830話辺りからちまちまと書いていたアニメ版ワンピースの感想&紹介みたいな記事ですが、この辺でちょっと第1話から順に振り返って見ようかと。
 アニメ20周年も翌年に控えたタイミングで、あえて1話目から見ていくという暴挙ね。

 今までアニメ版ワンピースにさほど詳しくなかった(多分見れてない時期すらある)んですが、この広大なワンピースワールドをきちんと読み解いていく為にはやっぱアニメ知識も必要だろう、って事で、各話ごとに
原作とどう違っているのか」「静止画である漫画では分かりにくかった箇所がどう動いているのか
などを纏めて紹介しつつ、ざっくりと感想なんかを書いていく予定です。

 というワケで、今回は記念すべきTVアニメ放送第1話のお話。
 「倒せ!海賊ギャンザック」なるアニメもそれ以前からあったりしますが、それはまたの機会に。



【原作の対応話数】
第2話を元に、オリジナル要素を多く含んだ内容

【あらすじ】
 
かつてこの世の全てを手に入れたとされる海賊王、ゴールド・ロジャー。彼の死に際に放った一言により、世は数多の海賊達が夢を求めて海に出る、"大海賊時代"へと突入していた。

 "東の海"のとある海域にて、一隻の客船が海を渡っていた。そこに女海賊・金棒のアルビダ率いる海賊船が現れる。容赦のない砲撃により、パニックとなる船内。やがて海賊達は客船に乗り込み、船乗りや乗客達から略奪を働くのだった。

 一方、アルビダの恐怖に怯えながら、雑用として彼女に従う少年コビーも、彼女の命令により客船へと忍び込んでいた。中に誰もいない事を確認しながら、おそるおそる倉庫に忍び込むコビー。転がり落ちていた樽を運び込もうとしたところ、それを見たアルビダの部下は中身が酒だと思い、アルビダに内緒で開封しようとする。
 海賊が樽を叩き割ろうとした瞬間、なんと樽の上蓋は内部から突き破られた。中から現れたのは、一人の少年。突然の事態に驚愕する海賊達が斬りかかるも、彼はサーベルを素手で容易にへし折ってしまう。慌てた海賊達が何者かと尋ねると、彼はあっけらかんと答えるのだった。
「おれはモンキー・D・ルフィ、よろしく!」

 大渦に呑まれ、遭難していた身だというルフィ。彼はロジャーの遺したとされる“ひとつなぎの大秘宝”ワンピースを手に入れ、海賊王となるべく海へと出たのだった。
 世界中の海賊が狙う宝を手にし、大海賊時代の頂点に立つ。無謀としか思えない夢に驚愕し、無理だと喚くコビー。しかしルフィは、自分が決めた夢のために戦って死ぬなら、それでいいと答えるのだった。

 そして2人のもとに、部下からルフィの来襲を聞きつけたアルビダが現れる。慌て怯えるコビーだが、一方のルフィはアルビダに対し「ごついおばさん」と、悪意もなく言い放ってしまう。
 自身をこの海で最も美しいと考えるアルビダは怒り、金棒を振るった。しかしルフィはこれを容易く避けると、コビーを連れ甲板へと上がる。多勢の海賊達を相手に、一人大立ち回りを演じるルフィだが、その瞬間驚くべき事が起きる。ルフィの腕が、大きく伸びたのだった。自在に伸びる身体を駆使し、彼はアルビダの部下達を一掃してしまう。

 アルビダも噂にのみ聞くと言う"悪魔の実"。その一つである"ゴムゴムの実"を食べ、ゴム人間となった男がルフィだった。
 対峙するルフィとアルビダ。コビーはその金棒の威力を恐れ、その場から逃げる様ルフィに打診する。しかし、夢のため命を懸けるルフィの覚悟を思い返したコビーは、自分もまた海軍になるという夢のため、命を懸ける覚悟を決めるのだった。

 アルビダの振り下ろした金棒が、コビーへと迫る。しかしルフィは、アルビダに立ち向かう勇気を見せたコビーの覚悟を買い、その金棒を自らの身をもって受け止めた。
 しかし、ルフィにダメージは無かった。全身がゴムであるルフィに、打撃攻撃は通用しない。ルフィは伸ばした腕を大きく振りかぶると、その拳をアルビダへと直撃させる。ゴムの伸縮性を利用した強烈な攻撃は、アルビダの身体を遥か遠くへと吹き飛ばしてしまうのだった。

 アルビダの部下に用意させた小舟に乗り、海賊船を後にする2人。
 ワンピースが眠ると言われる"偉大なる航路グランドライン"へ入るには、航海を共にする仲間が必要。ルフィは海軍への入隊を目的としたコビーと共に、海賊狩りのゾロと呼ばれる賞金稼ぎが捕まっているとされる海軍基地を目指し、船を進めるのだった。
 


【主な追加点・変更点】
・エピソードの順序が変更され、原作では第2話にあたるアルビダ編が第1話に。原作における第1話であるシャンクスとのエピソードは、アニメでは第4話にて過去回想として描かれた。

・この時点での原作には登場していなかったナミが早期から登場。乗客として客船に乗っており、アルビダ襲撃時の隙に乗じて海賊船に忍び込み、宝を盗み出している。また、海賊船からの脱出時、一瞬だけルフィとすれ違う演出がなされている。

・原作ではゴート島に停泊していたアルビダ海賊団だが、アニメでは客船を襲撃している最中のエピソードとなった。

・原作第2話冒頭の、ルフィが大渦に巻き込まるシーンがカット。それにより、ルフィのアニメ初お目見えはアルビダ海賊団がルフィの入った樽を開けるシーンとなっている。

・原作ではルフィの入った酒樽はゴート島海岸に流れ着き、コビーが回収したが、アニメでは客船の船乗りが酒樽と勘違いして引き上げた事になっている。その後、アルビダの客船襲撃時に船内を転がり、コビーが回収する。

・舞台の状況が変更された事で、アルビダが部下達に掃除をさせているシーンが削除。それに伴い、「汚いものが大嫌い」という設定は語られていない。

・コビーが脱出のため、小舟を作っていたという描写が削除。
 また、海の知識が豊富なため生かされているという設定も語られていない。

・ルフィがアルビダを指して言った「イカついおばさん」というセリフが「ごついおばさん」に変更。ただし、のちのコビーのセリフでは「イカついクソばばあ」のままとなっている。

・アルビダとの直接戦闘の前に、部下達と戦うシーンが追加。またその際にゴムゴムのロケットを披露し、アルビダが彼を悪魔の実の能力者であると理解するシーンが描かれている。
 
ゴムゴムのピストルを使用する際、伸ばした腕を後方に大きく振りかぶるゴムゴムの銃弾ブレットに近い使われ方をしている。また、攻撃を受けたアルビダは原作では数メートル後ろに飛ぶ程度だったが、アニメでは船を飛び出し、海へと沈む程に飛ばされている。

・アルビダ戦後、海軍の軍艦が現れ、アルビダの船に砲撃を仕掛けるシーンが追加。



【感想】
>TVアニメ『ONE PIECE』始動
 記念すべき第1話。
 というワケですが、初っ端から原作とアニメではかなり違った作りになっています。ルフィの幼少期を中心に描いた原作第1話をのちの回想シーンに回し、アニメでは青年となったルフィが最初から登場する様に。
 log collectionで語られたインタビューによれば、この順序変更はスタッフ内でもかなり議論に上がった箇所らしい。やはりTVアニメという事で、第1話でどれだけちびっこのハートを掴めるか、というのは重要なところだろうし、考えるべき所も多かったんだろう。

 全体的には原作第2話のアルビダ戦を元にしているものの、細かいところを見ればかなりオリジナル色の強いエピソード。特に、舞台設定の変更はかなり大きい。原作ではただ島に停泊していたアルビダの所に、ルフィがやってきてしまう――という流れだったのが、アニメではもうモロに略奪行為を働いている真っただ中に。
 これによって、一般的な海賊が「民間人にとっていかに脅威となる存在か」「そんな中、ルフィが他の海賊とどう違うのか」が、より分かりやすく表現されている様に思う。

 ・・・しかしコビー、原作ではただ雑用してるだけだったからいいものの、アニメでは不本意とはいえ略奪に加担する瞬間が描かれてしまった。海軍入隊の難易度、高かったろうなぁ。経歴探られてたらやばかったよ、のちの大佐くん。
 まあ、賞金首が海兵になった例(ジャンゴとか)もあるし、そんなに問題じゃないのかもしれんけど。


>オープニング
 いわずと知れた名曲「ウィーアー!」。
 楽曲に加えて、映像に合わせた効果音が入ってます。海王類が海を泳ぐ音だったり、戦闘時の打撃音だったり。  
 映像の方は、1話目にしてサンジまでのメンバーが揃った状態となっている。ある意味スーパーネタバレタイムですが、この辺は誰が仲間になるか分かりやすい時期だったので特に問題もないか。  

 また、冒頭のナレーションの大場真人氏、ロジャー役の大塚周夫氏による語りも印象深い。
 原作第1話冒頭に描かれているものが元になっていますが、言い回しが微妙に変わってます。たぶん、音声として聞いた際のリズムを重視したんだろう。個人的には、耳馴染みが多い事も含め、アニメ版の方が好きだったりするかも。周夫氏の名演は勿論、「探せ!」って力強く言いきってるところがいいね。


>サブタイトル
 重箱の隅をつつく様でアレだけど、いきなり「俺」って書いちゃってます。ワンピでの表記はだいたい「おれ」なので、ちょっと違和感。
 まあ、あくまで原作者のこだわりの部分なので、そんなに気にする事でもないかもしれんけど。俺って書かれてるシーンも、ないワケじゃないし。
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【ワンピース14巻 第121話より引用】


>ナミの登場
 いろいろと改変点の多い第2話ですが、これも割と大きな違い。原作では扉絵においてのみゾロより早く登場していたナミが、アニメでは本編でもフライング登場。しかも何気なくルフィよりも早く顔見せを済ませている
 たぶん、アニメ化するにあたって、ヒロインポジションの人物を早めに出しておく必要があったんだろう。スポンサー的な都合とかもあるだろうし。

 しかし彼女、アルビダが襲撃した客船に都合よく乗り合わせてた辺り、「適当な客船をハシゴして、船を襲ってきた海賊から金品を奪う」って手口は結構使ってそうね。
 もしかしたら初めからアルビダを標的に見据え、彼女のアジトであるゴート島近海を往来する客船でヤマを張ってたのかもしれん。懸賞金500万っていう「平均額よりはちょっと高い」ぐらいの海賊団だし、リスクとリターンのつり合いが丁度いいと言えばいいのかもしれない。


>コビーとの出会い
 概ね原作通りなんだけど、アニメで改めてみるとコビーが主人公と勘違いしてもおかしくないかもしれんな。主人公ってより、主人公の横にいる語り部的な一般人枠みたいな。徐々に成長していく感じの。

 まあ実際に徐々にどころではない速度で成長を遂げていく彼ですが、この時点ではまだまだヘタレっ子。小舟を作って脱出を考えてはいたという描写もカットされ、ひたすらにアルビダに怯え続けているだけの少年に。
 そんな彼も、ルフィとの出会いを機に、変わろうとする兆しは見られている。この時の小さな覚悟が、のちの成長へと繋がるんだね。


>「ごついおばさん」
 ここは・・・何で変更になったんだろ?
 素人には分からない表現の問題で「イカつい」って言葉がダメだったのかな、と思いきや、そのすぐ後にコビーが発してるし。別に脚本上のテンポがそう変わる変更でもないし・・・単に気まぐれ?。

 
>ゴムゴムのロケット初披露
 アニメで追加された戦闘シーンにて、ゴムゴムのロケットが初披露。
 エピソード順序の変更も手伝い、アニメで初めて使用された技の栄冠を勝ち取る事となりました。
 更に移動術としてではなく、直接の攻撃を目的に使われた回で言えば原作118話のドリー戦までお預け。このアニメ第1話放送時、まだ原作第118話は掲載されていなかったハズなので、こう言った使い方をするのは原作よりもアニメの方が先だったみたいだ。そう考えると何気に凄い。


>ゴムゴムの銃
 アニメ初期においては、ゴムゴムの銃弾という技自体がほとんど使われていなかったと記憶している。というより、原作でゴムゴムの銃弾だったシーンがゴムゴムの銃に置き換えられているのだ。

 その際、攻撃時の方法を変えずに名前のみを置き換えている為、アニメにおいては2通りのゴムゴムの銃が存在する。

 原作通りの「腕を前方に伸ばす、リーチの長い攻撃」と、ゴムゴムの銃弾が元になった「腕を大きく後ろに伸ばし、元に戻す際の反動を利用した高威力の攻撃」の2つだ。

 今回のアルビダ戦では、原作とは異なるシチュエーションであった事もあり、「後方に大きく伸ばし」「更に勢いをつけて前方にも伸ばす」という、双方の良いとこどりみたいな攻撃になっている。
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【©尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション】

 と言っても、伸ばした腕が戻り切った後、更に前に腕を伸ばしたってせっかくつけた反動の勢いが死ぬだけなので、今回みたいなのは拳をヒットさせた後、敵を押し込んでより遠くへ吹き飛ばす事を目的としたものなんだろう。

 実際、この反動をつける動作のおかげか、原作のものに比べ遥か遠くへとアルビダを吹き飛ばしている。威力の上昇っぷりが知れる瞬間だ。


>海軍の襲来
 戦闘後、アルビダを捕えに来たと思われる軍艦から砲弾が飛んでくるのだが、海賊船の真横にはまだ客船が残った状態。ゆえにいつ流れ弾が被弾してもおかしくない。
 明らかに「客船が沈んでも関係なし」とでも言うかの様な無差別攻撃を行っており、モーガンといいネズミといい東の海の海兵は心底ガラが悪いんだなぁと思わざるを得ない。もしくはサカズキの思想にでも共鳴した海兵が指揮してたのか?

 ところで、原作ではアルビダの部下がどうなったのかイマイチ分からなかったが、この分だとアニメでは皆海軍に捕まってしまったんだろう。しかしアルビダ本人はルフィによって海へと沈められたため、皮肉にも難を逃れたのかもしれない。


>モブ海賊
 原作ではヘッポコ、ペッポコ、ポッポコという適当な名前がついていたアルビダの部下も、アニメでは名無し扱い。

 それはどうでもいいのだけれど、声の出演の欄を見てみると演じられている役者さんはなんと神谷浩史氏。今ではトラファルガー・ローの役でお馴染みのあの方だ。
 更にダズやバージェス等多数の役を演じる稲田徹氏などもいらっしゃり、20年という歳月の歴史を感じる。こういうのも、長寿モノの面白さの一つかもしれない。


>エンドカード
 毎回、独特の書体で書かれた「TO BE CONTINUED」の文字で締めくくられるアニメ「ワンピース」ですが、第1話と第2話に関しては様子の違うものになってます。
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©尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション

 第3話からは今もお馴染みのものになったんで、これが使われたのはたった2話だけみたい。
 最初期だし、まだロゴが完成してなかったんかな。



【声の出演】
ルフィ・・・・・・田中真弓
ナミ・・・・・・・岡村明美

コビー・・・・・・土井美加
アルビダ・・・・・松岡洋子
船長・・・・・・・麻生智久
海賊A・・・・・・神谷浩史
海賊B・・・・・・野島健児
海賊C・・・・・・高塚正也
海賊D・・・・・・風間信彦
海賊E・・・・・・稲田徹

ナレーション・・・大場真人

ゴールドロジャー・・・大塚周夫



【登場した技】
・ゴムゴムのロケット・・・・・・使用者:ルフィ
・ゴムゴムのピストル・・・・・・・・使用者:ルフィ