週刊少年ジャンプ2018年17号分のワンピース感想です。
 最新号までのネタバレを含むので本誌を買ってから見てね。


☆扉絵連載
 新巨兵海賊団4人目は、コックのゴールドバーグ
 ロードが加入していた時点で彼の仲間入りも確定していた様なもんでしたが、そのフォルムは意外なほどにコメディテイストの強いものに。

 眠たげな眼差しや恰幅の良い体形はともかく、顔つきの盾て。ビッグ・マム海賊団か君は。最近モノに顔がついてるの当たり前になりすぎてて、一瞬スルーしかけたわ。 
 流石にソルソルの実の効果無しで盾が生きているとも思えないし、これは単にこういうデザインなんですかね。・・・悪趣味や。エルバフの新世代、センスがおかしいよう。エルバフの戦士って事で、63年前にカルメルがソウルを放り込んだ盾である可能性もあるけど、寿命的に流石に厳しいだろうし。

 悪魔の実を食わせた盾ってのも考えたけど、獣型や獣人型になってない限り顔は出てこないイメージあるし違うかな。
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ONE PIECE第20巻第181話より

 というか、仮にこの盾が生きてたとしたらそれこそ鬼畜の所業ですよね。意識あるモノに攻撃受けさせるて、罪悪感あってようできんですわ。

 そして得物の方は・・・船長ハイルディンがドレスローザで使ってた金棒に似てるけど、持ち手の部分が微妙に違ってますね。
 ハイルディンのは先端がリング状になってるけど、ゴールドバーグのは平たい形に。彼の武器も斧に変わっていたけど、どうやら受け継いだとかそういうワケじゃないらしい。

 船大工に航海士、コックと来たら、あと重要度の高そうなのは"船医"辺りかな。
 十中八九ゲルズかなぁと思ってるけど、いやもしかしたらリンリンちゃん5歳にボコられた経歴を活かして、エイリ君が医術を・・・?


☆本編
〇ペロスペロー
 ペドロの自爆から約10時間が経過し、ここまでアグレッシブに動いていたペロス兄もとうとう限界が来た模様。
 考えてみりゃ、治療もせずそのまま追撃に回ってたんですよねこの人。移動にすらずっと能力を使ってるし、ナッツ島では多少とはいえルフィと直接交戦したし。
 普通、片腕吹っ飛ぶ程のダメージ受けた直後に早速復讐に転じようなんてバイタリティ、湧いてきませんよ。齢50にして元気すぎか。

 しかし深手から衰弱しながらも、現状のトットランドが陥った窮地をモンドールに伝えます。
 彼としては、ケーキに毒が仕込まれた事は既に確定事項。その上で、「毒がママに効くかどうか」「ママがケーキに満足するかどうか」を危惧しているワケですね。

 まあ暗殺犯であるベッジが運んだケーキなのだから毒を疑うのは当然だし、かと言ってケーキを食べさせなければ国は終わる。彼としても、国の運命を託す大博打に出なきゃどうにもならん所ですね。

 しかしこの流れだと、マムとルフィ達の「和解」という道は厳しそうな気がする。毒を入れていない可能性を微塵も考慮していないし、そもプリン達を除いて、サンジがケーキ制作に関わった事を知る者はいないし。まあWCI31が口を滑らす可能性はありますが。

 あとはケーキを食ったマムの反応次第ですが、この分だとしばらくルフィ達はビッグ・マム海賊団に追われる身となってしまいそうな。カイドウとの直接対決を控えている今、他の四皇を怒らせっぱなしというのはかなりマズイ状況ですが。
 やはりここは、ケーキを食ったマムが、多幸感から報復行動をどうでもいいと思ってしまうのが一番簡単な流れかな?

 しかしボロボロの身体の上、最悪マム自身に殺されかねない状態だというのに国の事を心配するペロス兄は中々にすごい。流石、四皇の長兄だ。

〇スムージー姐さん&ダイフク兄さん
 ペロス兄がこの様に覚悟を決める中、結構のん気してるのがこちらのお二方
 艦隊との挟撃に成功した事で、勝ちは確定とばかりにニコニコしてらっしゃいます。したら案の定、ジェルマやタイヨウの海賊団の妨害に合ってるし。

 しかし随所で阿呆な雰囲気は晒しつつも、その実力自体はある程度アピール出来ているダイフク兄さんはともかく、スムージー姐さんの強さは一向に見えてこない
 なぜだ。あの当たらない飛ぶ斬撃で満足してしまったのか。それともこれ以上妹達にみっともない姿を晒したくなかったのか。砲撃指示に回るばかりで、進んで闘おうとはしてくれません。

 うーむ、このサンジ奪還編が終わってもビッグ・マム海賊団自体が退場するワケではないだろうし、彼女にはまた別の役割があるんだろうか。しかし下手に役割を全うしてもらっては、彼女のアイデンティティが死んでしまう。
 曲がりなりにも四将星最後の1人でもあるし、何らかの活躍はしていただきたい。そして盛大に失敗してぽんこつキャラとしての存在感をアピールしていただきたい

 ・・・そーいや、出番自体はあるスム姐はまだしも、長女コンポートは全然出てきませんな・・・主要幹部級がこの有様だと、ペロス兄の負担も凄そうだ。頑張れ長男。負けるな長男。


〇ベッジ&シフォン
 サンジとの約定通り、ケーキを送り届けてくれたお二人。しかし彼らの乗るノストラ・カステロ号はプロメテウスの炎により沈められてしまった様。
 あんな高性能な船1隻御釈迦にしてまで義理を果たしてくれるベッジ、いい人すぎやろ。
 「人情なんざクソの役にも立たねェ」とか言うてはった頃の彼はどこに行ってしまったのか。果ては捨て台詞とはいえ、ルフィ達も生存を望んですらいます。ええ人や。

 そしてシフォンも、サンジの料理の腕を信頼し、マムが止まる事を確信している様子。うーむ、肝の据わりっぷりがスゴイ。流石おかみさん。
 ヴィト達の姿が見当たりませんが、彼らは一足先に逃がしたのか、能力により体内に収容しているのか。元々の船は使い物にならなくなってしまいましたが、替えの船は奪取できるんだろうか。

 あと、何気にシフォンを抱えてキャッスルタンクで逃げる姿がシュール。愉快なヤツらだ。


〇モルガンズ&ステューシー
 先ほどまでモンドールらと共にいたお二人、この喧騒に紛れていつの間にか島を出ていました。
 この大混乱を外に漏らされてはたまらないと、モンドールは二人に追手を差し向けます。が、・・・まあ、ここでステューシーが退場するとは思えないし、無事に出航するかな。
 
 しかし、ステューシーはともかくモルガンズがここで島を出てしてしまうのはちょっと予想外。てっきり、コトの顛末を見届けた上で記事にするのかと。

 ・・・でもアレか、世経はねつ造隠ぺいお構いなしの方針っぽいし、好き勝手に書いちゃってもおかしくないか。ベッジの暗殺からジェルマの援護から、全部麦わらの一味の仕業として仕立てるかも。
 そうなれば、ジェルマのマムとの関与も報道されず、彼らは世界会議参加の権利もはく奪されず。これから始まるであろう世界会議に、ジャッジ達も関わっていけるのかも。


〇ジャッジ&ルフィ
 やはりと言うか、スムージー達の追撃を防いだのはジャッジでありました。
 しかしサンジらの危機を救いつつも、その空気は円満なものとはいかず。
 自らの危機も顧みず、四皇のナワバリまでサンジを奪い返しに来たルフィに対する問いかけは、ある種の怒りを含んだかの様。

 ジェルマ王国の王と、海賊の王。道は違えど、彼が自身と同じ"王"の座を志すが故の問いだったのだろうが、ジャッジはこの問いにどんな答えを期待したんだろう

 かつて自身が"出来損ない"と呼び、不要な存在と切り捨てた男。そんな役にも立たない部下1人のために、一軍の長が自らの命をかける。当然、ジャッジからすれば意味不明な愚行でしかないでしょう。

 しかしそんなルフィが今、数々の助けを得て、あの"四皇"から事実上の勝利をもぎ取ろうとしている。力を得るため情を犠牲にしてきたジャッジからすれば、そんな現状は許されざる事なワケだ。

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ONE PIECE第85巻第852話より

 ジャッジは、ソラの意向に反し己の研究に没頭するあまり、結果として彼女の命を犠牲としてしまった。
 レイジュの私見では、彼のサンジへの辛辣な態度は、ソラの死の責任をサンジに押し付けるかの様であったらしい。
 つまり彼女が死んだ時、ジャッジの中には確実に彼女への愛が存在していた事になる。世界経済新聞にて掲載される絵物語にて、ヒーローの名として「ソラ」を使わせているのも、その証左と言えるかもしれない。

 身勝手な話ではあるが、ソラを犠牲としてしまった事で、ジャッジは引き返す事のできない状況に追いやられたのだ、と思う。
 ここで止まってしまえば、自分が間違っていたと認めてしまえば、ソラの死は無意味なものとなってしまう。
 自分の研究が、最高の兵士を作り出すための最善策であった事を、ジャッジは死んだソラに認めさせたかったのではないか
 元より彼女は、自身の子を兵器の様に扱う事に反発したのだが、ジェルマの亡霊に憑りつかれたかの様なジャッジに、彼女の想いが正しく伝わったとは思い難い。

 しかしこの茶会において、彼の予期せぬ事態が起こる。
 彼は無様にもビッグ・マムに騙され、ジェルマの命運は断たれる寸前だった。

 だが、彼は救われた。それも、ソラの死を象徴する存在であったサンジによって
 そして、サンジを奪い返しに来たルフィもまた、己の目的の全てを達し、生きて帰ろうとしている。彼自身が否定し、ソラが望んだ情愛に満ちた者達が、勝利を収めようとしているのだ。

 その事実を、ジャッジとしては認めるワケにはいかない。しかし同時に、心の奥では理解してしまったのではないだろうか。サンジが"失敗作"などではない事を、感情を奪った兵器では、決して最強の兵団とはなれぬ事を。

 そんなない交ぜになった感情から発せられたのが、あの問い。
 "出来損ない"としてサンジをこき下ろす様な、傲慢な言葉。しかしルフィは、その言葉の裏にある本質を見抜いていたのかもしれない。単に本能的なものか、彼の持つ「人の感情を読む」事に長けた見聞色がそうさせたのかは分からんが。

 ルフィとヴィンスモーク家。互いの持つ「王たる条理」は、全く持って正反対のものであった。
 これはどちらが正しい、という話ではないが、結果として四皇という強大な存在にルフィは勝ち、ジャッジは負けた。事実として存在するのは、これが全てだ。
 今後の"ジェルマ66"がどう変わっていくのかは先の話だが、彼がこの王としての思想を改めるのであれば、そこには「ソラの死」と「自身の過ち」を受け入れる心の強さが必要となるのだろう。

 そして、ジャッジの問いに対するルフィの答えとしては、ルフィ自身の言った事が全てなんでしょうね。
 ジャッジの罵詈雑言は、ルフィ(やチョッパー)にとっては単なるほめ言葉。
 そんなサンジだからこそ、命を賭けて助けに来た。ルフィにとっては、そこに理由づけなんてする必要すらないのだ。王としての在り方が、ハッキリと別れる部分だ。
 ジャッジの求めた答えとは少しズレた回答だが、これもまたルフィらしい、麦わらの一味らしいものと言えるでしょう。


 そして、次週はいよいよ900話の大台に。何気に、休載を挟まずに5週連続で掲載されるのは久々な気がする。
 アラディン達が駆けつけてくれた事もあるし、900話という事でジンベエ仲間入りの"9人目"を期待したいところでしたけど、このペースだとちょい厳しめかな? ケーキを食ったマムがどうなるか、という、サンジ奪還編最終局面の区切りとなる話になりそうかな。