←第838話 アニメ感想一覧 第840話→

アニメ版 ONE PIECE
第839話
「悪の軍団 変身! ジェルマ66(ダブルシックス)」 





【原作の対応話数】
86巻 第868話ラスト~第869話



もくじ
あらすじ
原作からの変更点
感想
登場した技
声の出演



【あらすじ】
 
鏡を失い、脱出不能となった連合軍を匿うため、ベッジは巨大な城塞、“大頭目(ビッグ・ファーザー)”へと変身し、一時の安全な場を築こうとする。
 だが、逃げ遅れたナミ達は、スムージーらビッグ・マム海賊団によって捕えられてしまう。

 その頃、サンジによって救い出されたジェルマ66は、奪還されたレイドスーツによって本来の力を発揮。迫りくるビッグ・マム海賊団に対し、銃も炎も効かない圧倒的な力を見せつけた。彼らがペロスペローやスムージーらに一撃を加えた事により、ナミ達は救い出される。

 大頭目の内部へと逃げ込んだ連合軍とジェルマ66。そしてベッジは、これを打倒ビッグ・マムの最後のチャンスと見て、砲撃を繰り返す。だがカタクリやペロスペローの妨害を受け、大頭目は行動不能に。連合軍は、ビッグ・マム海賊団の包囲の中、希望のない籠城戦を強いられる事となってしまうのだった。



【原作からの追加点・変更点】
※セリフの変更点は細かい差異が多いため、気になった箇所のみ紹介


・ベッジが「大頭目(ビッグ・ファーザー)」へと変身する際の描写が加筆され、変形の過程が描かれた。
 自身の顔面から順に身体を石壁の様に変化させ、その後巨大化し大頭目の姿となっている。
 また最初の石化の際、加えている葉巻が砲身の様な形に変化している。
写真 2018-06-03 15 45 20
©尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション

・連合軍を格納すべく大頭目の城門を開ける際、ベッジの「オープンザゲート!」という掛け声が追加。

・ルフィら連合軍が大頭目の中へ避難する際、ベッジの命令によりファイアタンク海賊団が彼らを援護するシーンが追加。
 銃撃により、モンドールやガレット、ヌストルテらを攻撃している。

・モンドール達がベッジの計画に気付いた際の、「生かしちゃおかねェ!! シーザーの奴もな!!」というセリフが削除。

・上記のシーンにて、ベッジが大頭目からの砲撃を行うシーンが追加。
 これら大頭目からの砲撃に、“ルーク ファイアリング”という技名がつけられ、第839話の中では3回使用。
 またそれを見たルフィとチョッパーが、目を輝かせて喜んでいるシーンが追加。

・ル・フェルドがモチの耳栓をつける際、原作ではたまたま転がっていたモチをみつけ拾っていたが、アニメでは爆風により顔面に目がけて飛んで来たものを使用している。
 またその後、奇声から逃れた事で喜び踊るシーンが追加。

・いの一番に大頭目へ逃げ込もうとしたシーザーが、キャロットやチョッパーを突き飛ばしてしまうシーンが追加。またその事が、ナミ達が逃げ遅れる要因となっている。

・カタクリがブリュレを奪還する際、原作ではすぐにブリュレの入ったリュックの紐が千切れたが、アニメではそれを背負ったシーザーごと引きずり寄せようとしている。
 その後、カタクリから逃げようとシーザーが抵抗した結果、紐が切れブリュレを奪い返されるという流れに。
 またカタクリの助けが入った事で、ブリュレが目を輝かせて喜ぶシーンが追加。

・ナミ達が大頭目へと逃げ込もうとする際、カンテンがその邪魔をするシーンが追加。
 またその後、銃撃によってカンテンを退けたファイアタンク海賊団を、カタクリがジェリービーンズで狙撃するシーン追加。

・スムージーに捕まったナミをルフィが救いに行こうとするが、ダクワーズやラウリン達によって妨害されるシーンが追加。
 またチョッパーが“柔力強化(カンフーポイント)”にてスムージーに攻撃を仕掛けるシーンが追加。しかし片腕ではねのけられ、その後は原作通りオーブンに捕らわれる。

・キャロットがダイフクの魔人に捕まる前に、チョッパーを救うためオーブンに攻撃を仕掛けようとするシーンが追加。

・硝煙の中、サンジが見聞色の覇気らしきもので、ナミ達のピンチを察知するシーンが追加。

・ニジが高速移動により、敵の銃弾を全てつかみ取るシーンが追加。

・ヨンジが投擲された巨大な岩石を手で受け止め砕くシーンが追加。

・レイジュが向かってくる数多の矢を、放出した毒の壁によって瞬時に溶かすシーンが追加。

・ジャッジがタブレット、マスカルポーネ、ジョスカルポーネを、回転させた槍によって吹き飛ばすシーンが追加。

・バスカルテが炎を放ってきた際、イチジが足元の地面を叩き割るシーンが追加。

・原作ではナミ達を救い出した際に表示されていた「SPARKING RED」などの異名が、上記の変身後の各自の見せ場にて表示される様になった。
 それに伴い、原作には無かったジャッジの「GARUDA」の表示が追加。

・今回に限り、アイキャッチがジェルマ66専用のものとなっている。

・ジェルマの雄姿を目の当たりにし、ヴィトが感涙するシーンが追加。

・ペロスペローがジェルマを捕えるため使用した攻撃に“キャンディウェイブ”の技名が追加。
(キャンディウェイブ自体は原作でも登場する技だが、この時は名前を呼んでいなかった)

・イチジがペロスペローを殴る際、「ジェルマの科学の前にひれ伏せ」というセリフが追加。

・ニジがオーブンを攻撃する前に、向かってくる10つ子を迎撃するシーンが追加。

・ヨンジがサンマルクとのパワー勝負ののち、ダイフクの魔人に向かってサンマルクを投げ飛ばすシーンが追加。

・大頭目がキャンディ・ウォールの妨害を避けてビッグ・マムを攻撃しようとする際、“ルーク・ムーブメント”というキャタピラを使った移動用モードに変形するシーンが追加。
 またカタクリにより大砲が使用不可となった際、これによりビッグ・マムを引き潰そうとしている。

・シャーロット家の人物数名の名前が判明。
写真 2018-06-03 17 32 15写真 2018-06-03 17 32 26
©尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション
 1枚目左の黒髪の男がズコット、2枚目の包帯の男がカンテンという名前になっている。

 また、原作で名前のみ登場していたバスカルテが、ジェルマに対し炎を放出していた男である事が明確になった。
 もう1人、声の出演欄ではハイファットという人物の名が登場しているが、これがどの人物であるかは、テレビ字幕では判明しなかった。



【感想】
>ルーク・イン・フォラ・グレーセ
 原作でもかなりのインパクトだった大頭目への変身だが、アニメでは更に印象深い演出がなされた。

 どうしてもジェルマに目を引かれがちな今回だが、こちらの方もかなり格好いい仕上がりに。ベッジの姿はそのままに、石の質感へと見た目を変える始動の仕方は、どことなくピーカっぽくも見える。

 石化から城塞への変化までの数秒間、時間が制止したかの様な演出が挟まれたりもするのだが、これはうちのテレビが遂にぶっ壊れたかと思ってビビった。でも、このタメがある事で、直後の大頭目への変形がサマになって映るんだと思う。

 更にアニメでは、大頭目状態で放つ砲撃やキャタピラでの移動に技名が追加されたりも。ベッジさん、活躍の割に「必殺技」の様なものには恵まれなかったからね。技名を貰えてよかったね。
 技の前に妙な横文字の掛け声を放つのは・・・やっぱ、ベッジさんの密かな厨二趣味かな。「インビジブル・シンフォニア・システム」といい、こういうの好きねベッジさん。

 そして何気に「何だアレは!?」と狼狽しまくりなモンドールさんに笑う。


>口パク
 この回においては、基本的にほとんどの場所で作画上の口パクが成されていない。

 これは後半のジェルマの演出に作画班を持っていかれた・・・のではなく、意図的な演出だと思われる。
 というのも当たり前の話で、この時主要キャラの大半は、マムの奇声から逃れるための耳栓をつけている。そのため、誰が何を喋ろうが、声としてはロクに耳に入るワケもないのだ。原作でも心の声的なフキダシが使われている通り、これらは実際に音として話された声ではないのだと思う。


>ファイアタンク海賊団
 何だかんだ言っても、連合を結んだルフィ達を見捨てる事無く援護するベッジ達、良い奴っすよね。
 そのベッジの命に応え、銃撃によりビッグ・マム海賊団に対抗する部下達。ガレットやモンドールを追い散らしてますが、コレって何気に凄い事では。

 確かに船長のベッジは3億の首。そこそこ名のある海賊と言っていいと思うが、その部下となればハッキリ言ってモブばかり。ジグラの仲間達に簡単にやられる程度の実力者ばかりであったハズだ。

 にもかかわらず、今回はビッグ・マムの血族達とそれなりに渡り合えてしまっている。ここから分かるのは、彼らはとてつもなく逆境に強いという事。計画実行前の警備段階では本領を出せなかった彼らだが、この四皇の一団を相手取った窮地においては、余裕で億を越えるであろう首を相手に戦える程の力を発揮したというわけだ。

 なんという逆境への強さ。締め上げれば締め上げる程に力を増す。凄まじいドM根性を持った集団というワケなのだ。たぶん。


>ステューシーさん
 クール系美女・・・的なイメージの強い彼女ですが、ベッジの「どこまで粘れるか・・・」の後くらいのシーンをご覧ください。
 マムの奇声に、ものすっごい大口開けて悶え苦しむ彼女の姿を拝めます。

 ぽんこつ好きの俺としては、ちょっと好感度上がりました。至極どうでもいいけど。


>ル・フェルド
 なんとなくこの方も、原作に比べギャグ色が強い演出になってますね、全体的に。
 しかし前々から思ってたけど、たまたま拾ったモチを耳栓として詰めてみようって発想に至ったフェルドさん、柔軟過ぎませんか。

 普通そんなの思いもしませんよ。
 ついでに言うと、「奇声から解放された!」→「よっしゃ玉手箱盗も!」と即座に切り替えられる対応力もすごい。
 この転んでもただで起きないバイタリティが、闇金王と呼ばれるまでにのし上がった男たる所以なんだろう。知らんけど。


>カタクリのジェリービーンズ
 これ、結局能力とは関係なく、ただ投擲武器として使ってるだけなんですかね?
 一発のジェリービーンズを指弾として飛ばすならともかく、散弾銃の如く投げ飛ばして有効打となってるのも凄い話だ。
 たぶん、覇気を纏った攻撃ではあるんだろうけど、能力と無関係なただのお菓子に覇気を纏わせた男なんてのも、世界で彼くらいのもんだろう。


>チョッパーVSスムージー姐さん
 わずか数秒だが、貴重なスムージー姐さんの戦闘シーンが。
 とは言っても、ナミを捕えたままチョッパーの攻撃を腕で受け止めた程度・・・なのだが、貴女やっぱり意地でも脚は使ってくれないのね。
 せっかくの足長族なんだから、たまには剣技だけでなく足技も使っても良いと思うのだけれど。まあ、足を使うまでもない相手だったと前向きに受け取っておこう。


>サンジ「キャロット!」
 あれ、サンジが呼び捨てしてる。
 一応、原作第892話とかでは、「キャロットちゃん」と呼んでいたので、今回は切羽詰まった状況ゆえに焦って呼び捨ててしまった・・・とかかな。呼び慣れたナミに対しては「さん」づけだし。

 正味どうでもいい箇所なんだけど、サンジが女性を呼び捨てにするのも珍しいなぁと思ったので一応。


>ジェルマ66
 原作でもアメコミや戦隊ヒーローを元にした面白おかしいカッコいい変身を見せてくれた彼らだが、アニメでは更に気合の入った演出がなされていた。
 瞬時に素っ裸になる謎システムから、スーツを纏い変身する姿はまさにヒーロー。・・・なんだと思うけど、ごめん、俺自身が戦隊ヒーローをほぼ見た事がないので、正しい認識なのかが分からないや。

 まあこの変身シーンは色んなところで語られてるだろうし置いておくとして、彼らの強さはどうも(演出も含め)原作よりも遥かに強そうに描かれている。

 速度をふんだんに活かし多数の銃弾をキャッチして見せるニジなど、もはやドラゴンボールの住人。パワーファイターとしてのイメージを更に定着させたヨンジに、ビッグ・マムの子供を3人も撃退して見せたジャッジと、十二分に株を上げて見せた様に思う。

 注目すべきはレイジュで、口から放出した毒を周囲に纏わせ、矢を受け止めると共に瞬時に溶かしてしまうという離れ業をやってのけた。
 キミそんな事できたん!? 毒で矢を物理的に受ける仕組みも謎だけど、一瞬で腐食させるほどに強力な毒を持っていたとは・・・。流石、ダテに長女のポジションに座ってないですね。

 そしてイチジ君。・・・貴方、なんか演出で誤魔化してたけど何もしてなくないか。バスカルテの炎は元々効いてないワケだし、直後の地面ドカーンってやつ意味ないよね。実用性よりも「っぽさ」を求めた行動をする辺り、観客の目を意識してらっしゃる。意外とスター根性座ってるぞ、このヒーロー。

 更に今回は、なんとアイキャッチまでもがジェルマ仕様に。もはや初見の人には、何の番組かすら分からないかもしれない。
 さすが悪の軍団、番組ごと乗っ取っていくのも厭わないぜ!


>ルーク・ムーブメント
 このシーン見ると大頭目さん、異様にデカイっすね。
 原作だとせいぜいビッグ・マムの2・5倍~3倍くらいに見えたが、アニメではキャタピラだけでマムの身長を越えるというサイズ感にまで増量。
 マムの身長が880㎝なので、それとの比較で考えると平気で70メートルくらいはありそうな巨大さだ。
 石化といい巨大さといい、ほんとにピーカさんみたいだなぁ


>ハイファット
 上の方で書いた通り、新判明のキャラが複数登場する中、声の出演欄にて書かれたハイファットに関してはウチで調べた限りどの人物か分からなかった。
 ツイッターのフォロワーさんから、(お茶会参加メンバーからの消去法などで)この人物かな?という情報はいただいたのだが、確証が持てないので一応ここでは名言しない事にしておきます。

 コイツがハイファットだぞ! というのが分かる方、いらっしゃいましたら情報お願いします。



【登場した技】 
大頭目(ビッグ・ファーザー)
使用者:ベッジ
 逃げ場を失った連合軍をビッグ・マム海賊団から守るべく使用された。
 堅牢な城壁と多数の砲台を備えた攻防一体の形態であるが、カタクリによって砲身を、ペロスペローによって手足の動きを封じられ、行動不能へと追いやられてしまった。

キャノン・ファイアリング
使用者:ベッジ
 「ルーク・キャノン・プレパレイション」の掛け声と共に放たれる、“大頭目”からの砲撃。
 ルフィらの大頭目への退避を援護すべく、ビッグ・マム海賊団に対し使用された。
 またルフィらを収容した後、ビッグ・マム暗殺の最後のチャンスとして使用したが、ペロスペローの“キャンディ・ウォール”に妨害された。
 更に“ルーク・ムーブメント”によって背後に回り込み攻撃するも、カタクリの能力によって大砲に餅を詰められ、砲撃不能とされてしまった。

柔力強化カンフーポイント
)

使用者:チョッパー
 捕えられたナミを救うため、スムージー相手に使用。
 しかし左手一本で躱され、背後からオーブンによって捕まってしまった。

・キャンディウェイブ

使用者:ペロスペロー
 レイドスーツによって強化されたジェルマを再度捕えるために使用。
 しかし彼らの機動力を捕捉しきれず、イチジによって殴り飛ばされた。

ゴムゴムのJETウィップ

使用者:ルフィ
 大頭目への避難を妨害するダクワーズやラウリンらに対し使用。

キャンディ・ウォール
使用者:ペロスペロー
 大頭目の砲撃からビッグ・マムを守るために使用。

ルーク・ムーブメント
使用者:ベッジ
 大頭目の足元を変形させ、キャタピラを取り出し機動力を上昇させる技。“キャッスルタンク”の大頭目バージョンの様なもの。
 ビッグ・マムの背後へと回り込むために使用されたが、肝心の砲台をカタクリに破壊されたため、暗殺には失敗した。
 その後直接ビッグ・マムを引き潰そうとするも、ペロスペローのアメに手足を固められ、移動不能となってしまう。



【声の出演】
ルフィ・・・・・・田中真弓
ナミ・・・・・・・岡村明美
サンジ・・・・・・平田広明
チョッパー・・・・大谷育江
ブルック・・・・・チョー

ビッグ・マム・・・小山茉実
ジンベエ・・・・・宝亀克寿
ベッジ・・・・・・龍田直樹
シーザー・・・・・中尾隆聖
ジャッジ・・・・・堀秀行
イチジ・・・・・・杉山紀彰
ニジ・・・・・・・宮内敦士
ヨンジ・・・・・・津田健次郎
カタクリ・・・・・杉田智和
ペロスペロー・・・内田夕夜
スムージー・・・・勝生真沙子
ブリュレ・・・・・三田ゆう子
キャロット・・・・伊藤かな恵
モンドール・・・・伊丸岡篤
ヴィト・・・・・・岸尾だいすけ
ルフェルド・・・・松山鷹志
マスカルポーネ・・・沼田祐介
ジョスカルポーネ・・・粗忽屋所沢店(山口由里子)
魔人・・・・・・・咲野俊介
オーブン・・・・・木村雅史
ダクワーズ・・・・川原慶久
ハイファット・・・藤原貴弘
サンマルク・・・・龍谷修武
ドスマルシェ・・・粗忽屋東品川店(山口勝平)
タブレット・・・・粗忽屋二子玉川店(矢尾一樹)

ベッジの部下・・・新井良平 千葉俊哉
         坂井易直
ナレーション・・・大場真人