映画「FILM GOLD」地上波放送決定だそうで。
公開されたのが1年半くらい前だから、結構間が空いた感じね。

本編じゃ長らく麦わらの一味が揃わない時期が続いてるから、そういう意味でも楽しめるかと。

まあそれは置いといて、週刊少年ジャンプ2018年21・22号分のワンピース感想です。
ネタバレに配慮していないので、自分で買ってから見てください。


表紙・巻頭カラー
〇表紙
どうも、ジャンプ掲載作品に登場する主人公達がそれぞれ衣装チェンジを行ったイラストらしい。

ルフィが着てるのは、「僕のヒーローアカデミア」主人公の衣装、逆にルフィの服を着ているのは、「ブラッククローバー」の主人公ですかね。

・・・ごめん、最近のマンガをワンピース以外ほとんど知らないもんで、それ以上言う事がない。オレコレの知識ぐらいしか頭にない。現連載陣だと、銀魂と僕勉くらいしか分からないもんで。  

〇巻頭カラー
ドーナツやらキャンディやら、色んなお菓子が意志を持って麦わらの一味に襲い来る構図。菓子や食べ物の能力者が多かったホールケーキアイランど編を締めくくるべく描かれたイラスト、って感じね。

「SWEETS BUSTERS」なんて副題?みたいなもんがついてるけど、ゴーストバスターズのパロディか何かなのかな。
どうでもいいけど、重火器を持つウソップの姿から、ゴーストバスターズよりメタルスラッグが浮かんでしまった。

ペドロの死
ケーキを完成させ一度船に戻った際には、ブルックがその事実を隠したためペドロの死を知らなかったサンジ。

しかしどうやら今回冒頭ではペドロの死を知った様で、彼との出会いの瞬間を思い返している。以前はビッグ・マムの脅威にさらされっぱなしだった時ゆえ、ブルックも気を利かせたんだろう。
でもジンベエらの奮戦によって多少の安全が確保された今、その死を隠し続けるのも不義理というもの。

ペドロの死に場所はここではなかったのでは、と思うサンジだが、そもペドロの本来の"死に場所"とはどこだったんだろう?
第878話の回想シーンにて、ビッグ・マムに50年の寿命を差し出したペドロは、その死に場所を「自分で決める」と言い放っていた。
ルフィらを救うために命を捨てる事を選んだのは、紛れもないペドロの意志。そういう意味では、彼は自ら定めた死に場所にて殉ずる事ができたとも言える。

5年前、ペドロはビッグ・マムのナワバリで敗戦し、その寿命の大半と片目を失ってでも生きながらえた。そこが、自分の死に場所ではないと判断したからだ。
素直に読めば、ネコマムシ達が待つという「世界の夜明け」なる瞬間およびその時を導く事こそが、彼の「出番」であり命を賭すべき場所であったんだろう。

キャロットは、ペドロが命を張ったのはモコモ公国を救ってくれたサンジ達の恩に報いるためだと言った。それも半分は正しいのだろうが、実際にはそれだけが理由ではなかった。

ペドロ「おれは思う ルフィ達こそが 数百年間我ら一族と"光月家"が待ち続けた
    世界を夜明けへと導く者達だ!!」
 ONE PIECE87巻 第877話より引用

このセリフは、ペドロがペロスペローとの心中を決め込む直前、キャロットに遺した言葉。
彼はルフィをここで生かす事が、ネコマムシ達が待つ「世界の夜明け」へと繋がると判断し、その身を懸けて彼を守った。

本来彼は、自らが命を賭す事で世界の夜明けを導くつもりでいたのかもしれない。
しかしルフィ達と出会い、共に旅をした事で、その想いは変わった。ルフィ達こそが、世界を夜明けへと導く者達。ならば自分にできる事は、彼らを守る事でその礎となる事。
そう考えたからこそ、彼は本来見定めていた"死に場所"を変更し、自爆という道を選んだのだと思う。

ルフィ達が世界の夜明けを導く者なら、彼らがその時を迎える様導く事。それこそが自分の宿命であり、この場所こそ自分の死に場所であると、彼は直観したのだ。


と、色々書いてみたが、根拠のない予想として実際のところペドロは今後再び姿を現すんじゃないかと思う。
いや、確かにワンピースは名前つきのキャラが滅多に死なない事で有名ではあるが、頂上戦争以降その法則は必ずしも信用できるものではなくなった様にも思う。

しかし、今回の冒頭にてペドロの回想を挟んだ事、そして前回、同様に寿命を奪われたモスカートが何気に復活していたシーンを入れた事が、ペドロ生還のフラグになってるんじゃないかな、と感じたのでした。


プリンの"お願い"
個人的には「読者の想像に任せる」形で完結すると思っていた最後のお願いだが、今回きちんと(まあ少年漫画ゆえ、肝心の部分はぼかす形ではあるが)描写された。
どうやら「タバコを取り去った」シーンから予想された様に、「サンジにキスをし、その記憶をメモメモの能力により奪った」というのが結論みたい。

うん、まあ概ねの想像通りかな。前の感想でもっと無茶苦茶書いた気もするけど。

そしてメモメモの実の能力を反映させた回想シーンの演出が上手いですね。
プリンが頭の中で思い返す記憶を描く際は普段の回想と同じ表現をし、"最後のお願い"のシーンは彼女が奪った記憶のフィルムを利用した、映画的な回想手段が用いられている。

更にその回想シーンでは、彼女がサンジに感謝と別れの言葉を告げる瞬間も。以前「まだお礼も言えてない」と彼女は言いましたが、何とか言葉にする事は叶った様子。
しかし、その言葉も編集によって切り取ってしまったため、結果としてサンジには届いておらず。彼は未だに、プリンが自分の事を嫌っていると勘違いしたまま・・・なのかな。

切り取られた記憶の中で、サンジに別れを告げたプリンですが、彼女の出番はまだこれで終わりというワケではないでしょう。何度か書いた様に、ルフィにはいずれ、再度トットランドを訪れビッグ・マムと決着をつける必要があるし、プリンにもまだ「第3の目の覚醒」という伏線が残されている。そのため、サンジとは永遠の別れというワケではなく、再会の時もまた訪れると思われるのだ。

そしてその時こそ、サンジの記憶に残っていない「お願い」と「感謝の言葉」を伝える時なんじゃないかな、と思う。


ブリュレとカタクリ
以前より、カタクリは「周りの期待に応えるため」に完璧な人間を演じ、その裂けた口へのコンプレックスから口元を隠しているものと思っていたが、実際には違っていた様だった。

幼少の彼は、食事の際にも口を隠したりはしていなかった。それどころか、「口を隠せば友達はできる」と言う兄ペロスペローに対し、「笑うやつはぶっ飛ばす」とまで言う程、自分を偽る様な事をしない人間だったみたい。
実際、彼は子供の頃から圧倒的に強く、自分を笑う様なやつがいたところで簡単に叩きのめせていたんだろう。

しかし、そんな彼に悲劇が訪れる。
カタクリへの報復として、妹のブリュレが顔に大ケガを負わされたのだ。
自分に対する蔑みには、力をもって対抗できる。しかし、それだけでは大事な妹を守る事までは出来なかった。

彼はその一件を機に、その裂けた口を隠す様になった。
他者の前で隙を見せる事を止め、完璧な恐怖を与える事により、家族への手出しまでをも防げる様にしたのだ。

やっぱりカタクリさんは登場の度に魅力的なキャラになっていくなぁ。
以前彼は、ルフィとの戦闘中に自身の真の姿を見てしまったパティシエを消してしまった。
当初は「やりすぎじゃね?」と思ったものだが、これは秘密が漏れる事で、家族に被害が及ぶのを恐れたが故だったのだ。
家族を守るため、誰に強制されたワケでもなく何十年にも渡り、完璧なる姿を演じ続ける。そう簡単に出来る事ではないだろう。改めて、カタクリという人物の底知れない大きさを見せられた気がする。

そして、ブリュレもまた、そんな彼の気持ちを汲み取っていたのだろう。彼女は、カタクリが本当は完璧などではない事を知っていたのだ。
見聞色の達人が鏡から覗くブリュレに気付かないほど、ドーナツに夢中だったのね(笑)

写真 2018-04-23 18 09 18
ONE PIECE88巻第882話より引用

第882話にて、彼女はカタクリと戦うルフィに、彼がいかに偉大なる"完璧な人間"であるかを声高に語っていた。今までは単なる「大好きなお兄ちゃん自慢」だと思っていたが、アレもおそらくは自分達のために完璧を演じるカタクリの想いを汲み、協力する気持ちからだったんだろう。


そしてブリュレはカタクリの手当てをしながら、ルフィ達がナワバリを出た事の報告をする。敵ながらもルフィの出航を喜ぶカタクリと、そんな彼の反応を予測していたブリュレ。
うん、カタクリさんはもう「敵」って枠には収まらないね。ライバルだね。強敵と書いて「とも」と読む感じだね。北斗神拳伝承者だね。(謎)

いずれルフィが再度ビッグ・マムと雌雄を決する時には、彼もリベンジ・マッチを望むかもしれん。漫画の都合的に、一度倒した相手との戦いが描かれる可能性は低いけど。

そして何より、ブリュレの見せる兄への愛がすごい。
ブリュレは今までルフィ達に、散々自分の能力を利用されてきた。それはブリュレ本人も言っていた様に、ビッグ・マムの気質を考えれば自身の命すらも危うくなるほど。さぞかしルフィ達への恨みも強い事だろう。

当然、カタクリが生存を喜ぼうと、ブリュレからすれば彼らは許せない存在であった。しかしその理由が、「お兄ちゃんをこんな目に遭わせた奴」であるからだと言うのだ。
茶会前後から、のべ50話近くにも渡って利用されっぱなしだった後に、そんな言葉出ませんよ、普通。なんぼ程お兄ちゃん大好きなのよ。
フランペという「紛い物の兄妹愛」が描かれたカタクリであるが故、ブリュレが見せた兄妹愛はかなり印象に残る部分でした。


しかし、カタクリが幼少の頃は口の事を隠していなかったとなると、気になる事もある。
第88巻のSBSでは、カタクリの口裂けが生まれつきのものではない事が明かされた。そして口裂けの原因は、その食事のスピードにあるというのである。
(参考記事:ONE PIECE第88巻 カタクリの口とかシャーロット家とか

今回明かされた幼少期の回想ではすでに縫い傷があり、口が裂けた後の話である事が分かる。この時点では裂けた口や牙の様な犬歯を隠そうとはしていないのだから、口裂けの原因である「超スピードの食事」は、食事する姿を見られないためのものではないという事だ。

口を隠すワケでも、完璧ではない姿を隠すためでもない。にも関わらず、口が裂ける原因となる程に超スピードで食事をしていたとすれば、それはもうあまりにも食いしん坊すぎたというくらいしか俺には浮かばない。
食いしん坊で、バクバクとドーナツを食べていたら、ある日うっかりその鋭い犬歯で口元を食い破っちゃったんだろうか。

何にしても、彼が口の事を隠すのは、自分のためではなく妹達のためだった。
ならば本来、その秘密を知ったルフィが無事に生還したという事は、喜ぶべき事態ではないはず。にも関わらず、彼はルフィの無事を喜んだ。
それはルフィに対し、その実力を認めているだけではなく、彼が自分の秘密を吹聴したりする様な男ではないと信頼しているからだと思われる。立場や陣営を超えた、奇妙な友情がそこには生まれていたのだ。


VSビッグ・マム
ルフィ達のナワバリ脱出は果たしたが、彼らを救うため戦場に残ったジェルマ66やタイヨウの海賊団の下に、ついにビッグ・マムが訪れてしまう。

「LIFE OR DEAD?」
寿命をくれるか、それとも死ぬか・・・もはや選択肢とも言えぬ問いを最後に、場面は切り替わるのだった。

たぶん、今回の締めからして、ホールケーキアイランド編はこれにて一旦終了と言う事になるんでしょう。故に、ジェルマやジンベエ達がどうなったか・・・と言うのも、しばしお預けとなるものと思われる。

ただ、まあ多分大丈夫でしょう。各々の手段で何とか生き残って、ひょっこり再登場を果たすもんだと思ってます。特に魚人達は、逃げる事だけを考えて海を泳げば、そう簡単に追いつかれはしないだろうし。

ところで、カラーを除いて4ページ目最後、「麦わらはどうなった!?」と誰かが叫ぶコマの隅っこに、タルト船らしき船が一隻浮かんでいるのが見えますが・・・コレ、誰が乗ってるんだろ?
ホールケーキアイランドの傍なので、叫んでるのはたぶんモンドールだと思うんだけど・・・今更になって増援を送る必要があるとも思えないし、たった一隻しかいなさそうなのも気になる。

紙媒体だと潰れてよく見えないが、電子版でよく見ると帆には「09」と書かれている。大臣であるシャーロット家の子供達が乗る船には、それぞれの名前や象徴的な単語が書かれているので、これは本来幹部格が乗るような船ではないと思われる。
今更になってモブしかいない船を出す理由など特に浮かばないので、これは誰かが船を奪って動かしているのかなと思う。

ベッジもタルト船を奪って脱走中であるが、前回を見ると彼が乗る船には「25」の番号が書かれているため、コレも違う。
ホールケーキアイランド近辺にいて、自前の船を持っていない人物・・・となると、浮かぶのはやはりペドロだ。

もしかしたら彼が何とか生還しており、船を奪って脱出を図っている可能性も・・・? 


サンジとゼフ
ホールケーキアイランド編のラストに相応しい締めくくり

ナワバリからの脱出を果たし、一息ついた麦わらの一味に、サンジは料理を振る舞う。
トットランドに来る時のメシは、食うのも憚られるクオリティだったり、有毒だったりで散々だったからね。久々のサンジのメシに、テンション爆上がりのルフィ達であった。

というか、サンジが一味のためにメシを作るのって、もしかしてパンクハザードでの海ブタ肉入りホルモンスープ以来・・・とかか・・・? これはまた随分とご無沙汰な感じで。

そして時を同じくして、バラティエではゼフも店を訪れた敵に対してメシを振る舞ってやっている最中なのであった。
この"敵"は・・・ビッグ・マムとは関係なさそうね。ただの店を襲いに来たんだか食事に来たんだかの輩だろう。

食いてェ奴には食わせてやる、って事で、以前から彼ら2人が信条としていた言葉ですが、今回の対ビッグ・マムにおいてはまさにこのフレーズが全てだった感じ。

ビッグ・マムに食わせたケーキによって事態が好転する・・・という事でもなく。重要だったのは「食わせてどうなるか」というその後ではなく、「求める奴に食わせる事」それ自体だったんだね。
そしてその目的は果たされた。全てがプリンの手柄となってしまった事を彼女は複雑に思っていそうだが、サンジにとってそんな事に大した意味はないんだろう。


ところで、ビッグ・マムと敵対したままナワバリを離れる事で、人質であったゼフの身を心配する声を多く目にするが、個人的には「別に平気なんじゃないかな」と思っている。

この辺は自分の解釈が間違っている可能性もあるが、「身内の誰かの首が届く」というのは元々「マムの茶会を断った際のリスク」であり、マムを怒らせれば必ず首が届くというワケではなかったと思う。

そも、茶会の不参加者になぜ親族の首を届けるのかといえば、「参加しないとこうなるよ」という見せしめの意味が強く、また参加を蹴った本人に対してどうこうするワケではないのは、「次回以降の参加が不可能になる」からだと思う。

現にジグラは、一度参加を断り父の首を届けられたにも関わらず、今回の結婚式にもゲストとして招待されていた。つまり、一度参加を断ろうが、ゲストとしての招待は次回以降にも行うのだ。
これで本人を殺してしまえば、茶会の欠員は自動的に発生してしまう事になる。そうならないため、本人以外の人物を消す事で強制的な参加を促しているんだと思う。

しかし、茶会以外でママを怒らせた者に対してはその必要がない。怒らせた張本人を消せばそれで済むし、わざわざ辺境の東の海まで出向いて身内を消すよりも本人を直接殺した方が、ママの怒りも晴れるってもんだろう。

なのでゼフの人質の件は、「サンジに逃げられては困るジャッジが大袈裟に煽っていた」という面の方が高そうだし、実際レイジュも似た様な事を言っている。そして、そのジャッジとの因縁には一応の決着がついたので、彼による脅しはもう心配の必要はない。

よってマムとの和解が成せなかった事で、カイドウとビッグ・マム双方を相手取らねばならない危険性はあれど、今更になってゼフの身が危険に晒される心配はないんじゃないかな、と思われるのだ。



何となく、ゼフとサンジを重ねる締め方は、作者的にも早めの段階で決めていた気がする。
実際非常に締まりのいい終わり方なので、多分次回以降は新シリーズに突入するんじゃないかな。

ワンピースの長編と長編の間には、世界の情勢が少しずつ明かされる事が多いので、すぐにワノ国編が始まるのではなく世界会議含め色んな大物が顔を出してくる回になるかも?