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週刊少年ジャンプ2018年12号分のONE PIECE感想です。
本誌で読んだ方のみ続きからどうぞ。 



☆扉絵連載


 前回の分にてレオ編を終了し、今回からはハイルディン編がスタート。
 レオ達の海賊としての旗揚げは、どうやら本編での再登場を待つ事になりそう。
 世界会議編での再登場になるのかな。 

 ハイルディン編の導入は、未来の「巨兵海賊団」こと彼ら5名が、七武海の一角であるバギーの下から離れるところからスタート。
 第803話の時点で、すでに電伝虫か何かで連絡を入れていたハイルディン達だが、今回の扉絵ではバギーが居を据えるカライ・バリ島から旅立つ様なシーンが描かれている。
 ルフィ達と別れたあと、一度バギーの所へと船を戻し、改めて離脱を伝えたのだろう。この辺り、ジンベエ同様にきちんと海賊としての筋を通そうとするハイルディンの性格が伺えますな。単に仲間4人がまだバギーのとこにいただけかもしれんけど。

 残る4人の仲間が誰かは未だ不明ですが、この扉絵連載の間には明かされそう。
 ビッグ・マムの回想編に登場した名前の中から、加入している人物もいそうかな。

 ハイルディンと近い世代と思われる巨人族としては、リンリンとも仲良くしていたゲルズが登場していた。どうも彼に意味深な視線を送っていた事から、行動を共にしていてもおかしくはないかも? 女巨人である事や、幼少の時点ではとても戦闘の心得を持っていなさそうだったので、微妙なところではあるけども。

 ついでに確定はしてませんが、シャボンディで登場した海賊スタンセンの幼き頃と思しき人物も登場していた。ハイルディンの左の写ってる彼ね。

 写真 2018-02-19 14 14 56 写真 2018-02-19 14 19 39
ONE PIECE86巻第866話、ONE PIECE BLUE DEEPより引用


 うーん、わざわざハイルディンと一緒に写ってるくらいだし、仲間入りのフラグかなとも思うんですが・・・それならそれで、何で2年前に人攫いにとっ捕まってたんかが気になる。レイリーの“覇気”を見抜いたり、実力者である事は匂わされてますが。
 
 仮に彼がハイルディンの仲間となっているなら、2年前の時点からルフィ達とのすれ違いがあった・・・という事で少しだけ因縁めいたものにもなって面白い。

 名前だけの登場では、リンリンちゃん5歳の無邪気な暴力によって大ケガを負ったエイリや、更に一つ若い王子ロキと同世代ではロードゴールドバーグといった名前も挙がっていた。
 彼らに関しては姿すら分からんのですが、ロードとゴールドバーグはそれゆえに小ネタとしてこのタイミングで名前を出しておいた可能性もあるかも。
 
 ヨルル様をコロコロしちゃった一件によって、ビッグ・マムに対しては思うところのありそうなハイルディン。今回のルフィとマムのひと悶着を、彼はどう見るのでしょうね。





☆本編

 今回は完全なるバトルオンリーの回。
 特に“ギア4”の新たなる形態である“蛇男(スネイクマン)”の登場がメインとなるお話です。


〇スネイクマン
 既に登場した“バウンドマン”に比べ、細身の体となった“ギア4”の新形態。
 しかし細身とはいえ、元のルフィの身体からすれば数段大柄となっており、カタクリよりも少し大きめくらいのサイズ比。意外とデカイ。

 さらに体から発する蒸気の様なもやの量も心なしか多くなっているが、“JET大蛇砲”なる技を披露している辺り、“ギア4”に重ねて“ギア2”も発動しているのであろう。
 “ギア2”と“ギア3”の重ね掛けは、リスクこそ高かったものの既に披露されているので、ルフィの肉体や技術がもつのであれば、これも可能である筈。

写真 2018-02-19 15 20 46
ONE PIECE50巻第482話より引用

 ただ、形態こそ新たなモードに変わったものの、“ゴムゴムの大蛇砲”を基調とした戦闘スタイル自体は、ドフラミンゴ戦で既に見せていたものとそう変わりはしなかった。

 変わったものと言えば、その速さ。これはルフィ自身の口から名言された事だ。

 この速度を生み出している主な要因は、ギア4に重ねて発動させた“ギア2”によるものだろう。この2つのギアを重ね掛けするという無茶を押し通すために、軽量化という手段により覇気の消耗や身体への負担を抑えているのかもしれない。


 また、通常時に比べて“身体を小さく”し、その見返りとしてより洗練された“スピード”を手に入れる。これと似た特徴を持つ戦闘スタイルは、作中で既に登場している。

写真 2018-02-19 15 31 51
ONE PIECE44巻第423話より引用

 “生命帰還”と呼ばれる技術は、身体の全てに意識を張り巡らせる事で、本来なら自分の意志では操りようのない、体毛や人体の代謝までをもコントロールしてしまうというもの。例えば今しがた食べたばかりの食物を、一瞬にして消化・吸収してしまうといった事が可能な技術だ。
 かつてルフィと死闘を演じたロブ・ルッチは、自身の身体を小型化する事で、パワーを犠牲にしてスピードに特化した肉体を得ていた。

 ルフィ自身が意図して鍛えたとは思わないが(あるいはレイリーが仕込んだ可能性はあるが)、このホールケーキアイランド編において、「人体として異常なほどの消化速度」を、ルフィは何度か見せていた。
 その殆どがギャグシーンとして描かれていたし、ルフィの肉体が常識で考えてオカシイ事くらい今更なのではあるが、これが無意識に会得・発動した生命帰還の技術である可能性は考えられる。もしかしたら、ルフィは本能的に会得したこの力を、ギア4の新たな形態へと応用したのかもしれない。

 過去の敵が使った技を応用し、我が物とする。ルフィの新たなる技にこんな裏事情があったりしたなら、何とも王道的で、熱い展開じゃないか。


 今回使用された“スネイクマン”による技は、“ゴムゴムのJET大蛇砲(カルヴァリン)”、“ゴムゴムの黒い蛇群(ブラックマンバ)”、“ゴムゴムの王蛇(キング・コブラ)”の3つ。

 “JET大蛇砲”は、シンプルに高速化した大蛇砲。更に角度を変える瞬間に加速する機能まであるらしい。
 “黒い蛇群”は、“ゴムゴムの銃乱打”の大蛇砲バージョン、
 “王蛇”は・・・なんだろう。決め技として出している辺りかなりの威力を誇る技だとは思うけれど・・・よく見ると、“大蛇(パイソン)”と化した腕はかなりの長い距離を走っている。この伸ばした距離が長ければ長いほど力を増す拳なんだろうか。

 (追記)よく考えたら、曲がるたびに加速するんだからそりゃ伸ばしまくった方が強くなるわな。そらそーだ。
   本来なら「避けられた攻撃に角度を加える事で追撃を行う」大蛇砲だが、最後の王蛇では初めから一撃目を当てに行っていない。あえて遠回りな軌道を描く攻撃を行う事で、最高速にまで加速させた一撃を与える技といったとこなんでしょうかね。速度は重さってな事ですね。

 またスネイクマンによる技は、普段ルフィが使う通常のパンチとは異なり、指の関節部の膨らみを当てる形での打撃が多い模様。


 ところで、今回ルフィが放った“スネイクマン”の拳は、あのカタクリでさえ回避困難な技であった。
 その理由は、大蛇砲が一度回避しても角度を変えて再び襲ってくる技であるからなのだが、これは既に互いに未来を読み合える者同士であるが故、未来視が役に立たなくなっているからなのだろうか?
 実はルフィ本人にすらどう動くかは読めない、拳自体が意志を持つかのように這い、襲い掛かる様な拳であるからこそ、見聞色ではどうにもならない技なのかもしれない。いや、理屈とか知らんけど。




〇カタクリ
 “スネイクマン”による攻撃を2発目で見切り、以降は互角の戦いといった所。
 新たなる技“斬・切・餅(ザン・ギリ・モチ)”にて勝負に出ます。
 これは全身をドーナツ状のモチに変化させて回転し、遠心力を加えた状態でトゲトゲの金棒の様に変えた腕でラリアットをかますというもの。
 更に物理的なダメージだけでなく、その粘着性により相手を捕らえる事で、更なる追撃をも可能にした技の様だ。
 通常、いかに“覇気”を纏おうが、地面に叩きつけるという手段では、ゴム人間にダメージを与える事はできない。しかしこの場合、覇気を纏ったトゲ状の腕が身体を圧迫させる事で、更なるダメージを与えているのだろう。

 ルフィが見せた新たなる姿に気圧される事無く、その特徴を見極め、“黒い蛇群”の乱打を全て受けきるその実力は、やはり海賊としての“格”を見せつけてくれる。

 そして“斬・切・餅”と“王蛇”、どちらの攻撃が勝るか・・・というところで、今週の締めに。
 
 ワンピースで描かれる1VS1の戦いが終幕を迎える話数の多くは、敵を倒す決め技を喰らわせ、読者が「勝った!」と確信できるシーンで1話が終わる。

 「最後はどっちだ・・・!!」のアオリ文と共に締めくくられた今回のお話だが、この「どちらが勝ったのか」という引き方はワンピース全体を通してもなかなかに珍しいと思う。
 理由は単純で、ONE PIECEという物語のほとんどは、主人公であるルフィの勝利をもってしかエピソードを終えられないからだ。
 クロコダイルやルッチに何度煮え湯を飲まされようが、最後に勝つのは必ずルフィなのだ。漫画的な宿命でもあるが、最後にはルフィが勝つと皆分かっているのだから、「勝ったか負けたか」を引きとしたところで、ワクワク感を演出するのは難しい。(例外として、敗北に終わるエピソードであったマリンフォード編などがあるが)

 しかし今回は、本当にどっちが勝利するか分からないバトルである。相手の格もさる事ながら、物語の展開として、勝っても、負けても、相打ちに終わっても全ておかしくない。
 その全てのパターンによって、今後の展開を妄想したくなる程の状況と魅力を作れた対戦カードであるからこそ、こういったレアケースの引きが使われたんじゃないか、と個人的には思う。


 そしてそれ故に、次週の休載が非常にもどかしい。ううむ、早く続きが見たい。2週間は長い。非常に長い。
 

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