週刊少年ジャンプ2018年14号分のONE PIECE感想です。
本誌で読んだ方のみ続きからどうぞ。 
また今回、テンションだけで書き殴った結果、感想と言うより妄想に近いものも多分に含まれる結果となっていますので、お覚悟のうえでどうぞ。 


☆扉絵連載
 麦わら大船団の傘下となるためバギーズデリバリーを脱退したハイルディンですが、どうやらバギーの怒りを買い「脱走者リスト」に記載される形で追われる身となってしまった様子。
 まあ七武海の一角だからって手配書を制作する権利まであるハズもないので、あくまでバギーズデリバリーの組織内でのお尋ね者って感じなんでしょうが。
 
 ルフィ達と別れてからの動向が描写されてきた「押し掛け麦わら大船団物語」ですが、ハイルディン編ではどうやら"新巨兵海賊団"5名の人員紹介を行うための物語として描かれそう。
 その第1弾がハイルディンなのですが、ドレスローザにいた時とは衣装が違っとります。コロシアムじゃ装備に重量制限があったのでその都合かもしれませんが、毛皮っぽいマントを羽織り、何やらモコモコした衣服で腹部を覆った姿は中々に貫録がある。
 腹部の衣装は地味にドリーやブロギーに似ている気もしますが、意識してるんかな? 799話で語った「いずれは全巨人族を束ね~」という言葉をそのまま捉えるなら、先代ドリーやブロギーすらも配下に置くという事になりますが・・・いや、彼らは例外なんかな。殿堂入り的な。

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ONE PIECE75巻第748話より引用

 ついでに、地味ながら武器も変わってます。
 コロシアムでは素手+盾で戦っていたハイルディンですが、その後のドンキホーテ海賊団戦では何気に巨大な金棒を振るっていました。決め技は結局パンチ技だったので印象に残りにくいですが。

 今回の扉絵では、横幅の短めな戦斧の様な武器に持ち替えています。このハイルディンが今現在の姿なのか、バギーズデリバリー在籍時の写真を用いたものなのかよく分かりませんが、とにかく武器変更があった模様。

 また、ルフィらと親子の盃を(勝手に)交わした時には、「未来の"巨兵海賊団"船長」として紹介されていたが、今回は正式に「新巨兵海賊団船長」となっていました。

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ONE PIECE80巻第803話より引用

 よく考えればハイルディンの脱退を聞いた時、アルビダは彼がひとりで抜けるものだと勘違いしていた。彼ら5人が明確にひとつの海賊団を結成していたのなら、船長が抜ければ当然他の仲間も一緒に抜けるのが道理。この段階では、「いつかでっけェ事やってやろうぜ」と意気投合した5人であっただけで、正式に海賊団を結成していたワケではなかったのかな。


☆本編
〇ルフィとカタクリ
 覇王の資質を持つもの同士の、全てをかけた一騎打ち。
 カタクリの放った斬・切・餅は、ルフィを打ち倒すと同時に、その足元の地面を崩落させた。穴の中で気絶したルフィの姿を見届けたカタクリもまた、ゴムゴムの王蛇の一撃により意識を失い、前のめりに倒れ込んだ。
 先に目を覚ましたのは、ルフィであった。仲間が待っているという一心が身体を動かしたのか、地面に這いつくばりながらも彼は進む。しかし、時を同じくしてカタクリもまた意識を取り戻していた。満身創痍の身ながら、ルフィの前に立ちはだかるカタクリ。
 そして、一つの問いを投げかけるわけだが、カタクリは自身の母であり船長であるビッグ・マムを、そのまま"ビッグ・マム"と呼び捨てにした。しかも、問いの内容は「倒しに来るのか?」というもの。

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ONE PIECE87巻第873話より引用

 元々、カタクリが自らルフィを倒そうとしたのは、ルフィの危険度を察知した上で、ボスであるビッグ・マムの障害としないための露払いだった。だが、彼はルフィとの戦いを繰り広げる内、ママのためではなく一人の男として、ルフィと全力でぶつかる道を選んだ。

 カタクリは強いが、あくまでも四皇の一味のナンバー2でしかない。そのカタクリと互角のルフィでは、今はまだ単身ビッグ・マムを倒す事など到底不可能である。しかし、ルフィはそんなマムをいずれは倒し、海賊王になると断言した。壮大な、無謀とも言える野望を、恥じる事もなく言い放ったのだ。

 思えば、カタクリの半生は偽りに塗れたものだった。怠惰なる本省を隠し、素顔を隠し、弟妹の望む"完璧"な姿を演じ続けた。膝をつける事すら恥とし、背を地面につける事すら許さず、食事すらも人目を忍ぶ。
 そんなカタクリにとって、何より自分に真っすぐに生き、思った事全てを口に出す。そんな若き好敵手の生き方は、何よりも眩しく見えたのかもしれない。同じ覇王の資質を持ちながら、四皇のいち幹部の座に甘んじていた彼からすれば、尚更だ。
 カタクリは今回、自身のボスを"ママ"ではなく"ビッグ・マム"と呼んだ。これはそんな過去の自分との、決別をも意味していたのかもしれない。

 そして、彼は倒れた。一度は前のめりに倒れた彼が、ルフィの答えを聞き満足したかの様に、地面に背をつけたのだ。
 結果としてはルフィの勝利に終わった戦いだったが、完全なる勝利かと言えば、決してそうではなかっただろう。ギア4は、時間制限というリスクを伴う一か八かの奥の手。カタクリが真っ向勝負という道を選ばず、あえて持久戦に持ち込もうとすれば、結果はどうなっていたか分からない。一度は行った「そもそものギア4の発動自体を潰す」という戦法も取れたし、"加々身モチ"に代表される動きを止める技を用いる事だって出来た。だが、彼は自身の意志で、それをしなかった。互いの全霊をもって迎えた決着にこそ、意味を見出したのだ。

 しかし、これは海賊同士の勝負。取れた戦法を取らなかった事など、言い訳にはならない。
 彼は負けたのだ。そしてそれは、彼自身が一番よく分かっていた。
 だからこそ、彼は自らが最も恥じた、地面に背をつけるという倒れ方によって、ルフィにそれを伝えたかったのではないか。
 このケンカ、お前の勝ちだ、と。

 そして、ルフィもそれに答えた。
 ルフィは自身の麦わらの上に被せていた帽子を置く事で、彼が本来誰にも見られたくなかった素顔を覆った。
 それは敗者への情けなどではなく、全力をもって応えてくれた奇妙な戦友への、感謝の情だったのではないかと思う。
 元々、デリカシーのない普段の姿とは裏腹に、ルフィはこういう気遣いが出来る男だ。
 アマゾンリリーの蛇穴さらぎの舞いにて、彼は露わになったサンダーソニアの背中を覆い、衆人の目から隠した。そこに、彼女らにとって死んでも見られたくない刻印があると知っていたからだ。
 これが生来の性格故か、感情を読む事に長けた見聞色の力故かは分からないが、ここぞと言うところで他者の気持ちを慮る事ができるのも、ルフィの「人を惹きつける」能力の所以なのであろう。



〇ベッジとファイアタンク海賊団
 リキュール島へとケーキを運ぶベッジ達だったが、既に巨大なプロメテウスに乗ったマムは背後まで迫っていた。
 ケーキを捨てて逃げる事を提言する部下達であったが、ベッジの覚悟はもう決まっていた。そして、この言葉である。
  生まれた場所が違うんだ
  死ぬ時くらいお前達・・・
  一緒にいようぜ
 これは説明するまでもなく、歴史書「三国志」を基にした小説「三国志演義」に出てくる一節がモデルだろう。
 生まれし時は違えども、願わくば同年、同月、同日に死せんことを願わん。
 劉備、関羽、張飛の三英雄が義兄弟の契りを結んだ時の言葉だ。
 
 彼らは兄弟、ベッジらは船長と船員という親子の様な繋がりという違いはあるが、要はこのシーンにこのセリフを持ってきたという事は、ベッジらの絆は劉備達と同じくらいに強いという事だろう。
 あちらの義兄弟達は、残念ながら各々に非業の死を遂げ、この誓いを完遂する事は出来なかった。ベッジ達には、彼らと同じ轍を踏まず生き残ってほしいものである。あんなに頑張ったんだもの。少しは報われたっていいじゃないか。

(追記:ケーキを運ぶ箇所はリキュール島じゃなくふんわり島でした。)


〇ナゾムズ
 ペコム・・・ナゾムズさんアンタ・・・姿が見えないと思ったらこんなところに・・・。
 どうやらペドロが命を賭して守ったルフィ達を救う事で、彼の死に報いようとしているらしい。これまたしばらく姿を見なかったブリュレをとっつかまえて、ルフィのもとにはせ参じたのだった。

 ここに来てようやく表舞台での活躍が描かれたペコムズだが、そういえば彼にはまだ伏線が残っていた。ネコマムシは彼を抑えるための人員としてペドロを送ったが・・・そのペドロが死んだとされている今、その一件はどうなるのか・・・。



〇サンジとプリン
 オーブン率いるカカオ島の軍勢から身を隠しながら、ルフィが現れる1時を待つサンジ。全てが終われば万国から去る事になる彼は、プリンとの不思議な出会いを思い返しながら、やがて来る別れの時を思い今までの感謝を述べる。
 婚約者の役がプリンで良かった、と言う彼に対し、プリンは涙ながらに一つの願いを言おうとする。明確には描かれなかったが、彼が口に咥える煙草をそっと取り上げる描写が。

 まあこの辺、いろいろと想像は出来るんですが、尾田さん的にはあまり明確にしたくない部分なのかな、という感じも。まあ次回の回想辺りであっさり描かれる可能性もありますが、"ドフィ"と"ヴァイオレット"の件を考えると、あまり恋愛的な深い部分の描写はワンピースには必要ない、とお考えな気もする。ご結婚なされる前とかは特に、そういうのを描きたくない的な事を仰っていた気もするし。

 もしくは、いかにも恋愛に絡めたお願いであると仄めかした上で、全く異なる「お願い」である事のフラグである可能性も否めないが、今は置いておく。プリンがサンジを想っている事は傍目には明白ながら、当人達にその自覚があるのかよく分からんのよね。
 少なくとも、プリンの感情の裏返しに対し「あはは、敵だもんな」と笑って流すサンジは、完全にプリンからは敵視されていると認識していそう。じゃあ何でルフィ救出の助っ人までしてくれてると思ってんだ、という気はしますが。

以下完全なる空想話が繰り広げられますので注意。
 まあこの「お願い」が恋事に関するものであると仮定した上でのお話ですが、まあ煙草を取り上げるという行動からして、思い出としてのキスでも求めたんは明白でしょう。

 でも、そんな事をすれば流石の鈍感男でも、プリンが自分に好意を持っている事に気付いてしまう。彼女がこの国において、自分を偽って生きている事、自由な生き方が出来ていないという事を、サンジは知っているハズ。

血の繋がった家族の中にあってなお自由がない、という境遇は、サンジ自信とも通ずるものがあるところ。誰よりも優しいサンジのこと、出来る事ならば、彼女をそんな暮らしから救ってやりたいと思っていてもおかしくはない。

 そんな思いを塞き止めているのは、彼女が自分を敵視し、嫌っているという思い込み。そりゃあまあ、あんな手酷い裏切りがあったのだ。直接的な言葉もなしに、彼女からの好意に気が付けという方が無理である。だからこそ、彼女を救うのは自分ではない、自分が手を差し伸べても、彼女にとって幸福にはならないと考えているのだと思う。

 だが、仮にプリンが、行動や言葉をもって自身の想いを告げてしまったらどうか。彼女を救い、自身の手で守るため、この国から彼女を連れ出そうとするかもしれない。そして、船長であるルフィもそれを拒否はしないだろう。元々ルフィは、サンジが結婚して帰って来ると聞いた時「仲間が1人増えるな」と言っていたし。

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ONE PIECE86巻第864話より引用

 しかしこの場合、それを固辞するのはプリンの方なんじゃないか。元々、彼女の自己評価は相当に低い。幼少期からの周囲の罵声に歪み、自身を三つ目の醜い化け物と蔑んでいる事はもとより、おそらくはマムの命により多くの人間をその演技力によってダマしてきた。
 そんな自分が、あのサンジと恋仲になどなるべきではない。そんな幸福を享受するのが、許されるはずがない。そんな風に思い込んでいるのではないだろうか。
 しかも、彼女はビッグ・マムにとっての"お気に入り"だ。明確に語られたワケではないが、三つ目族の"開眼"とやらが、歴史の本文を読み解く鍵になるからだろう。

 ルフィ達は、現時点で既にマムの怒りを大いに買ってしまっている。仮にナワバリを無事脱出する事ができたとして、その後もビッグ・マム海賊団とは敵対関係となる事は明白。読者視点では「和解するパターンもあるかも?」とも思えますが、プリンの感覚からすればそんな可能性は0に近いでしょうし。
 そんな中、自分がサンジについていったりしたらどうなるか。マムはラフテルへの道筋となる娘を引き抜かれた事になり、その怒りはまたしてもルフィ達に向く事になる。プリン自身、純粋な戦闘能力がある方ではないだろうし、そうなれば彼女はただサンジに守られるだけのお荷物となってしまいかねない。彼らに迷惑をかけ続けてまで同行する事が、彼女の本意かと言えばそうではないだろう

 だからこそ、彼女は別れの前の最後の思い出として"お願い"をし、その記憶をサンジの中から消去したのではないか。いや、もしかしたら最終的には、彼女と出会った事それ自体の記憶すらも消し去ろうと考えるのかもしれない。そうすれば、サンジはルフィを救出した後、何の後腐れもなくこの国を去れる。後に残るのは、プリンの中にのみ刻まれたひと時の幸福というわけだ。

 サンジは、この作戦が終わればプリンとはお別れであると言った。そしてプリンも、おそらくはそうなると考えているだろう。しかし、これには誤算がある。ルフィが、いずれはビッグ・マムを倒す気でいる事だ。
 カタクリは、「ビッグ・マムを倒しに"来る"のか?」と尋ね、ルフィもそれに「勿論だ」と答えた。これがいずれ真実になるならば、その再戦の地はここ、トットランドになるという事になる。そうなれば、サンジとプリンの再会もまた、約束されたものであるという事だ。そしてその時こそ、彼ら二人の"出会い"をやり直せるんじゃないだろうか。悪魔の実の様な超常的な力の影響を越え、失われたはずの記憶をおぼろげながら思い出す――なんて流れも、ラブストーリーとしては定番の流れだ。




 そう、ラブストーリーとしては。そしてこれはワンピース。少年誌に掲載される海洋冒険ロマン漫画だ。故にここまで細かく恋愛模様をメインとした話が展開される事など、十中八九ないのである。
 想像が行き過ぎてえらい文章量になってしまった。これで来週、普通にお願いの内容が明かされたら笑う。いやその方がいいんだけど。