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アニメ版 ONE PIECE
第840話
父子(おやこ)の決別 サンジとジャッジ」 






【原作の対応話数】
86巻 第869話ラスト
~87巻第870話



もくじ
あらすじ
原作からの変更点
感想
登場した技
声の出演




【あらすじ】
 
ベッジの堅牢なる城塞“大頭目(ビッグ・ファーザー)”は、カタクリやペロスペローの手によって行動不能に追いやられてしまった。
 希望の見つからない籠城戦。更には正気を取り戻したビッグ・マムが、怒りの猛攻撃を仕掛けて来る。

 いかに強固な城とは言え、四皇の強烈なる攻撃を幾度も喰らえば、無事では済まない。絶体絶命の状況下において、ベッジは一つの策を提示する。それは、生身の身体へと戻ったベッジを、シーザーが抱え空に逃げるというものだった。“シロシロの実”の能力者であるベッジが死なない限り、内部に入った人間がダメージを負う事はない。その特性を利用した、限りなく成功率の低い賭けだった。

 一方サンジによって救い出されたジャッジは、その行動の理由を問う。サンジは“父親”として敬慕するゼフに恥じない生き方をするため、血を分けた家族である彼らを救う道を選んだ。そして彼らを救った今、13年の時を経て再びジャッジと対峙。ヴィンスモーク家との決別を宣言するのだった。
 サンジの言葉を承知したジャッジは、二度とサンジに近づかない事を告げる。そしてベッジの脱出作戦の殿を、ジェルマ自らが請け負う事で、彼らなりのケジメをつけようとするのだった。

 城塞化を解き、生身の身体に戻ったベッジ。そして彼の体内から、シーザー、そしてジェルマ66が飛び出した。
 ビッグ・マム海賊団の前からの撤退戦が、今始まる。
 


【原作からの追加点・変更点】

※セリフの変更点は細かい差異が多いため、気になった箇所のみ紹介


・カタクリに救出されたブリュレが耳栓をつけるシーンが追加。

・レイジュに与えられた毒をスムージーが絞り出す際、毒を受けた部分の腕が紫色に変色した演出に変更。

・大頭目への変身を褒めるチョッパーの「シロシロの実 かっけェ!」というセリフが追加。

・ビッグ・マムが泣き止むシーンおよびカタクリがベッジの裏切りを報告するシーンが追加。

・ベッジの“大頭目”の解説シーンにて、大頭目が破壊されベッジが天に召されるイメージ図が追加。

・ベッジの裏切りを知ったビッグ・マムの怒りに、ペロスペローやモンドールが怯えた様子を見せるシーンが追加。

・大頭目の内部から、外の怒れるビッグ・マムの様子が見えるシーンが追加。

・シフォンがビッグ・マムの説得にあたる際、息子のペッツをヴィトに預けるシーンが追加。

・大頭目の窓際でビッグ・マムの攻撃を受けそうになったシフォンを、ルフィが救い出すシーンが追加。

・ビッグ・マム海賊団が敵対勢力の名を列挙する際、原作では全てタブレットのセリフだったが、アニメではその内「ジンベエ」「ジェルマ66」を挙げるセリフがオーブンのものとなった。

・ビッグ・マムの攻撃を受け続ける大頭目を前に、スムージー、ダイフク、オーブン、カタクリ、ブリュレが臨戦態勢をとるセリフが追加。

・成功率の低すぎる逃走作戦に異議を申し立てるシーザーに対し、チョッパーやジンベエ、ナミが軽いノリで反論するシーン追加。

・ジェルマがベッジ護衛のために出陣する際、原作では見えなかったイチジ達の表情が見えるカットが追加。

・ジェルマの出撃前に、ジャッジがシーザーに「準備はできたか」と尋ねるシーンおよび、ヨンジ達が目の前の任務に意気込むシーンが追加。
 またその後、イチジらがそれぞれポージングを決めるシーンが追加。

・ジェルマの出撃時、原作ではベッジの体内から飛び降りただけだったが、アニメではブラスターを使用し空中を飛びながら出撃する様に変更。
 またジャッジの「ジェルマ、戦闘開始だ!」の掛け声が追加。







【感想】
>パンダマン
 前回のあらすじが終わった直後、カタクリ達と一緒に平然とパンダマンがいてわろた。
 しかも隠れキャラとしてよく見るヒョロっこい方じゃなく、グラバトとかでもおなじみのオリジナルバージョンだし。
 目立つわぁ。隠れキャラなのに隠れてないわぁ。


>利用されっぱなしのブリュレ

 ベッジの暗殺作戦はブリュレの能力を使った脱出方法に全てがかかっていたので、色んな意味で戦犯なブリュレさん。でも、一睨みするだけでコレといって制裁を加えないカタクリお兄ちゃん優しい。

 しかし次の瞬間にはカタクリら最高戦力クラスと肩を並べてイキってる調子の良さに笑う。一晩中囚われっぱなしだった上でのこの切り換えの早さだからね。中々できませんよこんなん。下手すりゃ粛正されるかもしれんってのに。
 そして「鏡に閉じ込めてやるからさ~」って、それはアカン。キミの事だ、またなんかやらかして、ベッジ達の脱出口に使われる未来しか見えない。そりゃもう、カタクリじゃなくても余裕で予知できるレベルで。


>大頭目の防御力
 なんだか原作比2倍増しくらいでブン殴られまくってる気がするベッジさん。
 しかし怒れる四皇のパンチともなれば、生身の身体であれば一撃で瀕死の重傷を負ってもおかしくないハズ。にも関わらず、ここまでボコボコに殴られてもまだ致命傷には至らない圧倒的な防御性能。
 戦闘面ではイマイチ目立てなかったベッジだが、これだけの堅牢な城を築けたのはやはり本人の能力の練度あってこそだろう。意外と、ベッジ自身の耐久能力も高かったりするのかな。

 あと、前回からして原作より大分デカめに描かれていた大頭目だが、今回もそれが顕著だった。今回はビッグ・マムが城をよじ登ってくれるので、より分かりやすいかもしれない。
 コレか? このサイズ感が、防御力の秘訣なのか? 身体がデカい方が、本体へのフィードバックも抑えられそうだしな。


>ペッツをあやすヴィトとゴッティ
 シフォンに泣きじゃくる赤子を預けられ、慌ててあやそうとするお2人。
 不慣れっぽくもキチンと面倒見てあげようとするのが微笑ましい。そりゃ、尊敬するファーザーの大事な一人息子だものな。ぞんざいな扱いなど出来ますまい。

 しかし子供を宥めるのに死ぬほど向いてない2人! 宇宙イチ「べろべろばー」が得意そうなヴィトだが、いかんせん2人して顔がコワすぎる! 片方に至っては腕にガトリングつけてるし! 
 おかみさんも、子供預ける相手はちょっと考えた方がいいですぜ。


>カポネ・“ギャング”ベッジ
 愛する家族や部下達のため、命を張る事を厭わないベッジ。
 まさか初登場時、部下をフォークでブッ刺そうとしてた男が、こんなに格好いい見せ場を貰えるとは。当時は想像もしてなかったぞ。

 ベッジと言えば、ペコムズを背後から狙撃した時の「非情さ」「卑劣さ」が強い印象があったが、冷静に見返すとフラグはあったのよね。
 頂上戦争で、白ひげが仲間を売ったとの報告を聞いた彼は、「バカバカしい」とその情報を一蹴していた。

 「“白ひげ”が仲間を売っただと!?
  バカバカしい!! それをしねェから 奴は生ける伝説なんだ!!」
    ONE PIECE58巻 第565話より引用
 
 このセリフからは、「白ひげがそういう男ではない」と知っていた事だけでなく、「仲間を売る様な海賊は一流ではいられない」という事を理解しているのが見てとれる。元々ベッジは、情愛だけでなく実益を考えた上でも、仲間を見捨てる様なマネを良しとする男ではないのだ。

 ならば何故、ペコムズの時は自ら銃撃する様な事をしたのか、という所だが、そもそもベッジにとってペコムズは味方ではない

 傘下に入っていたとは言え、ベッジの目的は常に「ビッグ・マム暗殺」にあった。ビッグ・マム海賊団は敵なのだ。
 そしてビッグ・マム海賊団は、タマゴ男爵が言っていた様に「私情より任務」を優先する集団である。この行動はビッグ・マム海賊団という隠れ蓑の性格に適合した結果であると言えるし、大義名分を得たのだから敵は1人でも消しておいた方がいいとの判断かもしれない。
 内心では、タマゴ男爵にも「こいつらクソだな」と思ってたかもしれんね。


>「お前はおれの父親じゃねェ」
 このシーン、原作でもアニメでも、いわゆる二次元のウソ的なハッタリの効いた構図になっていて面白い。

 ジャッジの体格はサンジよりも遥かにデカいし、それはジャッジが跪く構図になっているこの状況でも同じ事。直前のカットを見ると、首元を掴んでジャッジを引き寄せたシーンでは、ジャッジの顔はサンジよりも高い位置にあるのが分かる。

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©尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション

 にも関わらず、2枚目の「サンジが“ヴィンスモーク家”との決別を宣言するシーン」では、サンジはジャッジより高い位置から決別の言葉を投げかける構図になっている。現実で考えれば、踏み台か何かを使わないと撮れない構図だ。

 “北斗の拳”の悪党達しかり、“魁!男塾”の大豪院邪鬼(初登場時)しかり、漫画において強大な人物を実際よりも大きく描写する事はよくある手法だ。
 いわゆる強者が放つオーラの様なものが成せる業であり、実は157㎝しかない吉田沙保里さんが、テレビ越しに見ても妙にデカく見えたりする現象と似た様なものだ。

 サンジはこれまで、ヴィンスモーク家に対する劣等感の中で生きて来た。
 しかしこの茶会において、サンジはそんな彼らを救って見せた。
 そして、ジャッジとの決別のシーン。この瞬間をもって、サンジは明確に、ジャッジと言う男を乗り越えた

 今まで「出来損ない」と蔑んできたジャッジにとって、この瞬間のサンジの姿がどれほど大きく強い存在に映ったか。
 そんな両者の関係性が、この実際の背格好を超越した、漫画やアニメでしか成し得ない構図によって表されている様に思う。



【登場した技】 
大頭目(ビッグ・ファーザー)
使用者:ベッジ
 前話から引き続きの登場。
 ビッグ・マムの攻撃によって本体へとダメージが伝わってしまうも、幾度にも渡る四皇の攻撃を喰らってなお致命傷には至らなかった。
 その後、シーザーを利用した脱出作戦のため、ベッジの意志により解除される。

重力強化(ヘビーポイント)
使用者:チョッパー
 外へ出てビッグ・マムと応戦しようとするルフィを止めるために使用。



【声の出演】
ルフィ・・・・・・田中真弓
ナミ・・・・・・・岡村明美
サンジ・・・・・・平田広明
チョッパー・・・・大谷育江
ブルック・・・・・チョー

ビッグ・マム・・・小山茉実
ジンベエ・・・・・宝亀克寿
シーザー・・・・・中尾隆聖
ベッジ・・・・・・龍田直樹
ペドロ・・・・・・三木眞一郎
キャロット・・・・伊藤かな恵
ペロスペロー・・・内田夕夜
カタクリ・・・・・杉田智和
ジャッジ・・・・・堀秀行
レイジュ・・・・・根谷美智子
イチジ・・・・・・杉山紀彰
ニジ・・・・・・・宮内敦士
ヨンジ・・・・・・津田健次郎
スムージー・・・・勝生真沙子
モンドール・・・・伊丸岡篤
ブリュレ・・・・・三田ゆう子
ヴィト・・・・・・岸尾だいすけ
ゴッティ・・・・・木村雅史
ペッツ・・・・・・鈴木真仁
ダイフク・・・・・咲野俊介
アマンド・・・・・水田わさび
シフォン・・・・・久川綾
タブレット・・・・粗忽屋二子玉川店(矢尾一樹)

ベッジの部下・・・千葉俊哉 戸松拳也
ナレーション・・・大場真人