、攻撃力にはそんなに期待できんかも。
 船を寄せての肉弾戦となればそうそう負けはしないでしょうが・・・遠方からの射撃で沈められたりしないといいが。


☆本編

 今回は1話丸々、鏡世界内のルフィVSカタクリにのみ視点を当てたお話。
 物語としてはそう進展したワケじゃないんですが、何と言ってもカタクリが格好いい。そしてルフィとの、互いに認め合ったライバルとしての演出が熱い。

 外野からの横やりなど意にも介さず、同じ条件下にて全力をぶつけようとする戦いは正に漢の勝負。
 クロコダイル、エネル、ルッチ、ドフラミンゴ・・・
 かつてルフィと戦った者たちの中で、ここまで“ライバル”然とした描き方をされた人物がいただろうか。

 ルフィにとって、本来のカタクリとの勝負は、仲間達を逃がすための“時間稼ぎ”のため。
 同様にカタクリは、将来的にルフィがビッグ・マムにとって大きな敵となる事を感じ、彼を事前に消すために戦った。

 しかし2人は今、そんな本来の目的を越えた部分で、全力でぶつかり合おうとしている。カタクリはルフィにとっての“倒すべき敵”ではなく“越えるべきライバル”として描かれているのだ。いかにも少年マンガ的で、熱い話じゃないか。

・・・しかしこのサブタイはアレかな、以前フランペの序列を誤植したのを、早いとこ作中でも訂正しとかなきゃ、ってアレかな。
 



〇カタクリ
 そんな好敵手としての側面が強調された彼だが、同時に今回は、彼の内面的な部分も多少明かされた。
 この“お茶会”前後の戦線において、彼は常に冷静な男だった。
 自らの身と引き換えにペロスペローを討とうとしたペドロや、彼の死に取り乱すキャロットに対し、半ば見下す様なこの物言い。

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ONE PIECE第87巻第878話より引用

 そしてルフィとの一騎打ちにおいても、持ち前の見聞色に加え常にルフィの1つ上をいくその力量により、平静さを乱さずに戦いを続けていた。
 メリエンダの一件においては一時的に激情に駆られたが、すぐに気を落ち着かせ、ルフィとの勝負に向き直っていた。

 そんな男が、だ。今は誰の横やりも許さず、ルフィとの闘いを心から愉しんでいる
 当初の目的――ルフィを消すという結果だけを求めるならば、どんな妨害が入ろうが構わなかったはず。しかし、勝負の世界へと入り込んでしまった彼にとって、そんな勝利はプライドが許さなかったのだ。

 前話の段階では、彼はルフィを「そうそうに消さなくては」と感じていた。
 あれは、勝負を愉しむ事よりも、マムのためにルフィを消すという目的、そして自身の、負けて地に背をつく事など許されないという恥の方が勝っていたのだと思う。

 しかし目の前のルフィを、強敵と見定め始めた矢先の“油断”。
 そしてそれに対する“失望”を感じた事が、彼を一人の戦士として、より強く目覚めさせたんじゃないだろうか。 
 ルフィは自分の思うような強敵ではなかったのか、と落胆した事で初めて、自分の中に潜む“好敵手”を求める飢えに気が付いたのだ。

 以前のメリエンダにおいて、自身の秘密をパティシエ達に知られてしまった際、カタクリは激高し、彼らを自らの手にかけてしまった。普段は部下に対しても優しい彼の事、それだけ知られてはならない事だったのだろう。

 しかし今回、彼はそんなコンプレックスを、自らの妹に対し曝け出している。これには驚いた。
 個人的にはてっきり、この彼の秘密がビッグ・マム海賊団の誰かに周知されてしまう事が、ルフィの勝利、あるいはホールケーキアイランド編の終局へと向かっていくものと思っていたからだ。

 “薄っぺらい援護”によるハンデなど受けぬとばかりに、自らの脇腹を抉りルフィに与えたものと同等の傷をつけ、隠し通した素顔をあえて晒し笑い者となる事で、あくまでもルフィと対等の立場を貫き通そうとする。

 妹達が望み、自らも演じ続けた“完璧”たる姿とは程遠い、泥臭い姿。
 今まで築き上げた“最高傑作”としての姿をかなぐり捨ててでも、自ら認めた同格の相手との勝負に汚れをつけまいとする、戦士としての誇り。
 紛れもなく、強さと気概の両面から見た、ワンピース史上最高の好敵手と呼べる男となっただろう。


 また、概ねの予想の通りというべきか、彼にもやはりその外見的(種族的?)特徴によって、迫害を受けた経験があった。
 たった一コマの描写のみではあるが、彼がどんな少年時代を過ごしたかは想像に容易い。
 加えて彼の過去は、明確にプリンと重ねている面もあると思う。

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ONE PIECE86巻第862話より引用

 まあ彼の場合・・・プリンほど小器用な処世術(痛みを伴うものではあったが)を持ちうるとも思い難いので、彼女とは違い弟妹達にも隠し通していた様だが、それがアダになったとも言えるのかなぁ。
 如何にパッと見で“不気味”と思われる様な要素も、常に見続けていた場合と、不意打ちで知ってしまうのとでは反応も変わってくるだろうし。

 ちなみに、今回の回想シーンでは、彼の姿は後ろからの姿のみで、幼少期の素顔は映っていない。
 従ってあの特徴的な口元の縫い目が当時から存在するのかも不明だが・・・これは意図して隠して描いたのかな?
 プリンの過去と重ねて描くなら、カタクリもまた実母であるマムからの手酷い言葉を受けていそうだし、マムの場合「不気味だから縫い付けてしまえ」くらいの事は言いかねない気もする。仮にそんな事があったなら、激烈なコンプレックスまっしぐらだろうし、なおの事悲惨さが際立つのかもしれない。


 また今回、カタクリが“覇王色の覇気”の持ち主である事が明確に明かされた。
 以前、883話(穴まで美味しの回)におけるルフィとの激突においても、“覇王色”とも思えるエフェクトが描かれていたが、明言されたのは今回が初だったと思う。

 覇王色と言えば、人の上に立つ“王の資質”。
 過去、この資質を持ちながらも人の下につく人物は登場したが、レイリーやエースの様に、自らの意志で誰かの下につく事を選んだ者達だった。

 カタクリはと言えば、どうだろうか。彼がビッグ・マム海賊団に在籍しているのは生まれついての血筋によるもの。現在、確かに彼はマムのために動いてはいたが、果たしてこの海賊団は、彼が命を預けるべき組織なのだろうか?

 彼が今後、ミホークの様に一人海へと名乗りを挙げるのも面白いと思う。覇者の素質を持つ彼ならば、今からでもそれができるだろうし。
 同時に、あの仕打ちを受けてなお、彼が変わらず海賊団に尽くす。そしてそんな彼の姿に、弟妹達は偽りでない兄の姿を愛する。そんな未来が来るのも、また面白い道だと思う。

 
 ついでに、今回はカタクリの新技も登場。
 その名は“餅吟着”。同時に展開された多数の“無双ドーナツ”から、“力餅”の乱打を繰り出す技だ。
 一撃の“力餅”ですら、ギア4のルフィを吹き飛ばすほどの威力を誇ったのだから、その乱打となれば相当なものだろう。“象銃乱打”の非でないほどかもしれない。
 ネーミングは多分、「餅巾着」と「イソギンチャク」をかけてるんですかね。今回のコマの描き方を見るに、どことなくイソギンチャクっぽいし。





〇ルフィ
 そんなカタクリの姿に、全力で答えて見せたのがルフィ。
 カタクリに対するフランペ達の態度に、普段のルフィならば怒りを見せてもおかしくはないが、今回はそういった様子はなし。あくまで、目の前のカタクリとの勝負に集中している様だった。

 しかし一切の関心を持たないかと言えばそうではなく、“覇王色”の衝突を起こす直前の「どうせ立ってられねェよ!」というセリフからは、彼の抑えこんだ怒りが感じられる。
 本来であれば、怒りの一つでもぶつけてやりたかったのかもしれない。しかし、当のカタクリがそれをせず、自分との勝負に向き合ってくれている。
 そんな中でルフィが怒りを見せてしまえば、それはカタクリに対する同情に他ならない。目の前の男との戦いに水を差す、侮辱でしかなくなってしまうのだ。

 互いの“覇王色”によって、小五月蠅い外野を気絶させたのち、自身を同格と認め向き合ってくれたカタクリに対し、感謝の念を述べるルフィ。
 ワンピース史上でも初めての、勝っても負けても後腐れのない戦いと言えるかもしれない。


 また今回は、ルフィの“見聞色”の強化も示唆されていた。
 フランペが撃った“音のない吹き矢”を、無意識無想のままに回避して見せたのだ。
 基本的に、今まで登場した“見聞色の覇気”というものは、相手の心の“声”を聞き取る事で、次の攻撃を予測することによる回避だった。
 今回ルフィは、視界にすら入っていないと思われるフランペの吹き矢を回避した。一方、見聞色の達人であるカタクリは、その時点ではフランペの存在に気付いてすらいなかった。彼女の笑い声を耳で聞いて初めて、この勝負に横やりが入っていた事に気付いたのだ。

 見聞色には、相手の行動を予測する力だけでなく、周辺に存在する生物の“声”を察知し、数や居場所を探る能力もある。もしカタクリの見聞色が、シンプルにその力を極限に高めたものであれば、フランペの存在にも気付けそうである。

 思うに彼の未来予知は、特定の相手や場所をターゲッティングする事で近い未来を知れるほどの強固なものになるが、その代償として全域を見渡す様な視野の狭さを失ってしまうのかもしれない。
 見聞色の使用には集中が必要というのだから、個に対して力を強く集中させれば、その他の物事には目がいかなくなっても不思議はないと思う。
 2年の修行中にレイリーは、見聞色の習得は“気のせい”でもいい、と教えていた。この習得の仕方が、ルフィとカタクリの見聞色を一つ違った形で完成させるのかもしれない。


 また今回彼が発したセリフには、過去のシーンを想起させるものがあった。

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ONE PIECE1巻第1話、22巻第204話より引用

 思えばクロコダイルとの戦いも、倒すべき敵でありながら、格上の相手を「越える」戦いでもあった。そういう意味で、意識して重ねているシーンなのかもしれない。





〇フランペ
 うーん、以前の感想でも触れた気がするけれど、基本的にこの子、憎まれ役を引き受けるために生み出された様なキャラクターなのよね。ある種一番哀れ。
 しかも今回、覇王色の覇気によって気絶させられてしまった。それによって、実力的には「その程度」と認識せざるを得ないうえ、今後の出番による印象の巻き返しも難しい事態に。うーん、哀れだ。

 ただまあ、あえてフォローを入れるなら、彼女の「援護射撃」って行動は、海賊団の一員としては正しいっちゃ正しいのよね。
 現状、ルフィを倒した後もまだ敵は領内に残ってるんだし、最高戦力であるカタクリはできるだけ温存させた方がいいハズ。まあ今回は、彼女の空気の読めなさ故に大失敗だったワケですが。

 しかしまあ、その後の掌返しはいただけない。
 弱冠15歳という若さを考慮しても、彼女の幼さは割と際立つ。多分、兄や部下達にちやほやされすぎて、中身が育たなかったんだろう。
 カタクリの素顔を知った彼女、およびそのお付きの面々は、「ださい」「バケモノ」「フクロウナギ」等とボロクソな言い様と共にあざ笑っとりますが・・・怖くないんかな? 以前のパティシエなんか、彼の素顔を見るや否や怯えて逃げ出したってのに。
 あ、ちなみにフクロウナギってのは、こんなん↓らしいっすよ。
フクロウナギ

 うーん、適格。

 まあ反応としては、正直後者のパティシエ達の方がまっとうだよなぁ、と思う。
 というか仮にも四皇の最高幹部・・・10億越えの賞金首に対し、クスクス笑いながら写真撮影とか、あの部下達はどんなメンタルしてるんだ・・・フランペともども笑いの沸点がゆるゆるになりすぎて、ある種の不気味さすら感じる。

 
 しかしONE PIECEの世界において、特殊な容姿を持つ人物というのは往々にして存在する。
 鼻が長かったり、四角かったり、ツノが生えていたり・・・。
 そんな中でも“三つ目”や“口裂け”がこうも不気味がられるのは、ワンピース世界およびトットランドにおいても、これらの種族が相当に希少かつ気味の悪い存在なのだろう。
 それはまあいいのだが、問題は口裂け気味と思われるキャラが、口元を隠すことなくトットランドに存在している事だ。

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ONE PIECE86巻愛861話より引用

 この子はいいのか? フランペ的には

 可能性としては、2つ考えられる。
 一方は、単に「カタクリが口裂けである事」を嫌悪しただけで、口裂け自体はどうでもいいという可能性。
 彼女は完璧な兄の姿に憧れたが故に、欠点となる姿を見てしまい、今までの敬慕が真逆の方向に振り切れてしまったのだ。元より「完璧な兄」「そんな兄に愛される自分」にしか興味が無さそうな彼女の事、他の姉妹がどうだろうが知ったこっちゃないのかもしれない。

写真 2018-02-06 17 12 53
ONE PIECE86巻第865話より引用

 あるいは、この彼女が実は口裂けでもなんでもない可能性。
 このコマを良く見ると、耳まで口が裂けているわけではなくちょっと口の大きい人と見れなくもない。
 つまりこの少女は、フランペ同様カタクリに憧れ、その結果彼のマネをして縫い傷の様なペイントをつけているのだ。カタクリの縫い傷自体はマフラーから見え隠れしているので、その存在に気付いていても不思議はない。

 うーん・・・あまりしっくり来ないな。正味、ワンピース世界じゃちょっと口がでかい程度の事珍しくもないから、彼女がどのくらい特異なのかが分からないんだよな・・・。
 

 あ、ちなみにフランペさんのただ事ではない下半身太りの件ですが、どうやら能力によるもんだった様で。吹き矢を放つシーンでは空気が抜けたように、ちょっと萎んでました。
 ガムガムの実の風船ガム人間ってとこかな。口からガム状の物体を吐いたり、息を吸い込んで自由に伸縮したりできるみたい。
 ・・・強いんか? それ。 使いようによるのかもしれないけど、どうもハズレ能力っぽい感じだなぁ。まあ気絶させられちゃった今となっては、どうでもいいっちゃどうでもいい事ですが。

 どうでもいいついでに、フランペのくるくるっとした後ろ髪のモチーフは、あの吹くとぴろぴろっと紙が伸び縮みするアレかなぁ。
ふきもどし
↑コレ。

 吹き戻しっていうらしいっすね。吹き矢って得意武器的に、なんとなくそれっぽいかなって。


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